訂正有価証券報告書-第30期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当事業年度末において、当社が判断したものです。
(1) 経営方針
当社は、常に安全を第一に、安全・安定・安心輸送の公共交通機関として、その社会的な責任を果たし、地域・社会から愛され信頼される会社を目指します。
2018年には3年間の経営テーマ、基本方針を掲げた「中期経営計画」(2018~2020年度)を策定し、「安全で安心な鉄道輸送を確固たるものとします」、「充実したサービスの提供により、沿線地域の発展に貢献します」、「持続的な成長を支える経営基盤の強化を図ります」を基本方針に様々な施策を着実に展開しております。
(2) 経営環境
当事業年度における我が国の経済は、期初から緩やかな回復基調で推移してきましたが、2020 年2 月以降、新型コロナウイルス感染症の拡大が深刻さを増すなか、個人消費や海外経済に急速な減速が見られるなど、景気は大幅に下押しされ、厳しい状況が続いています。
2019年度は、新型コロナウイルス感染症による当社の財政状況及び経営成績への影響は比較的低かったものの、2020年度以降は、外出自粛の要請等により、当面の間は移動需要の減少など、当社にとって厳しい環境となるものと考えております。
(3) 対処すべき課題
新型コロナウイルス感染症による先行きは依然不透明であり、また、状況も刻々と変化しています。
当社は社会インフラ企業として、公共輸送サービスを継続的に確保するため、「新型インフルエンザ等対策業務計画」に基づき、本社にて新型コロナウイルス感染症対策本部を立ち上げ、各種情報の共有を図りつつ、各担当で状況に合わせた対策を実施しています。
具体的な対応として、駅務員・乗務員等のマスク着用、手洗い、うがいの励行、各駅のご案内カウンターと定期券発売所にアルコール消毒液の配備及び飛沫感染防止シートの設置、また、車内の換気は、駅到着時にお客さま乗降に伴うドアの開け閉めのほか、車内空調装置を強制的に稼働させ常に外気を取り入れてお客様への影響を最小限に抑えるようにしています。
このような状況下でありますが、感染拡大防止の徹底を図りつつ、2020年度は以下の三本柱を重点施策として経営を進めて参ります。
○ 安全で安心な鉄道輸送の確立
安全で安心な鉄道輸送の確保こそが、お客さまに対する最大のサービスであるとともに、鉄道事業を主軸とする当社の経営の根幹であることは言うまでもありません。
当社の安全方針である「安全の確保はすべてに優先する」を常に意識し、お客様がより安心してご利用いただけるよう、安全性の一層の向上に向け、ハード・ソフトの両面において、引き続き取り組んでいきます。
(1) ホームの安全性の向上
当社は、全20駅のホームにホームドアを設置するなど、ホームは高い安全性を有していますが、一層の安全性の向上を図るため、以下の対策を講じていきます。
① ホームドア支障物センサーの3D化の推進
車両ドアに荷物を挟んだまま列車が出発するいわゆる「ドア挟み」に対応するため、駅係員によるホームドア内側の目視確認、車両ドアのドア挟み検知センサーの検知精度の検証、ホームドア支障物センサーの3D化の実証試験などの結果を踏まえ、2018年度からホームドア支障物センサーの3D化を進めています。2020年度は北千住駅、三郷中央駅の2駅2ホームでホームドア支障物センサーの3D化を実施していきます。
② ホームの延伸
お客様の増加に伴い、ホーム上が混雑して狭くなっている駅があります。ホーム上の安全性を向上させるため、2018年度から、秋葉原駅、新御徒町駅のホーム延伸工事を実施しています。
本工事は、2019年度に実施を決定した8両編成化事業の一環でもあります。(参照:○充実したサービスの提供 (1)8両編成化事業の推進)
(2) 鉄道設備等の保安度・信頼性の向上
将来にわたる安全で安心な鉄道輸送の維持には、経年使用している設備・機器類の適切な修繕・更新が欠かせません。2020年度は、以下のとおり取り組んでいきます。
① 車体・車両機器の更新
開業当初に導入した車両(30編成)は、車体の劣化が進行しています。これらの車両を安全かつ長期間安定して使用できるように、車体更新場において、屋根の絶縁塗装や窓シールの修繕など全般的な更新工事をこれまでに14編成実施しました。2020年度も引き続き実施していく予定です。このほか、車内案内表示器等の機器類の更新も進めていきます。
