有価証券報告書-第92期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/21 15:38
【資料】
PDFをみる
【項目】
138項目
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
A.貸倒引当金
当社グループは、金銭債権の貸倒による損失に備えるため、当社および国内連結子会社は、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見積額を計上しております。また在外連結子会社は主として特定の債権について回収不能見込額を計上しております。
したがって、顧客の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合には当該引当金の追加処理が必要となる可能性があります。
B.製品保証引当金
当社グループは、製品の販売後の無償サービス費用に充てるため、売上高に対する過年度の発生率による金額の他、個別に発生額を見積もることができる費用について製品保証引当金を計上しております。
当社グループの製品不良率や保証コストの見積りが実際と異なる場合は、製品保証費用の見積りについて修正が必要となる可能性があります。
C.投資の減損
当社グループは、長期的な取引関係の維持のため、顧客及び金融機関等の株式を所有しております。
将来の市況悪化や投資先の業績不振等を勘案して、投資価値の著しい下落が一時的ではないと判断される場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
D.繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得及び実現可能性の高い継続的なタックスプランニングを分析、検討して繰延税金資産を計上しております。
繰延税金資産の全部又は一部を将来にわたり回収できないと判断した場合、当該判断を決定した期間において、繰延税金資産の減額を実施します。一方、今後新たに繰延税金資産を回収できると判断した場合には、法人税等調整額により繰延税金資産の増額を実施します。
E.退職給付に係る会計処理の方法
当社グループは、従業員の退職給付に備えるため、連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見積額に基づき、退職給付に係る負債を計上しております。
当社グループの退職給付債務の計算における割引率、退職率、昇給率、運用付加金利等の前提条件が将来において変化した場合には、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。
・退職給付見込額の期間帰属方法
退職給付債務の算定にあたり、退職給付見込額を当連結会計年度末までの期間に帰属させる方法については、給付算定式基準によっております。
・数理計算上の差異及び過去勤務費用の費用処理方法
過去勤務費用は、その発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数による定額法により費用処理しております。
数理計算上の差異は、各連結会計年度の発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数による定額法により費用処理することとしております。なお、当社については発生年度に一括処理しております。
F.損害賠償損失引当金
特定の自動車部品の過去の取引についての独占禁止法違反等に関連する和解金等の支払に備えるために、将来に発生しうる損失の見積額を計上しております。
G.環境費用引当金
米国における連結子会社THE VENDO COMPANYが、その旧工場の所在地や近隣地区の土壌及び水質汚染の浄化に係る費用に充てるため、将来の発生見積額から環境浄化費用に利用できる基金の残高を控除した額を当該引当金として計上しておりますが、浄化作業の進捗状況の如何によっては追加引当もしくは引当の減額が必要となる可能性があります。
(2)経営成績
当社グループは次の成長に向けて確実に再起を図ることを目的に、2020年度を最終年度とする中期経営計画をスタートしております。本中期経営目標を達成するため、4つの柱からなる以下の重点項目にグループ全社を挙げて取り組んでおります。
<中期経営目標>売上高:3,200億円
売上高経常利益率:5%
株主資本比率:25%
<重点項目>(1)収益性向上に向けたコスト構造改革
(2)財務体質強化に向けた資産効率改善
(3)企業価値創造に向けた事業ポートフォリオの適正化
(4)持続的成長に向けた経営システム革新
その結果、売上高は自動車機器事業の増収等により287,609百万円(前年同期比2.0%増)となりました。営業利益は、原材料の市況上昇等の影響はあったものの、前年度より取り組んできた抜本的構造改革による収益体質の改善効果等により、5,469百万円(前年同期比245.7%増)となりました。経常利益は4,411百万円(前年同期は経常損失2,262百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,255百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失22,488百万円)となりました。
当社グループの経営成績の状況に関する認識及び分析は次のとおりであります。
売上高の主な増減要因は、自動車機器事業における欧州地域や国内の車両メーカーおよび建機向けエアコンシステム等の販売増、為替の影響等による増収があり、流通システム事業における国内自動販売機等の販売減を吸収し、前年同期に比べ55億円の増収となりました。
営業利益の55億円は、昨年度より取り組んできた「抜本的構造改革」による収益体質の改善効果等によるものであり、主な増減は、価格要因50億円や原材料の市況上昇による影響24億円の悪化要因を、原価低減68億円や販売構成14億円、販管費低減9億円、為替影響23億円の改善要因で吸収しております。その結果、前年同期に比べ39億円の増益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、上記営業利益等の差異に加え、事業ポートフォリオ見直しに伴う有形固定資産の減損損失など構造改革費用29億円を含む特別損失が56億円ありましたが、財務体質強化に向けた資産効率化の一環として実施した政策保有株式の売却益55億円を含む特別利益を70億円計上したことにより43億円となりました。昨年度は、親会社株主に帰属する当期純損失が225億円であったため、前年同期に比べ267億円の大幅な増益となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
A.自動車機器事業
自動車機器事業においては、顧客の環境指向を的確に捉えた最先端の商品開発を進め、小型・軽量化、省動力化を軸に価値ある製品を提供してまいりました。その結果、欧州における販売増や為替の影響等により、売上高は前年同期に比べ増収となりました。
利益については、欧州における販売増による増益効果に加え、抜本的構造改革による収益体質の改善効果等もあり、前年同期に比べ増益となりました。
その結果、売上高は208,855百万円(前年同期比4.9%増)、営業利益は6,610百万円(前年同期比49.6%増)となりました。
B.流通システム事業
店舗システム事業においては、顧客の成長戦略および環境指向に対応した製品・システム・サービスのトータルな提案・提供を継続し、売上高は前年同期に比べ増収となりました。
ベンディングシステム事業においては、積極的な環境製品の開発や新製品展開によるビジネス拡大を図りましたが、国内自動販売機市場の縮小傾向等の影響を受け、売上高は前年同期に比べ減収となりました。
利益については、抜本的構造改革による収益体質の改善効果等により、前年同期に比べ増益となりました。
その結果、売上高は68,147百万円(前年同期比4.4%減)、営業利益は285百万円(前年同期は営業損失370百万円)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
A. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
金額(百万円)前年同期比(%)
自動車機器事業190,487105.4
流通システム事業64,21492.7
報告セグメント計254,702101.9
その他4,19465.0
合計258,896100.9

