有価証券報告書-第28期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
有報資料
当社は、平成30年度は以下の三本柱を重点施策として経営を進めて参ります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末(平成30年3月31日)現在において当社が判断したものです。
1-1 安全で安心な鉄道輸送の確立
安全で安心な鉄道輸送の確保こそが、お客様に対する最大のサービスであるとともに、鉄道事業を主軸とする当社の経営の根幹であることは言うまでもありません。
昨今、鉄道の安全問題が社会的にクローズアップされていますが、当社の安全方針である「安全の確保はすべてに優先する」を常に意識し、お客様がより安心してご利用いただけるよう、安全性の一層の向上に向け、ハード・ソフトの両面において、引き続き取り組んでいきます。
(1) 駅ホームの安全性の向上
当社は、全20駅のホームにホームドアを設置するなど、駅ホームは高い安全性を有していますが、一層の安全性の向上を図るため、今後、以下の対策を講じていきます。
① ホームドア支障物センサーの3D化の検討
近年、車両ドアに荷物を挟んだまま列車が出発するいわゆる「ドア挟み」が少なからず生じています。こうした事態を踏まえ、平成28年度から、駅係員によるホームドア内側の目視確認、車両ドアのドア挟み検知センサーの検知精度の検証、ホームドア支障物センサーの3D化の実証試験など、ドア挟みへの対策に取り組んできました。平成30年度は、これまでの取組を継続するとともに、実証試験の結果を踏まえた対策を進めていきます。
② 駅ホームの延伸の検討
お客様の増加に伴い、ホーム上が混雑して狭くなっている駅があります。
過去に混雑緩和対策として、南流山駅でホーム延伸を実施した経緯があり、こうした実績も踏まえ、駅ホーム上の安全性を向上させるため、混雑している駅や乗換駅のホーム延伸の検討を進めます。
(2) 鉄道設備等の保安度・信頼性の向上
将来にわたる安全で安心な鉄道輸送の維持には、経年使用している設備・機器類の適切な修繕・更新が欠かせません。平成30年度は、以下のとおり取り組んでいきます。
① 車体の更新
開業当初から使用している車両は、車体の劣化が進行しています。これらを安全かつ長期間安定して使用できるように、新設した車体更新場において、屋根の絶縁塗装や窓シールの修繕など全般的な更新工事を行います。平成30年度には7編成を実施する予定です。
② 各種機器の修繕・更新
車体更新のほか、車両に搭載する機器類(運転保安装置、車内表示器等)の更新も進めます。このほか、運行管理システム、列車無線設備等の信号・通信設備や駅務サーバー等の駅務機器類の修繕・更新を継続します。
(3) 安全管理体制の継続的改善
鉄道安全委員会や安全統括管理者ヒアリング、安全内部監査等により、定期的な安全管理体制の見直しや、充実・強化に努めます。
また、運輸安全マネジメント制度の勉強会や安全講話会等を継続し、安全管理体制の向上・改善に資する教育を進めていきます。
さらに、水害対策として、荒川、綾瀬川、江戸川等の氾濫を想定したタイムライン(防災行動計画)についての検討を深めていきます。
(4) 防災・事故対策の強化
近年多発する自然災害への対策や鉄道テロ対策等に取り組んできましたが、平成30年度も、以下のように、防災・事故対策の強化に努めていきます。
① 保守用車両の進入路の新設
当社線は、秋葉原駅からつくば駅間に踏切が一つも無く、ほとんどの区間が高架及びトンネル構造であるため、安全面では非常に優れています。一方、保守作業や事故・災害発生時の復旧作業の際に、軌道内への進入箇所が限定され、作業に大きな制約を受ける状況にあります。
そこで、安全面を確保しつつ、こうした課題への対応を図るため、平成30年度に、八潮駅付近にある保守用車両(軌陸車)の進入路と同様の設備を他の箇所にも新たに設置します。
② 変電所火災対策
変電所内への監視カメラの設置を進め、引き続き火災対策を強化します。
③ 帰宅困難者対策
東日本大震災の対応を教訓とした帰宅困難者対策として、広域避難場所、トイレ等の帰宅に必要な情報を掲載したウォーキングマップを各駅で配布しています。今後も、関係自治体や他の鉄道会社との連携も図りながら、災害時に備えたこれらの取組を継続します。
