有価証券報告書-第20期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/22 12:33
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【項目】
155項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染者数が断続的に増減を繰り返す中、行動制限の緩和による社会・経済活動正常化の動きが見られ、景気は緩やかな回復局面にある一方で、ロシアによるウクライナ侵攻等に起因したエネルギーや穀物等の価格上昇、為替相場の円安基調等の影響もあり、先行きは依然として不透明な状況にあります。
当社グループの主要顧客である外食産業では、上記の通り新型コロナウイルス感染が収まりつつある中で需要が持ち直す傾向にあるものの、回復の足取りは業態ごとにばらつきが見られ、本格的な復調までには今しばらく時間を要する見通しです。加えて、資源価格や原材料価格の高騰、物流費や人件費の上昇等の影響等もあり、厳しい事業環境が続いています。
このような状況の中、当社グループにおきましては、引き続き従業員やお取引先様等の感染防止を最優先としながらも、2021年5月に発表しました第四次中期経営計画「Transformation 2024」での基本方針のひとつである「事業ポートフォリオの変革」として取引業種の裾野拡大を推進し、新たなお取引先様ニーズへの積極的な対応を進めてまいりました。
また、中期経営計画におけるその他の基本方針である「青果物流通インフラの構築」、「サスティナビリティ経営の推進」につきましても、物流拠点新設計画の具体化やフードロスの低減、次世代人材の育成を目的とした人的資本投資の強化など、それぞれの施策を推し進めております。さらに、消費者向けミールキットを手掛ける楽彩株式会社、デリカフーズ長崎株式会社を中心に、BtoC事業の拡充も推し進め、着実に成果も上がっている状況です。
一方、仕入・在庫の厳格管理、廃棄ロスの削減、人員配置・物流の最適化などの効率運営を継続的に図り、収益体質の強化にも努めています。加えて、お取引様への丁寧な説明を実施した上での売価改善の効果もあり、一部の輸入商材の高騰や原材料価格の上昇を受けた諸経費の上昇などの影響はありましたが、収益力の改善が顕著になってきております。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は過去最高の47,925百万円(前期比20.5%増)となりました。また、利益につきましても、営業利益は635百万円(前期は397百万円の営業損失)、経常利益は769百万円(前期は242百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は702百万円(前期は746百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)と前年対比で大きく回復しております。全項目とも黒字転化を果たしたのみならず、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益とも通期で過去最高益を更新し、コロナ禍の克服を果たしております。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
青果物事業
当セグメントの売上高は、新型コロナウイルスの影響が一部見られたものの、外食需要が徐々に戻りつつあることに加え、「事業ポートフォリオの変革」を推進し新規・深耕の営業活動で顧客の裾野拡大を図った結果、売上高は47,348百万円と前期比8,024百万円(20.4%)の増収となりました。当セグメントの利益につきましては、増収効果のほか、引き続き徹底した効率化等の施策を講じながら売価の改善にも注力したことで、セグメント利益(経常利益)は715百万円(前期は322百万円のセグメント損失(経常損失))となりました。
物流事業
当セグメントの売上高は、主要な荷主であるデリカフーズ株式会社の売上高が順調に推移し、加えてグループ以外への販売も強化したことから、3,779百万円と前期に比べ372百万円(10.9%)の増収となりました。セグメント利益(経常利益)は、コース集約などで効率化に努めたことから38百万円と前期に比べ23百万円(156.6%)の増益となりました。
研究開発・分析事業
当セグメントの売上高は、大手企業からの検証試験の受注など受託分析事業や公的補助事業にて売上が増加、定期コンサルティングの増加などコンサルティング事業も順調に推移しましたが、グループ内の研究委託の減少などから、99百万円と前期と比べ5百万円(5.2%)の減収となりました。また、セグメント損失(経常損失))は、人員増等による人件費増加の影響が大きく、10百万円(前期は9百万円のセグメント利益(経常利益))となりました。
持株会社
当セグメントの売上高は、658百万円と前期と比べ61百万円(10.3%)の増収となりました。セグメント利益(経常利益)は、103百万円と前期と比べ47百万円(31.5%)の減益となりました。
② 生産、受注及び販売の実績
a.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称仕入高(千円)前年同期比(%)
カット野菜部門8,746,3948.8
ホール野菜部門13,543,74119.8
その他6,265,42635.4
青果物事業計28,555,56219.1
物流事業
研究開発・分析事業
持株会社
合計28,555,56219.1

(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.「その他」は野菜外商品(卵、豆腐、冷凍食品等)の仕入高、委託販売先を通じた仕入高等であります。
b.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
カット野菜部門21,689,98315.4
ホール野菜部門18,680,46527.6
その他6,977,78118.6
青果物事業計47,348,23020.4
物流事業488,80528.1
研究開発・分析事業88,2474.1
持株会社
合計47,925,28320.5

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.「その他」は野菜外商品(卵、豆腐、冷凍食品等)の販売高、委託販売先を通じた販売高等であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等は、以下のとおりであります。
・経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は47,925百万円となり、前連結会計年度の39,788百万円に対し、8,137百万円の増収(前期比20.5%増)となりました。
