有価証券報告書-第31期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当事業年度末において、当社が判断したものです。
(1) 経営方針
当社は、常に安全を第一に、安全・安定・安心輸送の公共交通機関として、その社会的な責任を果たし、地域・社会から愛され信頼される会社を目指します。
2018年には3年間の経営テーマ、基本方針を掲げた「中期経営計画」(2018~2020年度)を策定し、「安全で安心な鉄道輸送を確固たるものとします」、「充実したサービスの提供により、沿線地域の発展に貢献します」、「持続的な成長を支える経営基盤の強化を図ります」を基本方針に様々な施策を着実に展開しました。
(2) 経営環境
当事業年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、4月16日には全国に緊急事態宣言が発出されるに至り、東京オリンピックなどの大イベントが延期になり、さらに1月8日には首都圏の1都3県に二回目の緊急事態宣言が発出されるなど、国内外で人の移動が制限され、多くの業種において業績は悪化いたしました。
当社は、開業以来15年の間、沿線開発の着実な進展等により輸送実績・営業成績が堅調に推移してきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により事業環境が一変し、2020年度のお客様のご利用は、これまでに経験したことのない大幅な減少となりました。また、働き方や生活スタイル等に大きな変化が生じており、これからのお客様のご利用動向を見通すことが困難な状況となっています。
こうしたコロナ禍においても、鉄道事業者の根幹である安全で安心な鉄道輸送はゆるがせにできません。鉄道設備の信頼性を向上させる保守や投資は決して手を緩めることなく実施してまいります。
(3) 対処すべき課題
当面は新型コロナウイルス感染症への対応が重要な課題です。当社は引き続き、お客様や社員の感染防止対策を徹底いたします。また、厳しい事業環境を乗り越え、将来にわたり鉄道サービスを提供するため、お客様のご利用動向の変化に対応したサービスのあり方を検討するとともに、経営基盤の強化に取り組んでまいります。2021年度は以下の四本柱を重点施策として経営を進めてまいりますが、事業環境の見通しが非常に不透明であるため、状況の変化に応じて柔軟に事業を実施してまいります。
○ 新型コロナウイルス感染症への対応
新型コロナウイルス感染症の拡大により、2020年度に緊急事態宣言が発出されるなど、感染状況の先行きが不透明な状況が続いています。こうした状況において、社会インフラ企業である当社は、お客様に安心してご利用いただき、継続して安定した輸送サービスを提供できるよう、感染防止対策を引き続き徹底するとともに、ポストコロナ社会に向けた新事業の推進等も進めていきます。
(1) お客様の感染防止対策の徹底
全ての車両の手摺りや吊り手、各駅の券売機、精算機及びチャージ機に抗ウイルス・抗菌効果のあるコーティング剤を塗布し、施工済ステッカーを貼付しました。また、除菌剤等による拭き取り、各駅のご案内カウンターや定期券発売所へのアルコール消毒液の設置等の対策を講じてきており、引き続き実施していきます。
このほか、駅や車両内の密集状態の発生の回避に役立てていただけるように、朝・夜間ラッシュ時間帯の駅の混雑状況や、車両ごとの混雑状況について、引き続き情報提供していきます。
(2) 社員の感染防止対策の徹底
全社員に対して、日々の検温・体調確認、マスク着用、手洗い・手指消毒等の基本的な健康・衛生管理を徹底するほか、体調不良者が発生した際の連絡体制を確立し報告を徹底しています。また、各職場に飛沫感染防止用ボードの設置を進めるとともに、他の交通事業者での社員間の感染事例も踏まえ、社員共用施設の消毒などの徹底に努めていきます。このほか、政府の要請を踏まえ、業務に支障がない範囲で本社勤務社員の在宅勤務・時差出勤を実施しています。
