訂正四半期報告書-第177期第3四半期(平成27年10月1日-平成27年12月31日)
有報資料
以下に記載する事項は、当四半期報告書提出日現在において入手し得る情報に基づいて当社グループが判断したものです。
(1) 業績等の概要
(注)1.単位:億円、( )内 前年同期比較、△はマイナスを表示
2.「当社株主に帰属する四半期純損益」を四半期純損益として表示しています(以下、同じ)。
当第3四半期連結累計期間(以下「当期」という。)の世界経済は、米国で堅調な成長が続き12月には政策金利の引き上げが行われました。ユーロ圏でもドイツを中心に緩やかな成長が続きました。他方、中国では鉄鋼など生産財部門や不動産市場の調整の中、成長減速が続きました。また、石油など商品価格の下落が続き、新興経済地域は総じて成長率が低下しました。国内経済は、企業収益が高水準で推移するとともに労働需給が引き締まり、雇用・所得環境の改善が続く中、消費の基調は底固く推移しました。また、設備投資は総じて持ち直しに向かいました。他方、輸出は海外市場の減速等の影響で減少傾向を辿りました。企業の景況感の改善ははかばかしく進みませんでした。
こうした状況下、当社グループの売上高は、コミュニティ・ソリューション部門、ヘルスケア部門が増収になりましたが、電力・社会インフラ部門、電子デバイス部門が減収になり、ライフスタイル部門が販売地域の絞り込み等により大幅な減収になった結果、全体として前年同期比3,016億円減少し4兆4,217億円になりました。営業損益は、電力・社会インフラ部門が送変電・配電システムの減損の影響等で、コミュニティ・ソリューション部門が流通・事務用機器事業の減損の影響で大幅に悪化し、電子デバイス部門が売価ダウン及び構造改革の影響等で大幅な減益となった結果、全体として前年同期比4,313億円減少し2,295億円の赤字になりました。営業外損益では有価証券売却損益1,779億円を計上したこと等により685億円の黒字となりましたが、税引前損益は前年同期比3,492億円減少し1,610億円の赤字になりました。当期純損益は繰延税金資産の取崩しの影響で前年同期比5,866億円減少の4,794億円の赤字になりました。
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。
(注)単位:億円、( )内 前年同期比較、△はマイナスを表示
①電力・社会インフラ部門
原子力発電システム、ランディス・ギア社が増収になり、太陽光発電システム、鉄道向けシステムが減収になった結果、部門全体として減収になりました。
損益面では、ランディス・ギア社が増益になりましたが、送変電・配電システムがのれん及び固定資産の減損の影響等により大幅に悪化し、原子力発電システム、火力・水力発電システム、鉄道向けシステムが悪化した結果、部門全体として悪化しました。
②コミュニティ・ソリューション部門
照明事業が減収になりましたが、昇降機事業、業務用空調事業が増収になった結果、部門全体として増収になりました。
損益面では、業務用空調事業が増益になりましたが、流通・事務用機器事業がのれん及び無形固定資産の減損の影響により大幅に悪化した結果、部門全体として悪化しました。
③ヘルスケア部門
北米におけるサービス、中国及び新興経済地域における機器販売で、主力のCTを中心として医用画像機器販売が引き続き堅調だったこと等により、部門全体として増収になりました。
損益面では、将来の成長の前倒しを図るべく診断機器を中心とした次世代開発研究と新規事業への先行投資等を増やしたことにより、部門全体として減益になりました。
④電子デバイス部門
半導体事業は、ディスクリート、システムLSI、メモリが減収になり、ストレージ事業も減収になった結果、部門全体として減収になりました。
損益面では、半導体事業は、メモリが売価ダウンの影響等により減益となり、ディスクリートが構造改革の影響等により悪化しました。また、ストレージ事業も悪化しました。これらの結果、部門全体として減益になりました。
⑤ライフスタイル部門
パソコン事業、テレビ等の映像事業が販売地域の絞り込み等により大幅な減収になりました。これらの結果、部門全体としても大幅な減収になりました。
損益面では、パソコン事業、テレビ等の映像事業、家庭電器事業が悪化した結果、部門全体として悪化しました。
⑥その他部門
売上高は前年同期比で減収になり、営業損益は増益になりました。
なお、上記の事業の種類別の売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高が含まれています。
(2) 流動性及び資金の財源
①キャッシュ・フロー
当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の716億円の収入から1,474億円減少し、758億円の支出になりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の1,771億円の支出から2,032億円減少し、261億円の収入になりました。
これらの結果、当期のフリー・キャッシュ・フローは、前年同期の1,055億円の支出から558億円減少し、497億円の支出になりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金が増加したこと等により、前年同期の1,285億円の収入から978億円増加し、2,263億円の収入になりました。
その他に為替の影響によるキャッシュの減少が45億円あり、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末の1,994億円から1,721億円増加し、3,715億円になりました。
②流動性管理と資金調達
<流動性管理>当期末の状況としては、現金及び現金同等物の3,715億円、コミットメントライン未使用枠の4,030億円を合わせ、7,745億円の手許流動性を確保しました。
<資金調達>当社グループは、金利上昇局面への対応及び事業に必要な基本的資産である固定資産の手当てとして、安定的な長期資金をバランスよく調達・確保するよう配慮しています。固定資産については、株主資本・固定負債を含めた長期資金で賄えるよう、長期資金比率の適正化を図っています。
資金調達の直接・間接調達の比率については、資金調達環境等を十分鑑み、バランスの取れた資金構成の維持を基本方針としています。