当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の発出など社会活動の制限が続く中で、当社グループの属する食品関連業界におきましても、休業や営業の短縮を強いられた飲食店等では需要の低迷が続いた一方、巣ごもり消費を背景に、大手量販店・食品スーパー等家庭内消費中心の業態や外食産業でもテイクアウト中心の業態等は比較的底堅い推移をしました。
当社グループにおきましては、仕入・在庫の厳格管理、廃棄ロスの削減、物流ルート再編による効率化を図る一方で、新規・深耕の営業活動を推進し、テイクアウト、ドライブスルー、宅配・デリバリー、専門店等のコロナ禍に強い業態や、既存外食以外の中食、小売・量販、給食等への拡販に注力いたしました。
(売上総利益)
売上原価は、前連結会計年度の30,746百万円に対し、5,474百万円増加(同17.8%増)の36,220百万円となりました。また、売上総利益は前連結会計年度の9,041百万円に対し、2,663百万円増加(同29.5%増)の11,704百万円となりました。これは主として、売上高の増加によります。
(営業利益)
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度の9,439百万円に対し、1,630百万円増加(同17.3%増)の11,069百万円となりました。これは主として、売上高の増加に伴う人件費・物流費・その他の経費の増加によります。その結果、前連結会計年度の営業損失397百万円に対し、1,033百万円改善し営業利益635百万円となりました。
(経常利益)
営業外収益は、前連結会計年度の217百万円に対し、31百万円減少(同14.3%減)の185百万円となりました。これは主として、助成金収入が減少したこと等によります。営業外費用は、前連結会計年度の62百万円に対し、10百万円減少(同16.3%減)の52百万円となりました。これは主として、持分法による投資損失が減少したこと等によります。その結果、前連結会計年度の経常損失242百万円に対し、1,012百万円改善し経常利益769百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益は、補助金収入117百万円を計上したこと等により134百万円となり、特別損失は、固定資産圧縮損111百万円や減損損失33百万円を計上したこと等により165百万円となりました。その結果、前連結会計年度の税金等調整前当期純損失478百万円に対し、1,216百万円改善し税金等調整前当期純利益738百万円となりました。
税効果会計適用後の法人税等の負担額は、前連結会計年度の268百万円に対し、232百万円減少の36百万円となりました。その結果、前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失746百万円に対し、1,449百万円改善し、親会社株主に帰属する当期純利益702百万円となりました。
・財政状態の分析
(流動資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ20.1%増加し、11,485百万円となりました。これは、主として、現金及び預金が964百万円、売掛金が832百万円増加したことなどによります。
(固定資産)
固定資産は、前連結会計年度末に比べ0.0%増加し、13,381百万円となりました。これは、主として、建設仮勘定が120百万円、リース資産が117百万円減少した一方、建物及び構築物が149百万円、投資有価証券が81百万円増加したことなどによります。
これらの結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べて8.4%増加し、24,866百万円となりました。
(流動負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ11.9%増加し、8,919百万円となりました。これは、主として、買掛金が332百万円、未払金が327百万円、未払法人税等が180百万円増加したことなどによります。
(固定負債)
固定負債は、前連結会計年度末に比べ5.8%減少し、8,231百万円となりました。これは、主として、長期借入金が311百万円、繰延税金負債が135百万円減少したことなどによります。
これらの結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ2.6%増加し、17,151百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ23.7%増加し、7,715百万円となりました。これは、主として、利益剰余金が628百万円、資本剰余金が398百万円、資本金が395百万円増加したことなどによります。
・キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、5,218百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,009百万円増加しました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの内容は概ね次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,695百万円の収入(前期は857百万円の収入)となりました。これは主に、売上債権の増加額830百万円、補助金収入117百万円、棚卸資産の増加額103百万円があったものの、減価償却費967百万円、税金等調整前当期純利益738百万円、仕入債務の増加額332百万円、未払金の増加額325百万円、補助金の受取額174百万円、固定資産圧縮損111百万円などがあったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、976百万円の支出(前期は1,102百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出954百万円などがあったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、289百万円の収入(前期は140百万円の収入)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出1,408百万円、リース債務の返済による支出167百万円、短期借入金の純減額130百万円があったものの、長期借入れによる収入1,280百万円、株式の発行による収入790百万円などがあったことによるものです。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入れを基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入れを基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は11,607百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は5,218百万円となっております。