有価証券報告書-第88期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
有報資料
当行グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下の通りです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行が判断したものであります。その内容にはリスク、不確実性、仮定が含まれており、将来の業績等を保証し又は約束するものではありません。
[金融経済環境]
当連結会計年度における経済環境は、年間を通じて新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けました。国内では繰り返し緊急事態宣言が出された中、期初における経済全般の落ち込みから、輸出・鉱工業生産の回復傾向が続く等基調としては持ち直しの動きが認められたものの、飲食や宿泊等の対面型サービス業では依然として厳しい状況が続きました。米国では、行動制限が強化された上、追加財政政策の決定が難航したことから景気・雇用の回復は一時鈍化しましたが、2021年に入りワクチン接種が本格的に進んだことに加え、政府による大規模な景気対策やFRB(連邦準備制度理事会)による金融緩和の継続を背景に、業況・景況感の改善が見られました。
国内では、長期金利(10年国債利回り)は、米国長期金利の上昇や3月の日銀金融政策決定会合で長期金利の許容幅を拡大させる可能性が意識され一時的に上昇する局面もありましたが、概ね0.1%前後での推移となりました。日経平均株価は、年度入り直後に一時18,000円を割り込む局面もありましたが、各国における積極的な財政政策や米国の大型財政支出への期待に加え、ワクチン接種の進展に伴うグローバルな景気回復への期待を背景に株価は上昇し、期末にかけては30,000円を挟む動きとなりました。ドル円相場は、FRBによる大規模な金融緩和により、円高傾向にありましたが、2021年に入り米国長期金利の上昇等を背景に110円台まで円安が進みました。
米国では、長期金利(10年米国債利回り)は、大統領選挙で民主党が勝利したことから大規模な財政支出による景気回復や国債増発の思惑が強まり、3月後半には1.7%台後半まで上昇しました。米国株式市場は、段階的な経済活動の再開に伴い徐々に上昇する中で、新型コロナウイルスの感染者が増加したことから一時的に不安定な局面も見られましたが、景気回復期待を背景に上昇基調を維持し、ダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価は33,000ドル台を更新しました。
(1)経営理念
あおぞらミッション(存在意義)
・新たな金融の付加価値を創造し、社会の発展に貢献する
あおぞらビジョン(目指す姿)
・時代の変化に機動的に対応し、常に信頼され親しまれるスペシャリティー高い金融グループであり続ける
あおぞらアクション(行動指針)
・ユニークで専門性の高い金融サービスを提供する
・迅速に行動し、粘り強く丁寧に対応する
・チームワークを重視し、みんなで楽しく仕事をする
・仲間の多様な生き方、考え方、働き方を尊重し、仲間の成長を支援する
・過去を理解し未来志向で今日の課題に取り組む
・創意工夫で新規領域にチャレンジする
・社会のサステナブルな発展に積極的に貢献する
当行グループの存在意義は、金融のプロフェッショナルとして、新たな金融の付加価値を創造することで社会の発展に貢献することにあり、そのためには、お客さまをよく理解し、他社にない新しい商品やサービスの研究と開発を行うことがもっとも重要であると考えます。
メガバンクでも地域金融機関でもない当行グループは、機動的で専門的であると同時に、お客さまに信頼され親しまれることが大切です。グループの将来に向けて、従来の銀行の枠組を超えた金融グループとしての可能性に挑戦してまいります。
(2)経営計画
①中期経営計画「AOZORA2022」の全体像

<ビジネスモデル「6つの柱」が3年後に目指す姿>

<あらたな成長イニシアチブ>

<健全なリスクテイクを支えるリスクコントロール>リスクアペタイトの明確化と機動的なモニタリングによるリスクコントロールによって、慎重なリスク管理運営を行います。
資金調達手段の多様化のほか、コンプライアンス態勢の高度化やサイバーセキュリティ対応についても積極的に取り組んでまいります。
