有価証券報告書-第92期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/30 16:00
【資料】
PDFをみる
【項目】
167項目

(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米銀の経営破綻を契機に金融システム不安が台頭し、米欧景気の先行き不透明感が強まる状況が続いております。米国では金融引き締めが続く中、複数の米銀が経営破綻し、金融環境が悪化しており、景気回復に暗雲が見込まれ経済への悪影響も大きくなることが想定されております。欧州においては、大手金融機関の経営不安が見られ、景気は回復基調ですが先行き不透明感の強まりが懸念されております。中国では、景気が回復、ゼロコロナ解除も受け、サービス消費改善、不動産投資も改善の兆しが見られます。アジアでもゼロコロナ解除により景気は底堅いと見られるものの、輸出依存度が高い地域では世界経済や半導体サイクルを反映し、先行き不透明な状況となっております。
わが国の経済は、インバウンド増加等により景気回復が見られますが、物価高による消費下押し等から景気への影響が懸念されております。
a.財政状態
総資産は1,488億25百万円と前連結会計年度末に比べ、58億98百万円の増加(+4.1%)となりました。
負債は1,275億10百万円と前連結会計年度末に比べ、163億80百万円の増加(+14.7%)となりました。
純資産は213億15百万円と前連結会計年度末に比べ、104億82百万円の減少(△33.0%)となりました。
b.経営成績
売上高は1,754億69百万円と前連結会計年度に比べ279億94百万円(+19.0%)の増収となりました。営業損失は147億90百万円(前連結会計年度は121億85百万円の営業損失)、経常損失は141億7百万円(前連結会計年度103億56百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は136億59百万円(前連結会計年度は、親会社株主に帰属する当期純損失190億32百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(日本)
売上高は456億18百万円と前連結会計年度に比べ97億62百万円(+27.2%)の増収となり、セグメント利益は12億75百万円と前連結会計年度に比べ31億24百万円の増益となりました。
(北米)
売上高は822億2百万円と前連結会計年度に比べ191億3百万円(+30.3%)の増収となり、セグメント損失は188億70百万円と前連結会計年度に比べ67億7百万円の損失の増加となりました。
(欧州)
売上高は189億82百万円と前連結会計年度に比べ15億5百万円(△7.3%)の減収となり、セグメント損失は11億3百万円と前連結会計年度に比べ13億7百万円の損失の減少となりました。
(アジア)
売上高は286億65百万円と前連結会計年度に比べ6億34百万円(+2.3%)の増収となり、セグメント利益は39億21百万円と前連結会計年度に比べ86百万円の増益となりました。

②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、306億84百万円(前連結会計年度末比46億41百万円の増加)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費73億2百万円、前受金の増加40億39百万円等による資金の増加があり、一方で、税金等調整前当期純損失117億13百万円、法人税等の支払額36億54百万円等により、△18億96百万円の支出(前連結会計年度は20億70百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入53億56百万円、投資有価証券の売却による収入11億25百万円、有形固定資産の取得による支出34億50百万円等により、27億41百万円の収入(前連結会計年度は36億2百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加92億89百万円、長期借入れによる収入119億17百万円、長期借入金の返済による支出163億51百万円、非支配株主への配当金の支払額15億1百万円、リース債務の返済による支出14億25百万円等により、23億43百万円の収入(前連結会計年度は62億42百万円の収入)となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
日本45,778+27.1
北米82,365+30.4
欧州18,966△6.7
アジア28,748+3.0
合計175,859+19.3

(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によるものであります。
3 当連結会計年度において、日本セグメントの生産高に著しい変動がありました。これは前連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症及び半導体供給不足の影響による得意先減産がありましたが、当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによる反動増加によるものであります。
4 当連結会計年度において、北米セグメントの生産高に著しい変動がありました。これは当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによるものであります。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
日本46,928+42.63,763+54.2
北米85,817+39.37,790+87.3
欧州19,372△2.61,430+35.5
アジア28,150+2.31,311△28.2
合計180,268+27.014,296+50.8

