有価証券報告書-第64期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/22 11:18
【資料】
PDFをみる
【項目】
149項目
当社グループは、スーパーマーケット事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載しておりません。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
イ 財政状態
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ24,609百万円増加し、269,121百万円となりました。これは主に、現金及び預金、新規出店・既存店の改装等に係る投資により有形固定資産が増加したためであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ12,021百万円増加し、152,495百万円となりました。これは主に、借入金及び流動負債のその他に含まれている未払金が増加したためであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ12,588百万円増加し、116,625百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したためであります。
ロ 経営成績
当社グループは、新規出店や既存店売上高の増加に伴う売上高増加に対して、販売費及び一般管理費増加の抑制に努めた結果、当連結会計年度における売上高は487,189百万円(前期比10.2%増)、営業利益は22,458百万円(同13.0%増)、経常利益は22,211百万円(同13.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は14,593百万円(同17.1%増)となりました。なお、当連結会計年度は第9次中期経営計画の最終年度となりますが、数値目標(売上高:4,550億円、経常利益:180億円)は達成しております。
次期より、「『2割強い店づくり』の実現」をテーマに掲げた第10次中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)がスタートします。グループ全体で「価格対応」に注力することで、売上高5,156億円、経常利益238億円の達成に向けて取り組んでまいります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ7,741百万円増加し、32,080百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は26,896百万円(前期比2,322百万円減)となりました。これは主に、法人税等の支払があったものの、税金等調整前当期純利益及び減価償却費を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は23,345百万円(前期比1,353百万円増)となりました。これは主に、新規出店・既存店改装に係る投資による支出があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は4,191百万円(前期比2,772百万円増)となりました。これは主に、長期借入金の借入によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、スーパーマーケット事業の単一セグメントであるため、部門別に販売及び仕入の状況を記載しております。
(販売実績)
部門別前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
売上高(百万円)構成比(%)売上高(百万円)構成比(%)前期比(%)
生鮮食品155,83235.2175,31936.0112.5
デリカ食品52,19211.855,59211.4106.5
加工食品124,27728.1134,28627.6108.1
日配食品90,74220.5101,97620.9112.4
住居関連18,1114.120,0144.1110.5
専門店1,0650.2---
合計442,220100.0487,189100.0110.2

(注)1 総販売実績に対し、10%以上に該当する販売先はありません。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度から適用しております。なお、収益認識会計基準第89-2項に定める経過的な取扱いに従って、前連結会計年度について新たな表示方法により組替えを行っておりません。
(仕入実績)
部門別前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
仕入高(百万円)構成比(%)仕入高(百万円)構成比(%)前期比(%)
生鮮食品114,84235.4129,71636.1113.0
デリカ食品25,9288.027,2677.6105.2
加工食品99,70530.7109,23930.4109.6
日配食品68,67521.276,92521.4112.0
住居関連14,2164.415,7394.4110.7
専門店9670.3---
合計324,335100.0358,887100.0110.7