<格付け>当社は、ムーディーズ・ジャパン㈱(以下「ムーディーズ」という。)、スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン㈱(以下「S&P」という。)、㈱格付投資情報センター(以下「R&I」という。)の3社から格付けを取得しています。当四半期報告書提出日現在の格付状況(長期/短期)は、ムーディーズ:B2(格下げ方向で見直し)/NP、S&P:B+(引き下げ方向のクレジット・ウォッチ)/B、R&I:BBB-/a-2(長期、短期ともに格下げ方向のレーティング・モニター)です。
③資産、負債及び資本の状況
総資産は、前年同期末に比べ9,394億円減少し、5兆9,694億円になりました。
株主資本は、前年同期末に比べ7,300億円減少し、5,275億円になりました。
借入金・社債残高は、前年同期末に比べ同額の、1兆5,950億円になりました。
この結果、2015年12月末の株主資本比率は前年同期末に比べ9.4ポイント減少し、8.8%になり、NET D/Eレシオ((有利子負債-現預金)/株主資本)は前年同期末に比べ122ポイントと大幅に悪化し、232%になりました。
(注)・四半期連結財務諸表は、米国会計基準に準拠して作成しています。但し、当社グループの営業損益は、売上高から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除して算出したものであり、経営資源の配分の決定及び業績の検討のため、定期的に評価を行う対象となる損益を示しています。一部の事業構造改革費用及び訴訟和解費用等は、当社グループの営業損益には含まれていません。
・なお、以上の定性的情報は、特記のない限り前年同期との比較で記載しています。
(3) 対処すべき課題
第177期第2四半期報告書に記載された「対処すべき課題」は、当四半期報告書提出日現在において、次のとおり変更しています。
<経営方針(対処すべき課題)>当社に係る不適切会計問題により、株主、お客様、従業員をはじめとする全てのステークホルダーの方々からの信頼を大きく毀損いたしましたことを深くお詫び申し上げます。
第三者委員会による調査報告書によれば、今回の不適切会計問題が発生した主な直接的原因として、いくつかの案件における、経営トップらの関与を含めた組織的な関与、経営トップらにおける見かけ上の利益のかさ上げの目的、当期利益至上主義と目標必達のプレッシャー等が挙げられています。
また、かかる経営トップらの行為により、財務報告に係る内部統制システムの一部が無効化され、その結果、監査委員会を含む取締役会によるモニタリング機能、内部監査機能、コーポレート部門による牽制機能等も十分に働かなかったことが、間接的ではありますが、今回の不適切会計問題の最も大きな原因であったと考えています。
上記の原因事実の背景には、リーマンショックに続き東日本大震災、タイの洪水、超円高の進行が発生する中で事業環境が厳しい個別事業の業績が伸び悩むとともに、既存市場が収縮していく中で新たな事業機会を見つけていく必要性があり、マーケットの厳しい視線も意識して一定のプレッシャーがかかったものと推測しています。
以上の原因分析に基づき、当社は、第三者委員会から調査報告書を受領後、直ちに、当社社外取締役4名と外部弁護士、外部公認会計士1名ずつからなる経営刷新委員会を設置するとともに、オブザーバー数名を招聘し、また、新社外取締役候補者の決定後は当該候補者も委員として参加し、今後の経営体制及びコーポレート・ガバナンス改革を含む再発防止策等について集中的に検討いたしました。
なお、当社が内部管理体制等において深刻な問題を抱えており、当該内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められるとして、2015年9月、当社株式を特設注意市場銘柄に指定する旨の処分を東京証券取引所及び名古屋証券取引所から受けました。当社は、上場廃止に準ずる措置である特設注意市場銘柄指定という処分を真摯に受け止め、新たに設置した内部管理体制強化プロジェクトチーム、経営刷新推進部を中心として、内部管理体制等の改善と強化に向け、全社一丸となって、最大限の努力をしてまいります。また、2015年12月、金融庁から73億7,350万円の課徴金納付命令を受けました。
当社は、再発防止策を具体化し実行に移していくとともに、強靭な企業体質への変革を図ることで株主、投資家をはじめとする全てのステークホルダーの皆様の信頼回復に繋げるべく、「内部管理体制の強化および企業風土の変革」、「構造改革の断行」、「事業ポートフォリオおよび事業運営体制の見直し」、「財務基盤の整備」を柱とする経営施策「新生東芝アクションプラン」を実施します。
◎内部管理体制の強化および企業風土の変革
Ⅰ.コーポレート・ガバナンス改革
1.取締役会の構成、取締役会の機能の強化について
1)取締役会の構成
①実質的かつ充実した審議を可能にするため、取締役の人数を従来の16名(定款上は20名以下)から、11名に減員しました。
②「執行に対する監視・監督」機能の実効性を担保するため、社外取締役の比率を過半数に引き上げました。
③経営者、会計専門家、法律専門家、その他有識者を社外取締役に選任し、取締役の専門性に配慮した取締役会構成を確保しました。
④社外取締役を取締役会の議長としました。
2)取締役会による監督機能の強化
①監査委員会室の機能について、社外取締役への支援を拡大し、人員も増強しました。また、独立性のある外部専門家(弁護士、公認会計士)を利用するなど、監査委員会室の調査権限を拡充し、社外取締役の報告徴収・調査機能を強化しました。
②社外取締役のみで構成する会議体である取締役評議会を設置し、社外取締役間の情報交換の活性化と、社外取締役の当社の事業等に対する理解の更なる向上を図りました。
2.監査委員会の監査機能の強化について
1)監査委員会の構成
①監査委員会を原則として独立社外取締役のみで構成することとしました。
②財務・法律・経営について専門性の高い社外取締役で監査委員会を構成することとしました。
2)監査委員会の監査機能の強化
①監査委員会室の人員増強、独立した外部の専門家の利用機会の拡大等により、監査委員会室自体が報告徴収、調査を監査委員会の指示に基づき実行できる体制を整えました。また、監査委員会室長に担当執行役を配置しました。
②執行側に加え監査委員会にも内部通報窓口を設置するとともに、全ての監査委員に、執行側通報窓口に通報された内部通報の全てにアクセスできる権限を付与しました。