② 各種機器の修繕・更新
運行管理システム、列車無線設備等の信号・通信設備や電力を監視・制御する電力管理システムの修繕・更新について継続して行います。
(3) 安全管理体制の継続的改善
鉄道輸送の最大の使命である安全の確保を全社一丸となって推進しています。
鉄道安全委員会や安全統括管理者ヒアリング、安全内部監査等により、定期的な安全管理体制の見直しを行っていきます。
また、運輸安全マネジメント制度の勉強会や安全講話会等を継続し、安全管理体制の向上・改善に資する教育を進め、安全意識の高揚を図っていきます。
このほか、現下の新型コロナウイルスの事態を踏まえ、お客様や従事員の安全衛生や健康の確保を最優先に、万全な対策が図られるように努めていきます。
(4) 防災・事故対策の強化
近年、豪雨、猛暑・低温、大型台風の頻発等の異常気象に伴う自然災害が多発しています。2019年度には台風に伴う記録的な大雨により、当社でも安全確保のため、初めて計画運休を実施しました。また、首都圏直下地震等の発生の切迫性も高まってきているほか、鉄道テロ対策も重要な課題となります。こうした状況を踏まえ、2020年度は以下のように、防災・事故対策の強化に努めていきます。
① 新たな保守用車両の進入路の設置
当社線は、秋葉原駅からつくば駅間の全線において踏切が一つも無く、ほとんどの区間が高架及びトンネル構造であるため、安全面では非常に優れています。一方、保守作業や事故・災害発生時の復旧作業の際に、軌道内への進入箇所が限定され、作業に大きな制約を受ける状況にあります。
そこで、安全面を確保しつつ、こうした課題への対応を図るためには、現在八潮駅付近にのみ設置されている保守用車両(軌陸車)の進入路を増設することが有効です。2020年度は南千住駅付近及び万博記念公園駅付近に新たな進入路を増設する工事を進めていきます。
② 落雷被害対策
落雷による運行障害等の発生を防ぐための設備を重要な施設の周辺に設置していますが、設備の未設置区間において、落雷により電子機器が被害を受け、運行障害が発生しました。この被害を受けた区間は周囲に建造物が少ないことから、今後の落雷被害を防ぐための設備を追加で設置します。
③ 水害対策
近年は想定をはるかに超える大雨の発生頻度が高まっており、想定外の事象がいつでも起こり得ると言っても過言ではありません。このため、2019年度に設置した「水害対策プロジェクトチーム」を中心に、TX全線にわたる施設・設備に対して、水害危険性の総点検を実施し、それを踏まえた対策を検討していきます。また、従来から取組んでいる荒川、綾瀬川、江戸川等の氾濫を想定したタイムライン(防災行動計画)について関係機関と連携・情報共有し、検討を深めていきます。これらと並行して、ゲリラ豪雨等による内水氾濫発生時に備え、駅に浸水防止器具を配備します。
④ 帰宅困難者対策
東日本大震災の対応を教訓とした帰宅困難者対策として、広域避難場所、トイレ等の帰宅に必要な情報を掲載したウォーキングマップを各駅で配布しています。今後も、関係自治体や他の鉄道会社との連携も図りながら、災害時に備えたこれらの取組を継続していきます。
⑤ 鉄道テロ対策
「目に見える警備」を継続するとともに、警備体制の再確認を行うなど、危機管理の徹底を図ります。
(5) バリアフリー対策の推進
開業当初から全駅にエレベーター、エスカレーター等を設置し、バリアフリーに配慮した施設整備を行って
きましたが、最近の社会環境の変化を踏まえつつ、今後もお客様のご意見等を参考に、ソフト対策も含めたバ
リアフリーのさらなる充実に取り組んでいきます。
2019年度には、新たに各駅に可搬型電動階段昇降機を導入してきましたが、万一、エレベーター故障等が生
じた際には、お体の不自由なお客様の安全確保や移動の支援等が図られるよう、迅速かつ的確な対応をしてい
きます。
2020年度においては、ご高齢者やお体の不自由なお客様により一層安心・快適にご利用いただけるよう、
「おもてなしの心」、「安全な介助技術」を修得したサービス介助士資格を有する駅係員、乗務員の養成を継
