有価証券報告書-第47期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/20 9:28
【資料】
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【項目】
110項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文章の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照下さい。
(2) 財政状態の分析
①流動資産
当社グループの当連結会計年度末の流動資産の残高は、121億8千6百万円(前連結会計年度末比23億8千1百万円減)となりました。これは、法人税等の納付、配当の実施などにより現金及び預金が減少(前連結会計年度末比11億7千6百万円減)したことや、受注残高の減少により仕掛品が減少(前連結会計年度末比8億4千万円減)したことが主たる要因であります。
②固定資産
当社グループの当連結会計年度末の固定資産の残高は、51億3千万円(前連結会計年度末比1億9千1百万円減)となりました。これは、減価償却累計額が増加(前連結会計年度末比1億1千1百万円増)したことや、株価の下落により投資有価証券が減少(前連結会計年度末比6千4百万円減)したことが主たる要因であります。
③流動負債
当社グループの当連結会計年度末の流動負債の残高は、61億1千7百万円(前連結会計年度末比22億9千1百万円減)となりました。これは、仕入が減少したため支払手形及び買掛金が減少(前連結会計年度末比10億3千9百万円減)したことや、受注の減少により前受金が減少(前連結会計年度末比6億8千9百万円減)したこと及び課税所得の減少により未払法人税等が減少(前連結会計年度末比6億6千7百万円減)したことが主たる要因であります。
④固定負債
当社グループの当連結会計年度末の固定負債の残高は、12億5千3百万円(前連結会計年度末比4億1千5百万円減)となりました。これは、1年内返済予定の長期借入金に振替えたことにより長期借入金が減少(前連結会計年度末比3億9千3百万円減)したことが主たる要因であります。
⑤純資産
当社グループの当連結会計年度末の純資産の残高は、99億4千6百万円(前連結会計年度末比1億3千4百万円増)となりました。これは、円高ウォン安等の影響により連結子会社の為替換算調整勘定が減少(前連結会計年度末比2億3千7百万円減)したものの、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことなどにより利益剰余金が増加(前連結会計年度末比4億4百万円増)したことが主たる要因であります。
(3) 当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の売上高は149億2千万円(前連結会計年度比10.9%減)、営業利益は23億8千4百万円(前連結会計年度比30.3%減)、経常利益は22億5千3百万円(前連結会計年度比35.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は13億1千5百万円(前連結会計年度比29.5%減)となりました。
売上高につきましては、生産ライン用タイヤ関連試験機の出荷が、東南アジア向けについては増加したものの、中国の中堅タイヤメーカー向けについては大幅に減少したため、前連結会計年度と比較して減少しております。
利益面につきましては、減収及び当初の見込みを大きく上回る原価が発生した材料試験機の大型案件を出荷したことなどにより売上総利益が減少したことや、為替差益から為替差損に転じたことなどにより前連結会計年度と比較して減少しております。
なお、所在地別の分析は「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」の項目をご参照下さい。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」にも記載のとおり、ここ数年来継続している海外への売上高比率の高水準を背景とした主要海外売上先である中国をはじめとするアジアの経済情勢、市場動向並びに為替相場の変動が挙げられます。
経済情勢に関しましては、米国については個人消費の回復や自動車関連メーカー等の設備投資の緩やかな回復が予測されます。
中国については潜在的な市場は大きいものの、成長の鈍化が予測されます。インドについては引き続き内需が堅調に推移すると見込まれることから市場の拡大が続くと予測されます。韓国、台湾、ASEAN地域については、世界経済の緩やかな回復が続くと見込まれることから、これらの地域も回復傾向が続くものと予測しております。