③監査委員会が、監査委員会室長及び監査委員会室スタフの人事承認権及び解任権・解任拒否権も有することとし、監査委員会室の独立性を担保しました。
④経営監査部を廃止し、経営監査部の内部監査機能を執行側から切り離し、監査委員会の直轄組織として内部監査部を創設しました。
⑤内部監査部の業務を、会計監査、適法性監査、妥当性監査及び内部統制監査に限定・集中することで、執行と監督の機能を明確に分離しました。また、内部監査部の部長に担当執行役を配置しました。
⑥内部監査部長及び内部監査部の部員が、日常的に執行側の重要会議に参加することで、最新の経営環境と経営課題を常時把握できる体制としました。
⑦監査委員会が、内部監査部の部長の人事承認権及び解任権・解任拒否権も有することとし、内部監査部の独立性を担保しました。
3.指名委員会の強化、指名手続の透明性確保について
1)指名委員会の構成
①指名委員会を原則として独立社外取締役のみで構成することとしました。
2)指名手続の公平性確保
①執行役社長の後継者の選定プロセスにおける客観性と公平性を担保するため、後継者計画(サクセッションプラン)を指名委員会が策定することとします。
②指名委員会は、執行役選任、代表執行役選定の基準を明確に定めることとします。また、指名委員会に候補者全員との定期的な面談を実施する権限を付与するとともに、上級管理職による執行役社長評価制度(信任投票制度)を導入します。
4.中長期的な観点からの報酬設計の検討について
経営トップに対して、合理的、実現可能な長期経営計画策定の動機付けをするため、中長期的な業績と連動する報酬割合を増加するなど、中長期的な企業価値に立脚した報酬設計を検討します。
Ⅱ.その他の再発防止策
1.企業風土改革
1)予算統制見直し
当期利益至上主義を脱却し、実力に即した実行可能で合理的な予算及び長期経営計画を策定する観点から、中期計画・予算策定プロセス及び業績管理の見直しを実施しました。
2)意識改革・コンプライアンス強化
取締役会長兼代表執行役社長から全従業員にメッセージを発信し、経営刷新委員会で議論されたコーポレート・ガバナンス改革案の着実な実行と当社グループ再生のために全力を挙げることを確約しました。また、社会的な信頼回復に向け全社一丸で取り組むべく決意を示すとともに、従業員からも忌憚ない意見を募るため従業員アンケートを実施しました。さらに、経営トップの意識改革のため、経営トップのみを対象とした意識改革研修を10月と12月に実施しました。
3)会計コンプライアンス教育の実施
経営トップを対象とした意識改革研修に加え、従業員に対しても、会計コンプライアンスについての実効性を高めるため、役職・業務内容に応じた階層別、職能別教育を実施しました。今後も継続的な実施を検討します。
2.内部統制強化策
1)財務部門の組織改革
財務部門の内部統制機能を強化するため、従来社内カンパニー社長が有していた社内カンパニーの財務統括責任者(CCFO)の人事承認権、人事評価権をいわゆる最高財務責任者(CFO)としての財務部担当執行役に移管し、財務会計機能の独立性を担保しました。
2)内部通報制度改革
執行側に加え監査委員会にも内部通報窓口を設置するとともに、内部通報制度の存在及び匿名性が厳格に担保されることの一層の周知徹底を図るなど、より通報しやすい制度を構築しました。
3.業務プロセス改革
財務報告に係る内部統制システムに重要な不備があったことに鑑み、特に第三者委員会に調査を委嘱し、不適切会計処理の存在が明確となった、①工事進行基準に係る会計処理、②映像事業における経費計上に係る会計処理、③ディスクリート、システムLSIを主とする半導体事業における在庫の評価に係る会計処理、及び④パソコン事業における部品取引等に係る会計処理、の4つの会計処理並びにこれらに類似の会計処理について、会計処理基準の見直しとかかる基準の変更に沿った業務プロセスの運用改善を行いました。
◎構造改革の断行
電子デバイス部門の半導体におけるシステムLSIおよびディスクリート事業、ライフスタイル部門のパソコン、映像、家庭電器の各事業において、構造改革を断行します。
これに伴い、2015年3月末時点のライフスタイル部門の人員の約3割に当たる約6,800名の対策につき、2016年3月末までを目途に実施します。なお、国内人員については、再配置および再就職支援を含む早期退職優遇制度を実施します。
◎事業ポートフォリオおよび事業運営体制の見直し
Ⅰ.2016年度をスタートとする中期経営計画において、次の項目について検討を進めます。同計画は2016年3月末までに策定する予定で、策定後を目途に当社の経営方針について公表する予定です。
1.事業ポートフォリオ
1)強化事業領域を再定義し、エネルギー事業とストレージ事業を今後の注力領域とします。
2)ヘルスケア事業については、画像診断等の分野の世界的なプレゼンスを背景に、高い収益性を維持しておりますが、今後の更なる成長に向けて引き続き十分に経営資源を配分し、適切に研究開発費等の成長資金を投入する必要があります。したがって、ヘルスケア事業が本来持つポテンシャルを最大限発揮し、企業価値・顧客価値の最大化を図るためには、マジョリティ株主として積極的な支援を行う外部資本を導入し、同時に当社の財務体質強化を実現することが適当と判断しました。最重要施策との認識の下、コーポレートおよび東芝メディカルシステムズ㈱が一体となって速やかに実行します。
2.小さく強靭な本社の確立と事業運営体制の見直し
1)スタッフ機能をスリム化し、将来に向けた戦略策定を中心ミッションとする組織体制へ移行すると同時に、カンパニーの自主自律経営を強化することを目的に、事業運営に必要な機能はカンパニーに移管します。これを受け、コーポレート部門において、約1,000名の人員再配置及び再就職支援を含む早期退職優遇制度を、2015年度末までに実施することとしました。
2)中期経営計画・予算策定・業績管理・業績評価をキャッシュ・フロー重視のプロセスに見直すとともにカンパニー有利子負債管理体制を強化します。
◎財務基盤の整備
Ⅰ.当期利益至上主義に陥った反省を踏まえ、キャッシュ・フロー重視の経営を継続して推進し、構造改革の実施等により悪化した財務基盤を改善させることを最優先の経営課題として取り組みます。
1.財務基盤の整備施策
1)資源投入の上限を厳しく設定し、事業ポートフォリオに基づき、キャッシュを創出する事業領域へ投資を集中します。
この方針に基づき、2016年度設備投資・投融資は、注力領域であるエネルギー事業・ストレージ事業を中心に重点投資し、その他は原則として老朽更新に限定します。
