有価証券報告書-第59期(平成29年9月1日-平成30年8月31日)

【提出】
2018/11/26 11:14
【資料】
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【項目】
108項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは「患者のためになり、医師の役に立つ製品の開発・生産・提供を通して世界の人々の幸福に貢献する」ことを理念に、専門的医療機器を開発から販売まで一貫して手掛け、広く世界に提供しております。更に「順法精神と独創技術を持ち将来利益を確保する」を経営基本方針に掲げて、将来利益の最大化に努めております。
(2) 目標とする経営指標
企業価値を増大するために、営業利益伸び率を重要と考えております。また、効率経営の指標として、売上高営業利益率、自己資本当期純利益率及び総資産経常利益率につきましても重要視しております。
(3) 経営環境及び対処すべき課題
高齢化の進展及び医療技術の高度化は医療費の急増をもたらすことから、先進各国では医療費抑制政策が次々と打ち出されております。これらの医療制度改革に対応すべく、医療機関では低侵襲化治療による入院日数の短縮化、電子カルテ等情報システムの整備、医療機器購買システムの採用等による経営の効率化や経費削減が推し進められ、医療機関のコスト意識はより一層高まっております。また、診断・検査機器の充実を図った高度医療機器導入による負担増が、かえって医療機関のコスト削減を迫っております。
医療機器業界におきましては、この影響を今後とも受け続け、国内外とも厳しい状況が続くものと考えられます。一方で感染症予防のための使い捨て化促進、ならびに新技術及び新製品出現による手術の適応拡大に伴う需要の拡大、さらに新興国市場においては、医療インフラの整備及び所得向上による需要の拡大も予想されます。
このような環境におきまして、当社グループは、今後も「世界一の品質」を経営の中核に据え、開発・生産・販売を行ってまいります。売上面については、開発・営業が一体となった「技術営業」をベースに、①新興市場のGDP増加、症例数増加に伴う医療機器分野での消耗品需要の増加、ならびに②先進市場における術式の変化及び手術の適応拡大に伴う新たな医療機器へのニーズの増大をより先鋭な方法で捕捉する施策を実施してまいります。
新興市場の当面のターゲットは、中国、インド、ASEANといったアジアの成長著しい巨大市場ですが、海外の販売拠点を通じて、地域に根差した販売・マーケティング活動を推進するとともに、現地ユーザーニーズの把握及び販売網の整備に努めてまいります。さらに「良い製品」による「良い術式・治療」を普及させることで新興国の医療の質向上に貢献し、偽ブランド品の根絶を図ってまいります。
一方、先進市場向けの売上拡大については、新製品の開発・投入により実現してまいります。先進市場でのKOLネットワークの構築に努めるとともに、既往技術に新技術を付加しつつ「微細加工技術」を先鋭化し、技術領域の拡大を目指してまいります。さらにドイツ子会社が有する技術を当社グループのコア技術とすべく、これまで以上に連携を強化し、Co-R&D(共同研究開発)による歯科分野での新製品開発を進めてまいります。
生産面については、各海外生産拠点に対する技術伝承を確実なものとし「世界一の品質」を揺るぎないものとするための体制を構築していく所存です。特にベトナム生産拠点であるMANI HANOI CO.,LTD.においては、新工場による製品の安定供給及び短納期化を実現するとともに、生産設備の自動化・省人化を進めることで生産効率を改善し、直接出荷地域・製品の拡大により原価低減を図ってまいります。この追加的な利益により、増加する開発コストやマーケティング戦略に要するコストを賄ってまいります。
一方、海外でのオペレーションの拡大に伴い、海外拠点におけるガバナンスや内部統制の強化、ひいてはグループ内のコミュニケーションの活性化を通じたグループとしての企業文化の共有・浸透も優先的な課題として認識し、積極的に取組んでまいる所存です。