続・強化し、資格保有率も高めるなど、ソフト面でのバリアフリーの推進を図っていきます。
○ 充実したサービスの提供
2020年3月に新型車両「TX-3000系」を導入し、平日朝ラッシュ最混雑時間帯1時間の運行本数を22本から25本に増やす大幅なダイヤ改正を実施いたしました。引き続き、改正後のお客様の利用動向、列車の運用状況等をしっかりと注視し、この改正の効果が十分発揮されるよう取り組んでいきます。
今後は、2019年度に事業実施を決定した8両編成化事業をはじめとした鉄道輸送サービスの一層の向上や、沿線自治体・まちづくり団体等と協働した活動などにも積極的に取り組み、地域とともに発展し、愛される「つくばエクスプレス」の魅力を一層高めていきます。
このほか、新型コロナウイルス感染症の状況をみながら、沿線の更なる発展のため、交流人口の拡大に取り組んでいきます。
(1) 8両編成化事業の推進
2019年度に「8両編成化事業」の実施を決定し、事業を開始しています。2020年度は引き続き、秋葉原駅、新御徒町駅のホーム延伸工事を実施します。
本事業は、終電から始発までの夜間の限られた時間での工事となることなどから、10年を超える長期間を要する事業となります。日頃の安全輸送を確保しながら、着実に推進していきます。
(2) 快適な利用環境の整備
お客様の利用時に、より快適な利用環境・サービスを提供するため、朝ラッシュ時間帯にホーム上に警備員等を
配備するなどの取組を実施していきます。今後もお客様に快適にご利用していただけるよう、引き続き、様々な取
組を進めていきます。
①ホーム待合室の整備
お客様がホーム上で列車をお待ちいただく際に静かで快適にお過ごしいただけるよう、待ち時間の長い一部の
地上駅のホーム上に、冷暖房を備えた待合室を新設します。
2020年度にはみどりの駅、万博記念公園駅で実施します。
②「混雑の見える化」等の推進
働き方改革の一環として東京都が推進する、快適な通勤の実現を目指してテレワークや時差出勤などを呼びか
ける運動 (スムーズビズ) に引き続き参加します。また、朝ラッシュ時間帯に運行している列車の車両ごとの混雑
状況をお客様に提供するなどの「混雑の見える化」を推進していきます。これらにより、オフピーク通勤・通学や
分散乗車を選択できる環境を整え、お客様の利便性、快適性を向上するための取組を実施するとともに、新型コロ
ナウイルスの感染リスクの低減につなげていきます。
③ マナーアップキャンペーンの推進
お客様がご利用の際に快適な環境を提供できるよう、駅構内や列車内にポスターを掲出するなどにより、マナー
向上を呼び掛けます。
(3) 沿線地域との連携の強化
自治体や関係団体などが行うまちづくりや地域振興の取組に積極的に協力していきます。
① 地域貢献活動の推進
地域に根ざした企業として、地域の様々な主体と連携した地域貢献活動を継続・強化していきます。
2020年度は、引き続き、「守谷野鳥のみち」の自然環境保全活動について守谷市に協力していくほか、沿線自
治体等と連携して小学生を対象とする職業体験学習等を実施します。また、「健康」や「地域振興」等をキー
ワードに、沿線自治体や大学などと協力した取組を進めていきます。
このほかにも、様々なパートナーと連携した新たな活動を模索していきます。
② 社有地の活用
沿線には子育て世代が目覚ましく増加しています。このため、高架下等の社有地を活用した子育て支援施設の整備など、今後も沿線における子育てや教育しやすい環境の創出に積極的に協力していきます。2020年度は、八潮駅や流山おおたかの森駅付傍の高架下に新たな施設の整備を進めていきます。
(4) 環境対策・省エネルギー化の推進
これまで、車両走行時の「惰行制御※1」や、「回生電力※2」の駅の照明用電力等への活用、余剰電力の電力
会社への供給など、環境に配慮した取組を進めてきました。2020年度も引き続き、以下の取組を進めていきます。
※1 下り勾配や直線区間の一部で、電力を消費せずに慣性力で走行すること
※2 列車の走行中にブレーキをかけたときなどに発生する電力
① 照明のLED化の推進
車両内及びホーム上の照明のLED化に引き続き、駅構内コンコースの照明も順次LED化を進めており、これまで
に11駅で実施しました。2020年度は、北千住駅、青井駅、万博記念公園駅、研究学園駅、つくば駅の5駅を予定
