有価証券報告書-第156期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 16:16
【資料】
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【項目】
92項目

対処すべき課題

当社グループを取り巻く事業環境は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要) (1) 業績」に記載のとおりでありました。
当社グループは2016年11月から実施しました構造改革の終了後、2019年5月に、中期経営計画(2019~2021年度)(以下「本計画」)を発表しました。持続的・中長期的な企業価値向上を実現する「精密・光学のリーディングカンパニー」を目指します。
中期経営方針である本計画の完遂を、最優先で対処すべき課題として認識しております。
中期経営計画の進捗状況
① 本計画の位置づけ
当社グループは、本計画を持続的企業価値の「成長基盤構築」として「仕込み」のための積極的投資を行う期間と位置付けました。長期的な「稼ぐ力」の強化に重点を置き、「既存事業の収益力強化」をはかりつつ「新たな収益の柱の創出」を戦略の中心とします。
② 戦略施策の全体像

③ 経営上の目標達成状況を判断する客観的な指標等
本計画期間にて達成すべき数値目標として、2021年度:ROE 8%以上を掲げています。これを実現するために、成長領域の事業拡大を加速していくとともに、既存事業で安定的にキャッシュを確保するため、資本効率と収益性を重視した経営指標に基づく事業運営と現場への展開を進めています。
④ 2020年3月期の進捗
a) 新たな収益の柱の創出
本計画期間中において特に注力する材料加工事業については、光加工機の市場投入を開始しました。最初の製品としてLasermeister 100Aを2019年4月に発売しました。同年9月には第2弾として金属除去加工機を発表、お客様よりデモ加工の要望を多数いただいています。今後とも独自性の高い装置を提供し、顧客アプリケーション開発や受託加工も並行して推進していきます。
また、同年11月にはDMG森精機と包括的な業務提携を発表、当社グループの計測およびカメラ関連技術をDMG森精機の工作機械に適用し、高度化を実現するとともに、DMG森精機の販売網を活用し、当社光加工機のグローバルな拡販を目指します。また、光加工機の開発に関連しベンチャー企業への出資も実施しています。
今後、より一層のアライアンス、M&Aの具体化などによる成長戦略強化を進めていきます。
b) 既存事業の収益力強化
ア)既存事業の収益力向上
映像事業は、市場が想定以上に縮小する見込みとなり事業構造を抜本的に変革する構造改革を開始しました。FPD装置事業、半導体装置事業は、新型コロナウイルス感染症の発生による移動制限、規制強化等により、据付遅延による期ずれが一部発生しているものの、おおむね、予定どおり推移しています。
イ)コスト改革
本計画期間トータルでの180億円コストダウンの目標額にむけ、サプライチェーン最適化、管理間接部門スリム化、グローバルでの販売、生産体制再編などの施策を計画的に進めています。既存事業の今後のリスクも鑑み、可能な限りコスト改革を進めていきます。
また、環境経営につきましては、2016年4月より、数十年先の未来を見据えた「ニコン環境長期ビジョン」を策定し、その実現に向け、2030年までに取り組むことを「ニコン環境中期目標」に定め、達成に向けて様々な施策を展開しています。2020年2月には、現在の地球環境の状況を鑑みてこれらを改訂し、環境長期ビジョンについては、「脱炭素社会の実現」「資源循環型社会の実現」「健康で安全な社会の実現」を3つの柱として定めています。また、環境中期目標における温室効果ガス削減目標については「Science Based Targets(SBT)イニシアチブ」の認定を取得しました。
当社グループの環境への取り組みの詳細はサステナビリティ報告書をご参照ください。