有価証券報告書-第39期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/16 13:05
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192項目

有報資料

(1) 当社グループを取り巻く経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、国内景気の緩やかな回復基調や堅調なインバウンド需要が継続してきました。一方で、自然災害の激甚化、人口減少に伴う市場の縮小や人財獲得競争の激化、ニーズや価値観の多様化、物価・金利の上昇に加え、不透明な国際情勢等、急速かつ構造的な環境変化に直面しています。
(2) 経営の基本方針
当社グループは、福知山線列車事故のような重大な事故を決して発生させないという確固たる決意のもと、被害に遭われた方々への真摯な対応、安全性向上に取り組んでいきます。
2023年4月には、未来社会におけるJR西日本グループの存在意義を見つめなおし、めざす姿として「私たちの志」を策定しました。この「私たちの志」をグループ全体の羅針盤として、グループ一丸となって取り組んでいます。
私たちの志
人、まち、社会のつながりを進化させ、心を動かす。未来を動かす。
私たちは、これからも安全、安心を追求し、高め続けます。
人と人、人とまち、人と社会を、リアルとデジタルの場でつなぎ、西日本を起点に地域の課題を解決します。
そして、持続可能で活力ある未来を創り、その先の一人ひとりが思い描く暮らしを
様々なパートナーと共に実現していきます。

