有価証券報告書-第38期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/29 13:06
【資料】
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【項目】
132項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、エレクトロニクス産業に限らず、ものづくりにおける要素技術を拡充し、高品質の製品を国際競争力のある価格で世界に送り出すグローバル製造業を目指しております。
企業活動のあらゆる面で環境保全活動を積極的に推進すると共に、株主の皆様にとって「成長する楽しみが持てる企業」であり続けることに努めております。
コア技術である熱電素子や半導体用マテリアル製品などの生産技術の開発に注力し、世界での市場シェアを高め、安定的な収益体質の企業集団を形成することを経営の基本方針としております。
(2)経営戦略等
エレクトロニクス産業は、高度情報化の進展や新興国の経済発展に伴い、今後も市場規模の拡大が期待されますが、同時に技術革新のスピードが早く、極めて国際競争の激しい市場です。このような環境の中で当社グループが安定的に成長するためには、既存分野の拡大とともに新たな業種分野で製品育成を遂行する必要があります。
中期的な会社の経営戦略の具体的な項目は、以下の通りです。
①半導体分野では、顧客からの増産要請が強いマテリアル製品に関し、製造工程で使用されるセラミックス製品、石英製品の各製造工場を増設し、CVD-SⅰC製品の製造ラインの増設を予定しております。また、成長する中国半導体市場向けに8インチウエーハの2次ライン工場を新設する予定です。
また、デバイスメーカーが保有する製造装置の洗浄サービスを拡充し、中国で5拠点目の工場を新設します。パワー半導体分野ではロボット、工作機械、家電などのインバーターに使用されるIGBTパワー半導体用基板の生産増強を予定しております。
②エネルギー分野では、電気自動車やスマートフォン向けのリチウムイオン2次電池の充電・放電制御に熱電素子の応用製品を開発してまいります。また、排熱を再利用する発電システムの実用化にも取り組んでまいります。
③バイオメディカル分野では、熱電素子を利用したDNA増幅装置や血液分析器、再生医療装置などへ拡販してまいります。セラミックス製品は、遠隔手術支援ロボットの内視鏡に採用されており、国内の医療機関への導入が増えています。コア技術である磁性流体は、医薬品を体内で搬送するドラッグデリバリーの実用化に向け、顧客の満足する製品を提供してまいります。
④通信分野では、成長が見込める移動通信システムの通信機器、中継器、アンテナ内部の熱対策として熱電素子が採用されており、高速・大容量化・多数端末接続など第5世代通信の本格化を目前に需要拡大を見込んでいます。
⑤自動車分野では、プラグインハイブリッド車などのIGBTパワー半導体用基板の増産、熱電素子を採用した高級車向け温調シートのほか、EV車向けのサブエアコン、ヘッドアップ・ディスプレイやカップホルダーなど応用製品の開発に取り組んでまいります。
磁性流体はブレーキ、サスペンション、カーオーディオ向けの採用を広げてまいります。
⑥受託製造分野は、中国半導体市場の成長に対応し、当社グループの真空技術と精密メタル加工を組合せて、各種半導体製造装置メーカーからの受託製造を拡充してまいります。
⑦業務提携やM&Aを視野に入れ、新規事業への参入も重要と考えております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの中期経営目標として最終年度である平成31年3月期に連結売上高1,000億円、連結営業利益率10%を目指しております。
当社グループは、企業価値を図る客観的な経営指標として、株主資本利益率(ROE)及び1株当たり当期純利益(EPS)を採用しております。ROEは15%とし、EPSは150円を目指しております。
(4)経営環境
当社グループの属するエレクトロニクス産業では、半導体の設備投資が引続き見込まれます。新たにエッジコンピューティングと呼ばれる中間処理方式のサーバー用記憶媒体に利用されているD-RAMの需要が増加し、自動車搭載用のセンサーやパワー半導体なども需要が旺盛です。半導体の設備稼働率も高水準であり、消耗部材やスペアパーツの不足が予想されます。FPD業界では大型液晶パネルに続き有機ELパネルの設備稼働が本格化する見込みです。移動通信システム業界では、2020年の本格運用を目指して第5世代通信技術の統一協議が進んでおり、高速・大容量化・多数端末接続などの試験運用が開始されています。
当社グループの取扱う製品は、概ね堅調に推移するものと見込んであります。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
事業上及び財務上対処すべき課題は、安定的な収益力の確保と成長のための設備投資の継続にあります。
当社グループが属するエレクトロニクス産業では、半導体業界の需給逼迫に伴う設備投資意欲が依然強く、設備稼働率も上昇しており製品需要も高止まりの状況です。当社グループの課題は、適確にこれに対応することにあります。「顧客に満足を」の理念の下、顧客要求仕様の高品質な製品を指定期間で納められる生産体制の確立を実現するため、人材育成とコスト抑制ならびに中期的な生産設備の拡充が必要です。
今後の設備投資、運転資金等に必要な資金は、営業キャッシュ・フローから得られる資金のほか、金融機関等からの借入及びリース、投資先の中国市政府からの補助金などで賄う予定です。
事業運営面では、好調な半導体業界向けの半導体等装置関連事業に新たにFPD・半導体装置洗浄サービスを加えます。電子デバイス事業は、比較的景気に左右されにくい自動車、通信、家電、医療分野向けに製品を供給しておりますが、当社グループの安定的な成長を実現するために、今後、成長が見込める電気自動車産業向け製品の開発・販売に経営資源を投入してまいります。太陽電池関連事業は、構造改革を継続しており、不採算製品からの撤退に伴う生産設備、滞留在庫の処分等を実施してまいりましたが、さらに抜本的な事業改革を行う所存です。
技術面では、中国生産拠点における顧客認定を取得するため開発、設計、品質管理など人的支援を行い、知的財産に基づく技術開発、自動化などの生産技術を指導してまいります。
また、当社グループでは、業務の適正を確保する体制整備に努め、J-SOXに対応した内部統制システムの運営をグループ各社で実施しており、適正な財務諸表の作成を保証する体制の強化を目指し、適切な運営の実施と監査を継続的に行っております。
(6)株式会社の支配に関する基本方針について
該当事項はありません。