有価証券報告書-第80期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

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2016/06/29 13:38
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対処すべき課題

次期におきましては、世界経済の先行きの不透明感が続く一方で、個人の価値観や購買行動はますます多様化することが想定され、今後も変化への迅速な対応が求められる経営環境が続くと予想しております。
このような状況のなか当社グループでは、これまでの中期経営計画でめざしてまいりましたROE目標6%以上を1年前倒しで達成したことから、新たに平成32年度を最終年度とする中期経営計画を策定いたしました。グループの経営資源を有効活用し、最終年度のROE10%以上、ROIC(投下資本利益率)4%以上、EPS(1株当たり当期純利益)130円以上を目標に、さらなる企業価値向上に取組んでまいります。
また、当社グループでは、従来、提供する商品、サービス等により「小売・店舗事業」「カード事業」「小売関連サービス事業」の3事業を報告セグメントとしてまいりましたが、平成28年度より、店舗・オムニチャネル・プラットフォームを中心とした「小売事業」と、金融・サービス・ITを中心とした「フィンテック事業」の2事業に再編成いたします。
小売事業では、SC型の新しい「マルイ」と「モディ」の2つのストアブランドの展開により、従来の仕入販売を中心としたビジネスモデルからの転換をさらに推進し、多様化するお客様のライフスタイルニーズにお応えしてまいります。
具体的な取組みとして、4月には、お客様・お取引先様との共創活動により創り上げた「博多マルイ」をオープンいたしました。コミュニティサイトやお客様企画会議に延べ1万人を超えるお客様にご参加いただき、店づくりのポイントやフロア構成、品揃えに対し、お客様と一緒に多くのアイディアや想いを積み重ねてまいりました。「自分にピッタリがみつかるお店」をコンセプトに、お客様のニーズが多い飲食とサービスのテナントを充実させ、従来の百貨店型でもなくSCでもない、男女年代を越え気軽に立ち寄れる新しいタイプの店づくりにより開店以来好調に推移しております。
既存店舗につきましても、定期借家契約によるSC型の店づくりを加速させてまいります。2館体制で運営しております静岡店、柏店の2店舗については、「マルイ」と「モディ」へのリニューアルに着手いたしました。食品テナント、雑貨、サービステナントなどのカテゴリーの充実をはかり、地元のお客様のご要望にお応えしてまいります。
また、好評をいただいておりますレディスシューズのPB商品につきましては、当社独自のオムニチャネルを活かし、カード・Webと連携した体験イベント型ストアを全国の商業施設で展開してまいります。お客様の利便性や試着のご要望などに対応するオムニチャネル戦略に本格的に取組んでまいります。
次に、フィンテック事業では、エポスカードのお申込みや発行、安心してご利用いただくためのセキュリティなどあらゆる場面でITとカードの融合を進化させてまいりましたが、今後はさらなる技術革新により利便性向上や金融の新たなサービスをご提供することで、会員数の拡大とご利用率・ご利用額の向上をはかり、事業基盤の強化をすすめてまいります。
会員数の拡大では、丸井店舗での入会促進とともに、カード発行拠点の全国展開に向け、新規の提携先企業・施設の開拓を引き続き強化してまいります。特に、当社グループの強みである小売とカードのノウハウを併せ持つ人材が活躍できる商業施設との提携を拡大してまいります。4月には北海道最大級のアウトレットモール「千歳アウトレットモール・レラ」との新しい提携カード「Reraエポスカード」の発行をスタートし、北海道エリアに初進出いたしました。あわせて、テレビCMによるプロモーションによりお客様の認知度を高め、Webサイトからの入会を拡大し全国での新規会員を拡大してまいります。また、会員サービスのさらなる充実に向け、会員優待キャンペーン「エポスカードウィークス」の取組みを進化させてまいります。さらに、当社グループの持つクレジットの与信ノウハウを活かし、家賃保証事業などのサービス事業を拡大し、ROICの向上に努めてまいります。
最後に、当社グループでは、平成32年度を最終年度とする中期経営計画にもとづき、事業で創出されるキャッシュ・フローを有効活用し、成長投資と株主還元を強化してまいります。配当につきましては、幅広い株主の皆様、中長期に株式保有してくださる皆様のご期待にお応えするため配当方針を見直し、従来目安としておりました連結配当性向30%以上を40%以上に引き上げ、継続的な配当水準の向上に努めてまいります。また、自己株式の取得につきましては、キャッシュ・フローの状況等を総合的に勘案し、資本効率と株主利益の向上に向けて適切な時期に実施してまいります。なお、取得した自己株式につきましては、原則として消却する予定です。
以上のように、中期経営計画を踏まえたグループ戦略を展開し、より一層の企業価値の向上につとめてまいります。
(株式会社の支配に関する基本方針)
