有価証券報告書-第29期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/23 13:50
【資料】
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【項目】
128項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1) 平成27年度の概要
当期は、引き続き鉄道のご利用が順調に推移するなか、事業の中核である鉄道事業における安全・安定輸送の確保を最優先に、サービスの一層の充実を図りました。
鉄道事業においては、東海道新幹線について、大規模改修工事や脱線・逸脱防止対策をはじめとする地震対策を引き続き推進したほか、「のぞみ10本ダイヤ」を活用して、需要にあわせたより弾力的な列車設定を実施しました。また、N700Aの投入を進めるとともに、N700系改造工事を昨年8月に完了するなど、安全・安定輸送の確保と輸送サービスの一層の充実に取り組みました。
在来線については、高架橋柱の耐震補強等の地震対策、降雨対策、落石対策、踏切保安設備改良等を計画的に推進するとともに、新製したキハ25形気動車の紀勢本線・参宮線への投入を完了しました。
営業施策については、エクスプレス予約等の会員数・ご利用拡大に向けた取組みを引き続き推進するなど、積極的な展開に取り組みました。
鉄道以外の事業においては、既存事業の強化に努めるとともに、名古屋駅におけるJRゲートタワー計画を着実に推進しました。
上記の諸施策の取組みにより、ビジネス、観光ともにご利用が順調に推移したことから当社の運輸収入は増収となりました。グループ会社については、㈱ジェイアール東海髙島屋を中心とした流通業や日本車輌製造㈱の売上増等により、連結営業収益全体でも増収となりました。
一方、営業費については、日本車輌製造㈱をはじめグループ会社において費用が増加しましたが、当社の山梨リニア実験線における減価償却費の減等により微減となりました。また、営業外損益は支払利息の減や社債の早期償還損の減により改善しました。
上記の結果、当期は、営業収益1兆7,384億円、営業利益5,786億円、経常利益5,114億円、親会社株主に帰属する当期純利益3,374億円と、増収・増益の決算となりました。
(2) 経営成績
① 営業収益
営業収益は、前期比661億円(4.0%)増の1兆7,384億円となりました。
運輸業においては、当社の運輸収入は前期比514億円(4.1%)増の1兆2,947億円となりました。東海道新幹線では、輸送量が前期比4.1%増加した結果、運輸収入は前期比4.2%増の1兆1,920億円となりました。また、在来線においては、輸送量が前期比2.6%増加した結果、運輸収入は前期比2.9%増の1,026億円となりました。
運輸業以外の事業においては、流通業、その他ではそれぞれ前期比2.5%、1.7%の増収、不動産業では前期比0.7%の減収となりました。
② 営業費
営業費については、日本車輌製造㈱をはじめグループ会社において費用が増加しましたが、当社の山梨リニア実験線における減価償却費の減等により、全体では前期比59億円(0.5%)減の1兆1,597億円となりました。
③ 営業利益
営業利益は、前期比720億円(14.2%)増の5,786億円となりました。
④ 営業外損益
営業外損益については、支払利息の減や社債の早期償還損の減により、前期と比べて112億円改善しました。
⑤ 経常利益
経常利益は、前期比833億円(19.5%)増の5,114億円となりました。
⑥ 親会社株主に帰属する当期純利益
上記に法人税率引下げに伴う繰延税金資産の取崩しの影響等を加減した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比733億円(27.8%)増の3,374億円となりました。
(3) キャッシュ・フロー
「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(4) 長期債務
当期は、連結で2,054億円、単体で2,206億円の長期債務縮減を実施し、当期末の長期債務残高は連結で1兆9,450億円、単体で1兆9,156億円となりました。
当社は、会社設立時に国鉄から継承した債務と、平成3年10月の東海道新幹線鉄道施設の譲受けに伴う債務とを合わせて、運輸収入の5倍以上の長期債務を負担し、この縮減を財務上の最重要課題と位置づけ、早期縮減に取り組んできました。具体的には、新幹線資産譲受け直後の平成3年度末時点で5兆4,562億円あった長期債務を、これまでに3兆5,406億円縮減しています。
今後とも、東海道新幹線をはじめとする諸事業の経営基盤の強化並びに中央新幹線の建設に向けた取組みを着実に推進していく中で、引き続き収益力の強化、設備投資を含めた業務執行全般にわたる効率化・低コスト化を徹底するとともに、グループ会社も含め、効果的かつ効率的な資金調達等に努め、財務面での体力の向上を図ります。
(5) 純資産残高
当期末の純資産残高は、前期末から2,885億円増加して2兆3,525億円となり、自己資本比率も前期末の38.7%から当期末は44.0%に上昇しています。
(6) 資金調達
当社では、円滑な資金調達を行うため、当期末時点でムーディーズ・ジャパン株式会社よりAa3、株式会社格付投資情報センターよりAA、スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン株式会社よりAA-、株式会社日本格付研究所よりAAAの格付けを取得しています。
また、短期的な流動性確保のため、当期末現在1,000億円のコミットメントラインを設定しています。
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