有価証券報告書-第33期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/28 9:47
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【項目】
124項目
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済政策により企業収益や雇用・所得環境の改善傾向が続き、景気は緩やかな回復基調にて推移いたしましたが、米中の貿易摩擦をめぐる緊張感の高まりや、北東アジアの地政学リスクなどの影響もあり、国内景気は依然不透明な状況で推移しました。
当社グループの事業とかかわりの深いパソコン及びデジタル機器業界におきましては、パソコンの国内市場やスマートフォン・タブレット端末市場においては市場が成熟化し、大きな成長が見込めない状況となっております。
このような環境の中、当社グループは、「“ライフスタイル・イノベーション”-ビジネスライフやホームライフにおいて、より快適で豊かな新しい価値を創造し、お客様に喜びを届ける」というスローガンを掲げ、それを実現するべく従来のパソコン・デジタル関連製品にエンベデッド、ヘルスケア・医療、VRなどの新領域の製品を拡充し、営業・調達・物流が一体となって迅速に市場に製品を供給できる体制を整え、暮らしのITから社会インフラまで幅広いソリューションを提供することに取り組みました。
これらの結果、売上高は93,546百万円(前連結会計年度比14.3%増)となり、8期連続で過去最高売上高を更新しました。また利益面においては、営業利益は10,193百万円(前連結会計年度比1.6%増)、経常利益は9,808百万円(前連結会計年度比10.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は7,224百万円(前連結会計年度比13.9%増)となり、各段階利益とも過去最高利益を更新しました。
品目別の概況は、次のとおりであります。なお、当社グループはパソコン及びデジタル機器関連製品の開発・製造・販売の単一セグメントであるため、商品区分である品目別で概況を記載しております。また、DXアンテナ株式会社の連結子会社化に伴い、TV・AV関連の重要性が増すため、平成30年3月期より新たに「TV・AV関連」を追加しております。
(パソコン関連)
パソコン需要が低迷する中でインク関連やキーボードなどが順調に販売を伸ばした結果、パソコン関連に係る当連結会計年度の売上高は、24,063百万円(前連結会計年度比1.6%増)となりました。
(スマートフォン・タブレット関連)
iPhoneⅩやiPhone8関連製品を発売し一定の需要を確保したものの、OEM供給を戦略的に縮小した影響で、スマートフォン・タブレット関連に係る当連結会計年度の売上高は、18,551百万円(前連結会計年度比10.5%減)となりました。
(TV・AV関連)
平成29年3月30日に連結子会社化したDXアンテナ株式会社が売上高の拡大に寄与し、TV・AV関連に係る当連結会計年度の売上高は、18,070百万円(前連結会計年度比185.5%増)となりました。
(周辺機器)
ネットワーク関連製品が順調に販売を伸ばしたほか、DXアンテナ関連製品が寄与し、周辺機器に係る当連結会計年度の売上高は、26,521百万円(前連結会計年度比0.9%増)となりました。
(その他)
エンベデッド関連製品やヘルスケア関連製品が順調に販売を伸ばしたことから、その他に係る当連結会計年度の売上高は、6,339百万円(前連結会計年度比31.6%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高(以下「資金」という)は、営業活動の結果増加した資金が8,212百万円、投資活動の結果減少した資金が2,686百万円、財務活動の結果減少した資金が2,834百万円あったこと等により、前連結会計年度末に比べ2,613百万円増加し24,432百万円となりました。
当連結会計年度中における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は8,212百万円(前連結会計年度は9,090百万円の資金の増加)となりました。主な要因は、法人税等の支払額2,654百万円、棚卸資産の増加額636百万円があった一方で、税金等調整前当期純利益を10,528百万円計上し、減価償却費2,015百万円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は2,686百万円(前連結会計年度は4,559百万円の資金の減少)となりました。主な要因は、有形固定資産の売却による収入1,372百万円、有価証券の償還による収入936百万円があった一方で、有価証券の取得による支出2,122百万円、事業譲受による支出1,080百万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は2,834百万円(前連結会計年度は6,935百万円の資金の増加)となりました。主な要因は、配当金の支払額1,853百万円、関係会社株式の取得による支出432百万円があったことによるものです。
③生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目の名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
パソコン関連 (千円)457,253△4.4
スマートフォン・タブレット関連 (千円)2,687,318△0.2
TV・AV関連 (千円)5,743,575893.7
周辺機器 (千円)7,371,9035.8
その他 (千円)2,212,99123.3
合 計 (千円)18,473,04247.6

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.DXアンテナ株式会社の連結子会社化に伴い、TV・AV関連の重要性が増したため、平成30年3月期より新たに「TV・AV関連」を追加しております。
3.TV・AV関連の増加は平成29年3月30日にDXアンテナ株式会社を連結子会社化したことによるものです。
b.製品・商品仕入実績
当連結会計年度の製品・商品仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目の名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
パソコン関連 (千円)14,000,7669.3
スマートフォン・タブレット関連 (千円)8,132,793△15.9
TV・AV関連 (千円)5,827,60858.5
周辺機器 (千円)12,298,755△13.4
その他 (千円)2,235,4898.9
合 計 (千円)42,495,4130.2