④ 多言語メガホンの配備
大規模災害発生に備え、言葉のバリアフリーによる避難誘導を図るため、全駅に多言語メガホンを配備します。
⑤ 鉄道テロ対策
2019年ラグビーワールドカップや東京2020オリンピック・パラリンピックの開催を控え、「目に見える警備」を継続するとともに、警備体制の再確認を行うなど、危機管理の徹底を図ります。
⑥ その他の対策
駅間に列車が停車し運転不能となった際にお体の不自由なお客様等を安全に駅まで搬送する手段として、ハンディマルチ搬送トロの配備について検討を進めます。
また、事故・トラブル等発生時の初動体制を強化するとともに、お客様のご意見等を参考に、ソフト対策も含めたバリアフリーの充実に取り組んでいきます。
1-2 充実したサービスの提供
地域とともに発展し、愛される鉄道であるため、「つくばエクスプレス」の魅力を一層高めていきます。このため、輸送力の増強をはじめとした鉄道輸送サービスの利便性の一層の向上や、沿線自治体やまちづくり団体等と協働した活動などに積極的に取り組んでいきます。
(1) 輸送力の増強等
これまで、ラッシュ時間帯における混雑緩和を目的として、車両の増備や運行本数の増加などの対策を数次にわたり実施してきましたが、現在でもお客様が増え続け、混雑率が高まっています。こうした状況を踏まえ、以下の取組を進め、朝ラッシュ時間帯等のさらなる輸送力の増強を図ります。
① 「25本化事業」の推進
車両の5編成増備、総合基地内の車両留置線の増設等によるいわゆる「25本化事業」を推進します。今後、新型車両を平成31年度中に導入し、朝ラッシュ時間帯1時間の最混雑区間の運行本数を22本から25本に増やし、混雑緩和を図ります。また、適切な予備車両の確保により、車両故障等による運休リスクを低減させ、一層の輸送の安定化を図ります。
平成30年度は、車両の製造に着手するほか、車両留置線増設工事や変電所改良工事に着手します。
② ボックスシート車両のロングシート化の拡大
お客様が混雑時にスムーズに乗降いただけるよう、平成29年度に、ボックスシートのある車両23編成のうち16編成についてロングシートに改造しました。今後、残りの7編成についても、ロングシート化を進めます。
③ 「混雑の見える化」等の推進
働き方改革の一環として東京都が推進する、快適な通勤の実現を目指してテレワークや時差出勤などを呼びかける運動(時差Biz)に引き続き参加します。また、列車や車両ごとに混雑度合いを把握し、その情報をお客様に提供するなどの「混雑の見える化」を推進し、オフピーク通勤・通学や分散乗車を促していきます。
(2) 東京2020オリンピック・パラリンピック等を契機とした利便性の向上
東京2020オリンピック・パラリンピックの開催を控え、ますます訪日外国人観光者が増加し、当社線の利用者も増加することが見込まれます。このため、外国の方にも快適な利用環境の整備に努めます。
① 多言語対応の推進
駅における列車発車時刻案内表示器を、外国人のお客様にも分かりやすい設備に更新します。また、駅窓口においては、対話型翻訳サービスを提供する駅を平成30年度中に全20駅に拡充します。
② 旅客トイレの高機能化
お客様に、より一層快適に駅をご利用していただくため、「Tokyo2020アクセシビリティ・ガイドライン※」も踏まえ、全20駅の全てのトイレの便座を温水洗浄便座に改修します。平成29年度に2駅の改修を実施、平成30年度は9駅の実施を予定しています。
※東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が平成29年に策定した東京2020オリンピック・パラリンピックにおけるバリアフリー等に関する指針
③ 駅ホームの待合室・ベンチの整備
お客様が駅ホーム上で静かで快適に列車をお待ちいだたけるよう、待ち時間の長い一部の地上駅のホーム上に、冷暖房を備えた待合室を新設します。
平成30年度は、この基本設計を進めます。このほか、駅ホームのベンチも増設していきます。
(3) 交流人口の拡大に向けた取組の推進
「つくばエクスプレス」がお客様に愛される鉄道であるため、また、沿線のさらなる発展のため、観光客の誘致などの交流人口の拡大に取り組んでいきます。