(注)1 上記の金額は、実際仕入額によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度から適用しております。なお、収益認識会計基準第89-2項に定める経過的な取扱いに従って、前連結会計年度について新たな表示方法により組替えを行っておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ 経営成績の分析
当期は第9次中期経営計画(2019年3月期~2021年3月期)の最終年度にあたります。
当社グループは「『豊かで楽しい食生活』を提案するグループとして、圧倒的なNo.1になること」を掲げ、企業価値の創造と持続的な成長に向け取組んでまいりました。
当社は、「ミールソリューションの充実」と「価格コンシャスの強化」を基本方針とし、第9次中期経営計画においては、「『ヤオコーウェイ』の確立」をメインテーマに、「『チェーン』を強くする構造改革」、「商圏内シェアアップ(1km商圏シェアアップ)」を優先課題とし、「商品・販売戦略」、「運営戦略」、「育成戦略」、「出店・成長戦略」の4つの戦略に対して、各々のアクションプランを実行しました。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、国内外のマクロ経済活動は大きく低迷しました。しかしながら、当社グループは、新型コロナウイルス感染症に対して、「地域のライフラインとして可能な限り通常どおり営業を継続すること」を基本方針として取り組み、「外出自粛」や生活様式の変化の影響を受け、「巣ごもり需要」が発生した結果、お客さまの買い上げ点数が大きく増加しました。
[商品・販売戦略]
商品面につきましては、当社の独自化・差別化につながる品揃えを実現するべく、ミールソリューションの充実に注力いたしました。「Yes!YAOKO」などプライベートブランドについては、新規商品をリリースしました。
販売面につきましては、頻度品を中心とする価格政策を見直すなどEDLP(常時低価格施策)を拡充し、「価格コンシャス」を強力に推進しました。また、当期は創業130周年に該当し、販売促進面では記念企画を実施するとともに、カテゴリー割引の期間延長など店舗での混雑緩和のため、販促企画の見直しを実施しております。
[運営戦略]
デリカ・生鮮センターを積極的に活用することで、店舗の生産性向上と「製造小売り」としての利益創出を両立させることができました。
店舗の什器など省力化を目的とした投資を行うとともに、サポートセンター(本社)における業務削減を進めた結果、来期の出店計画などを踏まえ、一部の社員を店舗勤務に配置転換しました。
また、新型コロナウイルス感染症対策として、当社の店舗営業では、店内一部設備の使用中止、惣菜・ベーカリー部門のバラ売り販売中止、お客さま用アルコール消毒液の設置、ソーシャルディスタンスの実施などに取り組んでおります。安全対策としては、社員の健康チェックの実施、手洗い及びアルコール消毒の徹底、マスク着用、レジ部門での透明フィルムの設置などの対応を実施しております。このような状況のもと、社員が心と体を休められるよう、創業以来初めて、日曜日(9月13日)と1月3日は、一部の店舗を除き臨時休業いたしました。
[育成戦略]
カイゼンと並行して、働き方に対する意識改革、労働環境を改善する取組みを継続いたしました。特に、改正労働基準法の施行に対応した、休暇を取得しやすい勤務制度の整備・活用、「同一労働同一賃金」への対応を進めました。
当社は社員の健康増進に向けた取組みを継続しており、3年連続して「健康経営優良法人2021(ホワイト500)」の認定を受けました。
[出店・成長戦略]
新規出店として、6月に所沢有楽町店(埼玉県所沢市)、7月に桶川上日出谷店(埼玉県桶川市)、まるひろ南浦和店(埼玉県さいたま市)、11月に古河大堤店(茨城県古河市)、3月に蕨錦町店(埼玉県蕨市)を開設し、経営資源の効率化の観点から9月末で2店舗を閉店しております。 既存店の活性化策としまして、従来の計画から4店舗を追加し、3月末までに10店舗の大型改装を実施しました。このうち、所沢北原店の大型改装については、大型店の新しいモデルを確立すべく、社内でプロジェクトチームを設置して取り組んできました。なお、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、一部の新規出店・改装実施の時期に影響が出ております。
店舗を拠点とするヤオコーネットスーパーにつきましては、既にホームページ等でお知らせしておりますが、3月24日に一部の個人情報の漏洩が判明し、原因究明とシステム改修のため、ヤオコーネットスーパー、ヤオコーネットクラブ、ヤオコーアプリ(一部サービス)を停止しております。再開時期につきましては、7月末頃を想定しております。お客さまをはじめ皆さまには大変なご心配とご迷惑をおかけする事態に至りましたことを深くお詫びいたします。
当社グループの株式会社エイヴイでは、「圧倒的な低価格」と「徹底したローコスト運営」を基本方針とし、その具現化を図る施策や取組みを鋭意進めております。当社グループは、引き続き当社とエイヴイそれぞれの長所・強みを活かしながら、グループ全体で商圏シェアを高めてまいります。
2021年3月31日現在の店舗数は、グループ全体で181店舗(ヤオコー169店舗、エイヴイ12店舗)となっております。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は487,189百万円(前期比10.2%増)、営業利益は22,458百万円(同13.0%増)、経常利益は22,211百万円(同13.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は14,593百万円(同17.1%増)となりました。