こうした取組みを2021年度も継続し、社員の感染防止に努めていきます。
(3) ポストコロナ社会に向けた新事業の推進
コロナ禍において、働き方や生活スタイル等に大きな変化が生じており、この変化はポストコロナの時代においても一定程度定着すると考え、ポストコロナ社会に向けた事業を進めていきます。
密閉・密集・密接の3密を回避し、かつお客様ご自身が時間などの制約を受けることなく参加できる「利用者自立型イベント」を推進していきます。2021年度も、筑波山やTX沿線を安心して楽しんでいただけるイベントを実施していきます。(参照:○充実したサービスの提供 (3)①魅力ある乗車券の発売やイベントの実施)
また、家で過ごす時間の増加をきっかけに、ネットを利用した購買が全世代に急速に増加、普及しています。一方、従来型のイベントの開催が困難な状況により、TXグッズを購入できる機会が減少しています。こうした状況を踏まえ、通信販売での取扱いの拡充など販路拡大を進めていきます。
さらに、在宅勤務やテレワーク等の働き方の多様化に伴い、就業場所に対する新たなニーズが発生しています。これに対応するため、2020年度に秋葉原駅構内とTXアベニュー守谷内に個室型ワークブースを導入しました。2021年度は、このご利用状況等も踏まえ、駅ナカ・高架下への個室型ワークブースやシェアオフィスの設置拡大に向けた検討を進めていきます。
(4) IT化の推進
人と人の対面を基本とする従来からの行動様式に、人と人の接触を極力減らすという新たな変化が加わり、急速に定着しつつあります。
こうした変化に対応するため、当社の事業においては、環境コミュニケーション活動として実施している「学ぼう!TX講座」を状況に応じてオンラインで開催します。また、社内業務においては、社員研修のeラーニングを推進するほか、事務系業務のテレワーク、WEB会議等の実施環境の充実・強化を図り、IT化を通じて業務の効率化にも努めていきます。(参照:○充実したサービスの提供 (5)①環境コミュニケーション活動の推進)
○ 安全で安心な鉄道輸送の確立
安全で安心な鉄道輸送の確保こそが、お客さまに対する最大のサービスであるとともに、鉄道事業を主軸とする当社の経営の根幹であることは言うまでもありません。
当社の安全方針である「安全の確保はすべてに優先する」を常に意識し、お客様がより安心してご利用いただけるよう、引き続き、ハード・ソフトの両面において、安全性の一層の向上に取り組んでいきます。
(1) 鉄道設備等の信頼性の向上
将来にわたる安全で安心な鉄道輸送の維持には、経年使用している設備・機器類の適切な修繕・更新が欠かせません。2021年度は、以下の通り取り組んでいきます。
① 車体・車両機器の更新
車体更新場において、屋根の絶縁塗装や窓シールの修繕など全般的な更新工事をこれまでに21編成実施し、2021年度も引き続き実施していきます。このほか、車内案内表示器や開業後に増備した車両の運転保安装置等の車両機器の更新を進めていきます。
さらに、開業当初に導入した車両は、間もなく20年を迎えますが、今後もさらに長期にわたり安全性や安定性を維持して使用できるように、床・座席・ガラス等の内装設備の取り替え、主電動機をはじめとした大型機器の更新、配線・配管の交換等、車両全体を更新する大規模更新を実施していくこととしており、2021年度はこれらの大規模更新の詳細設計に着手します。
② 電力管理システムの更新
列車の運行や駅の照明等に欠かせない電力を安定的に供給するため、変電所や配電所を集中監視・制御している電力管理システムを更新します。2021年度は、設計、製作、設置等を行います。
③ 通信設備の更新
列車無線、通信ケーブル等の情報伝達に係る通信基盤設備、ホーム・コンコースなど駅構内の安全確保に不可欠なカメラ、モニターといった各種通信設備の修繕・更新を継続して行います。
