有価証券報告書-第63期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
当社グループは、スーパーマーケット事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載しておりません。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
イ 財政状態
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ20,196百万円増加し、244,511百万円となりました。これは主に、現金及び預金、新規出店・既存店の改装等に係る投資により有形固定資産が増加したためであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ10,214百万円増加し、140,473百万円となりました。これは主に、借入金が減少したものの、社債、買掛金が増加したためであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ9,981百万円増加し、104,037百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したためであります。
ロ 経営成績
当社グループは、新規出店や既存店売上高の増加に伴う売上高増加に対して、販売費及び一般管理費増加の抑制に努めた結果、当連結会計年度における売上高は442,220百万円(前期比5.9%増)、営業利益は19,882百万円(同11.1%増)、経常利益は19,629百万円(同12.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は12,458百万円(同5.6%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ8,644百万円増加し、24,338百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は29,218百万円(前期比6,248百万円増)となりました。これは主に、法人税等の支払があったものの、税金等調整前当期純利益及び減価償却費を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は21,992百万円(前期比5,561百万円増)となりました。これは主に、新規出店・既存店改装に係る投資による支出があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は1,418百万円(前期の使用した資金は5,715百万円)となりました。これは主に、長期借入金の返済及び配当金の支払があったものの、社債の発行による資金の増加があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、スーパーマーケット事業の単一セグメントであるため、部門別に販売及び仕入の状況を記載しております。
(販売実績)
(注)1 総販売実績に対し、10%以上に該当する販売先はありません。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(仕入実績)
(注)1 上記の金額は、実際仕入額によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ 経営成績の分析
当社グループは「『豊かで楽しい食生活』を提案するグループとして、圧倒的なNo.1になること」を長期ビジョンとして掲げ、企業価値の創造と持続的な成長に向け取組んでおります。
当社は、「ミールソリューションの充実」と「価格コンシャスの強化」を基本方針とし、第9次中期経営計画(2019年3月期~2021年3月期)においては、「『ヤオコーウェイ』の確立」をメインテーマに、「『チェーン』を強くする構造改革」、「商圏内シェアアップ(1km商圏シェアアップ)」を優先課題とし、「商品・販売戦略」、「運営戦略」、「育成戦略」、「出店・成長戦略」の4つの戦略に対して、各々のアクションプランを実行しております。
[商品・販売戦略]
商品面につきましては、ミールソリューションの充実に注力いたしました。具体的には、国内外における新たな産地や供給元の開拓、原料調達から入り込んだ商品開発、直輸入商品の導入、ヤングファミリー層向けの商品開発など、当社の独自化や差別化に繋がる品揃えの充実を推進しております。また、売上の核となる既存主力商品の磨き込みをはじめ、「Yes!YAOKO」(当社独自のプライベートブランド)及び「star select」(株式会社ライフコーポレーションとの共同開発プライベートブランド)についても、新規商品の導入と並行して既存商品のリニューアルなども積極的に進めました。
販売面につきましては、店舗におけるお客さまへの提案などにより、旬・主力商品の販売力強化に取組むとともに、「夕市」を起点として夕方以降の売場の活性化にも取組みました。また、「ヤオコーカード」によるFSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)を活用したマーケティング施策を進め、特に、消費税増税後の消費マインドの変化に合わせ、従来にない強力な販促施策を展開いたしました。
[運営戦略]
店舗作業の「カイゼン」の深化と水平展開を継続いたしました。セルフ精算レジ導入店舗の拡大、業務支援の根幹となる新基幹システム導入などIT・機器の活用による業務効率化も推進しました。また、デリカ・生鮮センターを積極的に活用し、店舗作業の省力化と商品価値の拡大を同時に実現するための商品開発に注力することで、店舗の生産性向上と「製造小売り」としての利益創出を両立させることができました。