これまで、鉄道や駅を中心に人と人、人とまちをつなぎ、安全で豊かな社会づくりに貢献できるよう努力を積み重ねてきましたが、インフラを担う企業として、未来においても社会づくりに貢献する役割を果たし続けていくため、大きな転換期を迎えているこれからの社会の課題と向き合い、求められる価値を、事業活動を通じて提供していきます。
とりわけ、一人ひとりの暮らし、まち、社会全体が直面する課題に着目したとき、安全を基盤に広域で人と人、まち、社会をつなぐインフラサービスを提供し、またグループ全体で多くのお客様との接点、地域とのつながりを持つ当社グループは、これまで以上にお客様視点で「つながりを進化させる」ことで、大きな役割を果たしていくことができ、それこそが、未来の社会における私たちの存在意義と考えます。
引き続き、鉄道の安全性向上に向けた不断の取り組みを積み重ねていくことを基盤としつつ、様々なパートナーとの共創とイノベーションにより、「地域共生企業」として事業を通じて社会や地域の課題解決に貢献することで、社会的価値と経済的価値をあわせて創出し、よりよい未来を創り上げていきます。
(3) 中長期的経営戦略
当社グループは、「私たちの志」の実現に向け策定した「JR西日本グループ長期ビジョン2032」(以下、「長期ビジョン」)において、<実現したい未来>を掲げており、その上で、<2035年にありたい姿>を次のとおり定義しました。
<実現したい未来>[安全、安心で、人と地球にやさしい交通]
交通全体がシームレスなサービスとして認識され、定着している未来
[人々が行きかう、いきいきとしたまち]
地域の魅力が高まり、定住・交流・関係人口が増加していく未来
[一人ひとりにやさしく便利で豊かなくらし]
リアルの良さとデジタルの組み合わせで、個客体験が大きく高まる未来
[持続可能な社会]
様々なパートナーとの連携を通じて、持続可能な社会システムが構築されている未来
<2035年にありたい姿>[人を起点に、徹底した顧客目線で共創と挑戦を重ね、人、まち、社会のつながりを進化させ続ける企業グループ]
また、<2035年にありたい姿>や経営環境変化等を踏まえ、重要課題であるマテリアリティを再整理しました(詳細は「2[サステナビリティに関する考え方及び取組] (2)重要なサステナビリティ項目」参照)。
2026年4月に策定した「JR西日本グループ中期経営計画2030」(以下、「中期経営計画2030」)では、未来に向けた「共創と挑戦」として、「安全、良質でサステナブルなモビリティへの変革」と、グループの強み(顧客接点・データ、技術・ノウハウ等)を活かした「事業ポートフォリオの変革」を実現することを基本方針としています。
その変革に向けて、<3つの重点分野>とともに、<全社横断戦略>として、各分野が連携して成長を図るための「5つの重点戦略」と「経営基盤の強化」を掲げています。なお、各重点分野における取り組みについては、<事業戦略>に記載のとおりです。
<3つの重点分野>① モビリティ分野
② 生活サービス分野
③ インフラソリューション分野
<全社横断戦略>① 5つの重点戦略
ア.安全、良質でサステナブルなモビリティへの変革
安全性向上を最優先に、顧客体験価値向上と技術による革新で、安全、良質でサステナブルなモビリティへの変革をめざします。
〇 安全性向上
・ 重大リスクの抑え込み
・ 社会のニーズに応じた安全対策
〇 顧客体験価値向上
・ カスタマージャーニーに沿った体験価値の向上
・ 一人ひとりの好奇心を起点としたツーリズム
・ 新幹線のご利用機会の拡大
・ 地域に最適な交通モード・運行体系の構築
〇 技術による革新
・ オペレーションの進化・メンテナンス構造改革
・ 鉄道技術を活かしたソリューション提供
イ.まち・地域の持続性・魅力向上
交通ネットワークを軸に関西・西日本エリアの回遊を高め、地域との共創により目的地として選ばれ続けるエリアをめざします。
〇 京阪神エリア
大阪IR(統合型リゾート)・なにわ筋線開業に向けて、拠点エリア整備や地域のプレイヤーとの共創を通じ、“世界から人と資本を呼び込み続ける”まちづくりを推進
〇 西日本エリア(京阪神エリアを除く)
自治体・地域のプレイヤーとの共創を通じ、まち・地域が持つ魅力を磨き上げ、持続性を高める
ウ.共創による顧客体験価値向上
一人ひとりに最適化された体験価値の提供を通じて、関係・交流人口の拡大と、移動におけるサステナブルなエコシステムの実現、及び顧客生涯価値(LTV)最大化の実現をめざします。
〇 様々なパートナーとの共創を拡げ、お客様が移動に関連した多様なサービスをシームレスに利用できる仕組みを構築し、一人ひとりに最適化された移動体験を提供
〇 顧客ロイヤルティプログラムの新設、サービスラインナップの拡大、1to1レコメンド機能の強化を通じ、顧客生涯価値(LTV)を最大化
エ.インバウンド需要の取り込み
6,000万人時代に向け、大阪IR・なにわ筋線を軸とした西日本エリア周遊、体験・滞在の消費拡大による活性化をめざします。
〇 受入体制整備・地域の魅力向上
〇 最適なルート提案・予約
〇 移動の高付加価値化
〇 体験・消費・滞在の活性化
オ.更なる成長に向けた領域拡大・事業創出
共創と挑戦による事業領域拡大と新たな事業創出による事業ポートフォリオの変革をめざします。
〇 不動産を中心とした各事業の成長
〇 次なる成長分野への挑戦
〇 M&A・提携等による非連続な成長
〇 成長の芽の探索
② 経営基盤の強化
ア.人財戦略
共創・挑戦する人財の創出、エンゲージメント向上をDXも活用して実現し、安全を高め変革を推進します。
イ.地球環境
環境にやさしい鉄道を軸に、グループ全体のアセットを活用し持続可能な地球環境に貢献します。
ウ.ガバナンス
持続的な成長に向けた経営の機能強化とグループ全体を見通したリスクマネジメント・コンプライアンスの充実を図ります。
<事業戦略>① モビリティ分野
福知山線列車事故を原点とした、安全性向上による安心・信頼していただける鉄道の実現を土台として、顧客体験価値向上と技術による革新で、安全、良質でサステナブルなモビリティへ変革します。
・ 被害に遭われた方々への真摯な対応
・ 「JR西日本グループ鉄道安全考動計画2027」(以下、「安全考動計画2027」)の推進
・ 顧客体験価値向上
・ 技術による革新
② 生活サービス分野
ア.流通業
集客力の高い駅立地の強みを活かし、パートナーとの共創で顧客満足と収益力の最大化をめざします。
・ 駅ナカの魅力向上/フランチャイジー・ライセンシー戦略(物販・飲食業)
・ 「MY HOME HOTEL.」の実現によるブランド力向上/新規出店等(宿泊特化型ホテル
「ヴィアイン」)
・ 生涯個客化の推進と顧客生涯価値(LTV)の最大化(百貨店業)
イ.不動産業
マーケティング起点で機能価値に情緒価値を加え、経済的価値・社会的価値の同時実現をめざします。
・ 既存物件の収益性向上/重点エリア・アセットの強化/ファンド・REIT事業の拡大/まちづくりプロジェクトの推進/海外不動産事業の展開(不動産販売・賃貸業)
・ 旗艦SC「ルクア」の成長/「ショッピング×コミュニティ」戦略/新規開発・リニューアル(ショッピングセンター運営業)
・ 顧客体験の進化/リニューアル/新規出店等(ホテル業)
③ インフラソリューション分野
JR西日本グループで培った技術を社会に展開し、顧客・地域社会の課題解決をめざしま
す。
・ 業界内への拡大(交通事業者へ販路・サービスを拡大)
・ 業界外への越境(技術の可能性を業界を超えて追求)
(4) 対処すべき課題
重大な自然災害、深刻化する労働力不足やインフレ等は将来にわたる大きな脅威であり、「私たちの志」「長期ビジョン」の実現に向けて、「安全、良質でサステナブルなモビリティへの変革」と「事業ポートフォリオの変革」にグループ全体で挑戦していきます。
「中期経営計画2030」の初年度となる2026年度は、これらの変革を進めるためのスタートとなる重要な1年です。グループとして大阪・関西万博で培った、共創やつながりの進化等の「レガシー」も活かし、お客様一人ひとりのニーズを捉え、最高の体験価値を生活の様々な場面で提供することに取り組んでいきます。
また、機会を捉え、脅威を乗り越える源泉は人財であり、現場を支える人財の育成を行うとともに、キャリア開発等を通じて多様なスキルや経験を持つ人財の成長支援を進めます。あわせて、社員の自律や挑戦を後押しする心理的安全性の高い組織風土づくり、充実したキャリア形成や柔軟な働き方を支える制度づくりをグループ全体でさらに強力に推進していきます。
今後とも、安全性の向上を最優先に、グループ事業全体でシナジーを発揮しながら、「私たちの志」「長期ビジョン」の実現を加速していきます。
なお、文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日において当社グループが判断したものであります。

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