有価証券報告書-第11期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/21 10:01
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【項目】
129項目

対処すべき課題

当社グループ及び当業界においては、「顧客ニーズの多様化」、「市場や環境変化への対応」、「グローバル規模での競争激化」など、対処すべき重要かつ長期にわたる課題が数多くあります。当社グループでは、中期計画に掲げた重点戦略により、これらの課題に迅速に対応してまいります。
(1) 各戦略ビジネスユニットを横断する課題
IP価値最大化への取り組み
当社グループでは、流通・メディアの寡占化やネットワークの普及、技術進化などの環境変化に対応するため、IPの創出・育成、獲得、活用の機能を強化してまいります。具体的には、グループの事業間連動や横断プロジェクトの推進などによりIP価値の最大化を追求するとともに、商品・サービス発のIP創出やグループ社員によるIP公募システムの活用を行ってまいります。また、他社IPとの取り組み強化のため、戦略的なIP関連投資を行ってまいります。さらに平成28年4月に当社に設置した組織「IP戦略本部」が中心となり、中長期的に「IP軸戦略」を強化すべく、グループを横断した戦略的な取り組みを行ってまいります。
CSR(企業の社会的責任)への取り組み
当社グループは、斬新な発想とあくなき情熱でエンターテインメントを通じた「夢・遊び・感動」を、世界中の人々に提供し続けることを企業理念としております。「夢・遊び・感動」を提供し続けるために、「環境・社会貢献的責任」、「経済的責任」、「法的・倫理的責任(コンプライアンス)」の3つの責任を果たすことを盛り込んだ、グループを横断する「CSRへの取り組み」を定めております。この基本方針のもと、「グループCSR委員会」とその分科会である「グループCSR部会」、さらには「グループリスクコンプライアンス委員会」、「グループ情報セキュリティ委員会」、「内部統制委員会」を開催するとともに、各種施策に取り組んでおります。
(2) 各戦略ビジネスユニットにおける課題
トイホビー戦略ビジネスユニット
当業界においては、「少子化による国内市場の縮小」、「顧客ニーズの多様化」などの課題があります。これらの課題に対応するため、国内において圧倒的No.1の地位確立を目指し、ターゲット層の拡大や新規事業の創出に取り組んでおります。また、今後も成長が見込まれるアジアにおける事業拡大に向け、IPラインナップや展開地域の拡大をはかっております。欧米市場においては、収益性の改善に向けた基盤づくりと主力IP展開の強化により、中期的な成長を目指してまいります。また、開発生産面においては、バリューチェーンの改革により、スピーディかつ価格競争力のある商品展開を進めてまいります。
ネットワークエンターテインメント戦略ビジネスユニット
当業界においては、「プラットフォームの多様化」、「ネットワークの進化」、「顧客ニーズの多様化」などの課題があります。これら課題に対応するため、既存の事業や商品・サービスの枠を超え、ネットワークを活用した新たなエンターテインメントの創出に取り組んでまいります。スマートフォン向けゲームアプリケーションなど、ネットワークコンテンツにおいては、新たなプラットフォームへの対応、海外展開の拡大をはかっております。家庭用ゲームソフトにおいては、技術の進化や各地域の顧客ニーズに対応したタイトルを展開してまいります。アミューズメント施設事業においては、当社グループならではの差異化された施設展開の強化、リアルとデジタルの融合による新たなエンターテインメントを提供することができる施設の企画に取り組んでまいります。これら各事業における施策を推進するため、開発面においては、技術進歩や環境変化に迅速に対応するための施策を推進するなど、開発環境の整備・向上を行ってまいります。
映像音楽プロデュース戦略ビジネスユニット
当業界においては、「顧客ニーズの多様化」、「IP創出における競争激化」などの課題があります。これらの課題に対応するため、映像や音楽のパッケージ販売に加え、ライブイベントやファンクラブビジネスなどのプロダクション型ビジネスの強化を行っております。また、IP創出においては、アニメーション作品などの企画開発及び制作にかかわる組織を、ハイターゲット向け作品と、キッズ・ファミリー向け作品に分けることで、作品のクオリティアップやグループ内の商品・サービスとの連携強化をさらに追求してまいります。また、パートナー企業とも積極的に連携を組み、IPの創出育成を強化してまいります。
(3) 会社の支配に関する基本方針
① 基本方針の内容
当社グループの企業価値
当社グループは、「世界で最も期待されるエンターテインメント企業グループ」をビジョンとして、エンターテインメントを通じた「夢・遊び・感動」を世界中の人々へ提供し続けることをミッションとしております。
一方、変化の速いエンターテインメント業界でグローバル規模の競争を勝ち抜くためには、強固な経営基盤を築くだけでなく、常に時代や環境の変化を先取りしたエンターテインメントを創造することが不可欠であり、ひいてはこれが当社の企業価値の向上に繋がるものと考えております。
したがって、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者のあり方を巡っても、当社の企業価値の向上に繋がるものであるか否かが考慮されなければなりません。
当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者のあり方
