有価証券報告書-第120期(2023/04/01-2024/03/31)
3.重要性がある会計方針
(1)連結の基礎
①子会社
トヨタの連結財務諸表は、当社および当社が支配する子会社を含んでいます。子会社には、当社または他の子会社が支配するストラクチャード・エンティティも含まれています。
トヨタは、トヨタがある企業への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャーまたは権利を有し、かつ、当該企業に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合に、当該企業を支配していると判断しています。
連結子会社が適用する会計方針がトヨタの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社の財務諸表に調整を加えています。連結会社間の重要な債権債務残高および内部取引高、ならびに連結会社間の取引から発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しています。
連結子会社持分を一部処分した際、支配が継続する場合には、資本取引として会計処理しています。支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得または損失を純損益として認識しています。
②関連会社および共同支配企業
関連会社とは、トヨタが当該企業に対し、財務および営業の方針に重要な影響力を有しているものの、支配または共同支配をしていない企業をいいます。
共同支配企業とは、契約上の取決めによりトヨタを含む複数の当事者が共同して支配をしており、その活動に関連する財務上および経営上の決定に際して、支配を共有する当事者の一致した合意を必要とする企業をいいます。
関連会社および共同支配企業への投資は、持分法によって会計処理しています。関連会社または共同支配企業が適用する会計方針がトヨタの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該関連会社または共同支配企業の財務諸表に調整を加えています。
関連会社または共同支配企業に該当しなくなり、持分法の適用を中止した場合には、持分法の適用を中止したことから生じた利得または損失を純損益として認識しています。
(2)外貨換算
①外貨建取引
外貨建取引は、取引日の為替レートでトヨタの機能通貨に換算しています。期末における外貨建貨幣性資産および負債は、報告期間の期末日の為替レートでトヨタの機能通貨に換算しています。公正価値で測定する外貨建非貨幣性資産および負債は、当該公正価値の算定日における為替レートで機能通貨に換算しています。その結果生じる為替差損益は純損益として計上しています。なお、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される資本性金融資産から生じる換算差額については、その他の包括利益として認識しています。
②在外営業活動体
在外の連結子会社、関連会社および共同支配企業(以下、在外営業活動体という。)の資産および負債については報告期間の期末日の為替レート、収益および費用については、為替レートが著しく変動している場合を除き、期中平均為替レートを用いて円貨に換算しています。その結果生じた換算差額は、その他の包括利益として認識し、連結財政状態計算書のその他の資本の構成要素に含めています。在外営業活動体の換算差額の累積額は、在外営業活動体を処分し、支配、重要な影響力または共同支配企業の取決めを喪失した期間に純損益として認識しています。
(3)現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金および容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されています。
(4)金融商品
①金融資産
(ⅰ)当初認識および測定
トヨタは、金融資産について契約の当事者となった時点で当初認識し、デリバティブ以外について、償却原価で測定する金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性および資本性金融資産、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。なお、金融資産の通常の方法による売買は、約定日において認識または認識の中止を行っています。
純損益を通じて公正価値で測定する区分に分類される金融資産は公正価値で測定していますが、それ以外の金融資産は取得に直接起因する取引コストを公正価値に加算した金額で測定し、当初に認識しています。重要な金融要素を含んでいない営業債権は、取引価格で測定しています。
(a)償却原価で測定する金融資産
以下の要件をともに満たす場合には、償却原価で測定する金融資産に分類しています。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、金融資産が保有されていること。
・金融資産の契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払いのみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる取引。
(b)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産
以下の要件をともに満たす場合には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に分類しています。
・契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方の目的で金融資産を管理する事業モデルに基づいて、金融資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払いのみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
(c)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産
投資先との取引関係の維持または強化を主な目的として保有する株式などの資本性金融資産については、当初認識時にその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定し、当該指定を継続的に適用しています。
(d)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
(a)~(c)以外の金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。
(ⅱ)事後測定
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて次のとおり測定しています。
(a)償却原価で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産については、実効金利法による償却原価により測定しています。
(b)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産
当該金融資産の公正価値の事後的な変動額はその他の包括利益として認識しています。減損に係る利得または損失、利息収益、および為替差損益は純損益として認識しています。当該金融資産の認識を中止した場合は、その他の包括利益を通じて認識された利得または損失の累計額をその他の資本の構成要素から純損益に組替調整しています。
(c)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産
当該金融資産の公正価値の事後的な変動額はその他の包括利益として認識しています。当該金融資産の認識を中止した場合は、その他の包括利益を通じて認識された利得または損失の累計額をその他の資本の構成要素から利益剰余金に振り替えています。
なお、当該金融資産からの配当金については、純損益として認識しています。
(d)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
当該金融資産の公正価値の事後的な変動額は、純損益として認識しています。
(ⅲ)金融資産の減損
償却原価で測定する金融資産およびその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産の予想信用損失について、金融損失引当金を計上しています。オフバランスの信用エクスポージャーであるローン・コミットメントおよび金融保証契約について、予想信用損失に対する金融損失引当金を認識しています。