④ 保守用車両進入路の新設・活用
当社線は、秋葉原駅からつくば駅間の全線において踏切が一つもなく、ほとんどの区間が高架及びトンネル構造であるため、安全面では非常に優れています。一方、保守作業や事故・災害発生時の復旧作業の際には、軌道内への進入箇所が限定され、作業に大きな制約を受ける状況にあります。そこで、安全面を確保しつつ、こうした課題への対応を図るため、八潮駅付近にのみ設置されていた保守用車両(軌陸車)の進入路を、2020 年度に南千住駅付近に増設しました。2021年度は、万博記念公園駅付近にも設置する工事を進めていきます。
また、増設進入路を有効に活用するために軌陸車を新たに配備し、効率的な鉄道施設の保守点検や事故・トラブル時の迅速な対応に努めていきます。
(2) 防災対策の強化
近年、豪雨、猛暑・低温、大型台風の頻発等の異常気象に伴う自然災害が多発しています。当社においても、2020年度には落雷に伴う架線・信号設備が被害を受け運行障害が発生しました。また、首都直下地震等の発生の切迫性も高まってきています。こうした状況を踏まえ、2021年度は、以下のように防災対策の維持・強化に努めていきます。
① 防災設備の更新
駅における火災等の早期発見と的確な初動活動に大変重要な機能を果たす、駅防災設備、駅放送設備の更新を順次進めており、2021年度も継続して行っていきます。なお、駅防災設備の更新では、警報音を聞きとりにくいお客様にも光の点滅で火災の発生を知らせることができる光警報装置の導入も進めていきます。
② 水害対策の検討
近年は想定をはるかに超える大雨の発生頻度が高まっており、想定外の事象がいつでも起こり得ると言っても過言ではありません。このため、2019年度に設置した「水害対策プロジェクトチーム」を中心に、TX全線にわたる施設・設備に対して、水害危険性の総点検を実施し、2020年度に当社線の水害リスク評価を行いました。この評価結果を踏まえ、ゲリラ豪雨等による内水氾濫発生時の対策として、リスクの高い駅に浸水防止器具を配備しました。2021年度は、さらに具体的な水害対策の検討を進めていきます。
従来から取り組んでいる荒川、綾瀬川、江戸川等の氾濫を想定したタイムライン(防災行動計画)について、関係機関との連携・情報共有を継続するとともに、TX版タイムラインの整備を進めていきます。また、河川ごとの浸水が想定される自治体等で構成する「大規模氾濫減災協議会」には、2020年度から鉄道事業者として参画していますが、引き続き、水害リスクライン等の情報共有を図るなど、自治体等と連携して対応していきます。
③ 落雷被害対策の実施
列車運行に重要な機器等を落雷から守るため、駅や変電所といった重要な施設付近には、既に防雷システムを設置し運行障害の発生を防いできました。しかし、防雷システム未設置の駅間への落雷により、電子機器や架線・信号設備が被害を受け、運行障害が発生しました。
被害を受けた区間への今後の落雷を防ぐため、2020年度に柏たなか駅~守谷駅間、2021年度は南流山駅~柏たなか駅間に防雷システムを設置し、落雷被害による運行障害の発生の低減を図っていきます。
④ 帰宅困難者対策
東日本大震災の対応を教訓とした帰宅困難者対策として、広域避難場所、トイレ等の帰宅に必要な情報を掲載したウォーキングマップを各駅で配布しています。今後も、関係自治体や他の鉄道会社との連携も図りながら、災害に備えていきます。
(3) 安全管理体制の継続的改善
鉄道輸送の最大の使命である安全を確保するため、当社ではこれからも会社一丸となって安全管理体制の継続的改善を進めていきます。
① 安全に対する組織的な取組みの推進
鉄道安全委員会や安全統括管理者ヒアリング、安全内部監査等により、定期的な安全管理体制の見直しを 行っていきます。また、運輸安全マネジメント制度の勉強会や安全講話会等を継続し、社員の安全意識の高揚を図っていきます。このほか、潜在リスクの顕在化推進のために「ヒヤリハット情報」を収集・分析し、事故防止対策の検討を行っていきます。
