有価証券報告書-第114期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/29 15:40
【資料】
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【項目】
151項目

研究開発活動

当連結会計年度の研究開発活動は、SDGs(持続可能な開発目標)で掲げる諸目標の達成に向けた取り組みを意識し、事業戦略を推進する上で重要な研究開発活動及び軸受性能に関する解析技術や性能評価技術向上、長期的な成長基盤となる基礎的研究及び新規事業の創出活動を実施しております。なお、当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は1,934百万円であります。
主な研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
<自動車用エンジン軸受>・世界的なカーボンニュートラルへの対応、CO2排出量規制強化に伴うエンジン熱効率向上に対応するため、さらなる摩擦損失低減を目指し、耐摩耗性・耐焼付性・摩擦特性を飛躍的に向上させた各種樹脂オーバレイ(オーバレイ:表面処理)の開発に積極的に取り組んでおり、量産納入が確定しました。
・水素エンジンなどカーボンニュートラルに向けた技術開発に貢献するための軸受を提供し、各種代替燃料使用時における軸受への影響について、調査、研究を実施しております。
・排出ガス規制強化に対応するため、トラック用エンジンなど、高面圧化、高温環境、長寿命などの厳しい要求に耐え得る新しい鉛フリーオーバレイを開発、提供し、実機評価がはじまっております。同様に、新しい銅合金系ブシュ材料の開発も進めております。
・F1レース、NASCAR、2輪に使用される超高速回転に対応する信頼性に優れた高性能軸受を開発し、継続的に納入し、採用が拡大しております。
・世界各国の自動車顧客からの厳しい品質要求に対応するための、各種生産および検査設備を開発し、導入しております。
・継続的に理論解析技術、単体評価技術の向上を図り、開発期間の短縮に努めております。
<自動車用エンジン以外軸受>・自動車、オートバイのショックアブソーバー用軸受における乗り心地(操舵安定性、振動吸収性など)向上要求に対応するための鉛フリー樹脂系軸受材料について更なる性能向上を図るべく、新しい単体評価試験機も導入し、継続して材料開発を進めております。
・自動車用部品、一般産業用部品において、従来よりも低フリクションや樹脂層の厚い新しい樹脂系軸受材料などの適用アプリケーション拡大を目指し各種評価を実施しております。
・バイオマス材料を使用するなど、環境を意識した、新しい鉛フリー樹脂系軸受の開発も取り組んでおります。
・各種軸受用途の運転状況を再現できる新しいシミュレーション試験機を開発、実機と相関性のある軸受性能評価を実施するように、常に改良を施しております。
<非自動車用軸受>・中高速ディーゼルエンジン用の高面圧化に対応する新しい鉛フリーオーバレイを開発・提供し、良好な評価を継続的に得ており、さらに、ガスエンジンなどの特殊環境下に対応可能な鉛フリー銅合金を開発、紹介し、実機評価に向けて提供を予定しております。
・低速および中高速ディーゼルエンジンともに、アンモニア、水素、e-fuelなど代替燃料使用時における軸受への影響について、調査、研究を実施しております。
・再生可能エネルギーの需要の高まりを受け、風力発電ニーズの高い欧州での風力発電用の特殊軸受を開発・提供し、良好な評価を得ております。さらに同市場に適用可能な各種特殊軸受の技術研究を推進しており、NEDOグリーンイノベーション基金事業(洋上風力発電の低コスト化プロジェクト)に応募し採択されました。
<その他>・電気二重層キャパシタ用電極シートについて、更に継続的に性能向上を図り、新しい顧客、アプリケーションへの適用拡大に向けて活動するとともに、シート製造技術の応用にも継続的に取り組んでおります。
<新規事業創出活動>・持続的発展のために、CASE対応に加え、カーボンニュートラル社会への貢献を目指し、当社固有技術を活かした新規事業の創出、育成活動を積極的に取り組んでおります。
・従来の吸音材製造技術をベースに、吸音性、吸水性、放熱性などの機能と金属の強度、耐熱性を併せ持つ金属多孔体型機能材料の開発に取り組んでおります。
・従来の電極シート技術をベースに、その特性を活かした各種応用製品の研究、開発に取り組んでおります。