金融損失引当金は、報告期間末日ごとに金融資産に係る信用リスクが当初認識時点以降に著しく増大しているかどうかの評価に基づき測定しています。報告期間末日において、ある金融商品に関する信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、金融損失引当金は、当該金融商品の存続期間にわたって発生する可能性のあるすべての債務不履行事象から生じる予想信用損失(全期間の予想信用損失)に等しい金額で測定しています。
報告期間末日において、ある金融商品に関する信用リスクが当初認識以降に著しくは増大していない場合には、金融損失引当金は、報告期間末日から12ヶ月以内に発生する可能性のある債務不履行事象によって生じる予想信用損失(12ヶ月の予想信用損失)に等しい金額で測定しています。
ただし、「営業債権及びその他の債権」に含まれる営業債権およびファイナンス・リース債権については、常に全期間の予想信用損失を引当金として認識しています。
予想信用損失の金額は、トヨタに支払われるべき契約上のキャッシュ・フローの総額と、トヨタが受け取ると見積もられる将来キャッシュ・フローとの差額の現在価値として測定し、純損益として認識しています。金融損失引当金を減額する場合における戻入額は純損益として認識しています。
なお、債務者の財務状況の著しい悪化、債務者による債務不履行または延滞等の契約違反等、金融資産が信用減損している証拠がある場合、金融損失引当金を控除後の帳簿価額の純額に対して、実効金利法を適用し利息収益を測定しています。金融資産の全体または一部分を回収するという合理的な予想を有していない場合は、当該金額を金融資産の帳簿価額から直接減額しています。
(ⅳ)金融資産の認識の中止
トヨタは、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅する、またはトヨタが金融資産の所有のリスクと経済価値のほとんどすべてを移転する場合において、金融資産の認識を中止しています。トヨタは、金融資産を譲渡した場合でも、実質的にそのリスクと経済価値のほとんどすべてを移転したわけでもなく、また、そのほとんどすべてを保持してもいない状況において、当該譲渡金融資産に対する支配を継続している場合には、その金融資産に対する留保持分および関連して支払う可能性がある負債を認識しています。
②金融負債
(ⅰ)当初認識および測定
トヨタは、デリバティブ以外の金融負債について、当初認識時に公正価値から発行に直接起因する取引コストを控除した金額で測定しています。
(ⅱ)事後測定
当初認識後については、実効金利法による償却原価で測定しています。実効金利法による償却ならびに認識が中止された場合の利得および損失については、金融収益または費用の一部として、純損益に認識しています。
(ⅲ)金融負債の認識の中止
トヨタは、金融負債が消滅したとき、すなわち、契約において特定された債務が履行による消滅、免責、取消し、または失効したときに、金融負債の認識を中止しています。
③デリバティブ金融商品
トヨタは、金利および為替の変動によるリスクを管理するために、先物為替予約取引、通貨オプション取引、金利スワップ取引、金利通貨スワップ取引および金利オプション取引を含むデリバティブ金融商品を利用しており、すべてのデリバティブ取引を公正価値で資産または負債として計上しています。
トヨタはデリバティブ金融商品を投機もしくは売買目的で使用していません。
(5)金融事業に係る債権
金融事業に係る債権(以下、金融債権という。)は、連結財政状態計算書において、未稼得金融収益、繰延融資初期費用および金融損失引当金を加味した純額で表示しています。なお、繰延融資初期費用は契約期間にわたり利益率が一定となるように償却しています。
金融債権のポートフォリオは主にトヨタの事業の性質と金融債権の特性を質的側面から考慮して決定しており、以下の3つに分類しています。
①小売債権ポートフォリオ
小売債権ポートフォリオは、主にディーラーから取得した車両販売の割賦債権(以下、自動車割賦債権という。)により構成され、クレジット・カード債権を含んでいます。これらの債権は、取得時に所定の信用基準を満たさなければなりません。また、取得後、トヨタは割賦代金の回収および契約の管理について責任を有します。
自動車割賦債権の契約期間は主に2年から7年です。トヨタは、融資対象となった車両に対する担保権を取得し、顧客が債務不履行に陥った場合、担保権を実行できます。ほとんどすべての自動車割賦債権に遡求権はなく、担保権を実行した場合にもディーラーは債務履行責任を負うことはありません。
金融債権に内在する一般的なリスク特性や信用リスクの類似性を基礎としながら、金額的重要性を考慮して、小売債権ポートフォリオを信用リスク管理の実務上、1つのポートフォリオとして管理しています。
②ファイナンス・リース債権ポートフォリオ
ファイナンス・リース債権は、新車のリース契約に係る債権です。リース契約の期間は主に2年から5年です。当該債権は、取得時に所定の信用基準を満たさなければならず、取得後、トヨタはリース車両の所有権を引き受けます。また、トヨタはリース料金の回収および契約の管理について責任を有します。
トヨタは、リース契約者が債務不履行に陥った場合、通常、当該車両を占有することが認められます。残存価額は車両が新規にリースされた時点で評価され、リース終了時にトヨタに返却された車両はオークションにて売却されます。
金融債権に内在する一般的なリスク特性や信用リスクの類似性を基礎として、ファイナンス・リース債権ポートフォリオを信用リスク管理の実務上、1つのポートフォリオとして管理しています。
③卸売債権およびその他のディーラー貸付金ポートフォリオ
トヨタは、適性を満たしたディーラーに対して、在庫購入のための融資を行っています。トヨタは、融資対象となった車両に対する担保権を取得し、さらに必要がある場合、ディーラーの資産または経営者の個人資産あるいはその両方に担保権を設定します。ディーラーが債務不履行に陥った場合、トヨタは取得した資産を処分する権利を有します。
また、トヨタは、ディーラーに対して事業買収、設備の改修、不動産購入および運転資金のための期限付融資も行っています。当該融資は、通常、不動産への担保権、その他のディーラーの資産または経営者の個人資産により保全されています。
金融債権に内在するリスク特性を基礎として、卸売債権およびその他のディーラー貸付金ポートフォリオを信用リスク管理の実務上、1つのポートフォリオとして管理しています。
(6)金融事業に係る金融損失引当金
金融債権に対する予想損失は、信用リスク評価プロセスの一環として行われている体系的かつ継続的なレビューおよび評価、過去の損失の実績、ポートフォリオの規模および構成、現在の経済的な事象および状況、担保物の見積公正価値およびその十分性、経済状況の動向などの将来予測情報、ならびにその他の関連する要因に基づき、ポートフォリオ別に測定しています。なお、集合的に予想信用損失を算定する場合、商品の種類、担保の種類など、共通のリスク特性に基づいてポートフォリオをグルーピングしています。
①小売債権ポートフォリオ
小売債権については、債務不履行となる確率の変化や延滞日数を指標として当該金融債権の信用リスクが著しく増大したか否かを判定しています。30日超期日経過の場合には、その信用リスクは著しく増大したものとみなしています。期末日時点で、貸付金に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、12ヶ月の予想信用損失を見積もって当該金融債権に係る金融損失引当金の額を算定しています。
一方、期末日時点で、信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合は、その金融債権の回収に係る全期間の予想信用損失を見積もって当該金融債権に係る金融損失引当金の額を算定しています。債務者による債務不履行または延滞等の契約違反等、金融債権が信用減損している証拠がある場合に信用減損していると判断し、過去の貸倒実績や将来の回収可能価額などをもとに、その金融債権の回収に係る全期間の予想信用損失を見積もって当該金融債権に係る金融損失引当金の額を算定しています。
予想信用損失の算定にあたっては、過去の実績に基づく債務不履行の確率と債務不履行時損失率をもとに、現在および将来の経済状況の予測を反映させています。