② 教育・訓練の充実
安全で安心な鉄道輸送サービスの継続的な提供には、設備等の充実と併せて、社員の安全意識の高揚や、知識・技能の習得・向上を図ることが重要です。
当社では、ベテラン社員から若手社員への世代交代が進んでいることから、教育・訓練の充実・強化を図り、社員の知識等の向上に努めていきます。階層別研修などの集合教育のほか、OJTを活用した日々の業務知識の習得、技術や技能の伝承と向上を推進します。
また、社員の成長意欲を向上させるため、資格取得支援を継続します。
さらに、通常時の教育訓練と併せて、近年増えている災害や事故、想定外の事象発生時の対応にも万全を期すため、関係機関と連携した「異常時総合訓練」や「水害対策訓練」を継続して実施します。このほか、「代行バス輸送訓練」は、2020年7月の落雷による輸送障害時に発生した新たな課題を踏まえ、駅係員及び本社員を対象として実施し、対応能力の向上を図ります。
また、外部研修では、駅係員を対象に「お客様に寄り添ったサービスの提供」を目的としたサービス向上に係る研修を実施していきます。
乗務員については、長期的に安定して確保・育成していくことが重要です。これまでは他社の養成施設で乗務員養成を行ってきましたが、当社で養成していくために必要な環境整備について検討を進めていきます。
③ 八潮総合事務所の活用
設備や機器の老朽化に伴う保守や更新業務の増加に対応するため、八潮駅近隣の保守施設を集約した八潮総合事務所を2020年度に整備しました。これを総合基地に次ぐ第2の保守拠点として活用していますが、2021年度は保守管理区分などをはじめとする体制の見直しをさらに行い保守業務の効率化を図るとともに、運行障害時等のトラブル対応の迅速化を進めていきます。
④ 鉄道テロ対策
東京2020オリンピック・パラリンピックの開催を控え、駅係員や警備員が巡回・警備し「目に見える警備」を継続するとともに、警察や消防等のテロ対処合同訓練に協力・参加して警備体制の再確認を行っていきます。このほか、警察とのサイバーテロ等の各種会議を活用して連携を強化し、危機管理の徹底を図ります。
(4) バリアフリー対策の推進
開業当初からバリアフリーに配慮した施設整備を行ってきましたが、国土交通省の「鉄道駅におけるプラットホームと車両乗降口の段差・隙間に関する検討会」において新たな指標が整理されるなど、社会環境に変化が生じています。こうした状況を踏まえ、これまで実施してきた対策をさらに強化していきます。
これまでは、乗降口とホームの隙間が135mm未満になるように、くし状の隙間対策ゴムを設置してきました。2021年度からは、さらに進めて車椅子スペースのある乗降口について、隙間が70mm程度となるように、くし状の隙間対策ゴムを設置していきます。
また、ご高齢のお客様やお身体の不自由なお客様に、より一層安心・快適にご利用いただけるよう、「おもてなしの心」を身に付け、「安全な介助技術」を修得したサービス介助士資格を有する駅係員、乗務員の能力を維持・向上し、ソフト面でのバリアフリー対策の推進を図っていきます。
○ 充実したサービスの提供
コロナ禍において、2020年度は、お客様のご利用は大幅な減少となりました。2021年度もお客様のご利用動向は不透明ですが、こうした状況を踏まえた対応や、ポストコロナ社会におけるお客様のご利用形態の変化への対応の検討も進めていきます。また、沿線自治体・まちづくり団体等との連携活動や、地球環境に配慮した活動を進め、「つくばエクスプレス」の魅力を一層高めていきます。
(1) 8両編成化事業の推進
2019年度に実施を決定した8両編成化事業については、2020年度までに、秋葉原駅、新御徒町駅のホーム延伸のための土木・建築・機械・一部電気工事を実施し、引き続き、浅草駅、南千住駅のホーム延伸工事を進めており、2021年度も本工事を進めていきます。
