四半期報告書-第147期第2四半期(平成29年7月1日-平成29年9月30日)

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2017/11/09 14:13
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15項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1)業績
当第2四半期連結累計期間の国内外の景気は、中国は足元でやや減速した一方、米国では堅調な拡大、日本や欧州では緩やかな回復基調で推移した。また、為替については、前年同期と比べると対米ドル、対ユーロともに5月以降は円安となった。
かかる中、当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高は、前年同四半期連結累計期間に対し、産業メカトロニクス部門、電子デバイス部門及び家庭電器部門の増収などにより、1,039億円増収の2兆763億円となった。営業利益は、前年同四半期連結累計期間に対し、重電システム部門、産業メカトロニクス部門及び電子デバイス部門の増益などにより、275億円増益の1,492億円となった。また、税金等調整前四半期純利益は、ルネサス エレクトロニクス株式売却益の計上に加え、為替差損益が改善したことなどにより、前年同四半期連結累計期間比615億円増の1,852億円、当社株主に帰属する四半期純利益は、前年同四半期連結累計期間比427億円増の1,311億円となった。
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりである。
①重電システム
社会インフラ事業は、国内の電力事業の大口案件の受注があったが、国内の交通事業の受注が減少し、国内の電力事業の売上が減少したことなどにより、受注・売上とも前年同四半期連結累計期間を下回った。
ビルシステム事業は、受注は前年同四半期連結累計期間並みとなったが、国内のリニューアル事業及び海外の昇降機新設事業等が堅調に推移したことにより、売上は前年同四半期連結累計期間を上回った。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間並みの5,278億円、営業利益は、売上案件の変動などにより、前年同四半期連結累計期間比9億円増の101億円となった。
②産業メカトロニクス
FAシステム事業は、韓国等での有機EL関連や中国でのスマートフォン・電気自動車関連の設備投資の増加に加え、国内の機械メーカーによる輸出が堅調に推移し、受注・売上とも前年同四半期連結累計期間を上回った。
自動車機器事業は、欧州の新車販売市場が底堅く推移したことに加え、中国での日系自動車メーカーの販売増加や円安の影響もあり、受注・売上とも前年同四半期連結累計期間を上回った。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比14%増の7,037億円、営業利益は、売上増加などにより、前年同四半期連結累計期間比327億円増の948億円となった。
③情報通信システム
通信システム事業は、通信インフラ機器の需要減少などにより、受注・売上とも前年同四半期連結累計期間を下回った。
情報システム・サービス事業は、システムインテグレーション事業等の増加により、売上は前年同四半期連結累計期間を上回った。
電子システム事業は、宇宙システム事業の大口案件の増加などにより、受注は前年同四半期連結累計期間を上回ったが、宇宙・防衛システム事業の大口案件の変動などにより、売上は前年同四半期連結累計期間を下回った。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比7%減の1,850億円、営業利益は、売上減少などにより、前年同四半期連結累計期間比10億円減の28億円となった。
④電子デバイス
電子デバイス事業は、通信用光デバイスの需要減少により、受注は前年同四半期連結累計期間を下回ったが、民生用・産業用パワー半導体の需要増加に加え、熊本地震の影響が解消されたことにより、売上高は前年同四半期連結累計期間比15%増の995億円、営業利益は、売上増加などにより、前年同四半期連結累計期間比51億円増の69億円となった。
⑤家庭電器