内部管理規程に基づき、相当期間の延滞、もしくは、顧客が契約上の義務を期日に履行できないことが明らかになった場合に、債務不履行と判断しています。
②ファイナンス・リース債権ポートフォリオ
ファイナンス・リース債権ポートフォリオについては、常に全期間の予想信用損失をもって金融損失引当金の額を算定しています。内部管理規程に基づき、相当期間の延滞、もしくは、顧客が契約上の義務を期日に履行できないことが明らかになった場合に、債務不履行と判断しています。
③卸売債権およびその他のディーラー貸付金ポートフォリオ
卸売債権およびその他のディーラー貸付金ポートフォリオについては、内部におけるリスク評価を基礎として信用状況別に債権を区分しています。この区分の変化を指標として、金融債権の信用リスクが当初認識以降に著しく増大したか否かを判定しています。なお、30日超期日経過の場合には、その信用リスクは著しく増大したものとみなしています。期末日時点で、信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、12ヶ月の予想信用損失を見積もって当該金融債権に係る金融損失引当金の額を算定しています。
一方、期末日時点で、信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合は、その金融債権の回収に係る全期間の予想信用損失を見積もって当該金融債権に係る金融損失引当金の額を算定しています。債務者の財務状況の著しい悪化、債務者による債務不履行または延滞等の契約違反等、金融債権が信用減損している証拠がある場合に信用減損していると判断し、過去の貸倒実績や将来の回収可能価額などをもとに、その金融債権の回収に係る全期間の予想信用損失を個別に見積もって当該金融債権に係る金融損失引当金の額を算定しています。
予想信用損失の算定にあたっては、過去の実績に基づく債務不履行の確率と債務不履行時損失率をもとに、現在および将来の経済状況の予測を反映させています。
内部管理規程に基づき、相当期間の延滞、もしくは、顧客が契約上の義務を期日に履行できないことが明らかになった場合に、債務不履行と判断しています。
トヨタは、現在入手可能な情報に基づき、金融損失引当金は十分であると考えていますが、(ⅰ)資産の減損に関する見積りまたは仮定の変更、(ⅱ)将来の期待キャッシュ・フローの変化を示す情報の入手、または(ⅲ)経済およびその他の事象または状況の変化により、追加の引当金が必要となってくる可能性があります。中古車価値の実績値および推定値の低下とともに、金利の上昇、失業率の上昇および負債残高の増加といった消費者に影響を与える将来的な経済の変化が生じた場合、将来の金融事業の業績に悪影響を与える可能性があります。
(7)棚卸資産
棚卸資産は正味実現可能価額を超えない範囲において、取得原価で評価しています。正味実現可能価額は、通常の事業過程における見積売価から、完成までに要する見積原価および見積販売費用を控除した額です。取得原価は、主として総平均法に基づいて算定しており、購入原価、加工費および、現在の場所および状態に至るまでに要したすべての費用を含んでいます。
(8)有形固定資産
有形固定資産は、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した額で表示しています。重要な更新および改良のための支出は資産計上しており、少額の取替、維持および修理のための支出は発生時の費用として認識しています。有形固定資産の減価償却は、当該資産の区分、構造および用途等により見積もられた耐用年数に基づき、定額法で計算しています。見積耐用年数は、建物については2年から65年を、機械装置については2年から20年を使用しています。
なお、見積耐用年数、残存価額および減価償却方法は、各連結会計年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用します。
賃貸用車両及び器具は第三者に対する賃貸であり、販売代理店が賃貸を開始して特定の連結子会社が取得したものです。そうした子会社は、各社が直接取得した資産についても賃貸を行っています。賃貸用車両及び器具は見積残存価額まで、主として2年から5年のリース期間にわたり定額法で償却しています。賃貸契約の取得に際して直接発生した費用は資産計上し、リース期間にわたり定額法で償却しています。
トヨタは、リース期間の終了したリース資産の売却収入が、リース期間の終了時における当該資産の帳簿価額を下回るために、その売却時に損失が生じるというリスクにさらされています。トヨタは保有しているポートフォリオの未保証残存価値に関し予想される損失に備えるため、報告期間の期末日ごとに見積残存価額を見直しています。見積残存価額の見直しは、見積車両返却率および見積損失の程度を考慮して行っています。見積車両返却率および見積損失の程度を決定する際の考慮要因には、中古車販売に関する過去の情報や市場情報、リース車両返却の趨勢や新車市場の趨勢、および一般的な経済情勢が含まれています。トヨタはこれらの要因を評価し、いくつかの潜在的な損失のシナリオを想定したうえで、見積残存価額の見直しが予想される損失を補うに十分であるかを判断するため、見直した見積残存価額の妥当性を検討しています。
トヨタは保有しているポートフォリオに関して予想される損失に対して十分な金額を、見積残存価額の見直しを行うことで減価償却費に反映しています。
(9)無形資産
無形資産は、原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額および減損損失累計額を控除した額で表示しています。
見積耐用年数および償却方法は、各連結会計年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用します。
①開発資産
開発活動における支出については、その開発を完成させる技術上の実行可能性に加えて、その成果を使用または売却する意図・能力およびそのための財務その他の資源を十分に有し、かつ将来において経済的便益を得られる可能性が高く、信頼性をもってその支出を測定可能な場合に、無形資産として認識しています。
開発資産の取得原価は、主に5年から10年にわたり定額法で償却しています。
②その他の無形資産
その他の無形資産は主としてソフトウェアであり、定額法により償却しています。その見積耐用年数は主として5年です。のれんはトヨタの連結財政状態計算書に対して重要ではありません。
(10)非金融資産の減損
棚卸資産および繰延税金資産を除く非金融資産については、各報告期間の期末日において、資産が減損している可能性を示す兆候の有無を評価しています。その帳簿価額の回収可能性について疑義を生じさせる事象または状況変化がある場合に減損の判定を行っています。帳簿価額が非金融資産の使用および最後の処分から得られる割引後の見積キャッシュ・フローを超えている場合に、減損を計上しています。計上する減損の金額は、帳簿価額が回収可能価額を超過する場合のその超過額です。
(11)リース
トヨタは、契約の締結時に契約がリースであるか、またはリースを含んでいるかを判定しています。
①借手
借手のリース取引は、リースの開始日に使用権資産とリース負債を認識します。使用権資産は、リース負債の当初測定額に前払リース料等を調整した取得原価で当初測定しています。リース負債は、開始日時点で支払われていないリース料の割引現在価値で当初測定しています。
使用権資産は原価モデルを採用し、リースの開始日から、耐用年数またはリース期間のいずれか短い期間にわたって、定額法で償却しています。リース負債は実効金利法による償却原価で測定しています。リース負債は連結財政状態計算書において、有利子負債に含めて表示しています。利息費用は、各期間においてリース負債残高に対して一定の利子率となるように、リース期間にわたって純損益として認識しています。
トヨタが締結する土地、建物にかかるリース契約の多くには、事業上の柔軟性を確保するため等の様々な目的で、借手であるトヨタが行使可能である延長オプションが付されています。トヨタは延長オプションを行使することが合理的に確実であるかどうかを評価し、合理的に確実であると評価した場合には延長オプション期間をリース期間に含めています。
リース期間が12ヶ月以内の短期リースは、リース料をリース期間にわたって、定額法により純損益として認識しています。
②貸手
貸手のリース取引は、契約時にリースをファイナンス・リースまたはオペレーティング・リースに分類します。
ファイナンス・リースは、原資産の所有に伴うリスクと経済価値のほとんどすべてが移転するリース取引であり、オペレーティング・リースはそれ以外のリース取引です。