2)カンパニー連結ベース有利子負債残高の運用を厳格化し、有利子負債削減へ向けた管理体制を強化します。
2.資産売却
1)保有する株式および不動産については聖域なく保有意義を見直し、売却を進めます。
このような事態に至りましたことを改めて深くお詫び申し上げますとともに、信頼を取り戻すべく、経営を刷新し、経営陣以下全社一丸となって東芝グループの再生に向け全力で取り組んでまいります。
<株式会社の支配に関する基本方針>当社グループが株主の皆様に還元する適正な利潤を獲得し、企業価値・株主共同の利益の持続的な向上を実現するためには、株主の皆様はもちろん、お客様、取引先、従業員、地域社会等のステークホルダーとの適切な関係を維持、発展させていくことも必要であり、これらのステークホルダーの利益にも十分配慮した経営を行う必要があると考えています。
また、当社株式の買付の提案を受けた場合に、その買付が当社の企業価値・株主共同の利益に及ぼす影響を適切に判断するためには、各事業分野の有機的結合により実現され得るシナジー効果、当社グループの実情、その他当社の企業価値を構成する要素が十分に把握される必要があると考えます。
当社取締役会は、上記の要素に鑑み、当社の企業価値・株主共同の利益の確保、向上に資さない当社株式の大量取得行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当ではなく、このような者による当社株式の大量取得行為に関しては、必要かつ相当な手段を採ることにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保する必要があると考えています。
以上の考え方に基づき、当社は、2006年6月に当社株式の大量取得行為に関する対応策(いわゆる買収防衛策)を導入し、2009年6月及び2012年6月に更新してまいりましたが、経営環境等の変化、金融商品取引法整備の浸透の状況、株主の皆様の意見等を考慮しながら慎重に検討した結果、当該対応策を更新しないことといたしました。
なお、当該対応策終了後も弊社株式の大規模買付を行おうとする者に対しては、大規模買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、併せて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法及びその他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じるとともに、引き続き企業価値及び株主共同の利益の確保及び向上に努めてまいります。
(4) 研究開発活動
当期における研究開発費は2,907億円でした。
なお、当四半期連結会計期間における主要な研究開発の成果は以下のとおりです。
①新商品
・神奈川県立がんセンター向けに開発した、炭素イオン(重粒子)を光の速さの約70%まで加速して、がん腫瘍に体外から照射する重粒子線がん治療装置が完成し、治療を開始しました。重粒子線がん治療では、がん腫瘍の位置・大きさ・形状に合わせた集中的な照射が可能で、周囲の正常な細胞を傷つけにくく、他の放射線治療と比べてがん細胞を殺傷する能力が高い特長があります。患者の身体的負担が少ないため、早期の社会復帰が可能となります。
・カメラからの入力映像を処理し、自動車前方の車線、車両、歩行者、標識などを認識する画像認識プロセッサ「Visconti™2」が、株式会社デンソーの車載用前方監視カメラシステム向けに採用されました。当社独自の画像処理アクセラレータにより、複数のアプリケーションの同時・並列処理と低消費電力動作を実現したことが評価されました。車載向け半導体市場では、より安全で快適な車社会の実現に向け、先進運転支援システムの重要性がより高まるとともに、将来的には自動運転のニーズが高まっていくことが見込まれています。
②研究開発
・当社及び東芝機械㈱は、従来方式(※1)と比較して約10倍以上の造形速度を実現する3D金属プリンターの試作機を共同開発しました。本開発品は、レーザ照射と同時に金属粒子を噴射することで造形を進める方式を採用するとともに、金属粒子の噴射領域を小さく集束させる造形ノズルを新たに開発しました。
なお、本件は、経済産業省からの委託事業「次世代型産業用3Dプリンター技術開発及び超精密三次元造形システム技術開発」において開発したものです。
・1台のカメラで広範囲を撮影した映像から、人や車の数を高精度に計測できる技術を開発しました。本技術は、人や物が重なって映っていたり、非常に小さく映っていたりしても対象を見つけ出すことができ、各大学が公開している評価用画像データ(※2)における計測誤差で、世界最高性能を達成しました。監視の省力化及び見える化において、トラブルが発生する原因となり易い人や車の密集、交通渋滞等を高精度に計測し、混雑緩和対策の検討に貢献します。また、防犯等セキュリティ分野への応用により、安心・安全な社会の実現にも貢献します。
(注)※1.金属材料を敷き詰めたパウダーベッドにレーザを照射し、任意の部分を溶融させ積層させる方式(パウダー・ベッド・フュージョン方式)。パウダーを1層ごとに敷き詰める工程と造形部分にレーザを照射する工程を繰り返し、造形する。
※2.手法の評価を目的として各大学が公開している画像データ。人数計測の評価に一般的に用いられるMallデータ及びUCSDデータに対して評価しました。
(5) 生産、受注及び販売の状況
当期において、当社グループの生産、受注及び販売の実績に著しい変動はありません。
(6) 主要な設備等
当第3四半期連結累計期間における設備投資の実績は、2,136億円です。
第4四半期連結会計期間の設備投資計画は、注力領域であるエネルギー事業・ストレージ事業に対する継続的な投資は厳選して実施し、その他は原則として老朽更新に限定します。
なお、2015年12月、当社はソニー㈱との間で、当社大分工場の300mmウェハー製造ラインに関係する資産を、同社に譲渡する旨の確定契約を締結しました。
(1) 業績等の概要
| 売上高 | 44,217 (△3,016) |
| 営業損益 | △2,295 (△4,313) |
| 税引前損益 | △1,610 (△3,492) |
| 四半期純損益 | △4,794 (△5,866) |
(注)1.単位:億円、( )内 前年同期比較、△はマイナスを表示
2.「当社株主に帰属する四半期純損益」を四半期純損益として表示しています(以下、同じ)。
