有価証券報告書-第27期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/24 13:42
【資料】
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【項目】
128項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1) 平成25年度の概要
当期は、引き続き鉄道のご利用が順調に推移するなか、事業の中核である鉄道事業における安全・安定輸送の確保を最優先に、サービスの一層の充実を図りました。
鉄道事業においては、東海道新幹線について、土木構造物の健全性の維持・向上を図るため、技術開発成果を活用して大規模改修工事に着手しました。また、脱線・逸脱防止対策をはじめとする地震対策を引き続き推進したほか、より弾力的な列車設定が可能な「のぞみ10本ダイヤ」を本年3月にスタートするとともに、新型車両N700Aの投入及びN700Aの機能を反映するためのN700系改造工事を進めました。在来線については、高架橋柱の耐震補強等の地震対策、落石対策、踏切保安設備改良等を計画的に推進しました。営業施策については、エクスプレス予約等の会員数拡大・ご利用拡大に向けた取組みを引き続き推進するとともに、式年遷宮の年を迎えた伊勢神宮をはじめとする観光資源を活用した各種キャンペーンを展開しました。
鉄道以外の事業においては、既存事業の強化に努めるとともに、名古屋駅におけるJRゲートタワー計画等のプロジェクトを推進しました。
上記の諸施策の取組みにより、ビジネス、観光ともに引き続き鉄道のご利用が順調に推移したこと、ジェイアール名古屋タカシマヤなど流通業や日本車輌製造㈱のグループ外への売上が増加したことなどにより、当社の運輸収入、連結営業収益全体ともに増収となりました。
一方、営業費については、昨年8月に山梨リニア実験線の走行試験を再開したことにより減価償却費が増加したほか、日本車輌製造㈱などグループ会社の売上原価が増加したものの、新幹線鉄道大規模改修引当金の積立て終了及び取崩し開始による大幅な費用減により、全体ではほぼ前年並みとなりました。また、営業外損益は、支払利息の減少等により改善しました。
上記の結果、当期は、営業収益1兆6,525億円、営業利益4,946億円、経常利益4,042億円、当期純利益2,556億円と、増収・増益の決算となりました。
(2) 経営成績
① 営業収益
営業収益は、前期比672億円(4.2%)増の1兆6,525億円となりました。
運輸業においては、当社の運輸収入は前期比457億円(3.9%)増の1兆2,148億円となりました。東海道新幹線では、輸送量が前期比4.1%増加した結果、運輸収入は前期比4.1%増の1兆1,138億円となりました。また、在来線においては、輸送量が前期比2.1%増加した結果、運輸収入は前期比1.6%増の1,009億円となりました。
運輸業以外の事業においても、流通業、不動産業、その他において営業収益がそれぞれ前期比5.4%、3.7%、7.5%増加し、全ての事業区分において増収となりました。
② 営業費
営業費については、昨年8月に山梨リニア実験線の走行試験を再開したことにより減価償却費が増加したほか、日本車輌製造㈱などグループ会社の売上増に伴う売上原価が増加したものの、新幹線鉄道大規模改修引当金の積立て終了及び取崩し開始による大幅な費用減により、前期比12億円(0.1%)減の1兆1,579億円となりました。
③ 営業利益
営業利益は、前期比684億円(16.1%)増の4,946億円となりました。
④ 営業外損益
営業外損益については、長期債務の縮減等に伴う支払利息の減等により、前期と比べて76億円改善しました。
⑤ 経常利益
経常利益は、前期比761億円(23.2%)増の4,042億円となりました。
⑥ 当期純利益
上記に法人税等などを加減した結果、当期純利益は前期比557億円(27.9%)増の2,556億円となりました。
(3) キャッシュ・フロー
「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(4) 長期債務の縮減
当期は、連結で2,691億円、単体で2,632億円の長期債務縮減を実施し、当期末の長期債務残高は連結で2兆3,708億円、単体で2兆3,517億円となりました。
当社は、会社設立時に国鉄から継承した債務と、平成3年10月の東海道新幹線鉄道施設の譲受けに伴う債務とを合わせて、運輸収入の5倍以上の長期債務を負担し、この縮減を財務上の最重要課題と位置づけ、早期縮減に取り組んできました。具体的には、新幹線資産譲受け直後の平成3年度末時点で5兆4,562億円あった長期債務を、これまでに3兆1,045億円縮減しています。
今後とも、引き続き収益力の強化、設備投資を含めた業務執行全般にわたる効率化・低コスト化を徹底するとともに、手元資金の効率化に取り組むことにより、中央新幹線の建設に向けた取組みを着実に推進しつつ、長期債務の縮減に努めます。
(5) 純資産残高
当期末の純資産残高は、前期末から2,442億円増加して1兆8,022億円となり、自己資本比率も前期末の28.9%から当期末は33.9%に上昇しています。
(6) 資金調達
当社では、円滑な資金調達を行うため、ムーディーズ・ジャパン株式会社、株式会社格付投資情報センター及び株式会社日本格付研究所から発行体格付けを取得しており、各社から取得した格付けは、それぞれAa3、AA、AAAとなっています。なお、当期に発行した長期社債に対しては、ムーディーズ・ジャパン株式会社及び株式会社格付投資情報センターから個別の債券格付けを取得しています。
また、短期的な流動性確保のため、当期末現在1,000億円のコミットメントラインを設定しています。
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