(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 当連結会計年度において、日本セグメントの受注高及び受注残高に著しい変動がありました。これは前連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症及び半導体供給不足の影響による得意先減産がありましたが、当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによる反動増加によるものであります。
3 当連結会計年度において、北米セグメントの受注高及び受注残高に著しい変動がありました。これは当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによるものであります。
4 当連結会計年度において、アジアセグメントの受注残高に著しい変動がありました。これは中国地域におきまして新型コロナウイルス感染症が再拡大した影響による得意先減産によるものであります。

c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
日本45,618+27.2
北米82,202+30.3
欧州18,982△7.3
アジア28,665+2.3
合計175,469+19.0

(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 当連結会計年度において、日本セグメントの販売高に著しい変動がありました。これは前連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症及び半導体供給不足の影響による得意先減産がありましたが、当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによる反動増加によるものであります。
3 当連結会計年度において、北米セグメントの販売高に著しい変動がありました。これは当連結会計年度の当社受注車種の増産や新車立上げによるものであります。
4 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)
日産自動車株式会社71,50448.591,11151.9
本田技研工業株式会社35,29223.938,12321.7

5 上記の日産自動車株式会社の販売高には、同社の関係会社(NISSAN NORTH AMERICA,INC.、NISSAN MEXICANA S.A. de C.V.、NISSAN MOTOR MANUFACTURING (UK) LTD.、日産車体株式会社、東風日産乗用車公司、鄭州日産汽車有限公司、日産 (中国) 投資有限公司、Nissan Motor (Thailand) Co.,Ltd.、Renault Nissan AutomotiveIndia Private Limitedの9社)向けの販売高を含めております。
6 上記の本田技研工業株式会社の販売高には、同社の子会社(Honda of America Mfg.,Inc.、Honda Canada Inc.、Honda of the U.K. Manufacturing Ltd.、Honda Manufacturing of Alabama,LLC、Honda Manufacturing of Indiana,LLC、Honda de Mexico.S.A.de C.V.、株式会社本田技術研究所、本田汽車用品(広東)有限公司、広汽本田汽車有限公司、東風本田汽車有限公司、Honda Automobile (Thailand) Co.,Ltd.、P.T. Honda Prospect Motorの12社)向けの販売高を含めております。
(2) 経営者の視点による経営成績の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)財政状態の分析
(資産の部)
総資産は1,488億25百万円と前連結会計年度末に比べ、58億98百万円の増加(+4.1%)となりました。この主な要因は、現金及び預金が49億34百万円増加したことによるものであります。
(負債の部)
負債は1,275億10百万円と前連結会計年度末に比べ、163億80百万円の増加(+14.7%)となりました。この主な要因は、長期借入金が76億35百万円減少したものの、短期借入金が160億57百万円増加、支払手形及び買掛金が25億18百万円増加、その他が60億32百万円増加したこと等によるものであります。
(純資産の部)
純資産は213億15百万円と前連結会計年度末に比べ、104億82百万円の減少(△33.0%)となりました。この主な要因は、為替換算調整勘定が27億86百万円増加したものの、利益剰余金が136億59百万円減少したことによるものであります。
(b)経営成績の分析
(前連結会計年度と当連結会計年度の増減分析)
当連結会計年度の売上高は、日本地域、北米地域、アセアン地域における主要得意先の生産台数の増加に加え円安による為替影響により、1,754億69百万円と前連結会計年度に比べ279億94百万円(19.0%)の増収となりました。営業損失は、急激なインフレ率の上昇による諸費用(労務費、材料費、物流費、電力料等)の高騰や新規車種立上げ関連費用の増加、為替の影響により、147億90百万円(前連結会計年度は、営業損失121億85百万円)となり、経常損失は141億7百万円(前連結会計年度は、経常損失103億56百万円)となりました。なお、前連結会計年度で計上した事業整理損を当連結会計年度では計上していないこと、連結子会社において収益性の低下に伴う減損損失が大幅に減少したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は、136億59百万円(前連結会計年度は、親会社株主に帰属する当期純損失190億32百万円)となりました。
(計画値と実績値の増減分析)
異常なインフレ率の上昇による電力料やガソリン価格の上昇により、家計への負担が増大し、新車購買意欲の低下から、当初想定していた生産台数を下回り、売上高は計画に比べて11,931百万円の減収となりました。営業損失は急激なインフレによる諸費用(労務費、材料費、物流費、電力料)の高騰により、計画に比べて2,190百万円の減益となりました。経常損失につきましても、計画に比べて1,407百万円の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、法人税の還付によりほぼ計画通りの実績となりました。
2023年3月期
(計画)
2023年3月期
(実績)
2023年3月期
(計画比)
売上高187,400百万円175,469百万円11,931百万円減 ( 6.4%減)
営業損失(△)△12,600百万円△14,790百万円2,190百万円減 (17.4%減)
経常損失(△)△12,700百万円△14,107百万円1,407百万円減 (11.1%減)
親会社株主に帰属する当期純損失(△)△13,500百万円△13,659百万円159百万円減 ( 1.2%減)