本事業は抜本的な混雑緩和対策として多額の事業費を投じて実施するものですが、コロナ禍を契機として、テレワークや時差通勤など、働き方や生活スタイルに大きな変化が生じ、今後の鉄道利用のあり方を大きく変えることも予想されます。このため、本事業については、ラッシュ時間帯の混雑やご利用動向の長期的な見通し、社会の変化、経営状況等を見極めながら適切に対応していきます。
(2) お客様のご利用動向に応じた鉄道サービス体系の備検討
夜間に行う保守点検作業および夜間の工事時間の確保を目的として、終電時刻を繰り上げるダイヤ改正を2021 年3月に行いました。今後も働き方や生活スタイル等の変化に伴うお客様のご利用動向の変化に対応するため、列車ダイヤの検討を進めるとともに、運賃体系についても検討していきます。
(3) 交流人口の拡大に向けた取組みの推進
地域に根差した社会インフラ企業として、「つくばエクスプレス」がお客様や沿線地域から愛される鉄道であるため、また、沿線のさらなる発展のため、社会環境の変化に対応しつつ交流人口の拡大に取り組んでいきます。
① 魅力ある乗車券の発売やイベントの実施
これまで、「筑波山きっぷ」、「筑波山あるキップ」、「TX東京メトロパス」など、お客様のご利用目的に応じた企画乗車券を発売してきました。また、自治体、地元観光協会、他の鉄道事業者等と連携して、スタンプラリーの開催、キャンペーン列車の運行等、沿線の魅力発信を目的としたイベントやPR活動等を実施してきました。
2021年度は、TXを利用して筑波山・筑波山麓へ足を運んでいただく取組みを積極的に進めていきます。2018年度から実施している「TX×YAMASTA 筑波山スタンプラリー」を、神奈川県伊勢原市の大山(小田急電鉄(株))とのコラボレーション企画として実施するほか、「つくば道スタンプウォーク」を実施するなど、地元観光協会をはじめとする地元の関係者等と協力・連携した取組みを実施していきます。これらは、お客様の自立参加形式による開催を予定しており、コロナ禍でも安心して参加いただけるように、3密の回避などの感染症対策を徹底して実施していきます。
② 沿線情報の発信の強化
沿線イベントや観光名所等の情報について、2020年度は、TXのWEBサイトに、桜並木やさくら公園等を巡る福岡堰のモデルコース、八潮駅・流山おおたかの森駅・柏の葉キャンパス駅の3駅を最寄りとするおすすめスポットの情報を追加しました。2021年度も、TXのWEBサイトで展開している沿線情報や、TXプラザ秋葉原での動画放映をはじめとする多様な情報発信媒体等も活用して、沿線自治体等と連携し、引き続き沿線の見どころや魅力等の沿線情報の発信力を強化していきます。
(4) 東京2020オリンピック・パラリンピックへの対応
東京2020オリンピック・パラリンピックの開催に合わせて、終電延長運転、駅などにおける案内の充実、警備の強化など、開催の形態に応じた対応をしていきます
(5) 環境対策・省エネルギー化の推進
これまで、車両走行時の「惰行制御※1」や、「回生電力※2」の駅の照明用電力等への活用、余剰電力の電力会社への供給など、環境に配慮した取組みを進めてきたところであり、2021年度も引き続き推進していきます。
※1 下り勾配や直線区間の一部で、電力を消費せずに慣性力で走行すること
※2 列車の走行中にブレーキをかけたときなどに発生する電力
① 環境コミュニケーション活動の推進
沿線地域と連携し、当社の環境に関する取組みなどを知っていただく「学ぼう!TX講座」の開催や、流山おおたかの森駅に設置している「エコPRコーナー」などを通じて、引き続き、環境コミュニケーション活動に取り組んでいきます。また、「守谷野鳥のみち」の自然環境保全活動についても、引き続き、守谷市等への協力を継続していきます。
② 社員への環境教育の導入の実施