[育成戦略]
カイゼンと並行して、働き方に対する意識改革、労働環境を改善する取組みを継続いたしました。特に、改正労働基準法の施行に対応した、休暇を取得しやすい勤務制度の整備・活用、「同一労働、同一賃金」への対応を進めました。また、人材育成の基盤として社内に設置した「ヤオコー大学」における体系的な教育を拡充したほか、外国人技能実習生の受け入れを継続し、店舗及びデリカ・生鮮センターで活躍しております。
[出店・成長戦略]
新規出店として6月に川越今福店(埼玉県川越市)、7月に東松山シルピア店(埼玉県東松山市)、12月に本庄中央店(埼玉県本庄市)、1月に東久留米滝山店(東京都東久留米市)、3月にスマーク伊勢崎店(群馬県伊勢崎市)を開設したほか、既存店の活性化策として9店舗について大型改装を実施いたしました。
また、店舗を拠点とするヤオコーネットスーパーにつきましては、8月に川越今福店にて5号店を開業いたしました。
当社グループの株式会社エイヴイでは、「圧倒的な低価格」と「徹底したローコスト運営」を基本方針とし、その具現化を図る施策や取組みを鋭意進め、9月にエイビイ南部市場店(神奈川県横浜市)を新規に開設いたしました。
当社グループでは、引き続き当社とエイヴイそれぞれの長所・強みを活かしながら、グループ全体で商圏シェアを高めてまいります。
2020年3月31日現在の店舗数は、グループ全体で178店舗(ヤオコー166店舗、エイヴイ12店舗)となりました。
これらの施策の結果、当連結会計年度における売上高は442,220百万円(前期比5.9%増)、営業利益は19,882百万円(同11.1%増)、経常利益は19,629百万円(同12.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は12,458百万円(同5.6%増)となりました。
ロ 目標とする経営指標に基づく経営成績等に関する分析
当社グループの目標とする経営指標につきましては、「売上高経常利益率4%以上」の継続的な確保を目指しております。
上記「イ 経営成績の分析」に記載しております戦略課題に取り組んだ結果、新規出店及び既存店売上高の増加により、当連結会計年度における売上高は442,220百万円(前期比5.9%増)となりました。利益面につきましては、売上高の増加を主因とした売上総利益及び営業収入の増加に対して、システム投資や人件費単価の上昇などに伴い減価償却費や人件費は大きく増加したものの、水道光熱費、広告宣伝費、地代家賃などの経費の伸びを抑制できた結果、営業利益は19,882百万円(前期比11.1%増)となりました。
結果として、売上高経常利益率は4.7%となり、当社グループが目標とする経営指標を達成することが出来ました。
ハ 経営成績に重要な影響を与える要因
当連結会計年度においては、消費税率の引き上げ、大型台風による被害、新型コロナウイルス感染症の拡大など、消費者心理に影響を与える事象が多く発生いたしました。
特に、2月以降は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う「外出自粛」の影響を受けて、「巣ごもり需要」が発生しました。結果として、お客さまの買い上げ点数が大きく増加しており、当社の既存店売上高の昨年比は、2月は111.0%、3月は112.9%と大きく上昇、エイヴイも同様の傾向となっております。新型コロナウイルス感染症の拡大に関する影響などについては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (6) 優先的に対処すべき課題」、「2 事業等のリスク (9) 自然災害・感染症の発生」に記載の通りであります。
ニ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、主として営業活動により得られた資金のほか、金融機関からの借入及び社債の発行により必要資金を調達しており、新規出店、既存店の改装等の設備資金及び店舗運営費用、販売費及び一般管理費等の運転資金需要に対応しております。
当連結会計年度においては、業績の堅調な推移により安定的にキャッシュ・フローを創出できたことに加え、将来の投資を見据えた社債発行による資金調達を行った結果、十分な流動性を確保しているものと考えております。当社グループでは、財務健全性を図りながら、適正な株主還元と厳しい競争環境を勝ち抜くための成長投資を継続していく計画であります。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、当社グループの経営陣は決算日における資産・負債の金額、並びに報告期間における収益・費用の金額のうち、見積りが必要となる事項につきましては、過去の実績、現在の状況を勘案して可能な限り正確な見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これら見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項」に記載しておりますが、以下の会計方針及び見積りが連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えております。
イ 固定資産の減損
