有価証券報告書-第18期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
対処すべき課題
「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成31年1月31日内閣府令第3号)による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式記載上の注意(30)の規定を当事業年度に係る有価証券報告書から適用しております。
(1)経営方針
当社グループは、公共性及び信頼性の確保、利便性、効率性及び透明性の高い市場基盤の構築並びに創造的かつ魅力的なサービスの提供により、市場の持続的な発展を図り、豊かな社会の実現に貢献することを企業理念としています。
当社グループは、有価証券やデリバティブの上場から、取引の場の提供、清算・決済サービスから指数・情報サービスに至るまで、我が国の市場に関する一連のサービスをグループ一丸となって提供しています(当社の企業構造については「第1企業の概況 3事業の内容」の事業系統図をご覧ください。)。
当社グループが運営する市場は、内外の経済情勢や金融政策、地政学リスクの動向など外部環境の変化によって大きな影響を受けますが、当社グループは、常に安定的に利用者の満足度が高い市場インフラを提供することを最大の経営課題と認識しています。
(2)経営環境及び対処すべき課題等
① 第二次中期経営計画の振り返り
当社グループは、日本株市況に過度に依存しないバランスがとれたビジネスポートフォリオの実現を中長期的な将来像として目指し、「第二次中期経営計画(2016年度-2018年度)」の4つの重点分野である「投資家の多様なニーズの充足と中長期的な資産形成の活性化」、「コーポレート・ガバナンスの実効性向上などを通じた上場会社の価値向上支援」、「BCPの強化や国債決済期間の短縮などによる市場基盤の強化」、「フィンテックの活用推進などによる新たな地平の開拓」について取り組みました。
この結果、指数・情報サービス、コロケーション、国債清算など周辺ビジネスの進展やETF市場拡大などにより日本株市況に過度に依存しない経営体質への転換が大幅に進展するとともに、計画最終年度(2018年度)における利益目標を達成し、2017年度も利益目標を前倒しで達成しています。
② 事業環境・課題
当社グループが運営する市場は、企業等に対しては資金調達機会を、投資家に対しては資産運用機会を、社会全体に対しては価格発見機能を提供しています。
我が国の市場においては、国内の他の取引所や私設取引システム(PTS)が市場を提供していますが、当社グループは、証券会社等の取引参加者を通じて、国内外の投資家からの大量の需給を集約することにより日本国内において確固たる地位を確立しており、今後も、投資家・利用者のニーズや事業環境の変化、技術の進展や規制の枠組みの見直しに応じて、的確な対応を進めることにより、日本国内のみならず、アジア太平洋地域のタイムゾーンにおける機軸マーケットとして、世界でも枢要な市場の一つであり続けることを目指していきます。
当社グループの運営する市場は、内外の経済情勢や金融政策、地政学リスクの動向など外部環境の変化によって大きな影響を受けるため、内外の経済動向や市場環境を注視しながら、市場運営を行っていく必要があります。
日本経済においては、少子高齢化や財政赤字、金融緩和の長期化などの中長期的な構造要因の急速な顕在化が懸念される中、堅調な企業業績や良好な雇用環境による内需の下支えが期待されている一方、消費税増税による景気への悪影響も懸念されますが、これらの動向により、当社グループの運営する市場の動向に影響を与える可能性があります。世界経済においては、米国・欧州における金融政策の動向や米中貿易問題など米中経済の動向や政治リスクの高まりなどが想定されますが、これらの動向により、当社グループの運営する市場の動向に影響を与える可能性があります。
ステークホルダーである証券会社などの取引参加者からは、当社グループが、安定的な市場運営のために、取引参加者・システムベンダーをはじめとする市場関係者との一層の連携を図っていくとともに、総合取引所の実現とその発展に注力することが求められています。また、幅広い関係者からの意見も踏まえながら、市場構造の在り方の見直しに向けた取組みや日本企業のコーポレート・ガバナンスの更なる実効性向上に向けた取組みが求められています。