新入社員の導入時教育(新人教育)や、全社員に対するeラーニングなどを通じて、グリーン調達の原則等の環境教育を実施し、社員の環境に対する意識の向上を図ります。
③ LED化の推進
車両内やホーム上の照明のLED化に引き続き、駅構内コンコースの照明も順次LED化を進めており、これまで16駅で実施しました。2021年度も引き続き未了の南千住駅、三郷中央駅、柏の葉キャンパス駅、守谷駅のLED化を実施していきます。このほか、総合基地や駅の非常用照明、駅事務室などのLED化も進めていきます。
○ 経営基盤の強化
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、これまでに経験したことのないお客様の減少に直面し、大変厳しい経営環境となっています。こうした難局を乗り越え、社会インフラ企業として、地域とともに末永く継続発展していくため、TXのブランド力の向上や事業運営体制の充実など、経営基盤を強化していきます。
(1) TXブランドの向上
開業から15年の歳月の間にお客様や沿線地域の方々と積み重ねたTXやTX沿線のイメージ等のブランド力を礎に、将来に向けて更なるブランド価値向上を図り、沿線地域の発展に貢献していきます。
① TX沿線への定住促進の支援
コロナ禍による家で過ごす時間の増加に伴い、住まいに対する価値観に変化がみられ、都心部近郊の郊外のニーズが高まってきています。TX沿線は、都心までのアクセス、豊かな自然環境、子育てや教育環境等、求められているニーズに非常に適した地域です。このため、沿線自治体等が行う誘致活動に対して、当社の様々なPR 媒体を活用し、沿線地域への定住促進の支援を行っていきます。
② 社有資産の活用
高架下等の当社の社有資産は、駅に近接する場所から駅間など様々なロケーションがありますが、これらは用途により有益に活用できる資産でもあります。これまでも商業施設や子育て支援施設等に活用してきましたが、今後も積極的に活用していきます。
沿線における子育てや教育しやすい環境の創出への協力として、2020年度に八潮駅近傍の高架下に学童保育所、流山おおたかの森駅近傍の高架下に児童センターを整備しました。
2021年度は、流山おおたかの森駅近傍の高架下に学童クラブの整備を進めていきます。
また、流山おおたかの森駅に近接する高架下に、緑をテーマとした店舗併設のスペースを新設し、駅周辺の憩いの場の提供と回遊性向上を図ります。本施設は、当社の環境学習フィールドとして活用することも検討しています。
さらに、駅ナカ・高架下の商業施設については、2020年度に「TXアベニュー守谷」の大規模修繕を実施したところですが、2021年度は「TXグランドアベニューおおたかの森」を、開発が進展した街並みと調和した空間にするため、全面リニューアルに向けた準備を進めていきます。
このほか、開業から15年が経過して沿線の街づくりも進み、当初計画していた商業施設も完成したため、将来に向けた駅ナカ・高架下などの「商業開発マスタープラン」の作成も進めていきます。
(2) 総合基地整備事業の推進
総合基地は、これまで車両増備や車体更新等に対応して、留置線の増設や更新場の整備等を行ってきましたが、今後の車両の運用等に対応するため、総合基地を拡張する「総合基地整備事業」を推進しています。2021年度も用地取得のほか、事業計画の作成と都市計画の変更に係る手続きに向けた準備を引き続き進めていきます。
(3) コストの見直しと財務基盤の充実・強化
コロナ禍における行動変容により、在宅勤務やテレワーク等の働き方の多様化が加速したため、これまでに経験したことのない大変厳しい経営環境になっています。この苦難を乗り越え、将来においても安定した経営を継続していくために、鉄道サービスの根幹である安全確保を前提としたうえで、経費削減や設備投資事業の見直しを行うとともに、財務面においても資金管理や資金調達の充実・強化を図っていきます。
(4) 社員がいきいきと働ける環境づくりの推進