しています。
② 環境コミュニケーション活動の推進
流山おおたかの森駅に設置している「エコ PR コーナー」において、当社や地域の環境活動を広く PR すると
ともに、地域と連携した環境に係る「学ぼう!TX講座」を実施するなど、引き続き、環境コミュニケーション活
動に取り組んでいきます。
○ 経営基盤の強化
社会インフラ企業として、地域とともに末永く継続発展していくため、関連事業の強化や事業運営体制の充実
など、経営基盤を強化していきます。
(1) 関連事業の強化
お客様の利便性やまちの魅力の向上を図るとともに、経営基盤を強化するため、引き続き、駅ナカ・高架下にお
ける魅力ある商業施設の開発と付加価値の向上により、関連事業を積極的に推進していきます。
守谷駅にある「TXアベニュー守谷」の設備も老朽化しているため、大規模修繕を実施し、お客様に快適に利用し
ていただけるように環境の向上を図ります。
このほか、駅構内への自動販売機、ATM等の増設、改札外におけるコンビニエンスストアの新設などにより駅周辺
の利便性の向上に努めるとともに、新たな商業施設等の展開について検討を進めます。
(2) 総合基地整備事業の推進
総合基地は、これまで車両増備や車体更新等に対応して、留置線の増設や施設の整備を行ってきましたが、今後
の8両編成化車両の運用等に対応するため、「総合基地整備事業」を推進していきます。2020年度は、事業計画の
作成と都市計画の変更に係る手続きに向けた準備を進めていきます。
(3) 「八潮総合事務所」の新設
保守業務の増加や新規設備投資等に対応するため、八潮駅近隣の保守施設を集約し、総合基地の機能の一部を付
加した「八潮総合事務所」の設置を進めており、2020年上期中に建物工事が完成予定です。建物完成後は、順次運
用開始するとともに、総合基地に次ぐ保守業務等の拠点としての機能確立に向け体制等の整備を進め、保守作業の
効率化やトラブル対応の迅速化を図っていきます。
(4) 次代を支える人材の確保
社員一人ひとりの成長を促す人的投資を実施するとともに、会社を支える次代の人材確保に積極的に取り組んで
いきます。
① 社員の教育・訓練の充実
安全で安心な輸送サービスの継続的な提供には、設備等の充実のみならず、社員の安全意識を高めることや技術
を維持することが重要です。当社では、開業当初から支えてきたベテランからの世代交代が進んでいます。このた
め、技術・技能が着実に伝承・向上されるよう、基礎教育及び専門教育・訓練等の取組の強化を図ります。
また、通常時の基本動作のみならず、近年増えている災害や事故、想定外の事象発生時の対応にも万全を期すた
め、関係機関と連携した「異常時総合訓練」、「合同消防訓練」、「テロ対策訓練」等を継続して実施します。さ
らに、2018年に導入した「運転シミュレータ」により着実に技術・技能を習得できるよう乗務員の訓練を継続して
実施するなど、社員教育を充実していきます。
② 多様な人材の積極的採用
新卒採用においては、意欲を持った社員を確保するため、インターンシップの実施や各学校訪問、学内説明会の
充実・強化と広範囲な地域を対象とした広報活動などを進めていきます。
また、高度な技能が求められる業務に関しては、必要に応じて経験や能力、技術を有する人材の確保に努めてい
きます。
(5) 社員がいきいきと働ける環境づくりの推進
社員の働き方に対する社会環境や意識の変化に柔軟な対応を図り、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる
働きがいのある就労環境づくりをさらに推進していきます。
2020年度は、昨年度拡充した社員の福利厚生や資格取得支援制度のさらなる利用促進を図るとともに、「女性が
活躍できる雇用環境の整備等に関する行動計画」に基づき、引き続き女性社員向け諸設備の充実と出産や子育てし
やすい環境を整えるほか、ライフステージと働き方に関する研修を通じて女性がより働きやすい職場づくりを推進
していきます。
また、活力のある職場づくりや知見の共有を図るため、社員と経営幹部が意見交換を行う「チームTXミーティン
グ」を継続するとともに、労使間の連絡会を定期的に開催するなど、社内のコミュニケーションを充実させていき
ます。