当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、以上のような当社グループの経営ビジョンやミッション及びその遂行を支えるコンテンツ等の経営資源、さらには当社に関わる様々なステークホルダーの重要性を十分理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に最大化させる者でなければならないと考えます。
したがって、当社の株式の大量取得を行おうとしている者が、おおむね次のような者として当社の企業価値を害する者である場合には、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては不適切であると考えます。
・企業価値を毀損することが明白な者
・買収提案に応じなければ不利益な状況を作り出し、株主に売り急がせる者
・会社側に判断のための情報や、判断するための時間を与えない者
② 取り組みの具体的内容
当社取締役会は、株主の皆様から経営を負託された者として、基本方針を実現するため、次のとおり取り組んでおります。
企業価値向上策
・中期計画の推進
平成24年4月より平成27年3月まで推進した中期計画では、「IP軸戦略」を核とした様々な戦略を推進しました。事業面では、各市場において地域特性に応じた施策を進めました。一定のシェアを獲得している日本は「基盤事業領域」と位置づけ、各事業の強みを発揮しさらなるシェアと収益拡大を目指しました。「収益回復領域」と位置づけた欧米地域では、収益回復を最優先に取り組み、収益の安定化を目指しました。「新成長領域」と位置づけたアジア地域では、各事業の展開を強化し、新たな事業や地域の柱として育成をはかりました。平成27年4月よりスタートした3ヵ年の中期計画では、前中期計画での成果と課題を踏まえ中期ビジョン「NEXT STAGE 挑戦・成長・進化」のもと、IPの世界観や特性を活かし、最適なタイミングで、最適な商品・サービスとして提供することでIP価値の最大化をはかる「IP軸戦略」をさらに強化します。それに加え、グローバル市場での成長に向け、成長の可能性が高いアジア地域への事業展開を強化します。これら中期計画に基づいた施策を推進し、環境やユーザー嗜好の変化が速い業界において安定的に収益をあげることができる基盤を強固なものとするとともに、エンターテインメント企業グループとして、次のステージを目指してまいります。
・コーポレートガバナンス体制の強化
当社は、主として戦略ビジネスユニットの主幹会社代表取締役社長が当社の取締役を兼任することにより、持株会社と事業会社、さらには事業会社間の連携を強化するとともに、グループとして迅速な意思決定を行っております。また、取締役のうち2名以上を独立社外取締役とすることで経営監督機能の強化をはかっております。
・経営効率化の推進
当社グループにおける事業再建基準を整備し、より迅速に事業動向を見極めるため、継続的なモニタリングの仕組みを強化するとともに、社内で定めた指標に基づき、事業の再生・撤退を迅速に判断しております。このほか、グループ全体の業務プロセスの標準化によりコスト削減をはかり、経営の効率化を推進しております。
・人材戦略の強化
当社グループでは、海外市場における事業成長を目指すため、グローバル人材の獲得・育成の仕組みを強化しております。また、積極的なグループ内人材交流などの制度を推進することで、人材の活性化をはかっております。
・CSR(企業の社会的責任)活動の強化
当社グループは、「夢・遊び・感動」をお届けする企業として、「環境・社会貢献的責任」、「経済的責任」、「法的・倫理的責任(コンプライアンス)」の3つの責任を果たすことを盛り込んだ、グループを横断する「CSRへの取り組み」を定め、各種CSR活動を推進しております。
・積極的なIR活動
当社は、金融商品取引法及び東京証券取引所の定める適時開示規則に沿って、情報開示を適時・的確に行っております。そして、株主の皆様に対し経営戦略や事業方針について、明確に伝える透明性の高い企業でありたいと考えております。そのため、会社説明会や決算説明会など、代表取締役社長をはじめとした経営者自身が、国内外の個人投資家・機関投資家及び証券アナリストなどに対し、直接語りかけていく場を充実すべく努力しております。
・積極的な株主還元策
当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要施策と位置づけており、当社グループの競争力を一層強化し、財務面での健全性を維持しながら、継続した配当の実施と企業価値の向上を実現していくことを基本方針としております。具体的には、安定配当額として年間24円を基本に、連結配当性向30%を目標に株主還元を実施してまいります。
さらに、配当控除後の利益については、保有資金額、業績動向、直近の株価の推移、大型投資案件の有無などを総合的に勘案したうえで、その一部を自己株式の取得に充当することを基本方針としております。
買収防衛策
当社は、現在のところ具体的な買収防衛策を導入しておりません。企業価値向上策に従って、経営戦略・事業戦略を遂行し、グループ企業価値を向上させることが、不適切な買収への本質的な対抗策であると考えるからです。
もっとも、株主の皆様から経営を負託された者として、今後、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切な者が出現する場合に備え、買収防衛の体制整備にも努めてまいります。
具体的には、万一不適切な買収者が現れた場合に、当該買収者による提案に対し、経営陣が保身をはかることなく、企業価値の向上を最優先した判断を下すことができる体制を構築してまいります。そして、新株予約権等を活用した買収防衛策についても、法令や社会の動向を注視しつつ、検討してまいります。