有価証券報告書-第15期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/29 13:35
【資料】
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【項目】
140項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
①グループ経営理念
ふくおかフィナンシャルグループ(以下「FFG」といいます。)は、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行、みんなの銀行をグループ傘下に持つ広域展開型地域金融グループとして、営業基盤である九州を中心に、稠密な営業ネットワークを活かし、高度かつ多様な金融商品・サービスを展開しております。
当社グループは、以下の経営理念を基本として、金融サービスの向上を通じて地域社会に対してより多くの貢献を果たすとともに、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
ふくおかフィナンシャルグループ経営理念
ふくおかフィナンシャルグループは、高い感受性と失敗を恐れない行動力を持ち、未来志向で高品質を追求し、人々の最良な選択を後押しする、すべてのステークホルダーに対し、価値創造を提供する金融グループを目指します。

②グループブランド
FFG各社は、グループ経営理念を共通の価値観として行動し、お客さま、地域社会、株主の皆さま、そして従業員にとって真に価値ある存在であり続けるための約束として、『コアバリュー』を表明し、ブランドスローガン『あなたのいちばんに。』を展開してまいります。
□ ブランドスローガン
あなたのいちばんに。
□ コアバリュー (ブランドスローガンに込められたお客さまへの約束)
・ いちばん身近な銀行
お客さまの声に親身に心から耳を傾け、対話し、共に歩みます。
・ いちばん頼れる銀行
豊富な知識と情報を活かし、お客さま一人ひとりに最も適したサービスを提供します。
・ いちばん先を行く銀行
金融サービスのプロ集団として、すべての人の期待を超える提案を続けます。


(2) 中長期的な会社の経営戦略
FFGは、2007年4月の設立以降、福岡県、熊本県、長崎県を中心とした九州全域に広域なネットワークを有する広域展開型地域金融グループとして、地域経済の発展に資する様々な活動を展開してまいりました。
また、2016年にスタートした第5次中計から、長期ビジョン「持続的に高い競争力・成長力を実現する ザ・ベスト リージョナルバンク」を掲げ、営業基盤の拡大、収益源の多様化、生産性・健全性の向上を進めるとともに、2021年には国内初のデジタルバンクとしてみんなの銀行を立ち上げるなど、これまでにない新しい取組みにもチャレンジしてきました。
この間、テクノロジーの進化やSDGsへの意識の高まりをはじめとした社会の変化がコロナ禍により加速し、世界規模で環境は急速に変化しています。地域社会においても、人口減少や高齢化などの構造的な課題に加え、デジタル化やグローバル化を通じて世界の環境変化が影響し不確実性が増してきました。
このようにFFGを取り巻く事業環境の前提が大きく変わってきたことを踏まえ、2030年を目標とした長期ビジョンを改めて設定しました。
事業環境が大きく変わる一方、福岡・熊本・長崎を中心に九州に根ざした地域金融機関として、地域と利益を一つにしている構図は変わっておらず、持続可能な地域社会を実現していくことは、これからもFFGの使命・サステナビリティそのものであると捉えています。
これを実現するためには、相当なスピードで変化する世界の状況をいち早く捉え、その果実である資本・技術・情報等を活用しながら、FFG自身が変革し、地域課題を解決していく必要があります。
このため、①信頼をベースに多様化する顧客ニーズにストレスなく応えるサービス開発力、②企業・社会課題を解決するソリューション力、③大きく変化する環境・社会課題や働き方に柔軟に対応できる組織力の3点を備えたい力と位置付けました。
これら3つの力を備えることで、「ファイナンスとコンサルティングを通じて全てのステークホルダーの成長に貢献するザ・ベスト リージョナルバンク」になることを2030年の長期ビジョンとし、サステナブルな地域社会とFFGの持続的成長の同時実現を目指してまいります。
(3) 目標とする経営指標
2022年度より、長期ビジョンを目指す最初の中計と位置付けた第7次中期経営計画(2022年4月~2025年3月)をスタートさせました。
第7次中期経営計画では、最終年度である2024年度の目標経営指標として、以下の項目を掲げております。
目標とする経営指標最終年度 目標数値
収益性指標親会社株主に帰属する当期純利益650億円
ROE(連結自己資本利益率、以下同じ)6%程度
健全性指標自己資本比率(*)10%半ば
効率性指標OHR(連結)(経費/業務粗利益、以下同じ)60%程度