当第3四半期連結累計期間(以下「当期」という。)の世界経済は、米国で堅調な成長が続き12月には政策金利の引き上げが行われました。ユーロ圏でもドイツを中心に緩やかな成長が続きました。他方、中国では鉄鋼など生産財部門や不動産市場の調整の中、成長減速が続きました。また、石油など商品価格の下落が続き、新興経済地域は総じて成長率が低下しました。国内経済は、企業収益が高水準で推移するとともに労働需給が引き締まり、雇用・所得環境の改善が続く中、消費の基調は底固く推移しました。また、設備投資は総じて持ち直しに向かいました。他方、輸出は海外市場の減速等の影響で減少傾向を辿りました。企業の景況感の改善ははかばかしく進みませんでした。
こうした状況下、当社グループの売上高は、コミュニティ・ソリューション部門、ヘルスケア部門が増収になりましたが、電力・社会インフラ部門、電子デバイス部門が減収になり、ライフスタイル部門が販売地域の絞り込み等により大幅な減収になった結果、全体として前年同期比3,016億円減少し4兆4,217億円になりました。営業損益は、電力・社会インフラ部門が送変電・配電システムの減損の影響等で、コミュニティ・ソリューション部門が流通・事務用機器事業の減損の影響で大幅に悪化し、電子デバイス部門が売価ダウン及び構造改革の影響等で大幅な減益となった結果、全体として前年同期比4,313億円減少し2,295億円の赤字になりました。営業外損益では有価証券売却損益1,779億円を計上したこと等により685億円の黒字となりましたが、税引前損益は前年同期比3,492億円減少し1,610億円の赤字になりました。当期純損益は繰延税金資産の取崩しの影響で前年同期比5,866億円減少の4,794億円の赤字になりました。
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。
| セグメント | 売上高 | 営業損益 |
| 電力・社会インフラ | 13,398(△ 198: 99%) | △1,026(△1,456) |
| コミュニティ・ソリューション | 9,929(+ 217:102%) | △635(△ 827) |
| ヘルスケア | 2,988(+ 110:104%) | 68(△ 64) |
| 電子デバイス | 12,126(△ 939: 93%) | 234(△1,694) |
| ライフスタイル | 6,444(△2,430: 73%) | △668(△ 282) |
| その他 | 3,381(△ 314: 92%) | 27(+ 21) |
| セグメント間消去又は全社 | △4,049(+ 538: ― ) | △295(△ 11) |
| 合 計 | 44,217(△3,016: 94%) | △2,295(△4,313) |
(注)単位:億円、( )内 前年同期比較、△はマイナスを表示
①電力・社会インフラ部門
原子力発電システム、ランディス・ギア社が増収になり、太陽光発電システム、鉄道向けシステムが減収になった結果、部門全体として減収になりました。
損益面では、ランディス・ギア社が増益になりましたが、送変電・配電システムがのれん及び固定資産の減損の影響等により大幅に悪化し、原子力発電システム、火力・水力発電システム、鉄道向けシステムが悪化した結果、部門全体として悪化しました。
②コミュニティ・ソリューション部門
照明事業が減収になりましたが、昇降機事業、業務用空調事業が増収になった結果、部門全体として増収になりました。
損益面では、業務用空調事業が増益になりましたが、流通・事務用機器事業がのれん及び無形固定資産の減損の影響により大幅に悪化した結果、部門全体として悪化しました。
③ヘルスケア部門
北米におけるサービス、中国及び新興経済地域における機器販売で、主力のCTを中心として医用画像機器販売が引き続き堅調だったこと等により、部門全体として増収になりました。
損益面では、将来の成長の前倒しを図るべく診断機器を中心とした次世代開発研究と新規事業への先行投資等を増やしたことにより、部門全体として減益になりました。
④電子デバイス部門
半導体事業は、ディスクリート、システムLSI、メモリが減収になり、ストレージ事業も減収になった結果、部門全体として減収になりました。
損益面では、半導体事業は、メモリが売価ダウンの影響等により減益となり、ディスクリートが構造改革の影響等により悪化しました。また、ストレージ事業も悪化しました。これらの結果、部門全体として減益になりました。
⑤ライフスタイル部門
パソコン事業、テレビ等の映像事業が販売地域の絞り込み等により大幅な減収になりました。これらの結果、部門全体としても大幅な減収になりました。
損益面では、パソコン事業、テレビ等の映像事業、家庭電器事業が悪化した結果、部門全体として悪化しました。
⑥その他部門
売上高は前年同期比で減収になり、営業損益は増益になりました。
なお、上記の事業の種類別の売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高が含まれています。
(2) 流動性及び資金の財源
①キャッシュ・フロー
当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の716億円の収入から1,474億円減少し、758億円の支出になりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の1,771億円の支出から2,032億円減少し、261億円の収入になりました。
これらの結果、当期のフリー・キャッシュ・フローは、前年同期の1,055億円の支出から558億円減少し、497億円の支出になりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金が増加したこと等により、前年同期の1,285億円の収入から978億円増加し、2,263億円の収入になりました。
その他に為替の影響によるキャッシュの減少が45億円あり、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末の1,994億円から1,721億円増加し、3,715億円になりました。
②流動性管理と資金調達
<流動性管理>当期末の状況としては、現金及び現金同等物の3,715億円、コミットメントライン未使用枠の4,030億円を合わせ、7,745億円の手許流動性を確保しました。