当社グループは、店舗に係る有形固定資産をはじめとする多額の固定資産を保有しており、店舗の収益性が低下するなど、固定資産の回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に減損処理を行っております。回収可能価額の評価にあたっては、資産グループの時価や割引後将来キャッシュ・フロー等様々な仮定を用いて合理的に見積りを行っておりますが、今後、地価等の大幅な下落や店舗を取り巻く競争環境の激化等、想定を上回る変化が生じた場合には、新たに減損損失が発生する可能性があります。
ロ 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の計上にあたっては、回収可能性を考慮して、繰延税金資産総額から評価性引当額を減額しております。繰延税金資産の回収可能性については、当社グループの業績の推移などから将来の課税所得を合理的に見積り判断しておりますが、今後、課税所得の予測に影響を与える変化が生じた場合には、繰延税金資産の回収可能性が変動する可能性があります。
ハ 退職給付費用及び退職給付債務
退職給付費用及び債務は、割引率、死亡率、退職率や年金資産の長期期待運用収益率等の数理計算上の前提条件に基づき算出しております。今後、実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件が変更された場合には、将来の退職給付費用及び債務が変動する可能性があります。
ニ 資産除去債務の計上
当社グループは、主に店舗用に賃借した土地建物において、不動産賃借契約に基づき返還時に必要とされる原状回復義務等に備えるため、資産除去債務を計上しております。計上にあたっては、過去の実績を基に算定した原状回復費用の見込み額を現在価値に割り引いて算出しているため、今後、過去の実績と実際の原状回復費用が異なる場合や見積りに影響する新たな事実等が発生した場合には、資産除去債務の見積り額が変動する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響については、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載の通りであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
イ 財政状態
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ20,196百万円増加し、244,511百万円となりました。これは主に、現金及び預金、新規出店・既存店の改装等に係る投資により有形固定資産が増加したためであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ10,214百万円増加し、140,473百万円となりました。これは主に、借入金が減少したものの、社債、買掛金が増加したためであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ9,981百万円増加し、104,037百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したためであります。
ロ 経営成績
当社グループは、新規出店や既存店売上高の増加に伴う売上高増加に対して、販売費及び一般管理費増加の抑制に努めた結果、当連結会計年度における売上高は442,220百万円(前期比5.9%増)、営業利益は19,882百万円(同11.1%増)、経常利益は19,629百万円(同12.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は12,458百万円(同5.6%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ8,644百万円増加し、24,338百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は29,218百万円(前期比6,248百万円増)となりました。これは主に、法人税等の支払があったものの、税金等調整前当期純利益及び減価償却費を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は21,992百万円(前期比5,561百万円増)となりました。これは主に、新規出店・既存店改装に係る投資による支出があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は1,418百万円(前期の使用した資金は5,715百万円)となりました。これは主に、長期借入金の返済及び配当金の支払があったものの、社債の発行による資金の増加があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、スーパーマーケット事業の単一セグメントであるため、部門別に販売及び仕入の状況を記載しております。
(販売実績)
部門別 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |||
売上高(百万円) | 構成比(%) | 売上高(百万円) | 構成比(%) | 前期比(%) | |
生鮮食品 | 147,621 | 35.3 | 155,832 | 35.2 | 105.6 |
デリカ食品 | 49,509 | 11.9 | 52,192 | 11.8 | 105.4 |
加工食品 | 116,415 | 27.9 | 124,277 | 28.1 | 106.8 |
日配食品 | 85,049 | 20.4 | 90,742 | 20.5 | 106.7 |
住居関連 | 16,605 | 4.0 | 18,111 | 4.1 | 109.1 |
専門店 | 2,507 | 0.6 | 1,065 | 0.2 | 42.5 |