(注) 1.金額は販売価格によっております。
2.金額には消費税等は含まれておりません。
B. 商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
金額(百万円)前年同期比(%)
自動車機器事業11,51974.8
流通システム事業1,944114.5
報告セグメント計13,46478.8
その他6,381109.3
合計19,84586.5

(注) 1.金額は実際購入価格によっております。
2.金額には消費税等は含まれておりません。
C. 受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は、国内外での受注状況、最近の販売実績及び販売見込等の情報を基礎として、見込生産を行っております。
D. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
金額(百万円)前年同期比(%)
自動車機器事業208,855104.9
流通システム事業68,14795.6
報告セグメント計277,003102.4
その他10,60591.7
合計287,609102.0

(注) 金額には消費税等は含まれておりません。
(3) 財政状態
当連結会計年度末における総資産は、主に受取手形及び売掛金、投資有価証券等の減少により、前連結会計年度末に比べて3,904百万円減少し、276,289百万円となりました。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)
前連結会計年度
(2017年3月31日)
当連結会計年度
(2018年3月31日)
前年差
自動車機器事業206,262210,6754,412
流通システム事業60,35755,550△4,807
報告セグメント計266,620266,225△394
その他13,57410,064△3,510
合計280,194276,289△3,904

負債については、主に未払金、有利子負債等の減少があり、前連結会計年度末に比べて5,702百万円減少し、225,332百万円となりました。
純資産については、親会社株主に帰属する当期純利益等の増加により、前連結会計年度末に比べて1,797百万円増加し、50,957百万円となりました。
前連結会計年度において、体質強化に向けた様々な先行施策の実施や独占禁止法関連損失の計上等により、大きく純資産が毀損いたしました。当社は引き続き、資産効率改善等に取組み財務体質の強化を図ってまいります。
(4) キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益5,867百万円に加え、売上債権が6,092百万円減少したものの、前連結会計年度に計上した独占禁止法関連損失等の未払金の減少5,674百万円等により、7,140百万円(前年同期比2,908百万円の収入減)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得により8,859百万円を支出したものの、投資有価証券の売却による収入8,725百万円や有形固定資産の売却による収入4,028百万円等により、4,093百万円(前年同期比14,465百万円の支出減)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の実施及び社債の発行により36,368百万円増加したものの、長期借入金及び短期借入金の返済40,677百万円等により、△6,536百万円(前年同期比4,056百万円の支出増)となりました。
これらの活動の結果と為替レート変動の影響に伴う現金及び現金同等物の増加を合わせ、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度実績14,040百万円に比べ4,736百万円増加し、18,776百万円となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金は、製品製造のための材料及び部品購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用の支出です。
また、設備投資の主なものは、グローバル生産体制強化に伴う、現地生産化・内製化、および開発用設備の他、合理化等に伴う設備の維持更新と生産用金型の取得であります。なお、当連結会計年度の主な設備投資は、国内外の自動車機器事業に係わるものであります。
これらの必要資金につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入及び社債発行等による資金調達にて対応していくこととしております。
当社グループの資金調達につきましては、次のとおりであります。
当社グループは、資金使途及び資金の必要な時期、期間、地域に応じ資金調達を決定しております。
運転資金については、期限を1年以内とし、グループ各社が運転資金として調達することを基本としております。
当連結会計年度末短期借入金残高45,011百万円の主な通貨は円、US$、ユーロであります。一方、生産設備投資などに必要な長期資金を長期借入金で調達しております。
当連結会計年度末長期借入金及び社債残高81,133百万円の主たる部分は金融機関からの固定金利による借入金であります。
なお、当連結会計年度中において、日本を中心に36,368百万円の長期借入金の実施及び社債の発行により、設備投資等に充当しております。
長期資金の調達手段の判断は、金利条件や市場環境に加え、直接、間接調達の比率、金融機関との取引状況等を総合的に判断し決定しております。
当社グループは、常に健全な財務状態を目指しており、今後の成長に必要な資金についても、営業活動によるキャッシュ・フローおよび、金融機関、債券・資本市場より調達することが可能であると考えております。