1. 当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方としては、当社の企業価値および株主共同の利益を確保し、向上させる者が望ましいと考えております。
また、当社の企業価値および株主共同の利益を向上させていくためには、当社の企業理念や経営資源に関する十分な理解、中長期的な視点に立った安定的な経営が不可欠であると考えております。
現在、当社は、小売業界における厳しい競争の中、企業価値および株主共同の利益を確保し、向上させるため、全力で取組んでおりますが、わが国の資本市場においては、ある程度の法的な整備がおこなわれたとはいえ、対象となる会社の経営陣と十分な協議や合意のプロセスを経ることなく、一方的に大量の株式を取得する行為がおこなわれることも十分あり得ると判断しております。
もとより、当社は、上場会社である以上、当社株式の売買は、株主や投資家の皆様の自由な判断においてなされるのが原則であり、当社株式の大量取得行為がおこなわれる場合においても、これに応じるべきか否かの判断は、最終的には株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えております。従いまして、当社の企業価値および株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。
しかしながら、株式の大量取得行為の中には、その目的からみて、真摯に合理的な経営をめざすものではなく、会社に回復し難い損害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれのあるもの、対象会社の株主や取締役会がその条件などについて検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提示するための十分な時間や情報を提供しないものなど、対象会社の企業価値および株主共同の利益に資さない取得行為がおこなわれる可能性も否定できません。
当社は、このような買収者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として適当ではないと判断いたします。
2.基本方針の実現に資する取組みの内容
① 当社の企業価値および株主共同の利益を確保し、向上させるための取組み
当社グループは、「お客様のお役に立つために進化し続ける」「人の成長=企業の成長」という企業理念にもとづき、小売・店舗、カード、小売関連サービスの3事業を通して「若々しいマインドを持つすべての人のライフスタイルを応援する」企業グループです。また、事業を通じて、株主の皆様をはじめ、お客様、お取引先の皆様、地域社会の皆様の「お役に立てる」ことに最大の価値を置き、より一層信頼される企業グループをめざしてまいります。
具体的な取組みにつきましては、前記「1 業績等の概要 (1) 業績」および「3 対処すべき課題」に記載しております。
② 社会的責任への取組み
当社は、株主の皆様、お客様、お取引先の皆様、地域社会の皆様、そして従業員からも信頼される企業グループであり続けることをめざしております。そのため、常にお客様の視点に立った商品・サービスを提供することはもとより、安全で安心な営業体制の確立や個人情報保護など法令・ルールの遵守、環境保全をはじめとしたさまざまな社会貢献活動の実施など、積極的に社会的責任を果たすべく取組みを推進してまいりました。今後も、ますます高度化される社会的責任への要求にお応えすることを通じて、さらに企業価値の向上をはかってまいります。
③ コーポレート・ガバナンス強化への取組み
当社では、健全で公正な経営を第一に、長期安定的に企業価値および株主共同の利益を向上させていくことをコーポレート・ガバナンスの基本的な考え方として、監査機能の強化と透明度の高い経営を推進するとともに、経営の透明性・公正性をより一層高めるため、取締役の任期短縮、社外取締役の複数選任などをおこなってまいりましたが、今後もより一層のコーポレート・ガバナンスの充実につとめてまいります。
3.不適切な者によって支配されることを防止する取組み
当社は、前記「2.基本方針の実現に資する取組みの内容」に記載した取組みを基本として、当社の企業価値および株主共同の利益の最大化を追求してまいる所存でございますが、企業価値および株主共同の利益に資さない株式の大量取得行為がおこなわれる可能性を否定できないと考えております。そこで、当社取締役会は、そのような行為を抑止するため、平成26年5月13日開催の取締役会において、当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)を従前のものから実質的な変更をおこなうことなく、更新すること(更新後のプランを、以下「本プラン」といいます。)を決議し、平成26年6月26日開催の第78回定時株主総会において、株主の皆様のご承認をいただきました。
これは、当社株式の大量取得行為がおこなわれる場合に、株主の皆様が適切な判断をするために、あるいは当社経営陣や独立委員会等が買収者と交渉・協議するために、必要・十分な情報と時間を確保することにより、当社の企業価値および株主共同の利益を確保し、向上させることを目的としております。