また、政府の成長戦略(未来投資戦略2018)においては、金融・資本市場関連分野として、コーポレート・ガバナンス改革の推進や、建設的な対話のための情報開示の質の向上、ESG情報や気候変動関連情報などの提供を通じた中長期的投資の促進が掲げられています。家計の安定的な資産形成の促進、高齢社会に適合した金融サービスの提供、総合取引所の実現や株式等決済期間短縮(T+2化)など金融・資本市場の利便性向上と活性化が掲げられています。当社グループは、市場運営者としての立場から、こうした政府の成長戦略の実現に向けた取組みが求められています。
③ 第三次中期経営計画(2019年度-2021年度)の基本方針及び4つの重点戦略
当社グループは、2019年度から2021年度の3か年を対象に「第三次中期経営計画 ―市場への責任 未来への挑戦―」を策定いたしました。
当社グループを取り巻く経営環境や事業環境・課題を踏まえ、グローバルな環境変化や技術革新の中、ステークホルダーとの一層の協力や新たなパートナーシップを通じ、誰もがあらゆる商品を安心かつ容易に取引できる取引所⦅Total smart exchange⦆への進化を目指すことを中長期の将来像を見据えた基本方針とし、社会を支えるインフラとしての責任を果たす意思と、環境変化に立ち向かう意思を「市場への責任 未来への挑戦」と表しています。
当社グループは、重点戦略として掲げた"次世代に向けた「市場のカタチ」の追求"、"総合取引所の実現とその発展"、"データサービスの多様化の実現と次世代化への挑戦"、"事業と社会の未来を支えるための基盤作り"に基づく施策を遂行することにより、世界でも枢要な市場の一つであり続けることを目指していきます。
"次世代に向けた「市場のカタチ」の追求"では、市場構造の見直しや、ガバナンスの向上、株式決済のT+2化など、次世代に向けた「市場のカタチ」を追求することにより、日本市場の魅力向上に努め、グローバル競争力を強化していきます。
"総合取引所の実現とその発展"では、東京商品取引所との経営統合の早期実現を図り、日本のデリバティブ市場を活性化し、グローバルに通用する市場へ発展させていきます。
"データサービスの多様化の実現と次世代化への挑戦"では、オープン・イノベーティブなフレームワークの活用により、利便性の高いサービスを創生し、次世代に向けた新たな取引所像を模索していきます。
"事業と社会の未来を支えるための基盤作り"では、安心なITシステムの構築・運営や的確な自主規制機能の発揮など、安心・信頼して利用できるインフラとしての基礎固めを進めながら、さらに、高齢社会に対応した金融リテラシー向上やESG投資の推進などを通じて、持続可能な社会への貢献を図っていきます。
なお、当社グループは、4つの重点戦略の達成状況を判断するための客観的な指標として、主要達成目標を以下のとおり定めています。

④ 第三次中期経営計画(2019年度-2021年度)の経営財務目標及び資本政策
「第三次中期経営計画 ―市場への責任 未来への挑戦―」では、市場への責任を果たすためのシステム投資・BCP投資を実施しつつ未来へ挑戦していくための取組みを推進すること、具体的には4つの重点戦略を着実に遂行することにより、当社グループの収益基盤である取引量などの中長期的な増大を図っていくことを経営財務方針としています。また、安定的な市場運営のための財務の安全性と株主還元のバランスをとりつつ、継続的な投資により、市場の持続的な発展・進化を支えることを資本政策の基本方針とし、市況にかかわらず資本コストを上回るROE10%を中長期的に維持することを目指します。当該経営財務方針及び資本政策に基づき、計画最終年度の経営財務数値と計画期間中の設備投資金額の目安となる水準を以下のとおり設定しています。

(1)経営方針
当社グループは、公共性及び信頼性の確保、利便性、効率性及び透明性の高い市場基盤の構築並びに創造的かつ魅力的なサービスの提供により、市場の持続的な発展を図り、豊かな社会の実現に貢献することを企業理念としています。
当社グループは、有価証券やデリバティブの上場から、取引の場の提供、清算・決済サービスから指数・情報サービスに至るまで、我が国の市場に関する一連のサービスをグループ一丸となって提供しています(当社の企業構造については「第1企業の概況 3事業の内容」の事業系統図をご覧ください。)。
当社グループが運営する市場は、内外の経済情勢や金融政策、地政学リスクの動向など外部環境の変化によって大きな影響を受けますが、当社グループは、常に安定的に利用者の満足度が高い市場インフラを提供することを最大の経営課題と認識しています。
(2)経営環境及び対処すべき課題等
① 第二次中期経営計画の振り返り