① 魅力ある乗車券の発売やイベントの実施
これまで、「筑波山きっぷ」、「TX東京メトロパス」、「筑波山あるキップ」などのお客様のご利用目的に応じた企画乗車券を発売してきました。また、自治体、地元観光協会、他の鉄道事業者等と連携して、スタンプラリーの開催、キャンペーン列車の運行等、沿線の魅力発信を目的とした取組を進めてきました。
平成30年度は、これらに引き続き積極的に取り組みます。また、「筑波山あるキップ」及び「筑波山きっぷ」を利用した筑波山登山者の拡大に向けて、山のスタンプラリー「ヤマスタ」を、地元観光協会や株式会社山と渓谷社と連携して実施します。さらに、ながれやまオープンガーデンの実施時期に合わせたウォーキングイベントや、「こども美術館列車」等の取組を継続します。このほか、魅力ある新たな企画乗車券の検討も進めます。
② 多様な媒体を活用したPR活動
沿線の主要な観光地である筑波山や秋葉原、浅草については、多様な媒体を活用した情報発信を行っています。平成30年度は、これらの地域に加え、北千住や流山の歴史ある街並みや“サイエンスの街”つくばなどの情報発信も強化し、当社線の一層の利用促進を図ります。
また、TXプラザ秋葉原を活用した外国人向け観光案内の充実など、インバウンド対策も強化します。
(4) 沿線地域との連携の強化
自治体や関係団体などが行うまちづくりや地域振興の取組に積極的に協力していきます。
① 地域貢献活動の推進
開業10数年を経て、地域に根ざした企業として、地域の様々な主体と連携した地域貢献活動を強化します。
平成30年度は、昨年度から開始した「野鳥の森散策路と鳥のみち」協働推進プロジェクト(守谷市)との連携を引き続き強化します。また、世界湖沼会議(2018茨城)など国際的なイベントへの協力や、「健康」や「地域振興」をキーワードに沿線自治体や大学などと協力した取組を進めます。
このほかにも、様々なパートナーと連携した活動を模索していきます。
② 高架下の活用
平成30年4月に開所の学童保育施設(八潮駅)をはじめ、高架下を活用した子育て支援施設の整備など、今後も沿線における子育てや教育しやすい環境の創出に積極的に協力します。
(5) 環境対策・省エネルギー化の推進
これまで、車両走行時の「惰行制御※1」や、「回生電力※2」の駅の照明用電力等への活用、余剰電力の電力会社への供給など、環境に配慮した取組を進めてきました。今年度も、引き続き、以下の取組を進めていきます。
※1下り勾配や直線区間の一部で、電力を消費せずに慣性力で走行すること
※2列車の走行中にブレーキをかけたときなどに発生する電力
① 照明のLED化の推進
当社では、これまで、車両内及びホーム上の照明のLED化に取り組んできました。
今後は、駅構内コンコースの照明を順次LED化していきます。平成30年度は、新御徒町駅、六町駅、南流山駅、流山おおたかの森駅、柏たなか駅の5駅を予定しています。このほか、トンネル内照明や総合基地の留置線上の照明のLED化も推進します。
② 環境コミュニケーション活動の推進
流山おおたかの森駅に設置している「エコPRコーナー」において、当社や地域の環境活動を広くPRするとともに、地域と連携した環境に係る「出前講座」を実施するなど、引き続き、環境コミュニケーション活動に取り組んでいきます。
1-3 経営基盤の強化
社会インフラ企業として、地域とともに末永く継続発展していくため、関連事業の強化や事業運営体制の充実など、経営基盤を強化していきます。
(1) 関連事業の強化
お客様の利便性やまちの魅力の向上を図るとともに、経営基盤を強化するため、引き続き、関連事業を積極的に推進します。
① 駅ナカ・高架下における商業施設の開発
平成30年6月に、柏の葉キャンパス駅の北側高架下に、小型飲食店舗を中心とし、ランニングステーションも兼ね備えた商業施設を開業する予定です。
また、秋には流山おおたかの森駅に、当社の高架下商業施設の中では最大規模となる商業施設を開業する予定です。この開業に合わせ、新たな改札口とそれに伴うデッキも新設します。
さらに、流山セントラルパーク駅ではファミリーマートを新設します。
このほかにも、高架下の新たな商業施設等の展開を検討します。
② その他関連事業の推進
駅構内への自動販売機、コインロッカー、オープン型宅配便ロッカー等の増設や旧本社ビルの賃貸など、社有資産の有効活用を図ります。