本プランは、(a)当社が発行者である株券等について、保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付、または、(b)当社が発行者である株券等について、公開買付けに係る株券等の株券等所有割合およびその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付け(以下「買付等」といいます。)を対象とします。
当社の株券等について買付等がおこなわれる場合、当該買付等をおこなおうとする者(以下「買付者等」といいます。)には、買付内容等の検討に必要な情報および本プランを遵守する旨の誓約文言等を記載した書面を当社取締役会に対して事前に提出していただきます。その後、買付者等から提供された情報や当社取締役会からの意見およびその根拠資料や代替案が、独立性の高い社外取締役および社外監査役によって構成される独立委員会に提供され、その評価、検討を経るものとします。独立委員会は、必要に応じて、独立した第三者(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家を含みます。)の助言を得た上、買付等の内容の評価・検討、当社取締役会の提示した代替案の検討、直接または間接に買付者等との交渉、株主の皆様に対する情報開示等をおこないます。
独立委員会は、買付者等が本プランに定められた手続を遵守しなかった場合、その他買付等の内容の検討の結果、当該買付等が当社の企業価値および株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのある買付等である場合など、本プランに定める要件のいずれかに該当すると認めた場合には、当社取締役会に対して、新株予約権の無償割当てを実施することを勧告します。
当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重して新株予約権の無償割当ての実施または不実施等に関する会社法上の機関としての決議をおこなうものとします。また、当社取締役会は、独立委員会の新株予約権の無償割当てを実施すべき旨の勧告を尊重し、新株予約権の無償割当ての実施を決議した場合には、株主総会を招集し、株主の皆様の意思を確認します(ただし、買付者等が本プランに定められた手続を遵守しない場合を除きます。)。
本プランの有効期間は、平成26年6月26日開催の第78回定時株主総会終結の時から平成29年6月に開催予定の定時株主総会終結の時までとなっております。ただし、有効期間の満了前であっても、当社の株主総会において出席した議決権を行使することができる株主の皆様の議決権の過半数をもって本プランを廃止する旨の決議がおこなわれた場合、または、当社の株主総会で選任された取締役で構成する取締役会により本プランを廃止する旨の決議がおこなわれた場合には、本プランはその時点で廃止されるものとします。
本プランは、上記更新時において新株予約権の無償割当てをおこなうものではありませんので、更新自体によって株主の皆様の権利・利益に直接具体的な影響は生じておりません。他方、新株予約権の無償割当てがおこなわれた場合、株主の皆様が新株予約権の行使および行使価額相当の金銭の払込をおこなわなければ、他の株主の皆様による新株予約権の行使により、その保有する当社株式の価値が希釈化されることになります(本プランに定められたところに従い、当社が非適格者以外の株主の皆様から新株予約権を取得し、それと引き換えに当社株式を交付することとした場合を除きます。)。また、一旦新株予約権の無償割当ての実施が承認された場合であっても、本プランに定められたところに従い、当社が新株予約権の無償割当てを中止し、または新株予約権を無償にて取得することとした場合には、当社株式の1株当たりの価値の希釈化は生じませんので、かかる希釈化が生じることを前提にして売買をおこなった株主の皆様は、当社株式の株価の変動により相応の損害を被る可能性があります。
その他、本プランの詳細につきましては、当社ホームページに掲載の平成26年5月13日付「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)の更新について」をご参照ください。
(http://www.0101maruigroup.co.jp/pdf/settlement/14_0513/14_0513_2.pdf)
4.具体的取組みに対する当社取締役会の判断およびその理由
前記「2.基本方針の実現に資する取組みの内容」および「3.不適切な者によって支配されることを防止する取組み」は、いずれも当社の企業価値および株主共同の利益を確保し、向上させる目的をもって導入されたものであり、当社の基本方針に沿うものであります。特に、本プランは、株主総会で承認を得て更新されたものであること、合理的かつ客観的要件が設定されていること、独立性の高い社外取締役および社外監査役によって構成される独立委員会の判断を重視すること、独立委員会は第三者専門家の助言を得ることができること、当社取締役の任期は1年であり、毎年の取締役の選任を通じても、本プランにつき、株主の皆様のご意向を反映させることが可能なこと、当社株主総会または取締役会により、いつでも廃止することができることなどにより、公正性・客観性が担保されており、当社の企業価値および株主共同の利益を損なうものではなく、当社取締役の地位の維持を目的とするものではありません。