ロ 目標とする経営指標に基づく経営成績等に関する分析
当社グループの目標とする経営指標につきましては、「売上高経常利益率4%以上」の継続的な確保を目指しております。
上記「イ 経営成績の分析」に記載しております戦略課題に取り組んだ結果、新規出店及び既存店売上高の増加により、当連結会計年度における売上高は487,189百万円(前期比10.2%増)となりました。利益面につきましては、売上高の増加を主因とした売上総利益及び営業収入の増加に対して、人件費や配送費、地代家賃などは増加したものの、水道光熱費、広告宣伝費は減少するなど、経費の伸びを抑制できた結果、営業利益は22,458百万円(前期比13.0%増)となりました。
結果として、当連結会計年度における売上高経常利益率は4.6%となり、当社グループが目標とする経営指標を達成することが出来ました。
ハ 経営成績に重要な影響を与える要因
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、「外出自粛」や生活様式の変化の影響を受け、「巣ごもり需要」が発生した結果、お客さまの買い上げ点数が大きく増加しており、当社の既存店売上高の昨年比は109.1%と大きく上昇しました。エイヴイについても同様の傾向となっております。
なお、次期においては、新型コロナウイルス感染症を主因とする社会・経済環境の変化に伴い、業績予想の修正などを行う可能性はありますが、グループ全体で「価格対応」に注力し、第10次中期経営計画に掲げた施策について、着実に取り組んでまいります。
ニ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、主として営業活動により得られた資金のほか、金融機関からの借入及び社債の発行により必要資金を調達しており、新規出店、既存店の改装等の設備資金及び店舗運営費用、販売費及び一般管理費等の運転資金需要に対応しております。
当連結会計年度においては、業績の堅調な推移により安定的にキャッシュ・フローを創出できたことに加え、将来の投資を見据えた長期借入金による資金調達を行った結果、十分な流動性を確保しているものと考えております。当社グループでは、財務健全性を図りながら、適正な株主還元と厳しい競争環境を勝ち抜くための成長投資を継続していく計画であります。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、当社グループの経営陣は決算日における資産・負債の金額、並びに報告期間における収益・費用の金額のうち、見積りが必要となる事項につきましては、過去の実績、現在の状況を勘案して可能な限り正確な見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これら見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項」に記載しておりますが、以下の会計方針及び見積りが連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えております。
イ 固定資産の減損
当社グループは、店舗に係る有形固定資産をはじめとする多額の固定資産を保有しており、店舗の収益性が低下するなど、固定資産の回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に減損処理を行っております。回収可能価額の評価にあたっては、資産グループの時価や割引後将来キャッシュ・フロー等様々な仮定を用いて合理的に見積りを行っておりますが、今後、地価等の大幅な下落や店舗を取り巻く競争環境の激化等、想定を上回る変化が生じた場合には、新たに減損損失が発生する可能性があります。
ロ 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の計上にあたっては、回収可能性を考慮して、繰延税金資産総額から評価性引当額を減額しております。繰延税金資産の回収可能性については、当社グループの業績の推移などから将来の課税所得を合理的に見積り判断しておりますが、今後、課税所得の予測に影響を与える変化が生じた場合には、繰延税金資産の回収可能性が変動する可能性があります。
ハ 退職給付費用及び退職給付債務
退職給付費用及び債務は、割引率、死亡率、退職率や年金資産の長期期待運用収益率等の数理計算上の前提条件に基づき算出しております。今後、実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件が変更された場合には、将来の退職給付費用及び債務が変動する可能性があります。
ニ 資産除去債務の計上
当社グループは、主に店舗用に賃借した土地建物において、不動産賃借契約に基づき返還時に必要とされる原状回復義務等に備えるため、資産除去債務を計上しております。計上にあたっては、過去の実績を基に算定した原状回復費用の見込み額を現在価値に割り引いて算出しているため、今後、過去の実績と実際の原状回復費用が異なる場合や見積りに影響する新たな事実等が発生した場合には、資産除去債務の見積り額が変動する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響については、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載の通りであります。