有価証券報告書-第208期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 13:43
【資料】
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【項目】
179項目

対処すべき課題

以下の記載における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当行グループ(当行及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
経営理念 「地域とともに成長発展し すべてのお客さまにご満足をいただき 行員に安定と機会を与える」

当行は、上記経営理念のもと、「地域の皆さま」、「お客さま」、「株主の皆さま」、「従業員」などのステークホルダーを重視した経営を行うとともに、「安全・安心」の銀行として、より一層の信頼を確保することを基本方針としております。
(2) 中長期的な経営戦略

2018年4月よりスタートした第19次長期経営計画「《やまぎん》未来をつくる ~Vision for 2020~」(2018年 4月〜2021年3月)では、10年後の目指す姿に『山形の発展に「責任」を持つベストパートナーバンク』を掲げております。
本計画では、人口減少社会の進行を見据え、ボリュームを重視した「量的な拡大」のみに依存した従来のビジネスモデルから、「質の充実」を求めて大きくビジネスモデルを転換しております。
これまで以上に厳しい環境が予想されるなか、お客さま、地域、当行、それぞれの「未来をつくる」ために、確実に当行の構造転換を実現していくための3年間と位置付け、「お客さまの持続的成長」、「地域の価値創造」、「当行の企業価値向上」を3本の柱として、施策を展開しております。
重点課題と主な施策
① 収益力の強化
トップライン収益の増強低金利環境の継続を見据え、既存ビジネスの採算改善、新たなビジネス展開などにより、トップライン収益の増強を図る
■既存ビジネスの強化 ■非金利収入の増強 ■収益管理態勢の強化
新たな営業体制の構築地域経済の縮小を踏まえ、効率的かつコンパクトな営業店体制を整備し、 お客さまサービスの質の向上および効果的な人財育成を図る
■営業店体制・店舗ネットワークの再構築 ■事務から推進への担い手変更
業務改革(BPR)聖域のない業務の削減やITの活用など、更なる業務効率化策への取り組みにより、生産性の向上およびコスト削減を図る
■本部集中化対象業務の拡大 ■RPAの活用

② お客さま本位の営業強化
パートナー営業の強化お客さまとの双方向の親密な対話を通じ、お客さまが真に必要とする商品 サービスを提供する満足度の高い営業を実践する
■事業性評価 ■事業承継・M&A ■資産形成に向けたコンサルティング
人財力の強化絶えず変化するお客さまニーズに対し、お客さま本位の営業を実践できる 人財を育成する
■人財育成の強化 ■ダイバーシティへの対応
■ES(従業員満足度)の向上
お客さま満足度の向上お客さま応対力を向上させ、質の高いサービスを提供することで当行の企業価値向上を図る
■事務手続きの簡素化による利便性向上 ■コンプライアンスの徹底

③ 地方創生への取組強化
山形成長戦略の推進県内GDPおよび雇用の維持を達成するべく、主要モデル事業の推進に ついて強化する
■インキュベーションパークの構築 ■ヘルスツーリズムシティの構築
地域活性化への取り組み地方創生に資する成長分野の強化や、企業誘致、創業支援への取り組みなどにより地域活性化を図る
■成長分野取引の拡大 ■企業誘致・創業支援

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
第19次長期経営計画の最終年度である2020年度の主要経営目標として以下の項目を掲げ、各種施策に取り組んでおります。なお、設定した目標数値については、新型コロナウイルスの感染拡大の収束時期が見えない中で、2020年度後半以降は徐々に落ち着きを取り戻すと仮定し、各部門において収益が減少するリスクを織り込んで作成しております。今後の感染拡大状況、社会状況、経済状況の推移により、業績予想に大きな変化が生じた場合は、目標設定の見直しを行う可能性があります。
目標とする指標算出方法当該指標を利用する理由
当期純利益(当行単体)財務諸表上の数値事業の収益性を追求するため
親会社株主に帰属する当期純利益財務諸表上の数値
コアOHR(当行単体)経費÷コア業務粗利益
自己資本比率(国内基準、当行単体)自己資本の額÷リスク・アセット等の額経営の安全性を追求するため
事業性メイン先数(当行単体)当行融資残高が1位のお取引先数
(金融仲介機能のベンチマークにおけるメインバンクの定義)
業容の質的向上を追求するため
総預かり金融資産残高(当行単体)個人預金残高+預かり資産残高


設定した目標数値等
目標とする指標目標数値(2020年度)実績(2019年度)
収益性指標当期純利益(当行単体)18億円21億円
親会社株主に帰属する当期純利益21億円25億円
コアOHR(当行単体)70%台78.44%
安全性指標自己資本比率(国内基準、当行単体)10%以上10.59%
業容指標事業性メイン先数(当行単体)5,500先4,854先
総預かり金融資産残高(当行単体)1兆9,600億円2兆78億円

(注) 1. 当期純利益(当行単体)および親会社株主に帰属する当期純利益の目標数値については、2020年5月14日公表の業績予想を基に設定しております。なお、第19次長期経営計画にて当初定めた2020年度の当期純利益(当行単体)の目標数値は40億円以上、親会社株主に帰属する当期純利益の目標数値は45億円以上であります。
2. 総預かり金融資産残高(当行単体):個人預金期末残高+預かり金融資産期末残高(生命保険残高は販売累計額)
(4) 経営環境および対処すべき課題
経営環境をみますと、人口減少や少子高齢化に伴う地域経済の縮小が懸念される状況を踏まえ、地方創生や地域経済の活性化に果たすべき当行の役割や責任は、一層重要性が高まっているものと認識しております。
加えて、新型コロナウイルスの感染拡大が地域経済に与える影響は非常に大きく、山形県内経済は足もとでは弱い動きとなっていることから、当該感染拡大への対応が最優先課題と捉えております。
当行は、職員のマスク着用や、支店・オフィス内のパーテーション、窓口へのアクリル板設置により感染予防対策を講じているほか、スプリット・オペレーション(交代勤務)やテレワーク(在宅勤務)を導入しつつ、全支店の営業を継続することで安定的な金融機能維持を図っております。また、お客さまの資金繰り支援などに全力で対応するため、法人や個人事業主のお客さま向けに新型コロナウイルス感染症対策資金の取り扱いの開始、条件変更等の柔軟な対応、必要書類の簡素化、経営相談窓口設置等を行っております。このほか、個人のお客さま向けにWEB完結型フリーローンの金利を一律引き下げて提供する等、金融面のサポートを実施しております。
他方、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが求められているほか、マネー・ローンダリングやテロ資金供与の防止、サイバー攻撃に対するセキュリティ強化への対応など、経営管理態勢強化に引き続き取り組んでいく必要があります。
当行は、2018年4月より第19次長期経営計画「《やまぎん》未来をつくる~Vision for 2020~」(2018年4月〜2021年3月)をスタートさせ、2020年度は長期経営計画の最終年度として、計画で掲げた課題に対して結果を 出す重要な1年と位置付けております。
地方銀行の存在意義は、お客さまと地域経済の持続的発展に尽くすことにあります。お客さまとの接点強化と総合金融情報サービスの提供により、日々刻々と変化するお客さまのニーズに応えてまいります。
「お客さま」、「地域」、「当行」の未来をつくるため、山形の発展に責任を持つ「ベストパートナーバンク」を目指し、引き続き当行グループが一丸となって、地域内企業の皆さまへの幅広い事業支援や、個人の皆さまへの安定した金融サービスの提供、資産形成支援など、地域経済の発展とお客さまのニーズにこだわったビジネスを展開してまいります。