注:上記の施策は、新型コロナウイルス感染症の状況により、変更等が生じる可能性があります。
(1) 経営方針
当社は、常に安全を第一に、安全・安定・安心輸送の公共交通機関として、その社会的な責任を果たし、地域・社会から愛され信頼される会社を目指します。
2018年には3年間の経営テーマ、基本方針を掲げた「中期経営計画」(2018~2020年度)を策定し、「安全で安心な鉄道輸送を確固たるものとします」、「充実したサービスの提供により、沿線地域の発展に貢献します」、「持続的な成長を支える経営基盤の強化を図ります」を基本方針に様々な施策を着実に展開しております。
(2) 経営環境
当事業年度における我が国の経済は、期初から緩やかな回復基調で推移してきましたが、2020 年2 月以降、新型コロナウイルス感染症の拡大が深刻さを増すなか、個人消費や海外経済に急速な減速が見られるなど、景気は大幅に下押しされ、厳しい状況が続いています。
2019年度は、新型コロナウイルス感染症による当社の財政状況及び経営成績への影響は比較的低かったものの、2020年度以降は、外出自粛の要請等により、当面の間は移動需要の減少など、当社にとって厳しい環境となるものと考えております。
(3) 対処すべき課題
新型コロナウイルス感染症による先行きは依然不透明であり、また、状況も刻々と変化しています。
当社は社会インフラ企業として、公共輸送サービスを継続的に確保するため、「新型インフルエンザ等対策業務計画」に基づき、本社にて新型コロナウイルス感染症対策本部を立ち上げ、各種情報の共有を図りつつ、各担当で状況に合わせた対策を実施しています。
具体的な対応として、駅務員・乗務員等のマスク着用、手洗い、うがいの励行、各駅のご案内カウンターと定期券発売所にアルコール消毒液の配備及び飛沫感染防止シートの設置、また、車内の換気は、駅到着時にお客さま乗降に伴うドアの開け閉めのほか、車内空調装置を強制的に稼働させ常に外気を取り入れてお客様への影響を最小限に抑えるようにしています。
このような状況下でありますが、感染拡大防止の徹底を図りつつ、2020年度は以下の三本柱を重点施策として経営を進めて参ります。
○ 安全で安心な鉄道輸送の確立
安全で安心な鉄道輸送の確保こそが、お客さまに対する最大のサービスであるとともに、鉄道事業を主軸とする当社の経営の根幹であることは言うまでもありません。
当社の安全方針である「安全の確保はすべてに優先する」を常に意識し、お客様がより安心してご利用いただけるよう、安全性の一層の向上に向け、ハード・ソフトの両面において、引き続き取り組んでいきます。
(1) ホームの安全性の向上
当社は、全20駅のホームにホームドアを設置するなど、ホームは高い安全性を有していますが、一層の安全性の向上を図るため、以下の対策を講じていきます。
① ホームドア支障物センサーの3D化の推進
車両ドアに荷物を挟んだまま列車が出発するいわゆる「ドア挟み」に対応するため、駅係員によるホームドア内側の目視確認、車両ドアのドア挟み検知センサーの検知精度の検証、ホームドア支障物センサーの3D化の実証試験などの結果を踏まえ、2018年度からホームドア支障物センサーの3D化を進めています。2020年度は北千住駅、三郷中央駅の2駅2ホームでホームドア支障物センサーの3D化を実施していきます。
② ホームの延伸
お客様の増加に伴い、ホーム上が混雑して狭くなっている駅があります。ホーム上の安全性を向上させるため、2018年度から、秋葉原駅、新御徒町駅のホーム延伸工事を実施しています。
本工事は、2019年度に実施を決定した8両編成化事業の一環でもあります。(参照:○充実したサービスの提供 (1)8両編成化事業の推進)
(2) 鉄道設備等の保安度・信頼性の向上
将来にわたる安全で安心な鉄道輸送の維持には、経年使用している設備・機器類の適切な修繕・更新が欠かせません。2020年度は、以下のとおり取り組んでいきます。
① 車体・車両機器の更新
開業当初に導入した車両(30編成)は、車体の劣化が進行しています。これらの車両を安全かつ長期間安定して使用できるように、車体更新場において、屋根の絶縁塗装や窓シールの修繕など全般的な更新工事をこれまでに14編成実施しました。2020年度も引き続き実施していく予定です。このほか、車内案内表示器等の機器類の更新も進めていきます。