家庭電器事業は、欧州・中国及び国内向け空調機器の増加に加え、円安の影響もあり、売上高は前年同四半期連結累計期間比4%増の5,392億円、営業利益は、素材価格の上昇や販売費用の増加などにより、前年同四半期連結累計期間比102億円減の384億円となった。
⑥その他
資材調達の関係会社での増加などにより、売上高は前年同四半期連結累計期間比8%増の3,623億円、営業利益は、売上増加などにより、前年同四半期連結累計期間比4億円増の98億円となった。
所在地別セグメントの業績は、次のとおりである。
①日本
FAシステム事業、自動車機器事業及び電子デバイス事業の増等により、売上高は前年同四半期連結累計期間比4%増の1兆6,019億円、営業利益は、前年同四半期連結累計期間比317億円増の800億円となった。
②北米
交通事業、電子デバイス事業及び空調機器の増等により、売上高は前年同四半期連結累計期間比3%増の2,093億円、営業利益は、前年同四半期連結累計期間比36億円増の78億円となった。
③アジア
ビルシステム事業、FAシステム事業及び自動車機器事業の増等により、売上高は前年同四半期連結累計期間比17%増の5,909億円、営業利益は、前年同四半期連結累計期間比8億円増の501億円となった。
④欧州
自動車機器事業、電子デバイス事業及び空調機器の増等により、売上高は前年同四半期連結累計期間比11%増の2,371億円、営業利益は、前年同四半期連結累計期間比2億円増の89億円となった。
⑤その他
その他所在地には豪州子会社等が含まれており、売上高は228億円、営業利益は9億円となった。
(2)キャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間は、営業活動により増加した純キャッシュが1,086億円となった一方、投資活動に投入した純キャッシュが687億円となったため、フリー・キャッシュ・フローは前年同四半期連結累計期間比787億円減少の398億円の収入となった。これに対し、財務活動により減少した純キャッシュは640億円であること等から、現金及び預金等四半期末残高は前連結会計年度末比156億円減少の6,468億円となった。
営業活動によるキャッシュ・フローは、四半期純利益の増加等がある一方で、支払手形及び買掛金の支払の増加や棚卸資産の増加等により、前年同四半期連結累計期間比689億円の収入減少となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得の増加等により、前年同四半期連結累計期間比98億円の支出増加となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済の減少等により、前年同四半期連結累計期間比137億円の支出減少となった。
(3)経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
①経営方針
三菱電機グループは、「企業理念*1」及び「7つの行動指針*2」に基づき、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)を企業経営の基本と位置付け、「成長性」「収益性・効率性」「健全性」の3つの視点による「バランス経営」を継続し、強固な経営基盤の確立と持続的成長を追求していく。
また、コーポレートステートメント「Changes for the Better」に基づき、変革に挑戦し、常により良い明日への探求を続け、「社会」「顧客」「株主」「従業員」をはじめとするステークホルダーから信頼と満足を得られるよう取り組んでいく。
②経営環境及び対処すべき課題
世界経済の先行きは、EU離脱に関する英国政府の対応や米国の政策運営など不確実性はあるものの、中国の景気減速は緩やかなものにとどまることが見込まれ、米国の堅調な景気拡大、日本や欧州における回復基調の継続が期待されるなど、総じて緩やかな景気拡大が続くことを見込んでいる。
かかる中、三菱電機グループは、「企業理念」及び「7つの行動指針」に基づき、CSRを企業経営の基本として活動していく。環境問題や資源・エネルギー問題をはじめとする今日的な社会課題に対し、グローバルでの製品・システム・サービスの提供等により、持続可能性と安心・安全・快適性が両立する豊かな社会の実現に貢献する「グローバル環境先進企業」を目指して、グループ一丸となって取り組んでいく。
