有価証券報告書-第14期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

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2016/06/27 13:49
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対処すべき課題

当社グループは、平成28年度からの3年間を計画期間とする新中期経営計画『進化する“One MIZUHO” ~総合金融コンサルティンググループを目指して~』をスタートいたしました。
この計画は、不透明な規制環境に加え、世界経済も新興国経済が牽引してきた構図の変調や資源価格の長期低迷等ターニングポイントを迎えつつあるとともに、金融イノベーションの急速な進展等のゲームチェンジが起こりつつあるなか、こうした新しい環境変化に対応できるビジネスモデルの構築を目指すものです。
具体的には、前中期経営計画で推進してきた「お客さま第一(Client-Oriented)」をさらに徹底するとともに、厳しい経営環境への対応として、業務高度化・効率化プロジェクトにより「オペレーショナルエクセレンス(卓越した業務遂行力)」を追求してまいります。
新中期経営計画は、「お客さま第一」と「オペレーショナルエクセレンス」を2つの土台として、「総合金融コンサルティンググループ」という新しいビジネスモデルを構築し、前中期経営計画で標榜した“One MIZUHO戦略”を進化させようとするものであり、新中期経営計画における目指す姿、5つの基本方針、さらに、基本方針を具体化した事業戦略、財務戦略、経営基盤における戦略軸として、10の戦略軸を設定しております。
[中期経営計画における〈みずほ〉の目指す姿]
“総合金融コンサルティンググループ”
~お客さまと社会の持続的成長を支える課題解決のベストパートナー~

[5つの基本方針]
1.カンパニー制の導入
2.事業の選択と集中
3.強靭な財務体質の確立
4.金融イノベーションへの積極的取組み
5.強い〈みずほ〉を支える人材の活躍促進とカルチャーの確立

[10の戦略軸]
[事業戦略]
① グローバルベースでの非金利ビジネスモデルの強化
② 貯蓄から投資への対応
③ リサーチ&コンサルティング機能の強化
④ FinTechへの対応
⑤ エリアOne MIZUHO戦略*

