有価証券報告書-第85期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/28 9:16
【資料】
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【項目】
138項目

対処すべき課題


文中における財務数値の記載金額は、億円単位未満は四捨五入して表示しております。
なお、財務目標等の将来に関する記述は、当行が中期経営計画を公表いたしました平成30年5月14日現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当行として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1)今後のビジネスモデル・中期目標等
(中期目標の達成状況について)
当行は平成27年5月に、「公的資金早期一括返済ならびに今後のビジネスモデル・中期目標等について」を公表し、①あおぞら銀行の目指す姿、②公的資金完済後の財務目標、③新たな資本政策、について中期的な方向性を示すとともに、経営資源の有効活用を図る選択と集中を継続しつつ、当行の特色ある専門性の高い金融サービスに磨きをかけ、従来からのビジネスモデルを進化させた「6つの柱」に注力してまいりました。
当行の掲げる「6つの柱」は次のとおりです。
1.シニア層のお客さまにスーパーフォーカスしたリテールバンキング
2.中堅中小企業をはじめとするお客さまに対する課題解決型営業
3.地域金融機関パートナーシップの深化
4.スペシャルティファイナンスの進化
5.国際業務の持続的成長
6.リスクコンサルティングの推進とグローバル分散投資の追求
なお、平成29年度における公的資金完済後の財務目標として掲げた収益水準及び主要業績評価指標(Key Performance Indicators:KPI)目標の達成状況は以下のとおりであります。
収益水準
収益目標平成29年度平成29年度
(中期目標)(実績)
業務粗利益1,000億円強874億円
当期純利益(*)最低400億円430億円

(*)企業結合に関する会計基準の改正等により、平成26年度以前における(少数株主損益調整後の)「当期純利益」は、平成27年度以降、「親会社株主に帰属する当期純利益」に名称変更されておりますが、本項目においては、「親会社株主に帰属する当期純利益」を「当期純利益」と記載しております。
主要業績評価指標(Key Performance Indicators:KPI)目標
主要業績評価指標
(KPI)
平成27年度~平成29年度
(中期目標)
平成29年度
(実績)
資金粗利鞘(NIM)1.20%1.30%
非資金利益率40~50%43.9%
経費率(OHR)45%以下53.6%
与信コスト比率0.10%~0.20%-(*)
ROE9%以上10.0%
ROA0.8%0.9%

(*)与信関連費用が利益となったため記載しておりません。
(今後のビジネスモデル・中期目標等)
当行は、平成30年5月に、平成30年度からの3年間を新たな計画期間とする中期経営計画を策定し、公表いたしました。
①あおぞら銀行グループの目指す姿
メガバンクでも地域金融機関でもないユニークな存在として “あおぞら” らしさに更に磨きをかけることにより、“進化する「頼れる、もうひとつのパートナーバンク」”としてお客さまの信頼と支持を得ることで、持続的な成長を図り、我が国の経済・社会の発展に貢献してまいります。
当行グループが考える、“あおぞら” らしさは、次のとおりです。
<「お客さま」にとっての “あおぞら” らしさ>・ユニークで差別化された商品・サービス
・スピーディできめ細かなオーダーメイド対応
・親しみやすさ・誠実で分かりやすい説明
<「株主」にとっての “あおぞら” らしさ>・安定的な株主還元の継続と、それを支える財務基盤
・透明性の高いガバナンス
・株主フレンドリーなコミュニケーション・IR活動
<「従業員」にとっての “あおぞら” らしさ>・働きやすく、多様な人材が活躍する職場
・円滑なコミュニケーション、チームプレーの促進
・働きがいがあり、新たな領域へ挑戦できる風土
②基本方針
ビジネスモデル「6つの柱」における選択と集中の徹底
当行は、従来からのビジネスモデル「6つの柱」を堅持しつつ、リスクアペタイトと整合性の取れた資源配分に基づく選択と集中を推進することにより、お客さまに対して、より “あおぞら” らしい商品・サービスの提供に注力します。
<ビジネスモデル「6つの柱」>1.シニア層のお客さまにスーパーフォーカスしたリテールバンキング
2.企業のお客さまに対する課題解決型営業
3.地域金融機関パートナーシップの強化
4.スペシャルティファイナンスの進化
5.国際業務の持続的成長
6.グローバル分散投資の追求とリスクコンサルティングの推進
健全なリスクテイクを支えるリスク管理の実践
健全なリスクテイクを支える、「ディシプリン」と「ベスト・プラクティス」に基づいたリスク管理を実践し、公的資金によって再生を果たした銀行として、二度と信用不安を惹起させないためのリスク管理態勢の構築と健全性の維持に引き続き努めます。
新たなビジネス分野の開拓
新たなビジネス分野の一つとして、当行、GMOインターネット株式会社並びにGMOフィナンシャルホールディングス株式会社が共同出資するインターネット専業銀行「GMOあおぞらネット銀行(注)」が、本年7月にサービス提供を開始する予定です。「すべてはお客さまのために。No.1テクノロジーバンクを目指して」をコーポレートビジョンに掲げ、当行グループ、GMOインターネットグループそれぞれの強みを活かしたサービスを提供してまいります。
また、国内外において成長性の高い市場・業務分野を見極め、当行グループのビジネスモデルとシナジーあるいは補完関係がある新規ビジネスの開拓や出資・M&Aを活用した参入等、資本を有効活用した新たな成長戦略を引き続き追求してまいります。
(注)平成30年6月1日付で、商号を「あおぞら信託銀行株式会社」から「GMOあおぞらネット銀行株式会社」に変更しております。
③中期財務目標
収益目標
既存ビジネスモデル「6つの柱」に磨きをかけ、規律あるリスクマネジメントの下での健全なリスクテイク及びリテールビジネス・M&A等の非資金利益の拡大とともに、新規分野の開拓等により、本中期経営計画期間中の親会社株主に帰属する当期純利益は430億円以上を目指します。
主要業績評価指標(Key Performance Indicators:KPI)目標
中期経営計画期間における主要業績評価指標(KPI)目標は以下のとおり定めます。当行グループの強みである効率性を維持しつつ、安定的・持続的な成長を目指してまいります。
主要業績評価指標
(KPI)
平成29年度
(実績)
平成30年度~平成32年度
(中期目標)
資金粗利鞘(NIM)1.30%1.2%程度
非資金利益率43.9%45%~55%程度
経費率(OHR)53.6%50%程度
ROE10.0%9%程度
ROA0.9%0.8%程度