当社グループは、日本株市況に過度に依存しないバランスがとれたビジネスポートフォリオの実現を中長期的な将来像として目指し、「第二次中期経営計画(2016年度-2018年度)」の4つの重点分野である「投資家の多様なニーズの充足と中長期的な資産形成の活性化」、「コーポレート・ガバナンスの実効性向上などを通じた上場会社の価値向上支援」、「BCPの強化や国債決済期間の短縮などによる市場基盤の強化」、「フィンテックの活用推進などによる新たな地平の開拓」について取り組みました。
重点分野 | 主な成果 |
投資家の多様なニーズの充足と中長期的な資産形成の活性化 | ・ETF保有者の増加(+12.9万人) ・ETFマーケットメイク制度の導入 ・グローバル環境指数の開発 |
コーポレート・ガバナンスの実効性向上などを通じた上場会社の価値向上支援 | ・コーポレートガバナンス・コード改訂 ・安定的なIPOの実現(3か年平均91社) ・ETF品揃え強化 |
BCPの強化や国債決済期間の短縮などによる市場基盤の強化 | ・国債決済期間短縮(T+1化) ・東西相互バックアップ態勢整備 ・HFT登録制に基づく監視強化 |
フィンテックの活用推進などによる新たな地平の開拓 | ・ブロックチェーン実証実験の進展 ・売買審査へのAI活用の実現 ・サステナビリティ関連商品の上場 |
この結果、指数・情報サービス、コロケーション、国債清算など周辺ビジネスの進展やETF市場拡大などにより日本株市況に過度に依存しない経営体質への転換が大幅に進展するとともに、計画最終年度(2018年度)における利益目標を達成し、2017年度も利益目標を前倒しで達成しています。
第二次中期経営計画期間 | 第二次中期 経営計画 最終年度目標 | |||
2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | ||
営業収益 | 1,078億円 | 1,207億円 | 1,211億円 | 1,230億円 |
当期利益 (親会社の所有者帰属分) | 421億円 | 504億円 | 490億円 | 480億円 |
ROE | 16.4% | 19.0% | 17.6% | 17%程度 |
② 事業環境・課題
当社グループが運営する市場は、企業等に対しては資金調達機会を、投資家に対しては資産運用機会を、社会全体に対しては価格発見機能を提供しています。
我が国の市場においては、国内の他の取引所や私設取引システム(PTS)が市場を提供していますが、当社グループは、証券会社等の取引参加者を通じて、国内外の投資家からの大量の需給を集約することにより日本国内において確固たる地位を確立しており、今後も、投資家・利用者のニーズや事業環境の変化、技術の進展や規制の枠組みの見直しに応じて、的確な対応を進めることにより、日本国内のみならず、アジア太平洋地域のタイムゾーンにおける機軸マーケットとして、世界でも枢要な市場の一つであり続けることを目指していきます。
当社グループの運営する市場は、内外の経済情勢や金融政策、地政学リスクの動向など外部環境の変化によって大きな影響を受けるため、内外の経済動向や市場環境を注視しながら、市場運営を行っていく必要があります。
日本経済においては、少子高齢化や財政赤字、金融緩和の長期化などの中長期的な構造要因の急速な顕在化が懸念される中、堅調な企業業績や良好な雇用環境による内需の下支えが期待されている一方、消費税増税による景気への悪影響も懸念されますが、これらの動向により、当社グループの運営する市場の動向に影響を与える可能性があります。世界経済においては、米国・欧州における金融政策の動向や米中貿易問題など米中経済の動向や政治リスクの高まりなどが想定されますが、これらの動向により、当社グループの運営する市場の動向に影響を与える可能性があります。
ステークホルダーである証券会社などの取引参加者からは、当社グループが、安定的な市場運営のために、取引参加者・システムベンダーをはじめとする市場関係者との一層の連携を図っていくとともに、総合取引所の実現とその発展に注力することが求められています。また、幅広い関係者からの意見も踏まえながら、市場構造の在り方の見直しに向けた取組みや日本企業のコーポレート・ガバナンスの更なる実効性向上に向けた取組みが求められています。
また、政府の成長戦略(未来投資戦略2018)においては、金融・資本市場関連分野として、コーポレート・ガバナンス改革の推進や、建設的な対話のための情報開示の質の向上、ESG情報や気候変動関連情報などの提供を通じた中長期的投資の促進が掲げられています。家計の安定的な資産形成の促進、高齢社会に適合した金融サービスの提供、総合取引所の実現や株式等決済期間短縮(T+2化)など金融・資本市場の利便性向上と活性化が掲げられています。当社グループは、市場運営者としての立場から、こうした政府の成長戦略の実現に向けた取組みが求められています。