(2) 社員の教育・訓練の充実
安全で安心な輸送サービスの継続的な提供には、設備等の充実のみならず、社員の安全意識を高めることや技術を維持することが重要です。当社では、開業当初から支えてきたベテラン世代からの世代交代が進んでいます。このため、技術・技能が着実に伝承・向上されるよう、基礎教育及び専門教育・訓練等の取組の強化を図ります。
また、通常時の基本動作のみならず、事故発生時の対応にも万全を期すため、関係機関と連携した「異常時総合訓練」、「合同消防訓練」、「テロ対策訓練」等を継続して実施します。さらに、より着実に技術・技能を習得できるよう乗務員の「運転シミュレーター」を活用した訓練を導入するなど、不断の見直しを行いながら、社員教育を充実していきます。
(3) 社員がいきいきと働ける環境づくりの推進
社員の働き方に対する社会環境や意識の変化に柔軟な対応を図り、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる働きがいのある就労環境づくりをさらに推進します。
平成30年度は、分かりやすく、メリハリのある新たな人事制度を導入するとともに、平成28年度に定めた「女性が活躍できる雇用環境の整備等に関する行動計画」に基づき女性社員向け諸設備の充実を図ります。
また、風通しの良い職場づくりや知見の共有を図るため、社員と経営幹部が意見交換を行う「チームTXミーティング」を継続するとともに、労使間の連絡会を定期的に開催するなど、社内のコミュニケーションを充実させていきます。
(4) 「八潮総合事務所」の新設
当社は、守谷市とつくばみらい市にまたがる「総合基地」を軸に日々の保守業務等を実施しています。
一方、近時の施設・設備の経年使用に伴う保守業務の増加や輸送人員の増加等に伴う新規の設備投資に対応するため、当社線全体にわたり現場業務が増加しています。このため、八潮駅近隣の保守施設を集約し、総合基地の機能の一部を付加した「八潮総合事務所」を新設し、現場体制の整備・強化を図ります(平成32年3月予定)。これにより、保守作業の効率化やトラブル対応の迅速化、職場環境の向上を図ります。
平成30年度から本体工事に着手していく予定です。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末(平成30年3月31日)現在において当社が判断したものです。
1-1 安全で安心な鉄道輸送の確立
安全で安心な鉄道輸送の確保こそが、お客様に対する最大のサービスであるとともに、鉄道事業を主軸とする当社の経営の根幹であることは言うまでもありません。
昨今、鉄道の安全問題が社会的にクローズアップされていますが、当社の安全方針である「安全の確保はすべてに優先する」を常に意識し、お客様がより安心してご利用いただけるよう、安全性の一層の向上に向け、ハード・ソフトの両面において、引き続き取り組んでいきます。
(1) 駅ホームの安全性の向上
当社は、全20駅のホームにホームドアを設置するなど、駅ホームは高い安全性を有していますが、一層の安全性の向上を図るため、今後、以下の対策を講じていきます。
① ホームドア支障物センサーの3D化の検討
近年、車両ドアに荷物を挟んだまま列車が出発するいわゆる「ドア挟み」が少なからず生じています。こうした事態を踏まえ、平成28年度から、駅係員によるホームドア内側の目視確認、車両ドアのドア挟み検知センサーの検知精度の検証、ホームドア支障物センサーの3D化の実証試験など、ドア挟みへの対策に取り組んできました。平成30年度は、これまでの取組を継続するとともに、実証試験の結果を踏まえた対策を進めていきます。
② 駅ホームの延伸の検討
お客様の増加に伴い、ホーム上が混雑して狭くなっている駅があります。
過去に混雑緩和対策として、南流山駅でホーム延伸を実施した経緯があり、こうした実績も踏まえ、駅ホーム上の安全性を向上させるため、混雑している駅や乗換駅のホーム延伸の検討を進めます。
(2) 鉄道設備等の保安度・信頼性の向上
将来にわたる安全で安心な鉄道輸送の維持には、経年使用している設備・機器類の適切な修繕・更新が欠かせません。平成30年度は、以下のとおり取り組んでいきます。
① 車体の更新