(*)バーゼルⅢ最終化(完全適用)ベース
(4) 会社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
金融機関を取り巻く事業環境は、国内における人口減少、少子高齢化の進行や低金利環境の長期化といった従前からの課題に加え、テクノロジーの進化や新型コロナウイルス感染症拡大にともなう新しい生活様式への移行、脱炭素社会への転換をはじめとしたSDGsへの意識の高まり等、お客さまの行動や社会環境の変化がすすんでいます。
FFGを取り巻く事業環境の前提が大きく変わってきたことを踏まえ、「持続可能な地域社会を実現する」ことが私たちの使命でありFFGのサステナビリティであること、その実現に向けて、FFGの経営理念やブランドスローガン、サステナビリティ方針が不変であることを再確認しました。
そして、「地域社会の課題解決」と「FFG企業価値の向上」の好循環サイクルを創出するために、2030年を目標とした長期ビジョンを改めて設定し、そのビジョンを目指す最初の中計と位置付けた「第7次中期経営計画」を2022年度よりスタートさせました。
(イ) 第7次中期経営計画の基本戦略
FFGは地域金融機関として、地域に金融サービスを提供するとともに地域の成長を自らの成長の源として、コアとなるビジネスを築き上げてきました。
このコアビジネスを土台とする第6次中計におけるプロジェクト効果の実現及び定着が、まず第7次中計におけるテーマです。十八親和銀行の統合や投信ビジネスの拡充等の効果の広がりにより、持続的成長の基盤がより強固になるものと考えています。
そのうえで、この成長の循環を継続するために新たなチャレンジにも取り組みます。コアとなるバンキングビジネスの更なる成長に向けた取組みは、営業全般にわたるDX(デジタル・トランスフォーメーション:「業務改革2nd」「営業改革」)です。デジタルとヒト(従業員)の力を最大限に発揮することで、“お客さま本位”を徹底します。
「業務改革2nd」は、個人向け銀行アプリや法人向けWEBポータルサイトといったデジタルチャネルを構築し、お客さまとの接点を拡げるとともに、あらゆる銀行取引をリモートで可能とし、お客さまの利便性向上と業務の生産性向上を図ります。
「営業改革」は、デジタルチャネルによるお客さまとのコミュニケーションの進化とデータの利活用、営業担当者のスキル向上により、高度な金融サービスをいつでもどこでもきめ細やかにご提供します。
また、お客さまや地域が直面する様々な課題解決に向けて、当社グループの戦略系子会社の事業領域拡大、機能強化をすすめます。
さらに、成長領域を広げるため、みんなの銀行をはじめとする新事業の挑戦に向けて積極的にリソースを投入します。
(ロ) 人財戦略
変化の振れ幅が大きくそのスピードが加速するなかで“お客さま本位”を実践し、事業戦略を実現するのは人財です。
様々な分野に能力を発揮する人財で構成される「戦略的人財ポートフォリオ」を構築します。そのために、従来型の採用や人財育成に加え、キャリア採用や専門人財の育成にも積極的に取り組みます。
また、従業員がそれぞれの能力を発揮し日々の仕事にやりがいを実感できるよう、多様で柔軟な働き方を可能とする環境を整え、組織の目的や目標を共有できる社内コミュニケーションにも注力します。
こうした取組みを通じて従業員の能力とエンゲージメントの向上、ひいては組織力向上を目指します。
(ハ) サステナビリティの取り組み
「『地域経済発展への貢献』と『FFG企業価値の向上』の好循環サイクル」を創出し、持続可能な地域社会を実現していくことは、当社グループの使命であり、サステナビリティそのものです。
特に、当社グループは九州に根ざす地域金融機関として、CO2排出量ネットゼロなど自社の取組みとともに、地元のお取引先のSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)を積極的に支援します。
2021年4月、SDGs支援子会社である株式会社サステナブルスケールを設立しました。当社が提供する、サステナビリティへの取組み度合を測る「SS(サステナブル・スケール)インデックス」を通じた対話を切り口に中堅、中小企業の皆様のSDGs支援を強化しています。さらに、新たなファイナンス形態やコンサルティング機能の拡充により、お客さまのサステナビリティ向上をお手伝いします。