(注) 計画値は、2022年11月14日付け「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」にて公表した数値であります。
(c)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(d)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 会社の経営の基本方針」に記載のとおりであります。
(e)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(日本)
主要得意先の生産台数増加により、売上高は456億18百万円と前連結会計年度比97億62百万円の増収(+27.2%)となりました。加えて支出抑制や人員減少等によるコスト圧縮により、セグメント利益は12億75百万円(前連結会計年度はセグメント損失18億49百万円)となりました。
(北米)
主要得意先の生産台数の増加や円安による為替影響により、売上高は822億2百万円と前連結累計会計年度比191億3百万円の増収(+30.3%)となりました。しかしながら、急激なインフレ率の上昇による諸費用(労務費、材料費、物流費、電力料等)の高騰や新規車種立上げ関連費用の増加、為替の影響により、セグメント損失は188億70百万円(前連結会計年度はセグメント損失121億62百万円)となりました。
(欧州)
部品供給問題による生産台数の減少や、欧州地域の工場の閉鎖並びに拠点解散に伴い売上が減少したため、売上高は189億82百万円と前連結会計年度比15億5百万円の減収(△7.3%)となりました。一方で、採算性の低い工場の閉鎖並びに拠点の解散に伴い費用の抑制が図られセグメント損失は11億3百万円(前連結会計年度はセグメント損失24億11百万円)となりました。
(アジア)
中国では生産台数の減少が継続していますが、アセアン地域の生産台数が回復し、売上高は286億65百万円と前連結会計年度比6億34百万円の増収(+2.3%)となり、セグメント利益は39億21百万円と前連結会計年度比86百万円の増益(+2.3%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(a)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(b)当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要は、材料費、経費、労務費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新規車種の生産準備に係わる金型、生産設備、新工場の増新設及び設備の更新等の投資資金であります。
当社グループは事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本としており、これら資金需要については、営業活動によるキャッシュ・フローを主とし、必要に応じて金融機関からの借入等により資金を充当しております。また、国内連結子会社にCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入、海外連結子会社についても当社がグループ資金を一元管理することで資金の効率化を図っております。さらに、当社は適時に資金繰り計画を作成・更新し、手元流動性を検証することなどにより流動性のリスクを管理しています。
当連結会計年度におきましては、2022年5月に、新型コロナウイルス感染症や半導体供給不足、原材料の高騰等、先行きが不透明な状況を鑑みて、安定的な資金調達を実現し当社グループの財務基盤の安定性を高めることを目的に総額303億円のシンジケートローン契約を締結、及び総額30億円のコミットメントライン契約を締結いたしました。さらに2022年9月には、新たに45億円のコミットメントライン契約を締結いたしました。このように、急速な外部環境の変化に対応するため手元流動性を高め、緊急時の資金対応に備えております。
なお、当連結会計期間の末日現在においてコミットメントライン契約の未使用枠を合計75億円保持しております。
(c)資金配分について
当社グループ全体として得られた資金は、設備投資、株主還元、手元資金に振り分けております。設備投資については、経営戦略を踏まえた投資意義や投資資金の回収可能性を検討の上、投資の可否を判断しております。また、業績に応じた株主還元を実施することを基本方針としており、配当政策については、継続的かつ安定的な配当の維持を目指しております。手元資金については、適切な事業環境に応じて一定の水準に抑えることでグループ全体の資金効率を高めていくよう努めております。
なお、翌連結会計年度の設備投資予定額につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
なお、半導体供給不足の問題が依然として生じており、今後の半導体供給不足の解消時期等を予測する事は困難であります。このような状況下、当社グループは、会計上の見積りに関する判断については、現時点で入手可能な外部情報等から、翌連結会計年度(2024年3月期)の一定期間にわたり当該影響について、当年度と同様な状況が継続するという仮定に基づき、会計上の見積りを行っております。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。