開業当初から使用している車両は、車体の劣化が進行しています。これらを安全かつ長期間安定して使用できるように、新設した車体更新場において、屋根の絶縁塗装や窓シールの修繕など全般的な更新工事を行います。平成30年度には7編成を実施する予定です。
② 各種機器の修繕・更新
車体更新のほか、車両に搭載する機器類(運転保安装置、車内表示器等)の更新も進めます。このほか、運行管理システム、列車無線設備等の信号・通信設備や駅務サーバー等の駅務機器類の修繕・更新を継続します。
(3) 安全管理体制の継続的改善
鉄道安全委員会や安全統括管理者ヒアリング、安全内部監査等により、定期的な安全管理体制の見直しや、充実・強化に努めます。
また、運輸安全マネジメント制度の勉強会や安全講話会等を継続し、安全管理体制の向上・改善に資する教育を進めていきます。
さらに、水害対策として、荒川、綾瀬川、江戸川等の氾濫を想定したタイムライン(防災行動計画)についての検討を深めていきます。
(4) 防災・事故対策の強化
近年多発する自然災害への対策や鉄道テロ対策等に取り組んできましたが、平成30年度も、以下のように、防災・事故対策の強化に努めていきます。
① 保守用車両の進入路の新設
当社線は、秋葉原駅からつくば駅間に踏切が一つも無く、ほとんどの区間が高架及びトンネル構造であるため、安全面では非常に優れています。一方、保守作業や事故・災害発生時の復旧作業の際に、軌道内への進入箇所が限定され、作業に大きな制約を受ける状況にあります。
そこで、安全面を確保しつつ、こうした課題への対応を図るため、平成30年度に、八潮駅付近にある保守用車両(軌陸車)の進入路と同様の設備を他の箇所にも新たに設置します。
② 変電所火災対策
変電所内への監視カメラの設置を進め、引き続き火災対策を強化します。
③ 帰宅困難者対策
東日本大震災の対応を教訓とした帰宅困難者対策として、広域避難場所、トイレ等の帰宅に必要な情報を掲載したウォーキングマップを各駅で配布しています。今後も、関係自治体や他の鉄道会社との連携も図りながら、災害時に備えたこれらの取組を継続します。
④ 多言語メガホンの配備
大規模災害発生に備え、言葉のバリアフリーによる避難誘導を図るため、全駅に多言語メガホンを配備します。
⑤ 鉄道テロ対策
2019年ラグビーワールドカップや東京2020オリンピック・パラリンピックの開催を控え、「目に見える警備」を継続するとともに、警備体制の再確認を行うなど、危機管理の徹底を図ります。
⑥ その他の対策
駅間に列車が停車し運転不能となった際にお体の不自由なお客様等を安全に駅まで搬送する手段として、ハンディマルチ搬送トロの配備について検討を進めます。
また、事故・トラブル等発生時の初動体制を強化するとともに、お客様のご意見等を参考に、ソフト対策も含めたバリアフリーの充実に取り組んでいきます。
1-2 充実したサービスの提供
地域とともに発展し、愛される鉄道であるため、「つくばエクスプレス」の魅力を一層高めていきます。このため、輸送力の増強をはじめとした鉄道輸送サービスの利便性の一層の向上や、沿線自治体やまちづくり団体等と協働した活動などに積極的に取り組んでいきます。
(1) 輸送力の増強等
これまで、ラッシュ時間帯における混雑緩和を目的として、車両の増備や運行本数の増加などの対策を数次にわたり実施してきましたが、現在でもお客様が増え続け、混雑率が高まっています。こうした状況を踏まえ、以下の取組を進め、朝ラッシュ時間帯等のさらなる輸送力の増強を図ります。
① 「25本化事業」の推進
車両の5編成増備、総合基地内の車両留置線の増設等によるいわゆる「25本化事業」を推進します。今後、新型車両を平成31年度中に導入し、朝ラッシュ時間帯1時間の最混雑区間の運行本数を22本から25本に増やし、混雑緩和を図ります。また、適切な予備車両の確保により、車両故障等による運休リスクを低減させ、一層の輸送の安定化を図ります。
平成30年度は、車両の製造に着手するほか、車両留置線増設工事や変電所改良工事に着手します。
② ボックスシート車両のロングシート化の拡大
お客様が混雑時にスムーズに乗降いただけるよう、平成29年度に、ボックスシートのある車両23編成のうち16編成についてロングシートに改造しました。今後、残りの7編成についても、ロングシート化を進めます。