オペレーティング・リースのリース料は、リース期間にわたって、定額法により純損益として認識しています。
(12)退職後給付
トヨタは、従業員の退職給付に関して確定給付制度および確定拠出制度の双方を有しています。
①確定給付制度
確定給付制度債務の現在価値および勤務費用を予測単位積増方式により算定しています。確定給付負債(資産)の純額は、確定給付制度債務の現在価値から、制度資産の公正価値を控除して算定しています。制度資産の公正価値が確定給付制度の現在価値を超過している場合、資産計上額は、利用可能な制度からの返還および将来掛金の減額の現在価値を上限としています。当期勤務費用および確定給付負債(資産)の純額に係る利息純額は純損益として認識しています。
過去勤務費用は、発生時に純損益として認識しています。
数理計算上の差異を含む、確定給付負債(資産)の純額の再測定は、発生時にその他の包括利益として認識しており、発生した連結会計年度において利益剰余金に振り替えています。
②確定拠出制度
確定拠出制度の拠出は、従業員がサービスを提供した時点で純損益として認識しています。
(13)品質保証に係る負債
トヨタは通常、製品の製造過程およびその他の理由による製品の欠陥に対して保証を行っています。製品保証規定は、期間および使用方法あるいはそのいずれかに対応して決めており、製品の特性、販売地域およびその他の要因によって異なります。トヨタは製品販売時点において、当該製品の保証期間中に発生が予想される製品部品の修理または取替に係る見積製品保証費用を製品保証に係る負債として計上しています。製品保証に係る負債の金額は、保証期間内に不具合が発生した部品を修理または交換する際に発生する費用の総額を、販売時に最善の見積りに基づき計上するものであり、修理費用に関する現在入手可能な情報はもとより、製品の不具合に関する過去の経験を基礎として金額を見積もっています。各連結会計年度の見積製品保証費用額の計算は、1台当たりの製品保証費用見積額を基礎としています。1台当たりの製品保証費用見積額の計算にあたっては、過去の製品保証費用実払額を当該年度の販売台数で除して包括的に算定しています。
また、上記の製品保証に係る負債に加えて、製品のリコール等による市場処置費用をリコール等の市場処置に係る負債として見積計上しています。リコール等の市場処置に係る負債の金額は、基本的に、ある一定期間に販売された様々なモデル全体を、地域ごとに区分して、製品販売時点において包括的に算定しています。しかしながら、状況によっては、特定の製品のリコール等の市場処置に係る負債について、それらの支出が発生する可能性が高く、かつ合理的に見積もることができる場合に、個別に見積もる方法で算定しています。連結財政状態計算書上に計上されるリコール等の市場処置に係る負債のうち、包括的に計上される部分は、「リコール実払い累計額」を考慮して「リコールの支払い見込み総額」を基に算出します。当該負債は期間ごとに新しいデータに基づき評価され、適切な金額に調整されています。また、これらの負債は販売期間ごとに10年間に分けて管理しています。「リコールの支払い見込み総額」は、数量<販売台数>に単価<台当たり市場処置額>を乗じて算出しています。台当たり市場処置額は、「台当たりリコール実払い累計額」を「過去の費用の発生パターン」で除して算出しています。「過去の費用の発生パターン」は、車両販売後10年間に発生したリコール支払い発生状況を表しています。販売時の包括的な見積り金額と、個々のリコールに対する実際の支払い金額との差の要因としては、台当たり平均修理費用と実際の修理費用(主に部品代と労務費)とに差が生じる場合および、過去の費用の発生パターンと実際に差が生じる場合などがあり、将来のリコール等の市場処置費用の見積りの中で調整されていきます。
連結財政状態計算書上は、上記の製品保証に係る負債とリコール等の市場処置に係る負債を合算して、品質保証に係る負債として表示しています。また、連結損益計算書上は、製品保証費用およびリコール等の市場処置費用は売上原価の構成要素として表示しています。品質保証に係る負債の計算には、上記のとおり重要な見積りが必要となることから、この計算は本質的に不確実性を内包しています。したがって、実際の品質保証費用は見積りと異なることがあり、品質保証に係る負債を追加計上する必要が生じる可能性があります。
(14)収益認識
自動車事業では、完成車両および部品は、原則として販売代理店に対して販売代理店と合意した場所において製品を引き渡した時点で、生産用部品は、原則として製造会社に対して製品を船積みもしくは引き渡した時点で、履行義務を充足したと判断しています。対価については、販売時点またはその直後に支払いを受けており、重要な支払条件はありません。
トヨタの販売奨励プログラムは、主に、販売代理店が特定期間に販売した車両総台数もしくは特定のモデルの販売台数に基づいて算定される販売代理店への現金支払の形態をとっています。トヨタは、プログラムで定める車両の販売時に、最頻値法を用いて、これらの販売奨励金をプログラムで定める金額だけ営業収益から控除しています。
特定の完成車両の販売には、顧客が無償メンテナンスを受ける契約上の権利が含まれています。当該履行義務の独立販売価格は、観察可能な価格を用いて、それが利用可能でない場合は予想コストにマージンを加算するアプローチを用いて算定しています。この無償メンテナンス契約による収益は繰り延べられ、契約に基づく履行義務を充足する際に発生する費用に応じて、契約期間にわたり収益として認識されます。
車両の最低再販売価額をトヨタが条件付きで保証する場合の収益は、リース会計の方法により売上の日から保証の最初の実行日までの間に期間配分して計上しています。これらの取引の対象になっている車両は資産として計上し、トヨタの減価償却方針に従い償却しています。
金融事業における利息収益は、実効金利法に基づき認識しています。
オペレーティング・リースの収益は、リース期間にわたり均等に計上しています。
なお、履行義務の充足時点と対価の受領時点との間が1年以内と見込まれる場合、実務上の簡便法を採用しており、重大な金融要素の調整は行っていません。
また、営業収益は、通常顧客から徴収し政府機関へ納付される税金が控除された後の純額で計上しています。
(15)法人所得税
法人所得税は、当期税金と繰延税金から構成されています。
資産と負債の帳簿価額と税務基準額との間の一時差異、税務上の繰越欠損金および繰越税額控除に対して将来の期に課されるまたは回収される税額について、繰延税金資産および繰延税金負債を認識しています。
繰延税金資産は、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金および繰越税額控除について、将来それらを利用できる課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で認識しています。
子会社、関連会社および共同支配企業に対する投資に関連する将来加算一時差異については、原則として繰延税金負債を認識しますが、トヨタが一時差異を解消する時期をコントロールでき、かつ予測可能な将来にその差異が解消されない可能性が高い場合には、繰延税金負債を認識していません。
繰延税金資産および繰延税金負債は、報告期間の期末日に制定または実質的に制定されている税率および税法に基づいて、資産が実現する期間または負債が決済される期間に適用されると予測される税率で測定しています。繰延税金資産および繰延税金負債の測定に当たっては、報告期間の期末日においてトヨタが意図する資産および負債の帳簿価額の回収または決済の方法から生じる税務上の帰結を反映しています。
(16)1株当たり利益
基本的1株当たり親会社の所有者に帰属する当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を調整した加重平均普通株式数で除すことにより計算しています。希薄化後1株当たり親会社の所有者に帰属する当期利益は、希薄化株式の影響を考慮し、親会社の所有者に帰属する当期利益および加重平均普通株式数を調整することにより計算しています。
(17)未適用の公表済み基準書及び解釈指針
連結財務諸表の承認日までに新設または改訂が公表された基準書及び新解釈指針のうち、当連結会計年度においてトヨタが適用していない主なものは、以下のとおりです。適用によるトヨタの連結財務諸表への影響は検討中であり、現時点で見積もることはできません。
(1)連結の基礎
①子会社
トヨタの連結財務諸表は、当社および当社が支配する子会社を含んでいます。子会社には、当社または他の子会社が支配するストラクチャード・エンティティも含まれています。