市場動向に関しましては、当社の主要ユーザーである国内の自動車関連業界は、今後も国内の生産設備予算については縮小傾向が続くことが懸念されるものの、環境対応車に対する需要は高いことから、環境対応車に搭載される低燃費エンジン・燃料電池など環境や品質に関連する研究開発予算や海外拠点に対する設備投資需要は、今後も継続されるものと予測されます。
為替変動に関しましては、特に外貨建取引における主要通貨である米ドルのレートについては、当連結会計年度の第3四半期までは円安ドル高基調で推移したことから、当社は円安メリットを享受いたしましたが、第4四半期から急激な円高ドル安に転じたため為替差損を計上しております。今後も為替予約等の対策により翌連結会計年度の業績への影響を軽減すべく対応する所存であります。
(5) キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローにつきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
(6) 戦略的現状と見通し
①製品別・地域別戦略
製品別戦略としましては、既存事業の主力製品である生産ライン用タイヤユニフォーミティ・バランス複合試験機(UBマシン)をはじめとするタイヤ関連試験機を中心として販売活動を行ってまいります。今後は既存製品の更なる競争力の向上を推進するとともに、製品ラインアップを充実させるべくタイヤ摩耗試験機等の研究開発部門への事業展開も積極的に行ってまいります。
各種の電気サーボモータ式振動試験機については、自動車部品・鉄道車両用品・包装貨物用品・家電事務機器関連等、試験対象製品及び業界が多岐に渡っており商社・代理店による営業を中心として積極的に事業展開を行ってまいります。
また、当連結会計年度に製品化しております動電型3軸同時振動試験機の更なる研究開発とシリーズ化に向けて積極的な事業展開を行ってまいります。
さらに、現在業務提携を行っておりますエミック株式会社との動電型振動試験機事業を推進することにより当社の振動試験機シリーズが充実し、ユーザーのニーズに的確に対応することが可能となりビジネスチャンスが広がるものと期待しております。
今後の地域別戦略は、次のとおりになっております。
中国では、従来より高技国際計測器(上海)有限公司(連結子会社)において、タイヤ関連試験機のみならず、各種電気サーボモータ式振動試験機等の販売を拡充するため、5か所の販売拠点(天津・長春・青島・武漢・深セン)を設け、当社より中堅のスタッフを赴任させており、現地スタッフの教育と中国国内市場のニーズを把握し、迅速な対応を行っております。また、現地生産を増強するため工場増築を行い、稼働しております。
米国では、自動車・タイヤメーカーの設備投資予算の回復の兆しが見え始めております。前連結会計年度より日系自動車関連メーカー向けのよりきめ細かな営業を展開することや電気サーボモータ式振動試験機のデモ機を工場に設置し包装貨物用評価試験機の拡販営業を展開してまいります。
韓国では、自動車業界・タイヤ業界の海外工場向けの設備予算がウォン高の影響もあり縮小傾向にあります。このような傾向の中でも海外工場の設備予算や研究開発部門の予算は増加傾向にあり、設備計画情報を的確に収集し対応してまいります。
ヨーロッパでは、現地における市場調査や展示会への出展により、電気サーボモータ式振動試験機の自動車メーカー等に対する拡販体制を構築する予定であります。
国内では、当社が全製品の主力生産拠点であると共に、研究開発活動の主要拠点と位置付けております。今後の新規主力製品の一つとして、シリーズ化を推進している各種の電気サーボモータ式振動試験機の生産増強及び研究開発拠点として本社第三工場が稼働しております。
また、東伸工業株式会社(連結子会社)においては、金属素材等の耐久・疲労・腐食等の試験を主力とする材料試験機全般を製造販売しておりますが、生産体制の効率化・コストダウンを図ると共に、当社との技術面・営業面における連携を強化し、収益性を高める努力をしてまいります。
このように当社グループは、中国を中心とするアジア市場での販売シェア拡大に注力すると共に、当社グループ全体への管理体制強化にも注力する所存であります。
②生産体制
当連結会計年度末の受注残高は、75億8千9百万円(前連結会計年度末比43億3百万円減)であり、約7.3ヶ月分の生産量を繰越すこととなりました。
当社グループは、上記にも記載のとおり、新製品の柱となる各種の電気サーボモータ式振動試験機及び既存製品の生産体制を整えております。米国、韓国、中国の各連結子会社での生産体制も整っており、今後もグループ全体としてコストダウンの相乗効果を上げるためにも、各社の生産管理部門及びエンジニアリング部門の強化を行い、グループ全体として生産能力及び品質向上に向けて強化を図ると共に生産効率を高め、既存製品はもとより開発新製品の収益性の向上を図る所存であります。