③ 「混雑の見える化」等の推進
働き方改革の一環として東京都が推進する、快適な通勤の実現を目指してテレワークや時差出勤などを呼びかける運動(時差Biz)に引き続き参加します。また、列車や車両ごとに混雑度合いを把握し、その情報をお客様に提供するなどの「混雑の見える化」を推進し、オフピーク通勤・通学や分散乗車を促していきます。
(2) 東京2020オリンピック・パラリンピック等を契機とした利便性の向上
東京2020オリンピック・パラリンピックの開催を控え、ますます訪日外国人観光者が増加し、当社線の利用者も増加することが見込まれます。このため、外国の方にも快適な利用環境の整備に努めます。
① 多言語対応の推進
駅における列車発車時刻案内表示器を、外国人のお客様にも分かりやすい設備に更新します。また、駅窓口においては、対話型翻訳サービスを提供する駅を平成30年度中に全20駅に拡充します。
② 旅客トイレの高機能化
お客様に、より一層快適に駅をご利用していただくため、「Tokyo2020アクセシビリティ・ガイドライン※」も踏まえ、全20駅の全てのトイレの便座を温水洗浄便座に改修します。平成29年度に2駅の改修を実施、平成30年度は9駅の実施を予定しています。
※東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が平成29年に策定した東京2020オリンピック・パラリンピックにおけるバリアフリー等に関する指針
③ 駅ホームの待合室・ベンチの整備
お客様が駅ホーム上で静かで快適に列車をお待ちいだたけるよう、待ち時間の長い一部の地上駅のホーム上に、冷暖房を備えた待合室を新設します。
平成30年度は、この基本設計を進めます。このほか、駅ホームのベンチも増設していきます。
(3) 交流人口の拡大に向けた取組の推進
「つくばエクスプレス」がお客様に愛される鉄道であるため、また、沿線のさらなる発展のため、観光客の誘致などの交流人口の拡大に取り組んでいきます。
① 魅力ある乗車券の発売やイベントの実施
これまで、「筑波山きっぷ」、「TX東京メトロパス」、「筑波山あるキップ」などのお客様のご利用目的に応じた企画乗車券を発売してきました。また、自治体、地元観光協会、他の鉄道事業者等と連携して、スタンプラリーの開催、キャンペーン列車の運行等、沿線の魅力発信を目的とした取組を進めてきました。
平成30年度は、これらに引き続き積極的に取り組みます。また、「筑波山あるキップ」及び「筑波山きっぷ」を利用した筑波山登山者の拡大に向けて、山のスタンプラリー「ヤマスタ」を、地元観光協会や株式会社山と渓谷社と連携して実施します。さらに、ながれやまオープンガーデンの実施時期に合わせたウォーキングイベントや、「こども美術館列車」等の取組を継続します。このほか、魅力ある新たな企画乗車券の検討も進めます。
② 多様な媒体を活用したPR活動
沿線の主要な観光地である筑波山や秋葉原、浅草については、多様な媒体を活用した情報発信を行っています。平成30年度は、これらの地域に加え、北千住や流山の歴史ある街並みや“サイエンスの街”つくばなどの情報発信も強化し、当社線の一層の利用促進を図ります。
また、TXプラザ秋葉原を活用した外国人向け観光案内の充実など、インバウンド対策も強化します。
(4) 沿線地域との連携の強化
自治体や関係団体などが行うまちづくりや地域振興の取組に積極的に協力していきます。
① 地域貢献活動の推進
開業10数年を経て、地域に根ざした企業として、地域の様々な主体と連携した地域貢献活動を強化します。
平成30年度は、昨年度から開始した「野鳥の森散策路と鳥のみち」協働推進プロジェクト(守谷市)との連携を引き続き強化します。また、世界湖沼会議(2018茨城)など国際的なイベントへの協力や、「健康」や「地域振興」をキーワードに沿線自治体や大学などと協力した取組を進めます。
このほかにも、様々なパートナーと連携した活動を模索していきます。
② 高架下の活用
平成30年4月に開所の学童保育施設(八潮駅)をはじめ、高架下を活用した子育て支援施設の整備など、今後も沿線における子育てや教育しやすい環境の創出に積極的に協力します。
(5) 環境対策・省エネルギー化の推進