トヨタは、トヨタがある企業への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャーまたは権利を有し、かつ、当該企業に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合に、当該企業を支配していると判断しています。
連結子会社が適用する会計方針がトヨタの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社の財務諸表に調整を加えています。連結会社間の重要な債権債務残高および内部取引高、ならびに連結会社間の取引から発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しています。
連結子会社持分を一部処分した際、支配が継続する場合には、資本取引として会計処理しています。支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得または損失を純損益として認識しています。
②関連会社および共同支配企業
関連会社とは、トヨタが当該企業に対し、財務および営業の方針に重要な影響力を有しているものの、支配または共同支配をしていない企業をいいます。
共同支配企業とは、契約上の取決めによりトヨタを含む複数の当事者が共同して支配をしており、その活動に関連する財務上および経営上の決定に際して、支配を共有する当事者の一致した合意を必要とする企業をいいます。
関連会社および共同支配企業への投資は、持分法によって会計処理しています。関連会社または共同支配企業が適用する会計方針がトヨタの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該関連会社または共同支配企業の財務諸表に調整を加えています。
関連会社または共同支配企業に該当しなくなり、持分法の適用を中止した場合には、持分法の適用を中止したことから生じた利得または損失を純損益として認識しています。
(2)外貨換算
①外貨建取引
外貨建取引は、取引日の為替レートでトヨタの機能通貨に換算しています。期末における外貨建貨幣性資産および負債は、報告期間の期末日の為替レートでトヨタの機能通貨に換算しています。公正価値で測定する外貨建非貨幣性資産および負債は、当該公正価値の算定日における為替レートで機能通貨に換算しています。その結果生じる為替差損益は純損益として計上しています。なお、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される資本性金融資産から生じる換算差額については、その他の包括利益として認識しています。
②在外営業活動体
在外の連結子会社、関連会社および共同支配企業(以下、在外営業活動体という。)の資産および負債については報告期間の期末日の為替レート、収益および費用については、為替レートが著しく変動している場合を除き、期中平均為替レートを用いて円貨に換算しています。その結果生じた換算差額は、その他の包括利益として認識し、連結財政状態計算書のその他の資本の構成要素に含めています。在外営業活動体の換算差額の累積額は、在外営業活動体を処分し、支配、重要な影響力または共同支配企業の取決めを喪失した期間に純損益として認識しています。
(3)現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金および容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されています。
(4)金融商品
①金融資産
(ⅰ)当初認識および測定
トヨタは、金融資産について契約の当事者となった時点で当初認識し、デリバティブ以外について、償却原価で測定する金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性および資本性金融資産、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。なお、金融資産の通常の方法による売買は、約定日において認識または認識の中止を行っています。
純損益を通じて公正価値で測定する区分に分類される金融資産は公正価値で測定していますが、それ以外の金融資産は取得に直接起因する取引コストを公正価値に加算した金額で測定し、当初に認識しています。重要な金融要素を含んでいない営業債権は、取引価格で測定しています。
(a)償却原価で測定する金融資産
以下の要件をともに満たす場合には、償却原価で測定する金融資産に分類しています。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、金融資産が保有されていること。
・金融資産の契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払いのみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる取引。
(b)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産
以下の要件をともに満たす場合には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に分類しています。
・契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方の目的で金融資産を管理する事業モデルに基づいて、金融資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払いのみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
(c)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産
投資先との取引関係の維持または強化を主な目的として保有する株式などの資本性金融資産については、当初認識時にその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定し、当該指定を継続的に適用しています。
(d)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
(a)~(c)以外の金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。
(ⅱ)事後測定
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて次のとおり測定しています。
(a)償却原価で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産については、実効金利法による償却原価により測定しています。
(b)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産
当該金融資産の公正価値の事後的な変動額はその他の包括利益として認識しています。減損に係る利得または損失、利息収益、および為替差損益は純損益として認識しています。当該金融資産の認識を中止した場合は、その他の包括利益を通じて認識された利得または損失の累計額をその他の資本の構成要素から純損益に組替調整しています。
(c)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産
当該金融資産の公正価値の事後的な変動額はその他の包括利益として認識しています。当該金融資産の認識を中止した場合は、その他の包括利益を通じて認識された利得または損失の累計額をその他の資本の構成要素から利益剰余金に振り替えています。
なお、当該金融資産からの配当金については、純損益として認識しています。
(d)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
当該金融資産の公正価値の事後的な変動額は、純損益として認識しています。
(ⅲ)金融資産の減損
償却原価で測定する金融資産およびその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産の予想信用損失について、金融損失引当金を計上しています。オフバランスの信用エクスポージャーであるローン・コミットメントおよび金融保証契約について、予想信用損失に対する金融損失引当金を認識しています。