<新人事制度の導入>チームワークでチャレンジを続ける金融グループであるための新人事制度を導入することにより、キャリアコースや世代間の壁を無くし、一体感をもって成長・活躍できる制度を実現いたします。キャリアコースの統合、若手従業員の成長機会を広げるためのチャレンジプログラムの拡充、専門人材の登用、シニア層の活用等の施策を推進してまいります。
(*)SDGs:2015年9月の国連総会で採択された、2030年までに達成すべき17の「持続可能な開発目標」。
(**)ESG:環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字取ったもの。今日、企業の長期的な成長のためには、ESGが示す3つの観点が必要だという考え方。
③中期財務目標
収益目標
本中期経営計画では、従来からのビジネスモデル「6つの柱」の更なる進化とあらたな成長のためのイニシアチブに取り組み、最終年度の収益水準は2019年度実績を上回る水準を目指します。
具体的な収益目標額については、不透明な経済環境を勘案し、毎年度における業績予想において開示してまいります。
主要業績評価指標(Key Performance Indicators:KPI)目標
中期経営計画期間における主要業績評価指標(KPI)目標は以下の通り定めます。当行グループの強みである効率性を維持しつつ、安定的・持続的な成長を目指してまいります。
| 主要業績評価指標 (KPI) | 中期目標 (2020年度~2022年度) |
| 経費率(OHR) | 50%台前半 |
| 業務純益*ROA | 1%程度 |
| ROE | 8%以上 |
*持分法投資損益を含んだ連結実質業務純益
④資本・配当政策
「健全性の維持」を念頭に置きつつ、「安定的な株主還元」、「戦略的な資本活用」ともバランスがとれた資本政策を実施し、持続的な企業価値の向上を図ってまいります。
自己資本
自己資本比率(国内基準)は、Basel3完全適用ベースで最低9%、当面の運営目標としては9.5%程度を目指してまいります。
株主還元
株主還元については配当による還元を原則とします。配当性向を原則50%とし、業績に応じた還元を行ってまいります。また、引き続き四半期ベースの配当を実施いたします。
(3)対処すべき課題
①2021年度のビジネス重点施策
当行グループは、歴史的産業構造の転換期にあって、お客様さまの事業を深く理解し金融面で支援するパートナーとして、新たに生まれるビジネスを育成するとともに、変わろうとする従来型事業の再構築や事業再生をご支援するために、積極的にリスクテイクすることで社会に貢献する、あおぞら型の投資銀行ビジネスを推進してまいります。
当行グループの基盤ビジネスである「6つの柱」における基本方針は以下のとおりです。
<リテール業務>お客さまのニーズの急速な変化に対応し、ニューノーマル時代におけるお客さま本位の業務運営を実践してまいります。「有人店舗」では財産承継、事業承継等の専門性の高い総合コンサルティング業務を展開するとともに、スマートフォンアプリを軸とした新マネーサービス「BANK」と「有人店舗」の融合を進め、「BANK」アプリを通じた金融サービスの提供により、すべてのお客さまが時間や場所にとらわれずにお取引ができ、希望する店舗でコンサルティングが受けられる営業体制を実現してまいります。
<事業法人業務>産業構造の変化により拡大が見込まれる事業承継や事業再編、M&A等に対し積極的にリスクテイク・関与し、専門性・付加価値の高いLBOファイナンスやM&Aアドバイザリー等のソリューションを提供することで、事業再構築ビジネスの主要プレイヤーとしての位置づけの確立を目指すとともに、様々なリスクヘッジニーズに応えるビジネスに機動的に取り組んでまいります。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けたお取引先に対しては、きめ細かくニーズに対応していくとともに、プライベートエクイティファンドの組成等により、将来の事業再編や企業の成長を支援してまいります。
<金融法人業務>2020年11月に設置した「地域金融パートナーバンク・タスクフォース」の活動を通じて、地域金融機関のお客さまの経営課題解決のために、これまで蓄積してきた金融ソリューションとサービスを総合的に提供するとともに、地域金融機関を通じた地域経済活性化にも積極的に貢献してまいります。
<スペシャルティファイナンス業務>不動産・事業再生に関する高い専門性を発揮し、新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動への影響や、今後予想される産業構造や生活様式の変化に留意しつつ、グローバルに分散した投融資に取り組んでまいります。