③ 第三次中期経営計画(2019年度-2021年度)の基本方針及び4つの重点戦略

当社グループを取り巻く経営環境や事業環境・課題を踏まえ、グローバルな環境変化や技術革新の中、ステークホルダーとの一層の協力や新たなパートナーシップを通じ、誰もがあらゆる商品を安心かつ容易に取引できる取引所⦅Total smart exchange⦆への進化を目指すことを中長期の将来像を見据えた基本方針とし、社会を支えるインフラとしての責任を果たす意思と、環境変化に立ち向かう意思を「市場への責任 未来への挑戦」と表しています。
当社グループは、重点戦略として掲げた"次世代に向けた「市場のカタチ」の追求"、"総合取引所の実現とその発展"、"データサービスの多様化の実現と次世代化への挑戦"、"事業と社会の未来を支えるための基盤作り"に基づく施策を遂行することにより、世界でも枢要な市場の一つであり続けることを目指していきます。
"次世代に向けた「市場のカタチ」の追求"では、市場構造の見直しや、ガバナンスの向上、株式決済のT+2化など、次世代に向けた「市場のカタチ」を追求することにより、日本市場の魅力向上に努め、グローバル競争力を強化していきます。
"総合取引所の実現とその発展"では、東京商品取引所との経営統合の早期実現を図り、日本のデリバティブ市場を活性化し、グローバルに通用する市場へ発展させていきます。
"データサービスの多様化の実現と次世代化への挑戦"では、オープン・イノベーティブなフレームワークの活用により、利便性の高いサービスを創生し、次世代に向けた新たな取引所像を模索していきます。
"事業と社会の未来を支えるための基盤作り"では、安心なITシステムの構築・運営や的確な自主規制機能の発揮など、安心・信頼して利用できるインフラとしての基礎固めを進めながら、さらに、高齢社会に対応した金融リテラシー向上やESG投資の推進などを通じて、持続可能な社会への貢献を図っていきます。
重点戦略 | 具体的施策 |
次世代に向けた「市場のカタチ」の追求 | ・環境変化、ニーズに即したマーケットプラットフォームの構築 ・日本市場の魅力向上に向けた市場構造の構築、コーポレート・ガバナンス向上 ・グローバル競争力の強化のための株式決済期間短縮、清算サービス向上 ・個人投資家との新たなチャネル拡大、グローバル投資家サポートの推進 ・制度改善・プロモーションによるETF市場活性化、誰もが投資しやすい市場の創設に向けた取組み ・質的魅力を備えた上場会社、上場商品の拡充 |
総合取引所の実現とその発展 | ・コモディティ・デリバティブへの進出とその発展 ・コモディティ・デリバティブ清算への対応による信頼性の向上 ・総合取引所化に対応する監視、審査体制の構築 ・中長期の将来像の実現に向けた対応 |
データサービスの多様化の実現と次世代への挑戦 | ・技術革新とパートナーシップを活用した新しい情報サービスの創造 ・API配信、クラウド配信を実現する次世代情報配信システムの構築 ・環境変化、ニーズに即した指数開発、事業強化 ・中長期の将来像の実現に向けた対応 |
事業と社会の未来を支えるための基盤作り | ・安心、信頼して利用できるITシステムの構築、運営 ・日本市場の信頼性向上のためのバックアップセンター整備 ・ITを競争力の源泉とするためのシステム基盤強化、デジタル人材育成 ・環境変化に即した的確な自主規制機能の発揮 ・高齢社会も踏まえた安定的な資産形成や投資未経験者向けの金融リテラシー向上 ・ESG投資の普及、SDGsへの貢献のためのサステナビリティ推進 ・事業基盤の強化 |
なお、当社グループは、4つの重点戦略の達成状況を判断するための客観的な指標として、主要達成目標を以下のとおり定めています。

④ 第三次中期経営計画(2019年度-2021年度)の経営財務目標及び資本政策
「第三次中期経営計画 ―市場への責任 未来への挑戦―」では、市場への責任を果たすためのシステム投資・BCP投資を実施しつつ未来へ挑戦していくための取組みを推進すること、具体的には4つの重点戦略を着実に遂行することにより、当社グループの収益基盤である取引量などの中長期的な増大を図っていくことを経営財務方針としています。また、安定的な市場運営のための財務の安全性と株主還元のバランスをとりつつ、継続的な投資により、市場の持続的な発展・進化を支えることを資本政策の基本方針とし、市況にかかわらず資本コストを上回るROE10%を中長期的に維持することを目指します。当該経営財務方針及び資本政策に基づき、計画最終年度の経営財務数値と計画期間中の設備投資金額の目安となる水準を以下のとおり設定しています。