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.DXアンテナ株式会社の連結子会社化に伴い、TV・AV関連の重要性が増したため、平成30年3月期より新たに「TV・AV関連」を追加しております。
3.TV・AV関連の増加は平成29年3月30日にDXアンテナ株式会社を連結子会社化したことによるものです。
c.受注状況
当社グループは、見込生産・仕入を主体としており、総販売高に占める受注生産・仕入の割合は極めて僅少のため、受注状況の記載を省略しております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目の名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
パソコン関連 (千円)24,063,7441.6
スマートフォン・タブレット関連 (千円)18,551,132△10.5
TV・AV関連 (千円)18,070,351185.5
周辺機器 (千円)26,521,4460.9
その他 (千円)6,339,46731.6
合 計 (千円)93,546,14314.3

(注)1.DXアンテナ株式会社の連結子会社化に伴い、TV・AV関連の重要性が増したため、平成30年3月期より新たに「TV・AV関連」を追加しております。
2.TV・AV関連の増加は平成29年3月30日にDXアンテナ株式会社を連結子会社化したことによるものです。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
㈱ヤマダ電機13,776,82816.812,374,06513.2

4.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①経営成績等の状況に関する認識及び検討内容
当社グループはパソコン及びデジタル機器関連製品を事業領域としておりますが、これら製品に関わる分野は技術革新の進歩が早く、商品サイクルが非常に短い傾向にあります。また、競合他社との競争環境も厳しく、原材料価格の高騰等により仕入価格が上昇した場合であっても、販売価格に転嫁することが困難な可能性があります。当社グループは継続的な新製品開発と調達コストの削減に取組んでおりますが、関連分野製品の新製品開発の遅れ、為替相場の変動、原油価格や原材料価格の動向等による売上原価の上昇が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループと致しましては基幹事業分野の開発人材の採用による開発力の強化及び継続的な調達コストの削減に取り組み、当社グループの永続的な発展を図ってまいります。
②重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。
③財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は58,777百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,653百万円増加しました。これは主に現金及び預金が2,613百万円増加、有価証券が912百万円増加したことによるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は10,133百万円となり、前連結会計年度末に比べ325百万円減少しました。これは主にディー・クルー・テクノロジーズ株式会社の事業譲受に伴いのれんが498百万円増加した一方で、DXアンテナ株式会社が保有する土地が437百万円、投資不動産が344百万円それぞれ減少したことによるものです。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は23,387百万円となり、前連結会計年度末に比べ312百万円増加しました。これは主に売上値引等引当金が527百万円、未払消費税等が489百万円減少した一方で、為替予約が934百万円、未払法人税等が622百万円増加したことによるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は11,179百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,243百万円減少しました。これは主に転換社債型新株予約権付社債が514百万円、長期未払金が291百万円減少したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の部の残高は34,343百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,259百万円増加しました。これは主に繰延ヘッジ損益の減少によりその他の包括利益累計額が383百万円減少した一方で、利益剰余金の増加により株主資本が6,116百万円増加したことによるものです。
④経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比14.3%増の93,546百万円となりました。これは主に、DXアンテナ株式会社製品を中心とした受信関連・映像関連製品や、ヘルスケア製品、VR関連製品等の個人向け製品が順調に販売を伸ばしたことによるものです。
(売上原価)
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度比11.7%増の60,368百万円となりました。これは主にDXアンテナ株式会社を新規に連結子会社化したことによるものです。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比29.4%増の22,984百万円となりました。これは主にDXアンテナ株式会社を新規に連結子会社化したことによるものです。
(営業外収益)
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度比660.2%増の473百万円となりました。これは主に為替差益を256百万円計上したことによるものです。
(営業外費用)
当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度比30.1%減の857百万円となりました。これは主に前期は為替差損を461百万円計上しましたが、当期は計上しなかったことによるものです。
(特別利益)
当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度比90.0%増の798百万円となりました。これは主に固定資産売却益を494百万円計上したことによるものです。
(特別損失)
当連結会計年度の特別損失は、前連結会計年度比114.2%増の78百万円となりました。これは主に投資有価証券評価損を32百万円計上したことによるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比13.9%増の7,224百万円となりました。これは主に前述の為替差益および固定資産売却益によるものです。
⑤ キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析に関する情報ついては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動における運転資金の主なものはパソコン及びデジタル機器関連製品に関わる仕入代金及び販売費及び一般管理費があります。また、設備投資需要としては新製品の金型投資や情報処理のための無形固定資産投資等があります。
当社グループはそれらの資金需要に対応するため、内部留保を蓄積することで流動性を確保することとしております。また、重要な資本的支出やM&A等により多額の資金需要が生じた場合の財源としては、金融機関からの借入や新株及び社債の発行等により資金の調達を行うこととしております。