また、豊かな社会の実現に貢献する取り組みにおいては、「バランス経営」の3つの視点(「成長性」「収益性・効率性」「健全性」)に基づき持続的成長を追求し、もう一段高いレベルの成長を目指す。「強い事業をより強く」することに加え、強い技術資産の組み合せによる「技術シナジー」や多岐にわたる事業群の連携による「事業シナジー」の創出を通じ、遅くとも2020年度までに「連結売上高5兆円以上」「営業利益率8%以上」を達成すべく、更なる価値の創出に取り組んでいく。あわせて、継続的に達成すべき経営指標として、「ROE10%以上」「借入金比率15%以下」の達成にも努めていく。
持続的成長に向けては、成長牽引事業を中心とした事業競争力の強化と「新たな強い事業の継続的創出」に向けた開発投資や設備投資を強化するとともに、製品・技術の補完や新地域・新市場での販売網・サービス網の確保、新規顧客層の獲得を目的とした協業・M&Aなどに取り組んでいく。グローバル及びグループトータルでの最適な事業推進体制を構築・強化し、欧米や中国における事業競争力を強化するとともに、インド・東南アジア・中南米等の成長市場における需要獲得に注力することで、成果を実現していく。あわせて、事業の継続的な新陳代謝を通じた経営資源の最適な配分、「ものづくり力」の強化に資する開発・生産力の強化、開発設計段階からの品質作り込み、間接部門における業務効率化も含むJust In Time改善活動を通じた生産性向上、人材構造適正化及び最適配置、更なる財務体質の改善等に引き続き取り組むとともに、事業別資産効率指標として導入した三菱電機版ROIC*3を継続的に運用し、中長期視点で、総合的な事業効率性を向上させ、「質のよい」成長を実現していく。
かかる三菱電機グループの取り組みの中で、「環境」については、低炭素社会や循環型社会の形成等に貢献すべく、創立100周年の2021年を目標年とする「環境ビジョン2021」の下、製品使用時におけるCO2排出量の30%削減(2000年度比)と、グループ全体での製品生産時のCO2排出総量の30%削減(1990年度比*4)を目指していく。「倫理・遵法」については、コンプライアンス方針の徹底、内部統制の強化、教育を核とした更なるコンプライアンス活動の強化に引き続きグループ全体で取り組んでいく。あわせて、コーポレートガバナンス・コードへの適切な対応を図るなど、「コーポレートガバナンス」の継続的な向上策に取り組み、社会・顧客・株主等とのより高い信頼関係の確立に一層努めていく。
三菱電機グループは、上記施策を着実に展開することにより、更なる企業価値の向上を目指していく。
なお、上記における将来に関する事項は、四半期報告書提出日(2017年11月9日)現在において当社が判断したものである。
*1 「企業理念」:三菱電機グループは、技術、サービス、創造力の向上を図り、活力とゆとりある社会の実現に貢献する。
*2 「7つの行動指針」:
・「信頼」:社会・顧客・株主・社員・取引先等との高い信頼関係を確立する。
・「品質」:最良の製品・サービス、最高の品質の提供を目指す。
・「技術」:研究開発・技術革新を推進し、新しいマーケットを開拓する。
・「貢献」:グローバル企業として、地域、社会の発展に貢献する。
・「遵法」:全ての企業行動において規範を遵守する。
・「環境」:自然を尊び、環境の保全と向上に努める。
・「発展」:適正な利益を確保し、企業発展の基盤を構築する。
*3 三菱電機版ROIC(投下資本利益率):各事業部門での把握・改善が容易となるように、「資本」「負債」ではなく、資産項目(固定資産・現預金等)に基づいて算出。
*4 削減目標の基準年度:当社単独1990年、国内関係会社2000年、海外関係会社2005年
(4)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、1,020億円(製造費用へ計上した改良費等を含む)である。
なお、当第2四半期連結累計期間において、三菱電機グループの研究開発活動の状況に重要な変更はない。
(5)主要な設備
前連結会計年度末に計画していた設備投資計画(新設・拡充)は、第2四半期連結会計期間において、次のとおり計画金額(意思決定ベース)を変更している。
事業の種類別
セグメントの名称
前連結会計年度末計画金額
(百万円)
第2四半期連結
会計期間において
変更後計画金額
(百万円)
設備等の主な内容・目的
重電システム35,00038,000電力機器、交通機器及び昇降機の増産、合理化、品質向上 等
産業メカトロニクス74,00088,000FA機器及び自動車機器の増産 等
情報通信システム18,00021,000研究開発力強化、合理化 等
電子デバイス17,00016,000パワーデバイスの増産 等