金融損失引当金は、報告期間末日ごとに金融資産に係る信用リスクが当初認識時点以降に著しく増大しているかどうかの評価に基づき測定しています。報告期間末日において、ある金融商品に関する信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、金融損失引当金は、当該金融商品の存続期間にわたって発生する可能性のあるすべての債務不履行事象から生じる予想信用損失(全期間の予想信用損失)に等しい金額で測定しています。
報告期間末日において、ある金融商品に関する信用リスクが当初認識以降に著しくは増大していない場合には、金融損失引当金は、報告期間末日から12ヶ月以内に発生する可能性のある債務不履行事象によって生じる予想信用損失(12ヶ月の予想信用損失)に等しい金額で測定しています。
ただし、「営業債権及びその他の債権」に含まれる営業債権およびファイナンス・リース債権については、常に全期間の予想信用損失を引当金として認識しています。
予想信用損失の金額は、トヨタに支払われるべき契約上のキャッシュ・フローの総額と、トヨタが受け取ると見積もられる将来キャッシュ・フローとの差額の現在価値として測定し、純損益として認識しています。金融損失引当金を減額する場合における戻入額は純損益として認識しています。
なお、債務者の財務状況の著しい悪化、債務者による債務不履行または延滞等の契約違反等、金融資産が信用減損している証拠がある場合、金融損失引当金を控除後の帳簿価額の純額に対して、実効金利法を適用し利息収益を測定しています。金融資産の全体または一部分を回収するという合理的な予想を有していない場合は、当該金額を金融資産の帳簿価額から直接減額しています。
(ⅳ)金融資産の認識の中止
トヨタは、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅する、またはトヨタが金融資産の所有のリスクと経済価値のほとんどすべてを移転する場合において、金融資産の認識を中止しています。トヨタは、金融資産を譲渡した場合でも、実質的にそのリスクと経済価値のほとんどすべてを移転したわけでもなく、また、そのほとんどすべてを保持してもいない状況において、当該譲渡金融資産に対する支配を継続している場合には、その金融資産に対する留保持分および関連して支払う可能性がある負債を認識しています。
②金融負債
(ⅰ)当初認識および測定
トヨタは、デリバティブ以外の金融負債について、当初認識時に公正価値から発行に直接起因する取引コストを控除した金額で測定しています。
(ⅱ)事後測定
当初認識後については、実効金利法による償却原価で測定しています。実効金利法による償却ならびに認識が中止された場合の利得および損失については、金融収益または費用の一部として、純損益に認識しています。
(ⅲ)金融負債の認識の中止
トヨタは、金融負債が消滅したとき、すなわち、契約において特定された債務が履行による消滅、免責、取消し、または失効したときに、金融負債の認識を中止しています。
③デリバティブ金融商品
トヨタは、金利および為替の変動によるリスクを管理するために、先物為替予約取引、通貨オプション取引、金利スワップ取引、金利通貨スワップ取引および金利オプション取引を含むデリバティブ金融商品を利用しており、すべてのデリバティブ取引を公正価値で資産または負債として計上しています。
トヨタはデリバティブ金融商品を投機もしくは売買目的で使用していません。
(5)金融事業に係る債権
金融事業に係る債権(以下、金融債権という。)は、連結財政状態計算書において、未稼得金融収益、繰延融資初期費用および金融損失引当金を加味した純額で表示しています。なお、繰延融資初期費用は契約期間にわたり利益率が一定となるように償却しています。
金融債権のポートフォリオは主にトヨタの事業の性質と金融債権の特性を質的側面から考慮して決定しており、以下の3つに分類しています。
①小売債権ポートフォリオ
小売債権ポートフォリオは、主にディーラーから取得した車両販売の割賦債権(以下、自動車割賦債権という。)により構成され、クレジット・カード債権を含んでいます。これらの債権は、取得時に所定の信用基準を満たさなければなりません。また、取得後、トヨタは割賦代金の回収および契約の管理について責任を有します。
自動車割賦債権の契約期間は主に2年から7年です。トヨタは、融資対象となった車両に対する担保権を取得し、顧客が債務不履行に陥った場合、担保権を実行できます。ほとんどすべての自動車割賦債権に遡求権はなく、担保権を実行した場合にもディーラーは債務履行責任を負うことはありません。
金融債権に内在する一般的なリスク特性や信用リスクの類似性を基礎としながら、金額的重要性を考慮して、小売債権ポートフォリオを信用リスク管理の実務上、1つのポートフォリオとして管理しています。
②ファイナンス・リース債権ポートフォリオ
ファイナンス・リース債権は、新車のリース契約に係る債権です。リース契約の期間は主に2年から5年です。当該債権は、取得時に所定の信用基準を満たさなければならず、取得後、トヨタはリース車両の所有権を引き受けます。また、トヨタはリース料金の回収および契約の管理について責任を有します。
トヨタは、リース契約者が債務不履行に陥った場合、通常、当該車両を占有することが認められます。残存価額は車両が新規にリースされた時点で評価され、リース終了時にトヨタに返却された車両はオークションにて売却されます。
金融債権に内在する一般的なリスク特性や信用リスクの類似性を基礎として、ファイナンス・リース債権ポートフォリオを信用リスク管理の実務上、1つのポートフォリオとして管理しています。
③卸売債権およびその他のディーラー貸付金ポートフォリオ
トヨタは、適性を満たしたディーラーに対して、在庫購入のための融資を行っています。トヨタは、融資対象となった車両に対する担保権を取得し、さらに必要がある場合、ディーラーの資産または経営者の個人資産あるいはその両方に担保権を設定します。ディーラーが債務不履行に陥った場合、トヨタは取得した資産を処分する権利を有します。
また、トヨタは、ディーラーに対して事業買収、設備の改修、不動産購入および運転資金のための期限付融資も行っています。当該融資は、通常、不動産への担保権、その他のディーラーの資産または経営者の個人資産により保全されています。
金融債権に内在するリスク特性を基礎として、卸売債権およびその他のディーラー貸付金ポートフォリオを信用リスク管理の実務上、1つのポートフォリオとして管理しています。
(6)金融事業に係る金融損失引当金
金融債権に対する予想損失は、信用リスク評価プロセスの一環として行われている体系的かつ継続的なレビューおよび評価、過去の損失の実績、ポートフォリオの規模および構成、現在の経済的な事象および状況、担保物の見積公正価値およびその十分性、経済状況の動向などの将来予測情報、ならびにその他の関連する要因に基づき、ポートフォリオ別に測定しています。なお、集合的に予想信用損失を算定する場合、商品の種類、担保の種類など、共通のリスク特性に基づいてポートフォリオをグルーピングしています。
①小売債権ポートフォリオ
小売債権については、債務不履行となる確率の変化や延滞日数を指標として当該金融債権の信用リスクが著しく増大したか否かを判定しています。30日超期日経過の場合には、その信用リスクは著しく増大したものとみなしています。期末日時点で、貸付金に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、12ヶ月の予想信用損失を見積もって当該金融債権に係る金融損失引当金の額を算定しています。
一方、期末日時点で、信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合は、その金融債権の回収に係る全期間の予想信用損失を見積もって当該金融債権に係る金融損失引当金の額を算定しています。債務者による債務不履行または延滞等の契約違反等、金融債権が信用減損している証拠がある場合に信用減損していると判断し、過去の貸倒実績や将来の回収可能価額などをもとに、その金融債権の回収に係る全期間の予想信用損失を見積もって当該金融債権に係る金融損失引当金の額を算定しています。
予想信用損失の算定にあたっては、過去の実績に基づく債務不履行の確率と債務不履行時損失率をもとに、現在および将来の経済状況の予測を反映させています。
内部管理規程に基づき、相当期間の延滞、もしくは、顧客が契約上の義務を期日に履行できないことが明らかになった場合に、債務不履行と判断しています。
②ファイナンス・リース債権ポートフォリオ