合計 | 417,709 | 100.0 | 442,220 | 100.0 | 105.9 |
(注)1 総販売実績に対し、10%以上に該当する販売先はありません。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(仕入実績)
部門別 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |||
仕入高(百万円) | 構成比(%) | 仕入高(百万円) | 構成比(%) | 前期比(%) | |
生鮮食品 | 108,372 | 35.4 | 114,842 | 35.4 | 106.0 |
デリカ食品 | 24,846 | 8.1 | 25,928 | 8.0 | 104.4 |
加工食品 | 93,063 | 30.4 | 99,705 | 30.7 | 107.1 |
日配食品 | 64,179 | 21.0 | 68,675 | 21.2 | 107.0 |
住居関連 | 13,048 | 4.3 | 14,216 | 4.4 | 109.0 |
専門店 | 2,243 | 0.7 | 967 | 0.3 | 43.1 |
合計 | 305,753 | 100.0 | 324,335 | 100.0 | 106.1 |
(注)1 上記の金額は、実際仕入額によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ 経営成績の分析
当社グループは「『豊かで楽しい食生活』を提案するグループとして、圧倒的なNo.1になること」を長期ビジョンとして掲げ、企業価値の創造と持続的な成長に向け取組んでおります。
当社は、「ミールソリューションの充実」と「価格コンシャスの強化」を基本方針とし、第9次中期経営計画(2019年3月期~2021年3月期)においては、「『ヤオコーウェイ』の確立」をメインテーマに、「『チェーン』を強くする構造改革」、「商圏内シェアアップ(1km商圏シェアアップ)」を優先課題とし、「商品・販売戦略」、「運営戦略」、「育成戦略」、「出店・成長戦略」の4つの戦略に対して、各々のアクションプランを実行しております。
[商品・販売戦略]
商品面につきましては、ミールソリューションの充実に注力いたしました。具体的には、国内外における新たな産地や供給元の開拓、原料調達から入り込んだ商品開発、直輸入商品の導入、ヤングファミリー層向けの商品開発など、当社の独自化や差別化に繋がる品揃えの充実を推進しております。また、売上の核となる既存主力商品の磨き込みをはじめ、「Yes!YAOKO」(当社独自のプライベートブランド)及び「star select」(株式会社ライフコーポレーションとの共同開発プライベートブランド)についても、新規商品の導入と並行して既存商品のリニューアルなども積極的に進めました。
販売面につきましては、店舗におけるお客さまへの提案などにより、旬・主力商品の販売力強化に取組むとともに、「夕市」を起点として夕方以降の売場の活性化にも取組みました。また、「ヤオコーカード」によるFSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)を活用したマーケティング施策を進め、特に、消費税増税後の消費マインドの変化に合わせ、従来にない強力な販促施策を展開いたしました。
[運営戦略]
店舗作業の「カイゼン」の深化と水平展開を継続いたしました。セルフ精算レジ導入店舗の拡大、業務支援の根幹となる新基幹システム導入などIT・機器の活用による業務効率化も推進しました。また、デリカ・生鮮センターを積極的に活用し、店舗作業の省力化と商品価値の拡大を同時に実現するための商品開発に注力することで、店舗の生産性向上と「製造小売り」としての利益創出を両立させることができました。
[育成戦略]
カイゼンと並行して、働き方に対する意識改革、労働環境を改善する取組みを継続いたしました。特に、改正労働基準法の施行に対応した、休暇を取得しやすい勤務制度の整備・活用、「同一労働、同一賃金」への対応を進めました。また、人材育成の基盤として社内に設置した「ヤオコー大学」における体系的な教育を拡充したほか、外国人技能実習生の受け入れを継続し、店舗及びデリカ・生鮮センターで活躍しております。
[出店・成長戦略]
新規出店として6月に川越今福店(埼玉県川越市)、7月に東松山シルピア店(埼玉県東松山市)、12月に本庄中央店(埼玉県本庄市)、1月に東久留米滝山店(東京都東久留米市)、3月にスマーク伊勢崎店(群馬県伊勢崎市)を開設したほか、既存店の活性化策として9店舗について大型改装を実施いたしました。
また、店舗を拠点とするヤオコーネットスーパーにつきましては、8月に川越今福店にて5号店を開業いたしました。
当社グループの株式会社エイヴイでは、「圧倒的な低価格」と「徹底したローコスト運営」を基本方針とし、その具現化を図る施策や取組みを鋭意進め、9月にエイビイ南部市場店(神奈川県横浜市)を新規に開設いたしました。
当社グループでは、引き続き当社とエイヴイそれぞれの長所・強みを活かしながら、グループ全体で商圏シェアを高めてまいります。
2020年3月31日現在の店舗数は、グループ全体で178店舗(ヤオコー166店舗、エイヴイ12店舗)となりました。
これらの施策の結果、当連結会計年度における売上高は442,220百万円(前期比5.9%増)、営業利益は19,882百万円(同11.1%増)、経常利益は19,629百万円(同12.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は12,458百万円(同5.6%増)となりました。