<資金調達>当社グループは、金利上昇局面への対応及び事業に必要な基本的資産である固定資産の手当てとして、安定的な長期資金をバランスよく調達・確保するよう配慮しています。固定資産については、株主資本・固定負債を含めた長期資金で賄えるよう、長期資金比率の適正化を図っています。
資金調達の直接・間接調達の比率については、資金調達環境等を十分鑑み、バランスの取れた資金構成の維持を基本方針としています。
<格付け>当社は、ムーディーズ・ジャパン㈱(以下「ムーディーズ」という。)、スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン㈱(以下「S&P」という。)、㈱格付投資情報センター(以下「R&I」という。)の3社から格付けを取得しています。当四半期報告書提出日現在の格付状況(長期/短期)は、ムーディーズ:B2(格下げ方向で見直し)/NP、S&P:B+(引き下げ方向のクレジット・ウォッチ)/B、R&I:BBB-/a-2(長期、短期ともに格下げ方向のレーティング・モニター)です。
③資産、負債及び資本の状況
総資産は、前年同期末に比べ9,394億円減少し、5兆9,694億円になりました。
株主資本は、前年同期末に比べ7,300億円減少し、5,275億円になりました。
借入金・社債残高は、前年同期末に比べ同額の、1兆5,950億円になりました。
この結果、2015年12月末の株主資本比率は前年同期末に比べ9.4ポイント減少し、8.8%になり、NET D/Eレシオ((有利子負債-現預金)/株主資本)は前年同期末に比べ122ポイントと大幅に悪化し、232%になりました。
(注)・四半期連結財務諸表は、米国会計基準に準拠して作成しています。但し、当社グループの営業損益は、売上高から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除して算出したものであり、経営資源の配分の決定及び業績の検討のため、定期的に評価を行う対象となる損益を示しています。一部の事業構造改革費用及び訴訟和解費用等は、当社グループの営業損益には含まれていません。
・なお、以上の定性的情報は、特記のない限り前年同期との比較で記載しています。
(3) 対処すべき課題
第177期第2四半期報告書に記載された「対処すべき課題」は、当四半期報告書提出日現在において、次のとおり変更しています。
<経営方針(対処すべき課題)>当社に係る不適切会計問題により、株主、お客様、従業員をはじめとする全てのステークホルダーの方々からの信頼を大きく毀損いたしましたことを深くお詫び申し上げます。
第三者委員会による調査報告書によれば、今回の不適切会計問題が発生した主な直接的原因として、いくつかの案件における、経営トップらの関与を含めた組織的な関与、経営トップらにおける見かけ上の利益のかさ上げの目的、当期利益至上主義と目標必達のプレッシャー等が挙げられています。
また、かかる経営トップらの行為により、財務報告に係る内部統制システムの一部が無効化され、その結果、監査委員会を含む取締役会によるモニタリング機能、内部監査機能、コーポレート部門による牽制機能等も十分に働かなかったことが、間接的ではありますが、今回の不適切会計問題の最も大きな原因であったと考えています。
上記の原因事実の背景には、リーマンショックに続き東日本大震災、タイの洪水、超円高の進行が発生する中で事業環境が厳しい個別事業の業績が伸び悩むとともに、既存市場が収縮していく中で新たな事業機会を見つけていく必要性があり、マーケットの厳しい視線も意識して一定のプレッシャーがかかったものと推測しています。
以上の原因分析に基づき、当社は、第三者委員会から調査報告書を受領後、直ちに、当社社外取締役4名と外部弁護士、外部公認会計士1名ずつからなる経営刷新委員会を設置するとともに、オブザーバー数名を招聘し、また、新社外取締役候補者の決定後は当該候補者も委員として参加し、今後の経営体制及びコーポレート・ガバナンス改革を含む再発防止策等について集中的に検討いたしました。
なお、当社が内部管理体制等において深刻な問題を抱えており、当該内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められるとして、2015年9月、当社株式を特設注意市場銘柄に指定する旨の処分を東京証券取引所及び名古屋証券取引所から受けました。当社は、上場廃止に準ずる措置である特設注意市場銘柄指定という処分を真摯に受け止め、新たに設置した内部管理体制強化プロジェクトチーム、経営刷新推進部を中心として、内部管理体制等の改善と強化に向け、全社一丸となって、最大限の努力をしてまいります。また、2015年12月、金融庁から73億7,350万円の課徴金納付命令を受けました。
当社は、再発防止策を具体化し実行に移していくとともに、強靭な企業体質への変革を図ることで株主、投資家をはじめとする全てのステークホルダーの皆様の信頼回復に繋げるべく、「内部管理体制の強化および企業風土の変革」、「構造改革の断行」、「事業ポートフォリオおよび事業運営体制の見直し」、「財務基盤の整備」を柱とする経営施策「新生東芝アクションプラン」を実施します。
◎内部管理体制の強化および企業風土の変革
Ⅰ.コーポレート・ガバナンス改革
1.取締役会の構成、取締役会の機能の強化について
1)取締役会の構成
①実質的かつ充実した審議を可能にするため、取締役の人数を従来の16名(定款上は20名以下)から、11名に減員しました。
②「執行に対する監視・監督」機能の実効性を担保するため、社外取締役の比率を過半数に引き上げました。
③経営者、会計専門家、法律専門家、その他有識者を社外取締役に選任し、取締役の専門性に配慮した取締役会構成を確保しました。
④社外取締役を取締役会の議長としました。
2)取締役会による監督機能の強化
①監査委員会室の機能について、社外取締役への支援を拡大し、人員も増強しました。また、独立性のある外部専門家(弁護士、公認会計士)を利用するなど、監査委員会室の調査権限を拡充し、社外取締役の報告徴収・調査機能を強化しました。
②社外取締役のみで構成する会議体である取締役評議会を設置し、社外取締役間の情報交換の活性化と、社外取締役の当社の事業等に対する理解の更なる向上を図りました。
2.監査委員会の監査機能の強化について
1)監査委員会の構成
①監査委員会を原則として独立社外取締役のみで構成することとしました。
②財務・法律・経営について専門性の高い社外取締役で監査委員会を構成することとしました。
2)監査委員会の監査機能の強化