[財務戦略]
⑥ バランスシートコントロール戦略とコスト構造改革
⑦ 政策保有株式の削減

[経営基盤]
⑧ 次期システムの完遂
⑨ 人事運営の抜本的改革
⑩ 強い組織を支えるカルチャーに向けた継続的取組み

*同一地域における銀行・信託・証券一体でのOne MIZUHO戦略。営業拠点がエリア戦略を主体的に考え実行。
(オペレーショナルエクセレンス(卓越した業務遂行力))
One MIZUHO戦略の実行力である「オペレーション」を向上させ、「お客さま第一」を軸とする戦略の差別化とあわせて、〈みずほ〉の持続的な競争優位の確立につなげ、お客さまサービスの付加価値を向上すべく、「オペレーショナルエクセレンス」を追求いたします。既存の業務プロセスを徹底的に見直し、「オペレーションの効率化」と「オペレーションの高度化による顧客価値創出」を実現してまいります。
(カンパニー制の導入)
「お客さま第一」のさらなる徹底を図るべく、持株会社のもとで、銀行・信託・証券を一体的に運営する〈みずほ〉の特長と優位性を活かし、お客さまのニーズに即した最高の金融サービスを迅速に提供していくため、平成28年4月1日付で、顧客セグメント別のカンパニー制を導入いたしました。これまでも〈みずほ〉は、ユニット制のもと、お客さまの属性ごとに特化したグループ各社横断的なシャープな戦略展開を行ってきましたが、カンパニー制ではその方向性をさらに徹底し、戦略の企画・立案から戦略の遂行に至るプロセスにおいて、より強力に、よりスピーディーに、お客さまの属性に応じて一貫した戦略を展開できる体制といたします。
具体的には、顧客セグメントごとに、リテール・事業法人カンパニー、大企業・金融・公共法人カンパニー、グローバルコーポレートカンパニー、グローバルマーケッツカンパニー、アセットマネジメントカンパニーの5つのカンパニーを設置し、「お客さま第一」の観点からのアプローチ(マーケット・イン型アプローチ)を徹底的に強化いたします。また、プロダクツ、リサーチ等の機能は「専門性のさらなる強化」と「全カンパニー横断的な機能活用」を図るため、2つのユニットとして独立して設置いたしました。なお、リサーチ等の機能に関しては、グループ内のリサーチ機能とコンサルティング機能を“One シンクタンク”として集約し、お客さまのあらゆる課題解決に取り組む専門家集団と位置付け、リサーチ&コンサルティングユニットを新設いたしました。
また、グループ全体のリスクアペタイト方針(リスクテイクに関する基本的な方針)に則り、収益力の向上とリスク・リターン構造の改革に取り組んでまいりますとともに、本部スリム化とスピーディーな意思決定を実現し、現場力・営業力の一層の向上を目指してまいります。
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[事業戦略]
当社グループは、新しい顧客セグメント別経営体制のもと、新しい中期経営計画における10の戦略軸に基づき、「お客さま第一」を徹底的に強化してまいります。
各カンパニー・ユニットにおける事業戦略は以下の通りです。
(リテール・事業法人カンパニー)
リテール・事業法人カンパニーは、個人・中小企業・中堅企業のお客さまに向けた業務を担当いたします。
個人のお客さまには、資産運用、資産承継等のコンサルティング提供力の向上に努めていくとともに、先進的な技術の活用・他社との提携等による、利便性の高いサービスの開発・提供に取り組んでまいります。
中小企業・中堅企業のお客さまには、事業の成長・拡大、事業承継、海外展開等の経営課題や、企業オーナー等のお客さまの資産承継・運用等、法人・個人両面のニーズに対してソリューションを提供してまいります。
こうした取り組みを通じ、お客さまと共に成長する「総合金融コンサルティングカンパニー」を目指してまいります。
(大企業・金融・公共法人カンパニー)
大企業・金融・公共法人カンパニーは、国内の大企業法人・金融法人・公共法人のお客さまに向けた業務を担当いたします。
大企業法人のお客さまには、資金調達・運用、経営・財務戦略等に関するお客さまニーズに対し、シンジケートローンや社債引受、M&A等、お客さまごとのオーダーメード型ソリューションの提供力を強化してまいります。
金融法人のお客さまには、財務戦略等に関する助言や各種運用商品の提案、公共法人のお客さまには、公共債の受託、引受を通じた資金調達支援、指定金融機関業務等、グループ横断的に最適な金融サービスを提供してまいります。加えて、日本経済の重要課題である、地方創生に向けた取り組みも継続してまいります。
これらの取り組みを通じ、お客さまから最も信頼されるパートナーになることを目指してまいります。
(グローバルコーポレートカンパニー)
グローバルコーポレートカンパニーは、海外進出日系企業及び非日系企業等のお客さまに向けた業務を担当いたします。
お客さまの事業への深い理解と、貸出、社債引受等のコーポレートファイナンスの分野での強みを活かし、さまざまなソリューションを提供し、日系企業のお客さまの海外事業展開サポート、非日系企業のお客さまとの長期的な関係構築に努めてまいります。
また、拠点ネットワークの拡充や、海外の地場金融機関や政府系機関等との業務提携構築を進め、サービス提供力のさらなる強化に努めてまいります。
これらの取り組みを通じ、大きく変わる世界の経済動向・規制動向の中で、持続的に成長するカンパニーを目指してまいります。
(グローバルマーケッツカンパニー)
グローバルマーケッツカンパニーは、金利・エクイティ・クレジット等への投資業務に加え、個人から機関投資家まで幅広いお客さまに対して、セールス&トレーディング業務として、金利・為替・株式・コモディティ等、マーケット商品全般を提供してまいります。