② 各種機器の修繕・更新
運行管理システム、列車無線設備等の信号・通信設備や電力を監視・制御する電力管理システムの修繕・更新について継続して行います。
(3) 安全管理体制の継続的改善
鉄道輸送の最大の使命である安全の確保を全社一丸となって推進しています。
鉄道安全委員会や安全統括管理者ヒアリング、安全内部監査等により、定期的な安全管理体制の見直しを行っていきます。
また、運輸安全マネジメント制度の勉強会や安全講話会等を継続し、安全管理体制の向上・改善に資する教育を進め、安全意識の高揚を図っていきます。
このほか、現下の新型コロナウイルスの事態を踏まえ、お客様や従事員の安全衛生や健康の確保を最優先に、万全な対策が図られるように努めていきます。
(4) 防災・事故対策の強化
近年、豪雨、猛暑・低温、大型台風の頻発等の異常気象に伴う自然災害が多発しています。2019年度には台風に伴う記録的な大雨により、当社でも安全確保のため、初めて計画運休を実施しました。また、首都圏直下地震等の発生の切迫性も高まってきているほか、鉄道テロ対策も重要な課題となります。こうした状況を踏まえ、2020年度は以下のように、防災・事故対策の強化に努めていきます。
① 新たな保守用車両の進入路の設置
当社線は、秋葉原駅からつくば駅間の全線において踏切が一つも無く、ほとんどの区間が高架及びトンネル構造であるため、安全面では非常に優れています。一方、保守作業や事故・災害発生時の復旧作業の際に、軌道内への進入箇所が限定され、作業に大きな制約を受ける状況にあります。
そこで、安全面を確保しつつ、こうした課題への対応を図るためには、現在八潮駅付近にのみ設置されている保守用車両(軌陸車)の進入路を増設することが有効です。2020年度は南千住駅付近及び万博記念公園駅付近に新たな進入路を増設する工事を進めていきます。
② 落雷被害対策
落雷による運行障害等の発生を防ぐための設備を重要な施設の周辺に設置していますが、設備の未設置区間において、落雷により電子機器が被害を受け、運行障害が発生しました。この被害を受けた区間は周囲に建造物が少ないことから、今後の落雷被害を防ぐための設備を追加で設置します。
③ 水害対策
近年は想定をはるかに超える大雨の発生頻度が高まっており、想定外の事象がいつでも起こり得ると言っても過言ではありません。このため、2019年度に設置した「水害対策プロジェクトチーム」を中心に、TX全線にわたる施設・設備に対して、水害危険性の総点検を実施し、それを踏まえた対策を検討していきます。また、従来から取組んでいる荒川、綾瀬川、江戸川等の氾濫を想定したタイムライン(防災行動計画)について関係機関と連携・情報共有し、検討を深めていきます。これらと並行して、ゲリラ豪雨等による内水氾濫発生時に備え、駅に浸水防止器具を配備します。
④ 帰宅困難者対策
東日本大震災の対応を教訓とした帰宅困難者対策として、広域避難場所、トイレ等の帰宅に必要な情報を掲載したウォーキングマップを各駅で配布しています。今後も、関係自治体や他の鉄道会社との連携も図りながら、災害時に備えたこれらの取組を継続していきます。
⑤ 鉄道テロ対策
「目に見える警備」を継続するとともに、警備体制の再確認を行うなど、危機管理の徹底を図ります。
(5) バリアフリー対策の推進
開業当初から全駅にエレベーター、エスカレーター等を設置し、バリアフリーに配慮した施設整備を行って
きましたが、最近の社会環境の変化を踏まえつつ、今後もお客様のご意見等を参考に、ソフト対策も含めたバ
リアフリーのさらなる充実に取り組んでいきます。
2019年度には、新たに各駅に可搬型電動階段昇降機を導入してきましたが、万一、エレベーター故障等が生
じた際には、お体の不自由なお客様の安全確保や移動の支援等が図られるよう、迅速かつ的確な対応をしてい
きます。
2020年度においては、ご高齢者やお体の不自由なお客様により一層安心・快適にご利用いただけるよう、
「おもてなしの心」、「安全な介助技術」を修得したサービス介助士資格を有する駅係員、乗務員の養成を継
続・強化し、資格保有率も高めるなど、ソフト面でのバリアフリーの推進を図っていきます。
○ 充実したサービスの提供