<国際業務>2020年9月に米国ニューヨークにおいて現地法人「Aozora North America, Inc.」が開業いたしました。これにより、北米、アジア、欧州の各現地拠点と東京が連携したグローバルでシームレスなモニタリング態勢が強化されました。各エリアの現地情報をリアルタイムで収集することによって、新型コロナウイルス感染症拡大や政治・外交面でのイベントリスクへの対応をしつつ、グローバルに分散されたポートフォリオの機動的なコントロールに努めてまいります。
<マーケット業務>ALM・クレジット投資一体となったポートフォリオ運営とトレーディング業務による安定的な収益確保に努めるとともに、各ビジネス部門のリスクヘッジ関連ビジネスを支えるセールス・商品開発能力の向上に努めてまいります。
②サステナビリティへの取組
当行グループは、社会のサステナブルな発展に貢献するため、SDGsを経営の優先課題と位置づけています。特に「環境保護」「イノベーション促進」「人生の充実」を3つの「サステナビリティ重点項目」(マテリアリティ)として、事業運営に取り組んでいます。
経営理念を実践する上での規範となる「倫理・行動基準」「環境方針」「人権方針」「環境・社会に配慮した投融資方針」を定めるとともに、2021年4月に新たにSDGs推進担当役員とSDGs推進部を設置・拡充し、グループ横断的な取組を進めております。
ビジネス面においては、再生エネルギープロジェクトやサステナブルファイナンス、新たな企業の育成、地域活性化・地方創生に向けた取組、個人のお客さまの資産形成や円滑な事業承継支援等、環境・社会課題の解決に積極的に取り組んでいます。
なお、SDGsへの取組の詳細につきましては、「あおぞらサステナビリティの推進」(14~17ページ)をご参照ください。
③健全なリスクテイクを支えるリスクコントロール
2021年度の業務運営において、当行グループが認識している主なリスクおよびその対応策は、以下のとおりです。
<クレジット・クオリティの悪化、保有有価証券の価値下落>個別投融資案件について、投融資対象の分散に留意しつつ、ビジネスリスクを慎重に分析し選別的に取り上げております。また、ビジネス部門・リスク管理部門・マネジメントによる予兆管理を引き続き実施いたします。加えて、与信集中リスク回避のための各種ガイドラインを設定、ストレステストを含めた資本コントロールを実施しております。
保有有価証券に係るリスクに関しては、金利・株・クレジットに分散を図った効率的で流動性の高いポートフォリオを構築し、市場動向・金融環境を踏まえた機動的なリスクコントロールを実施しております。
<外貨調達の不安定化>定期的なストレステストによるモニタリング・検証を実施するとともに、ストレス下においても十分な手元流動性を確保できるよう体制整備に努めております。また、継続的に外貨建社債を発行する等、外貨調達手段の長期化・安定化に努めております。
<当行の構造転換、ビジネス転換の遅れ>①2021年度のビジネス重点施策(11ページ)をご参照ください。
大規模なシステム障害を防止するため、システムを変更する場合は十分な検証に努めるとともに、万が一の障害に備えて、お客さまに適切なご案内、対応ができるよう体制整備に取り組んでおります。
<マネー・ローンダリングやテロ資金供与、反社会的勢力との取引等>当行グループの役職員のコンプライアンス意識の維持・向上を図るため年次で策定しているコンプライアンス・プログラムにおいて、法令・行内ルール周知、モニタリング、研修等を計画的に実施し、進捗状況を確認しております。特に、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与防止に対応するため、継続的にお客さまの状況確認を行う等、管理体制の整備を実施しております。
<ビジネスと人材のミスマッチ>チームワークでチャレンジを続ける金融グループであるための人事施策として、キャリアコースや世代間の壁を無くし、専門人材の登用も可能にする人事制度改革を実施しております。
<気候変動>「あおぞらサステナビリティの推進」(14~17ページ)をご参照ください。
「あおぞらサステナビリティの推進」
当行グループでは、社会のサステナブルな発展に貢献するため、SDGsを経営の優先課題と位置付けております。
SDGsへの取組の詳細は以下の通りです。






