有価証券報告書-第86期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/26 9:07
【資料】
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【項目】
175項目

対処すべき課題


文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行が判断したものであります。
(1)ビジネスモデル・中期目標等
2018年度からの3年間を計画期間とする中期経営計画の骨子は以下のとおりです。
①あおぞら銀行グループの目指す姿
当行は、メガバンクでも地域金融機関でもないユニークな存在として “あおぞら” らしさに更に磨きをかけることにより、“進化する「頼れる、もうひとつのパートナーバンク」”としてお客さまの信頼と支持を得ることで、持続的な成長を図り、我が国の経済・社会の発展に貢献してまいります。
②基本方針
ビジネスモデル「6つの柱」における選択と集中の徹底
当行は、従来からのビジネスモデル「6つの柱」を堅持しつつ、リスクアペタイトと整合性の取れた資源配分に基づく選択と集中を推進することにより、お客さまに対して、より “あおぞら” らしい商品・サービスの提供に注力します。
<ビジネスモデル「6つの柱」>1.シニア層のお客さまにスーパーフォーカスしたリテールバンキング
2.企業のお客さまに対する課題解決型営業
3.地域金融機関パートナーシップの強化
4.スペシャルティファイナンスの進化
5.国際業務の持続的成長
6.グローバル分散投資の追求とリスクコンサルティングの推進
健全なリスクテイクを支えるリスク管理の実践
健全なリスクテイクを支える、「ディシプリン」と「ベスト・プラクティス」に基づいたリスク管理を実践し、公的資金によって再生を果たした銀行として、二度と信用不安を惹起させないためのリスク管理態勢の構築と健全性の維持に引き続き努めます。
新たなビジネス分野の開拓
新たなビジネス分野の一つとして、当行、GMOインターネット株式会社ならびにGMOフィナンシャルホールディングス株式会社が共同出資するインターネット専業銀行「GMOあおぞらネット銀行」が、2018年7月にサービス提供を開始いたしました。「すべてはお客さまのために。No.1テクノロジーバンクを目指して」をコーポレートビジョンに掲げ、当行グループ、GMOインターネットグループそれぞれの強みを活かしたサービスを提供してまいります。
また、国内外において成長性の高い市場・業務分野を見極め、当行グループのビジネスモデルとシナジーあるいは補完関係がある新規ビジネスの開拓や出資・M&Aを活用した参入等、資本を有効活用した新たな成長戦略を引き続き追求してまいります。
③中期財務目標
収益目標
既存ビジネスモデル「6つの柱」に磨きをかけ、規律あるリスクマネジメントの下での健全なリスクテイク及びリテールビジネス・M&A等の非資金利益の拡大とともに、新規分野の開拓等により、本中期経営計画期間中の親会社株主に帰属する当期純利益は430億円以上を目指します。
主要業績評価指標(Key Performance Indicators:KPI)目標
中期経営計画期間における主要業績評価指標(KPI)目標は以下のとおり定めております。当行グループの強みである効率性を維持しつつ、安定的・持続的な成長を目指してまいります。
主要業績評価指標
(KPI)
2018年度~2020年度
(中期目標)
資金粗利鞘(NIM)1.2%程度
非資金利益率45%~55%程度
経費率(OHR)50%程度
ROE9%程度
ROA0.8%程度

④資本・配当政策
持続的な企業価値の向上を実現するため、「健全性の維持」、「安定的な株主還元」、「戦略的な資本活用」のバランスがとれた資本政策を実施してまいります。
自己資本
今後の金融規制強化、格付の維持、投資機会への機動的対応等を踏まえて、自己資本比率(国内基準)は、10%程度を目指してまいります。
株主還元
株主還元については配当による還元を原則とします。配当性向を50%程度とし、業績に応じた還元と安定配当の維持の両立を図ってまいります。また、引き続き四半期ベースの配当を実施いたします。
(2)経営環境及び対処すべき課題等
当連結会計年度における経済環境は、国内では、期初は緩やかな景気回復が継続しましたが、年明け以降一部企業の収益改善に足踏みがみられる等減速感が強まりました。海外では、米国における長期間にわたる好景気が継続する一方で、中国との間における通商問題の深刻化等をきっかけに世界経済全体に対する不透明感が高まり、年度後半のグローバル金融市場は大きく変動しました。
国内では、長期金利(10年国債利回り)は概ね△0.100~0.165%で推移しました。日経平均株価は、10月に24,000円台半ばまで上昇した後、12月に一時19,000円割れを記録しましたが、年度末には21,000円台まで回復しました。ドル円相場は、期初より円安基調が続いていましたが、12月半ば以降、リスク回避的な動きが強まったこと等から円高となりました。その後、年度末に向けて再び円安となり、110円台で終了しました。
米国では、長期金利(10年米国債利回り)は、一時3.2%を超える水準まで上昇したものの、景気の先行き不透明感の高まりを受けて、米FRB(連邦準備制度理事会)が利上げに慎重な姿勢を示したことを踏まえ、利下げの可能性を織り込みつつ年度末には2.4%台まで低下しました。米国株式市場(ダウ工業株30種平均)は、10月に27,000ドル近くまで上昇した後、先行きの金利上昇に対する懸念や景気の見通しに対する不透明感が急速に高まったことを受けて、年末に大幅に値を下げ、12月には一時22,000ドルを割り込みましたが、年度末には26,000ドル付近まで回復しました。
当行グループは、経営理念である「日本の金融システムに深く根ざし、永続的に我が国経済及び社会の発展に貢献する」を基に、「中期経営計画(2018~20年度)」において、“進化する「頼れる、もうひとつのパートナーバンク」”を目指す姿とし、「6つの柱」を堅持しながらより“あおぞら”らしい商品・サービスの提供に注力するとともに、健全なリスクテイクを支えるリスク管理の実践と、新たなビジネス分野の開拓に取り組んでいます。
2018年度は、新しい商品の開発やお客さまへのサービス並びに提案力の向上に磨きをかけるとともに、GMOあおぞらネット銀行株式会社におけるインターネット銀行事業の開始等に取り組んでまいりました。しかしながら、リテール業務及び金融法人業務における顧客ビジネスが伸び悩んだことやトレーディング業務が年度後半以降のグローバルな金融市場の大きな変動の影響を受けたこと等により、2018年度の業績は期初に掲げた目標を下回る結果となりました。
低金利の長期化、人口減少や高齢化の進展等、金融機関にとっては経営環境が厳しさを増す中、当行グループは、かかる状況に適切に対応するため、効率性の高いビジネスモデルの構築と成長モメンタムの向上により、企業価値の持続的な成長に取り組んでまいります。