ファイナンス・リース債権ポートフォリオについては、常に全期間の予想信用損失をもって金融損失引当金の額を算定しています。内部管理規程に基づき、相当期間の延滞、もしくは、顧客が契約上の義務を期日に履行できないことが明らかになった場合に、債務不履行と判断しています。
③卸売債権およびその他のディーラー貸付金ポートフォリオ
卸売債権およびその他のディーラー貸付金ポートフォリオについては、内部におけるリスク評価を基礎として信用状況別に債権を区分しています。この区分の変化を指標として、金融債権の信用リスクが当初認識以降に著しく増大したか否かを判定しています。なお、30日超期日経過の場合には、その信用リスクは著しく増大したものとみなしています。期末日時点で、信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、12ヶ月の予想信用損失を見積もって当該金融債権に係る金融損失引当金の額を算定しています。
一方、期末日時点で、信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合は、その金融債権の回収に係る全期間の予想信用損失を見積もって当該金融債権に係る金融損失引当金の額を算定しています。債務者の財務状況の著しい悪化、債務者による債務不履行または延滞等の契約違反等、金融債権が信用減損している証拠がある場合に信用減損していると判断し、過去の貸倒実績や将来の回収可能価額などをもとに、その金融債権の回収に係る全期間の予想信用損失を個別に見積もって当該金融債権に係る金融損失引当金の額を算定しています。
予想信用損失の算定にあたっては、過去の実績に基づく債務不履行の確率と債務不履行時損失率をもとに、現在および将来の経済状況の予測を反映させています。
内部管理規程に基づき、相当期間の延滞、もしくは、顧客が契約上の義務を期日に履行できないことが明らかになった場合に、債務不履行と判断しています。
トヨタは、現在入手可能な情報に基づき、金融損失引当金は十分であると考えていますが、(ⅰ)資産の減損に関する見積りまたは仮定の変更、(ⅱ)将来の期待キャッシュ・フローの変化を示す情報の入手、または(ⅲ)経済およびその他の事象または状況の変化により、追加の引当金が必要となってくる可能性があります。中古車価値の実績値および推定値の低下とともに、金利の上昇、失業率の上昇および負債残高の増加といった消費者に影響を与える将来的な経済の変化が生じた場合、将来の金融事業の業績に悪影響を与える可能性があります。
(7)棚卸資産
棚卸資産は正味実現可能価額を超えない範囲において、取得原価で評価しています。正味実現可能価額は、通常の事業過程における見積売価から、完成までに要する見積原価および見積販売費用を控除した額です。取得原価は、主として総平均法に基づいて算定しており、購入原価、加工費および、現在の場所および状態に至るまでに要したすべての費用を含んでいます。
(8)有形固定資産
有形固定資産は、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した額で表示しています。重要な更新および改良のための支出は資産計上しており、少額の取替、維持および修理のための支出は発生時の費用として認識しています。有形固定資産の減価償却は、当該資産の区分、構造および用途等により見積もられた耐用年数に基づき、定額法で計算しています。見積耐用年数は、建物については2年から65年を、機械装置については2年から20年を使用しています。
なお、見積耐用年数、残存価額および減価償却方法は、各連結会計年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用します。
賃貸用車両及び器具は第三者に対する賃貸であり、販売代理店が賃貸を開始して特定の連結子会社が取得したものです。そうした子会社は、各社が直接取得した資産についても賃貸を行っています。賃貸用車両及び器具は見積残存価額まで、主として2年から5年のリース期間にわたり定額法で償却しています。賃貸契約の取得に際して直接発生した費用は資産計上し、リース期間にわたり定額法で償却しています。
トヨタは、リース期間の終了したリース資産の売却収入が、リース期間の終了時における当該資産の帳簿価額を下回るために、その売却時に損失が生じるというリスクにさらされています。トヨタは保有しているポートフォリオの未保証残存価値に関し予想される損失に備えるため、報告期間の期末日ごとに見積残存価額を見直しています。見積残存価額の見直しは、見積車両返却率および見積損失の程度を考慮して行っています。見積車両返却率および見積損失の程度を決定する際の考慮要因には、中古車販売に関する過去の情報や市場情報、リース車両返却の趨勢や新車市場の趨勢、および一般的な経済情勢が含まれています。トヨタはこれらの要因を評価し、いくつかの潜在的な損失のシナリオを想定したうえで、見積残存価額の見直しが予想される損失を補うに十分であるかを判断するため、見直した見積残存価額の妥当性を検討しています。
トヨタは保有しているポートフォリオに関して予想される損失に対して十分な金額を、見積残存価額の見直しを行うことで減価償却費に反映しています。
(9)無形資産
無形資産は、原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額および減損損失累計額を控除した額で表示しています。
見積耐用年数および償却方法は、各連結会計年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用します。
①開発資産
開発活動における支出については、その開発を完成させる技術上の実行可能性に加えて、その成果を使用または売却する意図・能力およびそのための財務その他の資源を十分に有し、かつ将来において経済的便益を得られる可能性が高く、信頼性をもってその支出を測定可能な場合に、無形資産として認識しています。
開発資産の取得原価は、主に5年から10年にわたり定額法で償却しています。
②その他の無形資産
その他の無形資産は主としてソフトウェアであり、定額法により償却しています。その見積耐用年数は主として5年です。のれんはトヨタの連結財政状態計算書に対して重要ではありません。
(10)非金融資産の減損
棚卸資産および繰延税金資産を除く非金融資産については、各報告期間の期末日において、資産が減損している可能性を示す兆候の有無を評価しています。その帳簿価額の回収可能性について疑義を生じさせる事象または状況変化がある場合に減損の判定を行っています。帳簿価額が非金融資産の使用および最後の処分から得られる割引後の見積キャッシュ・フローを超えている場合に、減損を計上しています。計上する減損の金額は、帳簿価額が回収可能価額を超過する場合のその超過額です。
(11)リース
トヨタは、契約の締結時に契約がリースであるか、またはリースを含んでいるかを判定しています。
①借手
借手のリース取引は、リースの開始日に使用権資産とリース負債を認識します。使用権資産は、リース負債の当初測定額に前払リース料等を調整した取得原価で当初測定しています。リース負債は、開始日時点で支払われていないリース料の割引現在価値で当初測定しています。
使用権資産は原価モデルを採用し、リースの開始日から、耐用年数またはリース期間のいずれか短い期間にわたって、定額法で償却しています。リース負債は実効金利法による償却原価で測定しています。リース負債は連結財政状態計算書において、有利子負債に含めて表示しています。利息費用は、各期間においてリース負債残高に対して一定の利子率となるように、リース期間にわたって純損益として認識しています。
トヨタが締結する土地、建物にかかるリース契約の多くには、事業上の柔軟性を確保するため等の様々な目的で、借手であるトヨタが行使可能である延長オプションが付されています。トヨタは延長オプションを行使することが合理的に確実であるかどうかを評価し、合理的に確実であると評価した場合には延長オプション期間をリース期間に含めています。
リース期間が12ヶ月以内の短期リースは、リース料をリース期間にわたって、定額法により純損益として認識しています。
②貸手
貸手のリース取引は、契約時にリースをファイナンス・リースまたはオペレーティング・リースに分類します。
ファイナンス・リースは、原資産の所有に伴うリスクと経済価値のほとんどすべてが移転するリース取引であり、オペレーティング・リースはそれ以外のリース取引です。
オペレーティング・リースのリース料は、リース期間にわたって、定額法により純損益として認識しています。
(12)退職後給付
トヨタは、従業員の退職給付に関して確定給付制度および確定拠出制度の双方を有しています。
①確定給付制度