社員の働き方に対する社会環境や意識の変化に柔軟な対応を図り、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる、働きがいのある就労環境づくりをさらに推進していきます。
2021年度は、活力のある職場づくりや風通しの良い職場づくり、社内の知見の共有を図るため、社員と経営幹部が意見交換や交流を行う場である「チームTXミーティング」などを引き続き推進します。また、社長表彰制度をはじめとする各種社内表彰制度を活用し、社員の意識向上を図っていきます。
このほか、社員の福利厚生や資格支援制度のさらなる利用促進を図るとともに、「女性が活躍できる雇用環境の整備等に関する行動計画」に基づき、引き続き女性社員向け諸設備の充実と出産や子育てしやすい環境を整えるほか、ライフステージと働き方に関する研修を通じて、男女を問わず働きやすい職場づくりを推進していきます。また、男性の育児への参画意識が高まっていることから、育児休職(育児休業)制度の活用促進により、社員のワークライフバランスを応援していきます。
注:上記の施策は、新型コロナウイルス感染症の状況により、変更等が生じる可能性があります。
(1) 経営方針
当社は、常に安全を第一に、安全・安定・安心輸送の公共交通機関として、その社会的な責任を果たし、地域・社会から愛され信頼される会社を目指します。
2018年には3年間の経営テーマ、基本方針を掲げた「中期経営計画」(2018~2020年度)を策定し、「安全で安心な鉄道輸送を確固たるものとします」、「充実したサービスの提供により、沿線地域の発展に貢献します」、「持続的な成長を支える経営基盤の強化を図ります」を基本方針に様々な施策を着実に展開しました。
(2) 経営環境
当事業年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、4月16日には全国に緊急事態宣言が発出されるに至り、東京オリンピックなどの大イベントが延期になり、さらに1月8日には首都圏の1都3県に二回目の緊急事態宣言が発出されるなど、国内外で人の移動が制限され、多くの業種において業績は悪化いたしました。
当社は、開業以来15年の間、沿線開発の着実な進展等により輸送実績・営業成績が堅調に推移してきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により事業環境が一変し、2020年度のお客様のご利用は、これまでに経験したことのない大幅な減少となりました。また、働き方や生活スタイル等に大きな変化が生じており、これからのお客様のご利用動向を見通すことが困難な状況となっています。
こうしたコロナ禍においても、鉄道事業者の根幹である安全で安心な鉄道輸送はゆるがせにできません。鉄道設備の信頼性を向上させる保守や投資は決して手を緩めることなく実施してまいります。
(3) 対処すべき課題
当面は新型コロナウイルス感染症への対応が重要な課題です。当社は引き続き、お客様や社員の感染防止対策を徹底いたします。また、厳しい事業環境を乗り越え、将来にわたり鉄道サービスを提供するため、お客様のご利用動向の変化に対応したサービスのあり方を検討するとともに、経営基盤の強化に取り組んでまいります。2021年度は以下の四本柱を重点施策として経営を進めてまいりますが、事業環境の見通しが非常に不透明であるため、状況の変化に応じて柔軟に事業を実施してまいります。
○ 新型コロナウイルス感染症への対応
新型コロナウイルス感染症の拡大により、2020年度に緊急事態宣言が発出されるなど、感染状況の先行きが不透明な状況が続いています。こうした状況において、社会インフラ企業である当社は、お客様に安心してご利用いただき、継続して安定した輸送サービスを提供できるよう、感染防止対策を引き続き徹底するとともに、ポストコロナ社会に向けた新事業の推進等も進めていきます。