これまで、車両走行時の「惰行制御※1」や、「回生電力※2」の駅の照明用電力等への活用、余剰電力の電力会社への供給など、環境に配慮した取組を進めてきました。今年度も、引き続き、以下の取組を進めていきます。
※1下り勾配や直線区間の一部で、電力を消費せずに慣性力で走行すること
※2列車の走行中にブレーキをかけたときなどに発生する電力
① 照明のLED化の推進
当社では、これまで、車両内及びホーム上の照明のLED化に取り組んできました。
今後は、駅構内コンコースの照明を順次LED化していきます。平成30年度は、新御徒町駅、六町駅、南流山駅、流山おおたかの森駅、柏たなか駅の5駅を予定しています。このほか、トンネル内照明や総合基地の留置線上の照明のLED化も推進します。
② 環境コミュニケーション活動の推進
流山おおたかの森駅に設置している「エコPRコーナー」において、当社や地域の環境活動を広くPRするとともに、地域と連携した環境に係る「出前講座」を実施するなど、引き続き、環境コミュニケーション活動に取り組んでいきます。
1-3 経営基盤の強化
社会インフラ企業として、地域とともに末永く継続発展していくため、関連事業の強化や事業運営体制の充実など、経営基盤を強化していきます。
(1) 関連事業の強化
お客様の利便性やまちの魅力の向上を図るとともに、経営基盤を強化するため、引き続き、関連事業を積極的に推進します。
① 駅ナカ・高架下における商業施設の開発
平成30年6月に、柏の葉キャンパス駅の北側高架下に、小型飲食店舗を中心とし、ランニングステーションも兼ね備えた商業施設を開業する予定です。
また、秋には流山おおたかの森駅に、当社の高架下商業施設の中では最大規模となる商業施設を開業する予定です。この開業に合わせ、新たな改札口とそれに伴うデッキも新設します。
さらに、流山セントラルパーク駅ではファミリーマートを新設します。
このほかにも、高架下の新たな商業施設等の展開を検討します。
② その他関連事業の推進
駅構内への自動販売機、コインロッカー、オープン型宅配便ロッカー等の増設や旧本社ビルの賃貸など、社有資産の有効活用を図ります。
(2) 社員の教育・訓練の充実
安全で安心な輸送サービスの継続的な提供には、設備等の充実のみならず、社員の安全意識を高めることや技術を維持することが重要です。当社では、開業当初から支えてきたベテラン世代からの世代交代が進んでいます。このため、技術・技能が着実に伝承・向上されるよう、基礎教育及び専門教育・訓練等の取組の強化を図ります。
また、通常時の基本動作のみならず、事故発生時の対応にも万全を期すため、関係機関と連携した「異常時総合訓練」、「合同消防訓練」、「テロ対策訓練」等を継続して実施します。さらに、より着実に技術・技能を習得できるよう乗務員の「運転シミュレーター」を活用した訓練を導入するなど、不断の見直しを行いながら、社員教育を充実していきます。
(3) 社員がいきいきと働ける環境づくりの推進
社員の働き方に対する社会環境や意識の変化に柔軟な対応を図り、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる働きがいのある就労環境づくりをさらに推進します。
平成30年度は、分かりやすく、メリハリのある新たな人事制度を導入するとともに、平成28年度に定めた「女性が活躍できる雇用環境の整備等に関する行動計画」に基づき女性社員向け諸設備の充実を図ります。
また、風通しの良い職場づくりや知見の共有を図るため、社員と経営幹部が意見交換を行う「チームTXミーティング」を継続するとともに、労使間の連絡会を定期的に開催するなど、社内のコミュニケーションを充実させていきます。
(4) 「八潮総合事務所」の新設
当社は、守谷市とつくばみらい市にまたがる「総合基地」を軸に日々の保守業務等を実施しています。
一方、近時の施設・設備の経年使用に伴う保守業務の増加や輸送人員の増加等に伴う新規の設備投資に対応するため、当社線全体にわたり現場業務が増加しています。このため、八潮駅近隣の保守施設を集約し、総合基地の機能の一部を付加した「八潮総合事務所」を新設し、現場体制の整備・強化を図ります(平成32年3月予定)。これにより、保守作業の効率化やトラブル対応の迅速化、職場環境の向上を図ります。
平成30年度から本体工事に着手していく予定です。