確定給付制度債務の現在価値および勤務費用を予測単位積増方式により算定しています。確定給付負債(資産)の純額は、確定給付制度債務の現在価値から、制度資産の公正価値を控除して算定しています。制度資産の公正価値が確定給付制度の現在価値を超過している場合、資産計上額は、利用可能な制度からの返還および将来掛金の減額の現在価値を上限としています。当期勤務費用および確定給付負債(資産)の純額に係る利息純額は純損益として認識しています。
過去勤務費用は、発生時に純損益として認識しています。
数理計算上の差異を含む、確定給付負債(資産)の純額の再測定は、発生時にその他の包括利益として認識しており、発生した連結会計年度において利益剰余金に振り替えています。
②確定拠出制度
確定拠出制度の拠出は、従業員がサービスを提供した時点で純損益として認識しています。
(13)品質保証に係る負債
トヨタは通常、製品の製造過程およびその他の理由による製品の欠陥に対して保証を行っています。製品保証規定は、期間および使用方法あるいはそのいずれかに対応して決めており、製品の特性、販売地域およびその他の要因によって異なります。トヨタは製品販売時点において、当該製品の保証期間中に発生が予想される製品部品の修理または取替に係る見積製品保証費用を製品保証に係る負債として計上しています。製品保証に係る負債の金額は、保証期間内に不具合が発生した部品を修理または交換する際に発生する費用の総額を、販売時に最善の見積りに基づき計上するものであり、修理費用に関する現在入手可能な情報はもとより、製品の不具合に関する過去の経験を基礎として金額を見積もっています。各連結会計年度の見積製品保証費用額の計算は、1台当たりの製品保証費用見積額を基礎としています。1台当たりの製品保証費用見積額の計算にあたっては、過去の製品保証費用実払額を当該年度の販売台数で除して包括的に算定しています。
また、上記の製品保証に係る負債に加えて、製品のリコール等による市場処置費用をリコール等の市場処置に係る負債として見積計上しています。リコール等の市場処置に係る負債の金額は、基本的に、ある一定期間に販売された様々なモデル全体を、地域ごとに区分して、製品販売時点において包括的に算定しています。しかしながら、状況によっては、特定の製品のリコール等の市場処置に係る負債について、それらの支出が発生する可能性が高く、かつ合理的に見積もることができる場合に、個別に見積もる方法で算定しています。連結財政状態計算書上に計上されるリコール等の市場処置に係る負債のうち、包括的に計上される部分は、「リコール実払い累計額」を考慮して「リコールの支払い見込み総額」を基に算出します。当該負債は期間ごとに新しいデータに基づき評価され、適切な金額に調整されています。また、これらの負債は販売期間ごとに10年間に分けて管理しています。「リコールの支払い見込み総額」は、数量<販売台数>に単価<台当たり市場処置額>を乗じて算出しています。台当たり市場処置額は、「台当たりリコール実払い累計額」を「過去の費用の発生パターン」で除して算出しています。「過去の費用の発生パターン」は、車両販売後10年間に発生したリコール支払い発生状況を表しています。販売時の包括的な見積り金額と、個々のリコールに対する実際の支払い金額との差の要因としては、台当たり平均修理費用と実際の修理費用(主に部品代と労務費)とに差が生じる場合および、過去の費用の発生パターンと実際に差が生じる場合などがあり、将来のリコール等の市場処置費用の見積りの中で調整されていきます。
連結財政状態計算書上は、上記の製品保証に係る負債とリコール等の市場処置に係る負債を合算して、品質保証に係る負債として表示しています。また、連結損益計算書上は、製品保証費用およびリコール等の市場処置費用は売上原価の構成要素として表示しています。品質保証に係る負債の計算には、上記のとおり重要な見積りが必要となることから、この計算は本質的に不確実性を内包しています。したがって、実際の品質保証費用は見積りと異なることがあり、品質保証に係る負債を追加計上する必要が生じる可能性があります。
(14)収益認識
自動車事業では、完成車両および部品は、原則として販売代理店に対して販売代理店と合意した場所において製品を引き渡した時点で、生産用部品は、原則として製造会社に対して製品を船積みもしくは引き渡した時点で、履行義務を充足したと判断しています。対価については、販売時点またはその直後に支払いを受けており、重要な支払条件はありません。
トヨタの販売奨励プログラムは、主に、販売代理店が特定期間に販売した車両総台数もしくは特定のモデルの販売台数に基づいて算定される販売代理店への現金支払の形態をとっています。トヨタは、プログラムで定める車両の販売時に、最頻値法を用いて、これらの販売奨励金をプログラムで定める金額だけ営業収益から控除しています。
特定の完成車両の販売には、顧客が無償メンテナンスを受ける契約上の権利が含まれています。当該履行義務の独立販売価格は、観察可能な価格を用いて、それが利用可能でない場合は予想コストにマージンを加算するアプローチを用いて算定しています。この無償メンテナンス契約による収益は繰り延べられ、契約に基づく履行義務を充足する際に発生する費用に応じて、契約期間にわたり収益として認識されます。
車両の最低再販売価額をトヨタが条件付きで保証する場合の収益は、リース会計の方法により売上の日から保証の最初の実行日までの間に期間配分して計上しています。これらの取引の対象になっている車両は資産として計上し、トヨタの減価償却方針に従い償却しています。
金融事業における利息収益は、実効金利法に基づき認識しています。
オペレーティング・リースの収益は、リース期間にわたり均等に計上しています。
なお、履行義務の充足時点と対価の受領時点との間が1年以内と見込まれる場合、実務上の簡便法を採用しており、重大な金融要素の調整は行っていません。
また、営業収益は、通常顧客から徴収し政府機関へ納付される税金が控除された後の純額で計上しています。
(15)法人所得税
法人所得税は、当期税金と繰延税金から構成されています。
資産と負債の帳簿価額と税務基準額との間の一時差異、税務上の繰越欠損金および繰越税額控除に対して将来の期に課されるまたは回収される税額について、繰延税金資産および繰延税金負債を認識しています。
繰延税金資産は、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金および繰越税額控除について、将来それらを利用できる課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で認識しています。
子会社、関連会社および共同支配企業に対する投資に関連する将来加算一時差異については、原則として繰延税金負債を認識しますが、トヨタが一時差異を解消する時期をコントロールでき、かつ予測可能な将来にその差異が解消されない可能性が高い場合には、繰延税金負債を認識していません。
繰延税金資産および繰延税金負債は、報告期間の期末日に制定または実質的に制定されている税率および税法に基づいて、資産が実現する期間または負債が決済される期間に適用されると予測される税率で測定しています。繰延税金資産および繰延税金負債の測定に当たっては、報告期間の期末日においてトヨタが意図する資産および負債の帳簿価額の回収または決済の方法から生じる税務上の帰結を反映しています。
(16)1株当たり利益
基本的1株当たり親会社の所有者に帰属する当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を調整した加重平均普通株式数で除すことにより計算しています。希薄化後1株当たり親会社の所有者に帰属する当期利益は、希薄化株式の影響を考慮し、親会社の所有者に帰属する当期利益および加重平均普通株式数を調整することにより計算しています。
(17)未適用の公表済み基準書及び解釈指針
連結財務諸表の承認日までに新設または改訂が公表された基準書及び新解釈指針のうち、当連結会計年度においてトヨタが適用していない主なものは、以下のとおりです。適用によるトヨタの連結財務諸表への影響は検討中であり、現時点で見積もることはできません。
基準書 | 基準名 | 強制適用時期 (以降開始年度) | トヨタの適用年度 | 新設・改訂の概要 |
IFRS第18号 | 財務諸表における 表示及び開示 | 2027年1月1日 | 2028年3月期 | ・損益計算書における比較可能性の改善 ・経営者が定義した業績指標(MPMs:management-defined performance measures)の透明性の向上 ・財務諸表における情報のより有用なグルーピング |