銀行・信託・証券連携による幅広いプロダクツ提供力を活かし、アジアトップクラスのグローバルマーケットプレイヤーを目指してまいります。
(アセットマネジメントカンパニー)
アセットマネジメントカンパニーは、個人から機関投資家まで幅広いお客さまの資産運用ニーズに応じた商品開発やサービスの提供を担当いたします。
フィデューシャリー・デューティー*を全うし、個人のお客さまの資産形成に資する運用商品の提供や、年金等のお客さまの多様化するニーズにお応えする商品提供力・商品選定機能の強化、確定給付年金と確定拠出年金を一体で捉えた総合提案への取り組みを強化してまいります。
こうした取り組みを通じて、国内金融資産の活性化に貢献することを目指してまいります。
*他者の信任に応えるべく一定の任務を遂行する者が負うべき幅広い様々な役割・責任の総称
(グローバルプロダクツユニット)
グローバルプロダクツユニットは、各カンパニーと連携し、あらゆるお客さまに対して、高度な専門性を駆使し、事業・財務戦略アドバイス、資金調達サポート、国内外為替・決済等のソリューションを提供してまいります。
こうした取り組みを通じて、〈みずほ〉の目指す「総合金融コンサルティンググループ」をプロダクツの面から支えることを目指してまいります。
(リサーチ&コンサルティングユニット)
リサーチ&コンサルティングユニットは、〈みずほ〉の目指す「総合金融コンサルティンググループ」を支える邦銀初の本格的リサーチ&コンサルティングユニットとして、お客さまの顕在的・潜在的な課題解決に取り組む専門家集団を目指し、グローバルな視点を強化してまいりますとともに、マクロ・ミクロ両面からのアプローチにより、各カンパニーと連携し、ソリューションを提供してまいります。
[経営管理・経営基盤等]
事業戦略と表裏一体をなす経営管理・経営基盤についても、規制強化等の外部環境変化を踏まえ、以下の取り組みを進めてまいります。
(リスクアペタイト・フレームワークの高度化)
当社は、事業戦略・財務戦略とリスク管理の一体運営を通じて企業価値の向上を実現する観点から、リスクアペタイト・フレームワークを導入しております。戦略を実現するために、どのようなリスクをどの程度取るかを明確にしたうえで経営資源の配分や収益計画を決定し、運営状況のモニタリング等を通じリスク・リターンの最適化に取り組んでおります。
また、リスクに向き合う際に共有すべき価値観・行動軸の実現に向けた「リスクに関する行動指針」を制定いたしました。すべての役員及び社員へ「リスクに関する行動指針」を浸透させる取り組みを通じて健全なリスクカルチャーを醸成し、当社のリスクアペタイト・フレームワークを実効的なものとするよう、引き続き取り組んでまいります。
(次期システムの完遂)
最重要・最大規模のシステムプロジェクトとして、万全の態勢のもと、「安全・着実」に完遂するべく取り組んでおります。
(政策保有株式の削減)
「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」に記載の通り、上場政策保有株式については、「保有の意義が認められる場合を除き、保有しない」ことを基本方針としております。株価変動に伴う財務影響を軽減し、ストレス時においても金融仲介機能を十分に発揮できるよう、引き続き政策保有株式の削減に努めてまいります。
(人事運営の抜本的改革)
社員エンゲージメント(社員と会社がお互いの成長に貢献し合う関係性)を高め、人材の面から競争優位を確立すべく、人事運営の抜本的改革に取り組んでまいります。人事戦略、人事制度ならびに人事運営のプリンシプルを制定し、グループの全社員が自らのステップアップと組織貢献に対する意欲を高め、各人の能力を持続的に伸ばして最大限に発揮しながら長く活躍することを実現し、人材における差別化を図ってまいります。
(フィデューシャリー・デューティー*の実践)
当社グループは、お客さまの中長期的なパートナーとして、最も信頼されるグループであり続けるべく、資産運用関連業務におけるフィデューシャリー・デューティーの実践に向けたグループの取組方針を定めております。お客さまの利益に真に適う商品・サービスを提供する等、当該方針に従った取り組みを、グループ各社において一層強化してまいります。
*他者の信任に応えるべく一定の任務を遂行する者が負うべき幅広い様々な役割・責任の総称
(強い組織を支えるカルチャーに向けた継続的取り組み)
強固なカルチャーの確立に向け、引き続き取り組んでまいります。具体的には、各部拠点がそれぞれ目指すべき姿をまとめた「自部店ビジョン」実現に向けた取り組みや、国内外の部店長を対象にカルチャーについて議論する「部店長オフサイト」等、今後とも各種取り組みを継続・強化してまいります。
(強固なブランドの確立)
当社グループは、新しい中期経営計画をブランド構築のアクションプランと位置付け、目指す姿である、お客さまと社会の持続的成長を支える課題解決のベストパートナーとしての「総合金融コンサルティンググループ」の実現を通じて、強固なブランドを確立してまいります。中期経営計画の達成とともに、ブランドコミュニケーションの実践等、今後とも一層のブランド価値向上に向けた取り組みを進めてまいります。
みずほ銀行とみずほ信託銀行の統合の可能性につきましても、引き続き検討してまいります。
平成28年4月に発生した熊本地震に際しましては、被災されたお客さま向け融資のご相談を速やかに開始する等、被災者の皆さまの災害復旧に役立てていただくための取り組みを実施いたしております。引き続き、災害復旧に向けた支援に取り組んでまいります。
当社グループは、反社会的勢力との取引遮断をはじめとする法令遵守態勢及びガバナンス態勢の強化に引き続き努めてまいります。
社会の持続可能な発展にグループの総力を挙げて貢献するとともに、企業価値のさらなる向上に邁進してまいります。