ロ 目標とする経営指標に基づく経営成績等に関する分析
当社グループの目標とする経営指標につきましては、「売上高経常利益率4%以上」の継続的な確保を目指しております。
上記「イ 経営成績の分析」に記載しております戦略課題に取り組んだ結果、新規出店及び既存店売上高の増加により、当連結会計年度における売上高は442,220百万円(前期比5.9%増)となりました。利益面につきましては、売上高の増加を主因とした売上総利益及び営業収入の増加に対して、システム投資や人件費単価の上昇などに伴い減価償却費や人件費は大きく増加したものの、水道光熱費、広告宣伝費、地代家賃などの経費の伸びを抑制できた結果、営業利益は19,882百万円(前期比11.1%増)となりました。
結果として、売上高経常利益率は4.7%となり、当社グループが目標とする経営指標を達成することが出来ました。
ハ 経営成績に重要な影響を与える要因
当連結会計年度においては、消費税率の引き上げ、大型台風による被害、新型コロナウイルス感染症の拡大など、消費者心理に影響を与える事象が多く発生いたしました。
特に、2月以降は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う「外出自粛」の影響を受けて、「巣ごもり需要」が発生しました。結果として、お客さまの買い上げ点数が大きく増加しており、当社の既存店売上高の昨年比は、2月は111.0%、3月は112.9%と大きく上昇、エイヴイも同様の傾向となっております。新型コロナウイルス感染症の拡大に関する影響などについては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (6) 優先的に対処すべき課題」、「2 事業等のリスク (9) 自然災害・感染症の発生」に記載の通りであります。
ニ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、主として営業活動により得られた資金のほか、金融機関からの借入及び社債の発行により必要資金を調達しており、新規出店、既存店の改装等の設備資金及び店舗運営費用、販売費及び一般管理費等の運転資金需要に対応しております。
当連結会計年度においては、業績の堅調な推移により安定的にキャッシュ・フローを創出できたことに加え、将来の投資を見据えた社債発行による資金調達を行った結果、十分な流動性を確保しているものと考えております。当社グループでは、財務健全性を図りながら、適正な株主還元と厳しい競争環境を勝ち抜くための成長投資を継続していく計画であります。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、当社グループの経営陣は決算日における資産・負債の金額、並びに報告期間における収益・費用の金額のうち、見積りが必要となる事項につきましては、過去の実績、現在の状況を勘案して可能な限り正確な見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これら見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項」に記載しておりますが、以下の会計方針及び見積りが連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えております。
イ 固定資産の減損
当社グループは、店舗に係る有形固定資産をはじめとする多額の固定資産を保有しており、店舗の収益性が低下するなど、固定資産の回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に減損処理を行っております。回収可能価額の評価にあたっては、資産グループの時価や割引後将来キャッシュ・フロー等様々な仮定を用いて合理的に見積りを行っておりますが、今後、地価等の大幅な下落や店舗を取り巻く競争環境の激化等、想定を上回る変化が生じた場合には、新たに減損損失が発生する可能性があります。
ロ 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の計上にあたっては、回収可能性を考慮して、繰延税金資産総額から評価性引当額を減額しております。繰延税金資産の回収可能性については、当社グループの業績の推移などから将来の課税所得を合理的に見積り判断しておりますが、今後、課税所得の予測に影響を与える変化が生じた場合には、繰延税金資産の回収可能性が変動する可能性があります。
ハ 退職給付費用及び退職給付債務
退職給付費用及び債務は、割引率、死亡率、退職率や年金資産の長期期待運用収益率等の数理計算上の前提条件に基づき算出しております。今後、実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件が変更された場合には、将来の退職給付費用及び債務が変動する可能性があります。
ニ 資産除去債務の計上
当社グループは、主に店舗用に賃借した土地建物において、不動産賃借契約に基づき返還時に必要とされる原状回復義務等に備えるため、資産除去債務を計上しております。計上にあたっては、過去の実績を基に算定した原状回復費用の見込み額を現在価値に割り引いて算出しているため、今後、過去の実績と実際の原状回復費用が異なる場合や見積りに影響する新たな事実等が発生した場合には、資産除去債務の見積り額が変動する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響については、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載の通りであります。