①監査委員会室の人員増強、独立した外部の専門家の利用機会の拡大等により、監査委員会室自体が報告徴収、調査を監査委員会の指示に基づき実行できる体制を整えました。また、監査委員会室長に担当執行役を配置しました。
②執行側に加え監査委員会にも内部通報窓口を設置するとともに、全ての監査委員に、執行側通報窓口に通報された内部通報の全てにアクセスできる権限を付与しました。
③監査委員会が、監査委員会室長及び監査委員会室スタフの人事承認権及び解任権・解任拒否権も有することとし、監査委員会室の独立性を担保しました。
④経営監査部を廃止し、経営監査部の内部監査機能を執行側から切り離し、監査委員会の直轄組織として内部監査部を創設しました。
⑤内部監査部の業務を、会計監査、適法性監査、妥当性監査及び内部統制監査に限定・集中することで、執行と監督の機能を明確に分離しました。また、内部監査部の部長に担当執行役を配置しました。
⑥内部監査部長及び内部監査部の部員が、日常的に執行側の重要会議に参加することで、最新の経営環境と経営課題を常時把握できる体制としました。
⑦監査委員会が、内部監査部の部長の人事承認権及び解任権・解任拒否権も有することとし、内部監査部の独立性を担保しました。
3.指名委員会の強化、指名手続の透明性確保について
1)指名委員会の構成
①指名委員会を原則として独立社外取締役のみで構成することとしました。
2)指名手続の公平性確保
①執行役社長の後継者の選定プロセスにおける客観性と公平性を担保するため、後継者計画(サクセッションプラン)を指名委員会が策定することとします。
②指名委員会は、執行役選任、代表執行役選定の基準を明確に定めることとします。また、指名委員会に候補者全員との定期的な面談を実施する権限を付与するとともに、上級管理職による執行役社長評価制度(信任投票制度)を導入します。
4.中長期的な観点からの報酬設計の検討について
経営トップに対して、合理的、実現可能な長期経営計画策定の動機付けをするため、中長期的な業績と連動する報酬割合を増加するなど、中長期的な企業価値に立脚した報酬設計を検討します。
Ⅱ.その他の再発防止策
1.企業風土改革
1)予算統制見直し
当期利益至上主義を脱却し、実力に即した実行可能で合理的な予算及び長期経営計画を策定する観点から、中期計画・予算策定プロセス及び業績管理の見直しを実施しました。
2)意識改革・コンプライアンス強化
取締役会長兼代表執行役社長から全従業員にメッセージを発信し、経営刷新委員会で議論されたコーポレート・ガバナンス改革案の着実な実行と当社グループ再生のために全力を挙げることを確約しました。また、社会的な信頼回復に向け全社一丸で取り組むべく決意を示すとともに、従業員からも忌憚ない意見を募るため従業員アンケートを実施しました。さらに、経営トップの意識改革のため、経営トップのみを対象とした意識改革研修を10月と12月に実施しました。
3)会計コンプライアンス教育の実施
経営トップを対象とした意識改革研修に加え、従業員に対しても、会計コンプライアンスについての実効性を高めるため、役職・業務内容に応じた階層別、職能別教育を実施しました。今後も継続的な実施を検討します。
2.内部統制強化策
1)財務部門の組織改革
財務部門の内部統制機能を強化するため、従来社内カンパニー社長が有していた社内カンパニーの財務統括責任者(CCFO)の人事承認権、人事評価権をいわゆる最高財務責任者(CFO)としての財務部担当執行役に移管し、財務会計機能の独立性を担保しました。
2)内部通報制度改革
執行側に加え監査委員会にも内部通報窓口を設置するとともに、内部通報制度の存在及び匿名性が厳格に担保されることの一層の周知徹底を図るなど、より通報しやすい制度を構築しました。
3.業務プロセス改革
財務報告に係る内部統制システムに重要な不備があったことに鑑み、特に第三者委員会に調査を委嘱し、不適切会計処理の存在が明確となった、①工事進行基準に係る会計処理、②映像事業における経費計上に係る会計処理、③ディスクリート、システムLSIを主とする半導体事業における在庫の評価に係る会計処理、及び④パソコン事業における部品取引等に係る会計処理、の4つの会計処理並びにこれらに類似の会計処理について、会計処理基準の見直しとかかる基準の変更に沿った業務プロセスの運用改善を行いました。
◎構造改革の断行
電子デバイス部門の半導体におけるシステムLSIおよびディスクリート事業、ライフスタイル部門のパソコン、映像、家庭電器の各事業において、構造改革を断行します。
これに伴い、2015年3月末時点のライフスタイル部門の人員の約3割に当たる約6,800名の対策につき、2016年3月末までを目途に実施します。なお、国内人員については、再配置および再就職支援を含む早期退職優遇制度を実施します。
◎事業ポートフォリオおよび事業運営体制の見直し
Ⅰ.2016年度をスタートとする中期経営計画において、次の項目について検討を進めます。同計画は2016年3月末までに策定する予定で、策定後を目途に当社の経営方針について公表する予定です。
1.事業ポートフォリオ
1)強化事業領域を再定義し、エネルギー事業とストレージ事業を今後の注力領域とします。
2)ヘルスケア事業については、画像診断等の分野の世界的なプレゼンスを背景に、高い収益性を維持しておりますが、今後の更なる成長に向けて引き続き十分に経営資源を配分し、適切に研究開発費等の成長資金を投入する必要があります。したがって、ヘルスケア事業が本来持つポテンシャルを最大限発揮し、企業価値・顧客価値の最大化を図るためには、マジョリティ株主として積極的な支援を行う外部資本を導入し、同時に当社の財務体質強化を実現することが適当と判断しました。最重要施策との認識の下、コーポレートおよび東芝メディカルシステムズ㈱が一体となって速やかに実行します。
2.小さく強靭な本社の確立と事業運営体制の見直し
1)スタッフ機能をスリム化し、将来に向けた戦略策定を中心ミッションとする組織体制へ移行すると同時に、カンパニーの自主自律経営を強化することを目的に、事業運営に必要な機能はカンパニーに移管します。これを受け、コーポレート部門において、約1,000名の人員再配置及び再就職支援を含む早期退職優遇制度を、2015年度末までに実施することとしました。
2)中期経営計画・予算策定・業績管理・業績評価をキャッシュ・フロー重視のプロセスに見直すとともにカンパニー有利子負債管理体制を強化します。
◎財務基盤の整備