家庭電器43,00043,000空調機器の増産、合理化、品質向上 等
その他10,00010,000-
共 通13,00014,000研究開発強化に伴う設備工事 等
合 計210,000230,000-

(注) 1 経常的な設備の更新の為の除・売却を除き、重要な設備の除・売却の計画はない。
2 所要資金は、主に自己資金によるが、必要に応じて借入金及び社債の発行を実施する予定である。
3 当第2四半期連結会計期間においては、各セグメントについて、投資内容の見直しを行った。
(注)「(5)主要な設備」の各記載金額には消費税等を含んでいない。
(6)資産及び負債・資本の状況分析
総資産残高は、前連結会計年度末比177億円減少の4兆1,545億円となった。棚卸資産が受注工事の進捗等に伴い仕掛品を中心に990億円増加した一方、現金及び預金等が156億円、売掛債権の回収等により受取手形及び売掛金と長期営業債権の合計が1,215億円それぞれ減少した。
負債の部は、借入金及び社債残高が前連結会計年度末比135億円減少の3,385億円となり、借入金比率は8.1%(前連結会計年度末比△0.3ポイント)となった。また、支払手形及び買掛金が1,184億円、退職給付引当金が株価上昇等に伴う年金資産の増加等により125億円それぞれ減少したこと等から、負債残高は前連結会計年度末比1,504億円減少の1兆8,811億円となった。
資本の部は、配当金の支払いにより386億円減少したが、当社株主に帰属する四半期純利益1,311億円の計上、為替円安・株価上昇を背景としたその他の包括利益累計額の増加391億円等により、株主資本は前連結会計年度末比1,309億円増加の2兆1,705億円となり、株主資本比率は52.2%(前連結会計年度末比+3.3ポイント)となった。
(7)経営成績の分析
①売上高
当第2四半期連結累計期間の売上高は、2兆763億円と前年同四半期連結累計期間比1,039億円の増収となった。これは、産業メカトロニクス、電子デバイス及び家庭電器等のセグメントにおいて増収となったことによるものである。
②売上原価及び費用並びに営業利益
売上原価は、前年同四半期連結累計期間比538億円増加の1兆4,122億円となり、売上高に対する比率は前年同四半期連結累計期間比0.9ポイント改善の68.0%となった。販売費及び一般管理費・研究開発費は、前年同四半期連結累計期間比229億円増加の5,132億円となり、売上高に対する比率は前年同四半期連結累計期間比0.1ポイント改善の24.7%となった。固定資産減損損失は、前年同四半期連結累計期間比4億円減少の15億円となった。
この結果、営業利益は重電システム、産業メカトロニクス及び電子デバイス等のセグメントにおいて増益になったことにより、前年同四半期連結累計期間比275億円増加の1,492億円となった。
③営業外収益及び営業外費用
受取利息及び受取配当金と支払利息を合わせた金融費用は、前年同四半期連結累計期間比7億円の収支改善となり34億円の収入超過となった。
持分法による投資利益は、前年同四半期連結累計期間比4億円増加の99億円となった。
その他の収益は、前年同四半期連結累計期間比47億円増加の268億円となった。その他の費用は、前年同四半期連結累計期間比279億円減少の43億円となった。
④税金等調整前四半期純利益
税金等調整前四半期純利益は、前年同四半期連結累計期間比615億円増加の1,852億円(売上高比8.9%)となった。これは、前述のとおり営業利益が275億円増加、営業外損益が339億円増加したことによるものである。
⑤当社株主に帰属する四半期純利益
当社株主に帰属する四半期純利益は、税金等調整前四半期純利益の増加等により、前年同四半期連結累計期間比427億円増加の1,311億円(売上高比6.3%)となった。
(8)見積り及び重要な会計方針
当社の四半期連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められた会計原則に基づいて作成している。当社は四半期連結財務諸表を作成するために、種々の仮定と見積りを行っており、それらの仮定と見積りは資産、負債、収益、費用の計上金額並びに偶発資産及び債務の開示金額に影響を及ぼし、実際の結果がそれらの見積りと異なることもあり得る。主要な会計方針の要約は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 (四半期連結財務諸表に対する注記)」に記載している。