2020年3月に新型車両「TX-3000系」を導入し、平日朝ラッシュ最混雑時間帯1時間の運行本数を22本から25本に増やす大幅なダイヤ改正を実施いたしました。引き続き、改正後のお客様の利用動向、列車の運用状況等をしっかりと注視し、この改正の効果が十分発揮されるよう取り組んでいきます。
今後は、2019年度に事業実施を決定した8両編成化事業をはじめとした鉄道輸送サービスの一層の向上や、沿線自治体・まちづくり団体等と協働した活動などにも積極的に取り組み、地域とともに発展し、愛される「つくばエクスプレス」の魅力を一層高めていきます。
このほか、新型コロナウイルス感染症の状況をみながら、沿線の更なる発展のため、交流人口の拡大に取り組んでいきます。
(1) 8両編成化事業の推進
2019年度に「8両編成化事業」の実施を決定し、事業を開始しています。2020年度は引き続き、秋葉原駅、新御徒町駅のホーム延伸工事を実施します。
本事業は、終電から始発までの夜間の限られた時間での工事となることなどから、10年を超える長期間を要する事業となります。日頃の安全輸送を確保しながら、着実に推進していきます。
(2) 快適な利用環境の整備
お客様の利用時に、より快適な利用環境・サービスを提供するため、朝ラッシュ時間帯にホーム上に警備員等を
配備するなどの取組を実施していきます。今後もお客様に快適にご利用していただけるよう、引き続き、様々な取
組を進めていきます。
①ホーム待合室の整備
お客様がホーム上で列車をお待ちいただく際に静かで快適にお過ごしいただけるよう、待ち時間の長い一部の
地上駅のホーム上に、冷暖房を備えた待合室を新設します。
2020年度にはみどりの駅、万博記念公園駅で実施します。
②「混雑の見える化」等の推進
働き方改革の一環として東京都が推進する、快適な通勤の実現を目指してテレワークや時差出勤などを呼びか
ける運動 (スムーズビズ) に引き続き参加します。また、朝ラッシュ時間帯に運行している列車の車両ごとの混雑
状況をお客様に提供するなどの「混雑の見える化」を推進していきます。これらにより、オフピーク通勤・通学や
分散乗車を選択できる環境を整え、お客様の利便性、快適性を向上するための取組を実施するとともに、新型コロ
ナウイルスの感染リスクの低減につなげていきます。
③ マナーアップキャンペーンの推進
お客様がご利用の際に快適な環境を提供できるよう、駅構内や列車内にポスターを掲出するなどにより、マナー
向上を呼び掛けます。
(3) 沿線地域との連携の強化
自治体や関係団体などが行うまちづくりや地域振興の取組に積極的に協力していきます。
① 地域貢献活動の推進
地域に根ざした企業として、地域の様々な主体と連携した地域貢献活動を継続・強化していきます。
2020年度は、引き続き、「守谷野鳥のみち」の自然環境保全活動について守谷市に協力していくほか、沿線自
治体等と連携して小学生を対象とする職業体験学習等を実施します。また、「健康」や「地域振興」等をキー
ワードに、沿線自治体や大学などと協力した取組を進めていきます。
このほかにも、様々なパートナーと連携した新たな活動を模索していきます。
② 社有地の活用
沿線には子育て世代が目覚ましく増加しています。このため、高架下等の社有地を活用した子育て支援施設の整備など、今後も沿線における子育てや教育しやすい環境の創出に積極的に協力していきます。2020年度は、八潮駅や流山おおたかの森駅付傍の高架下に新たな施設の整備を進めていきます。
(4) 環境対策・省エネルギー化の推進
これまで、車両走行時の「惰行制御※1」や、「回生電力※2」の駅の照明用電力等への活用、余剰電力の電力
会社への供給など、環境に配慮した取組を進めてきました。2020年度も引き続き、以下の取組を進めていきます。
※1 下り勾配や直線区間の一部で、電力を消費せずに慣性力で走行すること
※2 列車の走行中にブレーキをかけたときなどに発生する電力
① 照明のLED化の推進
車両内及びホーム上の照明のLED化に引き続き、駅構内コンコースの照明も順次LED化を進めており、これまで
に11駅で実施しました。2020年度は、北千住駅、青井駅、万博記念公園駅、研究学園駅、つくば駅の5駅を予定
しています。
② 環境コミュニケーション活動の推進