Ⅰ.当期利益至上主義に陥った反省を踏まえ、キャッシュ・フロー重視の経営を継続して推進し、構造改革の実施等により悪化した財務基盤を改善させることを最優先の経営課題として取り組みます。
1.財務基盤の整備施策
1)資源投入の上限を厳しく設定し、事業ポートフォリオに基づき、キャッシュを創出する事業領域へ投資を集中します。
この方針に基づき、2016年度設備投資・投融資は、注力領域であるエネルギー事業・ストレージ事業を中心に重点投資し、その他は原則として老朽更新に限定します。
2)カンパニー連結ベース有利子負債残高の運用を厳格化し、有利子負債削減へ向けた管理体制を強化します。
2.資産売却
1)保有する株式および不動産については聖域なく保有意義を見直し、売却を進めます。
このような事態に至りましたことを改めて深くお詫び申し上げますとともに、信頼を取り戻すべく、経営を刷新し、経営陣以下全社一丸となって東芝グループの再生に向け全力で取り組んでまいります。
<株式会社の支配に関する基本方針>当社グループが株主の皆様に還元する適正な利潤を獲得し、企業価値・株主共同の利益の持続的な向上を実現するためには、株主の皆様はもちろん、お客様、取引先、従業員、地域社会等のステークホルダーとの適切な関係を維持、発展させていくことも必要であり、これらのステークホルダーの利益にも十分配慮した経営を行う必要があると考えています。
また、当社株式の買付の提案を受けた場合に、その買付が当社の企業価値・株主共同の利益に及ぼす影響を適切に判断するためには、各事業分野の有機的結合により実現され得るシナジー効果、当社グループの実情、その他当社の企業価値を構成する要素が十分に把握される必要があると考えます。
当社取締役会は、上記の要素に鑑み、当社の企業価値・株主共同の利益の確保、向上に資さない当社株式の大量取得行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当ではなく、このような者による当社株式の大量取得行為に関しては、必要かつ相当な手段を採ることにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保する必要があると考えています。
以上の考え方に基づき、当社は、2006年6月に当社株式の大量取得行為に関する対応策(いわゆる買収防衛策)を導入し、2009年6月及び2012年6月に更新してまいりましたが、経営環境等の変化、金融商品取引法整備の浸透の状況、株主の皆様の意見等を考慮しながら慎重に検討した結果、当該対応策を更新しないことといたしました。
なお、当該対応策終了後も弊社株式の大規模買付を行おうとする者に対しては、大規模買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、併せて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法及びその他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じるとともに、引き続き企業価値及び株主共同の利益の確保及び向上に努めてまいります。
(4) 研究開発活動
当期における研究開発費は2,907億円でした。
なお、当四半期連結会計期間における主要な研究開発の成果は以下のとおりです。
①新商品
・神奈川県立がんセンター向けに開発した、炭素イオン(重粒子)を光の速さの約70%まで加速して、がん腫瘍に体外から照射する重粒子線がん治療装置が完成し、治療を開始しました。重粒子線がん治療では、がん腫瘍の位置・大きさ・形状に合わせた集中的な照射が可能で、周囲の正常な細胞を傷つけにくく、他の放射線治療と比べてがん細胞を殺傷する能力が高い特長があります。患者の身体的負担が少ないため、早期の社会復帰が可能となります。
・カメラからの入力映像を処理し、自動車前方の車線、車両、歩行者、標識などを認識する画像認識プロセッサ「Visconti™2」が、株式会社デンソーの車載用前方監視カメラシステム向けに採用されました。当社独自の画像処理アクセラレータにより、複数のアプリケーションの同時・並列処理と低消費電力動作を実現したことが評価されました。車載向け半導体市場では、より安全で快適な車社会の実現に向け、先進運転支援システムの重要性がより高まるとともに、将来的には自動運転のニーズが高まっていくことが見込まれています。
②研究開発
・当社及び東芝機械㈱は、従来方式(※1)と比較して約10倍以上の造形速度を実現する3D金属プリンターの試作機を共同開発しました。本開発品は、レーザ照射と同時に金属粒子を噴射することで造形を進める方式を採用するとともに、金属粒子の噴射領域を小さく集束させる造形ノズルを新たに開発しました。
なお、本件は、経済産業省からの委託事業「次世代型産業用3Dプリンター技術開発及び超精密三次元造形システム技術開発」において開発したものです。
・1台のカメラで広範囲を撮影した映像から、人や車の数を高精度に計測できる技術を開発しました。本技術は、人や物が重なって映っていたり、非常に小さく映っていたりしても対象を見つけ出すことができ、各大学が公開している評価用画像データ(※2)における計測誤差で、世界最高性能を達成しました。監視の省力化及び見える化において、トラブルが発生する原因となり易い人や車の密集、交通渋滞等を高精度に計測し、混雑緩和対策の検討に貢献します。また、防犯等セキュリティ分野への応用により、安心・安全な社会の実現にも貢献します。
(注)※1.金属材料を敷き詰めたパウダーベッドにレーザを照射し、任意の部分を溶融させ積層させる方式(パウダー・ベッド・フュージョン方式)。パウダーを1層ごとに敷き詰める工程と造形部分にレーザを照射する工程を繰り返し、造形する。
※2.手法の評価を目的として各大学が公開している画像データ。人数計測の評価に一般的に用いられるMallデータ及びUCSDデータに対して評価しました。
(5) 生産、受注及び販売の状況
当期において、当社グループの生産、受注及び販売の実績に著しい変動はありません。
(6) 主要な設備等
当第3四半期連結累計期間における設備投資の実績は、2,136億円です。
第4四半期連結会計期間の設備投資計画は、注力領域であるエネルギー事業・ストレージ事業に対する継続的な投資は厳選して実施し、その他は原則として老朽更新に限定します。
なお、2015年12月、当社はソニー㈱との間で、当社大分工場の300mmウェハー製造ラインに関係する資産を、同社に譲渡する旨の確定契約を締結しました。