有価証券報告書-第94期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/18 14:23
【資料】
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【項目】
171項目

対処すべき課題

(1)経営の基本方針
当企業集団(当社および当社連結子会社)は、以下の方針を掲げ経営目標を達成すべく取り組んできました。
・お客様にとっての最適を追求すること。
・お客様の期待に応えられる柔軟性と力強さを備えた企業になること。
・分野と分野、あるいは業界と業界の交差点に立つことによって、お客様のイノベーションを促進する役割を担い、さまざまな業界をつなぐネットワークの中で、重要な結び目になること。
・複数の事業セグメントにわたって、それも単なる商社ではなく、時にはメーカーであったり、時にはコンサルタントであったりと、複数のレイヤーでビジネスを展開すること。
次にセグメント別の今後の重点施策についてご説明申しあげます。
<化学品関連事業>①国内における化成品販売については、既存顧客に対する取扱品目の拡大や、経営課題の解決につながる付加価値の高い提案により収益力の向上を図るとともに、新規エリア・分野の開拓による新規顧客獲得に努めてまいります。
②医薬品原薬については、既存のジェネリック医薬品向け原薬については、競争優位性のある品目に特化するとともに、パートナー企業との協業を推進し、より効率的な製品開発に努めてまいります。新薬・長期収載品向け原薬については、2020年度からの稼働に向けて、研究・品質管理棟および少量合成棟の新設工事を開始しており、供給体制の整備を着実に進めてまいります。
③機能性素材の受託製造については、当社ベトナム子会社Aureole Fine Chemical Products Inc.が保有する2つの工場を武器に、既存製品の供給エリア拡大を図るとともに、新規素材の探求や技術力の強化により新規ビジネスの発掘に努めてまいります。
④金属回収や触媒のリサイクルなどの環境ビジネスについては、既存ビジネスの横展開による販売エリアの拡大を図るとともに、新たなバリューチェーンの構築において、パートナー企業との連携を推進することにより、新規ビジネスの獲得を図ってまいります。
⑤ベトナムにおける化成品販売については、北部および南部双方において既存顧客のシェア拡大に努めるとともに、日系企業およびその他外資系企業を中心に新規顧客獲得に注力してまいります。さらに、保有設備の生産能力増強を図るとともに、自社製品の拡販にも努めてまいります。
<空調設備工事関連事業>①首都圏においては、一級建築士事務所としての幅広いソリューション提案を強みに受注拡大を図るとともに、住宅設備機器関連部門との協業によりオフィスビル等の元請・複合型リニューアル工事にも積極的に取り組んでまいります。
北陸地区においても、一級建築士事務所としてエンドユーザーの顔が見えるユーザーダイレクト提案活動に注力するとともに、地域に密着し当企業集団の総合力を活かした営業活動を展開することで受注獲得に努めてまいります。
②施工現場の人手不足や時間外労働の上限規制を見据えた施工現場の負荷低減と中長期的なリードタイムの短縮を目的として、ICTの活用により、施工現場からバックオフィスへの業務の移管ならびに現場業務と事務所業務のスピーディーな連携に貢献する施工管理業務システムの運用を推進してまいります。
③現場の事故防止および安全管理を担う当社安心安全推進本部が作成した「安全衛生テキストブック」は、施工現場からタブレット端末を用いて常に最新バージョンを閲覧できることが特徴です。この特徴を活かし、現場の品質管理・業務効率の向上を図るとともに、安全かつ効率的な施工体制を強化してまいります。
④当社ベトナムCAD設計・積算子会社Aureole Construction Software Development Inc.(以下、ACSD社と略します)では、3次元データによる建物の統括的な管理を可能にするBuilding Information Modelingに対応できる技術者の育成に取り組んでおります。ACSD社と当社BIM室および技術部門が連携し、従来は施工現場で担っていた設備の納まり等の検討業務を上流工程の設計に前倒しすることにより、施工現場にやさしい設計を実現してまいります。
また、昨年12月には、ベトナム南部のホーチミン本社、北部のハノイ支店に続き、中部にフエ支店を設置しました。優秀な学生の採用・定着につなげ、BIM/CIM※業務を中心に事業の強化を図ってまいります。
※「BIM/CIM」とは、「Building Information Modeling」および「Construction Information Modeling」の略称で、建物の建築および土木分野のインフラ等の建設において、コンピュータ上に作る仮想3Dモデルにさまざまな属性情報を付加する設計手法です。施工業務の効率化や円滑な保守・メンテナンスサービスの実現が期待されます。
<情報システム関連事業>①クラウド関連事業は、当社子会社コンフィデンシャルサービス㈱を軸に、顧客課題に対応した独自サービスの創出を図ってまいります。さらに、情報セキュリティ格付「AAAis(トリプルA)」の8年連続取得に加えて、「金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準(FISC安全対策基準)」の適合証明を取得したIDC(インターネットデータセンター)を最大限に活用するとともに、パートナー企業との連携強化を図り受注拡大に努めてまいります。