流山おおたかの森駅に設置している「エコ PR コーナー」において、当社や地域の環境活動を広く PR すると
ともに、地域と連携した環境に係る「学ぼう!TX講座」を実施するなど、引き続き、環境コミュニケーション活
動に取り組んでいきます。
○ 経営基盤の強化
社会インフラ企業として、地域とともに末永く継続発展していくため、関連事業の強化や事業運営体制の充実
など、経営基盤を強化していきます。
(1) 関連事業の強化
お客様の利便性やまちの魅力の向上を図るとともに、経営基盤を強化するため、引き続き、駅ナカ・高架下にお
ける魅力ある商業施設の開発と付加価値の向上により、関連事業を積極的に推進していきます。
守谷駅にある「TXアベニュー守谷」の設備も老朽化しているため、大規模修繕を実施し、お客様に快適に利用し
ていただけるように環境の向上を図ります。
このほか、駅構内への自動販売機、ATM等の増設、改札外におけるコンビニエンスストアの新設などにより駅周辺
の利便性の向上に努めるとともに、新たな商業施設等の展開について検討を進めます。
(2) 総合基地整備事業の推進
総合基地は、これまで車両増備や車体更新等に対応して、留置線の増設や施設の整備を行ってきましたが、今後
の8両編成化車両の運用等に対応するため、「総合基地整備事業」を推進していきます。2020年度は、事業計画の
作成と都市計画の変更に係る手続きに向けた準備を進めていきます。
(3) 「八潮総合事務所」の新設
保守業務の増加や新規設備投資等に対応するため、八潮駅近隣の保守施設を集約し、総合基地の機能の一部を付
加した「八潮総合事務所」の設置を進めており、2020年上期中に建物工事が完成予定です。建物完成後は、順次運
用開始するとともに、総合基地に次ぐ保守業務等の拠点としての機能確立に向け体制等の整備を進め、保守作業の
効率化やトラブル対応の迅速化を図っていきます。
(4) 次代を支える人材の確保
社員一人ひとりの成長を促す人的投資を実施するとともに、会社を支える次代の人材確保に積極的に取り組んで
いきます。
① 社員の教育・訓練の充実
安全で安心な輸送サービスの継続的な提供には、設備等の充実のみならず、社員の安全意識を高めることや技術
を維持することが重要です。当社では、開業当初から支えてきたベテランからの世代交代が進んでいます。このた
め、技術・技能が着実に伝承・向上されるよう、基礎教育及び専門教育・訓練等の取組の強化を図ります。
また、通常時の基本動作のみならず、近年増えている災害や事故、想定外の事象発生時の対応にも万全を期すた
め、関係機関と連携した「異常時総合訓練」、「合同消防訓練」、「テロ対策訓練」等を継続して実施します。さ
らに、2018年に導入した「運転シミュレータ」により着実に技術・技能を習得できるよう乗務員の訓練を継続して
実施するなど、社員教育を充実していきます。
② 多様な人材の積極的採用
新卒採用においては、意欲を持った社員を確保するため、インターンシップの実施や各学校訪問、学内説明会の
充実・強化と広範囲な地域を対象とした広報活動などを進めていきます。
また、高度な技能が求められる業務に関しては、必要に応じて経験や能力、技術を有する人材の確保に努めてい
きます。
(5) 社員がいきいきと働ける環境づくりの推進
社員の働き方に対する社会環境や意識の変化に柔軟な対応を図り、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる
働きがいのある就労環境づくりをさらに推進していきます。
2020年度は、昨年度拡充した社員の福利厚生や資格取得支援制度のさらなる利用促進を図るとともに、「女性が
活躍できる雇用環境の整備等に関する行動計画」に基づき、引き続き女性社員向け諸設備の充実と出産や子育てし
やすい環境を整えるほか、ライフステージと働き方に関する研修を通じて女性がより働きやすい職場づくりを推進
していきます。
また、活力のある職場づくりや知見の共有を図るため、社員と経営幹部が意見交換を行う「チームTXミーティン
グ」を継続するとともに、労使間の連絡会を定期的に開催するなど、社内のコミュニケーションを充実させていき
ます。
注:上記の施策は、新型コロナウイルス感染症の状況により、変更等が生じる可能性があります。