④資本・配当政策
持続的な企業価値の向上を実現するため、「健全性の維持」、「安定的な株主還元」、「戦略的な資本活用」のバランスがとれた資本政策を実施してまいります。
自己資本
今後の金融規制強化、格付の維持、投資機会への機動的対応等を踏まえて、自己資本比率(国内基準)は、10%程度を目指してまいります。
株主還元
株主還元については配当による還元を原則とします。配当性向を50%程度とし、業績に応じた還元と安定配当の維持の両立を図ってまいります。また、引き続き四半期ベースの配当を実施いたします。
(2)経営環境及び対処すべき課題等
当連結会計年度における内外の経済環境は、国内では、企業収益が堅調に推移する中、設備投資が緩やかに増加し、個人消費も雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移する等、全体として緩やかな景気回復基調が続きました。海外では、欧米も含め世界的な景気回復が継続しました。
金融市場を概観すると、国内では、長期金利(10年国債利回り)は概ね△0.015~0.105%での推移となりました。日経平均株価は、堅調な企業業績や衆議院選挙での与党勝利を背景に続伸し、1月には一時24,000円台を記録しました。その後、米長期金利の上昇等を受け下落し、年度末は21,000円台となりました。ドル円相場は、年末までは概ね109~114円で推移しましたが、年明け以降にやや円高基調となり、年度末は106円台前半で終了しています。
米国では、景気回復を受け、FRB(連邦準備制度理事会)が0.25%の利上げを三度実施しました。長期金利(10年米国債利回り)は年度前半に低下しましたが、その後上昇基調へ転じ、2月にはインフレ懸念の高まり等から一時2.9%台となりました。米国株式市場(ダウ工業株30種平均)は上昇基調が続いていましたが、2月の長期金利上昇をきっかけに下落し、その後値動きの激しい展開となっています。
当行グループは、「日本の金融システムに深く根ざし、永続的に我が国経済及び社会の発展に貢献する」との経営理念のもと、これまで、ユニークで専門性の高い金融サービスを提供することにより、お客さまから真に信頼される“進化する「頼れる、もうひとつのパートナーバンク」”を目指し、ビジネスモデル「6つの柱」を進化させるとともに、公的資金によって再生を果たした銀行として、二度と信用不安を惹起させないようリスク管理態勢の構築と健全性の維持に努めてまいりました。加えて、基盤システムの更改や本社ビルの移転等、経営基盤の強化に向けた業務インフラの整備も推進してまいりました。
平成30年5月14日に「中期経営計画(2018~20年度)について」で公表いたしましたとおり、銀行を取り巻く環境は不確実性が高まっていますが、当行グループは、お客さまから信頼され、支持されるため、ユニークで質の高い“あおぞら”らしい金融サービスを提供するとともに、「ディシプリン」と「ベスト・プラクティス」に基づくリスク管理に裏打ちされた健全なリスクテイクの実践と、業務の効率化推進並びに成長・戦略分野への経営資源配分に基づく選択と集中を通じて、引き続き持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
当行グループはメガバンクでも地域金融機関でもない、ユニークな立ち位置やビジネスの特長を活かし、お客さまや株主に対する“あおぞら”らしさを追求するとともに、従業員一人ひとりの“あおぞら”らしさを体現できる人材への成長をサポートするためにも、働き方改革を推進します。
企業として社会的課題の解決に向けた取り組みを強化するため(環境・社会に対する一層の配慮)、当行グループは、「社会・事業価値創造協議会(CSV協議会)」を設置し、事業活動を通じた社会的価値創造に取り組んでまいりましたが、引き続き、環境・社会・ガバナンス(ESG)に係る課題解決に向けた取り組みを推進してまいります。
以上の取り組みを通じ、“あおぞら”らしさに更に磨きをかけることにより、“進化する「頼れる、もうひとつのパートナーバンク」”としてお客さまの信頼と支持を得ることで持続的な成長を図り、我が国経済・社会の発展に貢献してまいります。