②「POWER EGG®」は、品質向上に努めるとともに競争力のある製品・サービスを継続的に提供すべく、AIなどの新技術への対応を図ってまいります。さらに、パートナー企業との協業のもと、企業が目指す「働き方改革」を切り口に民間企業や金融機関など様々な業種へのアプローチを推進するとともに、当社ベトナム子会社Aureole Information Technology Inc.(以下、AIT社と略します)を軸としたベトナムでの新規顧客の獲得に注力してまいります。
③オフショア開発は、AIT社において、システムインテグレーション、「POWER EGG®」および当企業集団の社内システム開発のスピード化とコストダウンに貢献してまいります。さらに、パートナー企業と連携し日本企業からのオフショア開発案件に注力する一方で、ベトナム現地日系企業からのシステム開発案件の受注拡大に努め、新たな付加価値を創造しベトナムにおけるブランド力の向上を図ってまいります。
本年4月には、首都圏を拠点に「POWER EGG®」の販売やシステムインテグレーションサービスを展開する当社ICTソリューション事業部が、大阪府に西日本支店を新たに設置し営業を開始いたしました。今後、西日本地区におけるお客様へのサポート体制を拡充するとともに、さらなる事業拡大に向けて営業活動を強化してまいります。
<樹脂・エレクトロニクス関連事業>①自動車メーカーの新興国展開により、車載製品の現地調達率向上への取り組みが強化されるとともに、性能・品質・コストへの要求も一層高まっており、競争環境はより厳しくなっていくことが想定されます。このような中、生産効率の向上を図るべく、広島・ベトナムのトライアルセンターでの生産準備活動の徹底による「良品しかつくれない製造工程」を構築するとともに、金型製造のさらなる内製化によるコスト削減ならびに量産工程の自動化を進めてまいります。また、自社製品の研究開発にも取り組み、受託製造のみならず自社仕様の提案力強化に取り組んでまいります。
②自動車関連ビジネスでは、Connected(つながる)、Autonomous(自律走行)、Shared(共有)、Electric(電動)の「CASE」が4大トレンドとなってきております。各自動車メーカーや部品メーカーは「CASE」への対応を図っており、より一層電子部品の需要が増大していくと考えられます。そのような中で、樹脂成形品に電子製品を組み合わせた複合ユニット製品に加え、樹脂成形品に金属部品を挿入した高圧部品の生産体制構築にも取り組んでまいります。
なお、2017年に取得した連結子会社であるFujitsu Computer Products of Vietnam, Inc.(以下、FCV社と略します)を通じて、この2年間で富士通グループとの技術・人材両面での交流を積極的に進めてきました。その結果、当社グループにおいてもユニットビジネスに対する知見を深めることができ、一定の成果が得られたことから、本年3月には当社のFCV社への出資持分50.001%すべてを富士通㈱に譲渡しております。今後も富士通グループとの幅広い連携を強めユニットビジネスの推進に取り組んでまいります。
<エネルギー関連事業>①産業用燃料は、引き続き元売り会社との緊密な連携を図って、新規顧客獲得および既存顧客への増販策を展開するとともに、環境・省エネ改善をキーワードとした燃料転換および機器設備の拡販を推進してまいります。
②民生用LPガスは、引き続き集合住宅の新規顧客獲得を進めるべく、福井エリアでの新規顧客の開拓に取り組むとともに、ハイブリッド給湯器や太陽光発電を組み合わせた付加価値提案による戸建ての新規顧客獲得に一層注力してまいります。また、ガス関連機器にとどまらず、空調設備工事および水廻りリフォーム工事をもワンストップで提供する取り組みを推進するとともに、技術サービス部門の技術力・営業力の強化にも取り組んでまいります。
<住宅設備機器関連事業>①首都圏において、当社子会社㈱インフィルは、一級建築士事務所として永年培ってきたディベロッパー、ゼネコンおよび設計事務所との信頼関係を武器に、非住宅の新築・リニューアル案件獲得に努めるとともに、空調設備工事関連部門との協業のもと、空調・給排水衛生設備工事の案件を発掘し、事業間シナジーを高めてまいります。また、オーダーメイドキッチン・洗面化粧台・システム収納等、当社グループが培ってきたモノづくりへのこだわりを体感できる東京ショールームや国内外の各種展示会を活用した高級マンション・戸建て住宅への営業活動を推進し、「AQUA」や「Daysy®」などのオリジナル製品の拡販に努めるとともに、さらなる新製品開発にも注力してまいります。㈱インテンザは、本年4月に新たに東京都新宿区にショールームをオープンさせ、ユーザーの使いやすさを追求したオリジナルキッチン「A'dress®」を中心に展示するなど、『INTENZA』ブランドの認知度向上に努めてまいります。
②北陸地区において、当社子会社三谷産業コンストラクションズ㈱は、空調設備工事および住宅設備機器の複合提案を推進するとともに、空調機器メーカー・住宅設備機器メーカーとの協業による案件発掘に努めてまいります。さらに、「暮らし快適サポート隊」を軸にエンドユーザー向け住環境丸ごとサービスの提供や、お客様にとって最適な住宅リフォームを提案する地域密着型サービス『ラクだ』ブランドの浸透を図ってまいります。
また、昨年11月には「イオンタウン金沢示野」に『ラクだ』初の店舗をオープンしました。これまでのサービス展開に加え、店舗型サービスを提供することで、個人のお客様それぞれの課題をより深くヒアリングし、お客様にとってのメリットをより具体的に感じていただけるようなご提案を行ってまいります。