(1) お客様の感染防止対策の徹底
全ての車両の手摺りや吊り手、各駅の券売機、精算機及びチャージ機に抗ウイルス・抗菌効果のあるコーティング剤を塗布し、施工済ステッカーを貼付しました。また、除菌剤等による拭き取り、各駅のご案内カウンターや定期券発売所へのアルコール消毒液の設置等の対策を講じてきており、引き続き実施していきます。
このほか、駅や車両内の密集状態の発生の回避に役立てていただけるように、朝・夜間ラッシュ時間帯の駅の混雑状況や、車両ごとの混雑状況について、引き続き情報提供していきます。
(2) 社員の感染防止対策の徹底
全社員に対して、日々の検温・体調確認、マスク着用、手洗い・手指消毒等の基本的な健康・衛生管理を徹底するほか、体調不良者が発生した際の連絡体制を確立し報告を徹底しています。また、各職場に飛沫感染防止用ボードの設置を進めるとともに、他の交通事業者での社員間の感染事例も踏まえ、社員共用施設の消毒などの徹底に努めていきます。このほか、政府の要請を踏まえ、業務に支障がない範囲で本社勤務社員の在宅勤務・時差出勤を実施しています。
こうした取組みを2021年度も継続し、社員の感染防止に努めていきます。
(3) ポストコロナ社会に向けた新事業の推進
コロナ禍において、働き方や生活スタイル等に大きな変化が生じており、この変化はポストコロナの時代においても一定程度定着すると考え、ポストコロナ社会に向けた事業を進めていきます。
密閉・密集・密接の3密を回避し、かつお客様ご自身が時間などの制約を受けることなく参加できる「利用者自立型イベント」を推進していきます。2021年度も、筑波山やTX沿線を安心して楽しんでいただけるイベントを実施していきます。(参照:○充実したサービスの提供 (3)①魅力ある乗車券の発売やイベントの実施)
また、家で過ごす時間の増加をきっかけに、ネットを利用した購買が全世代に急速に増加、普及しています。一方、従来型のイベントの開催が困難な状況により、TXグッズを購入できる機会が減少しています。こうした状況を踏まえ、通信販売での取扱いの拡充など販路拡大を進めていきます。
さらに、在宅勤務やテレワーク等の働き方の多様化に伴い、就業場所に対する新たなニーズが発生しています。これに対応するため、2020年度に秋葉原駅構内とTXアベニュー守谷内に個室型ワークブースを導入しました。2021年度は、このご利用状況等も踏まえ、駅ナカ・高架下への個室型ワークブースやシェアオフィスの設置拡大に向けた検討を進めていきます。
(4) IT化の推進
人と人の対面を基本とする従来からの行動様式に、人と人の接触を極力減らすという新たな変化が加わり、急速に定着しつつあります。
こうした変化に対応するため、当社の事業においては、環境コミュニケーション活動として実施している「学ぼう!TX講座」を状況に応じてオンラインで開催します。また、社内業務においては、社員研修のeラーニングを推進するほか、事務系業務のテレワーク、WEB会議等の実施環境の充実・強化を図り、IT化を通じて業務の効率化にも努めていきます。(参照:○充実したサービスの提供 (5)①環境コミュニケーション活動の推進)
○ 安全で安心な鉄道輸送の確立
安全で安心な鉄道輸送の確保こそが、お客さまに対する最大のサービスであるとともに、鉄道事業を主軸とする当社の経営の根幹であることは言うまでもありません。
当社の安全方針である「安全の確保はすべてに優先する」を常に意識し、お客様がより安心してご利用いただけるよう、引き続き、ハード・ソフトの両面において、安全性の一層の向上に取り組んでいきます。
(1) 鉄道設備等の信頼性の向上
将来にわたる安全で安心な鉄道輸送の維持には、経年使用している設備・機器類の適切な修繕・更新が欠かせません。2021年度は、以下の通り取り組んでいきます。
① 車体・車両機器の更新
車体更新場において、屋根の絶縁塗装や窓シールの修繕など全般的な更新工事をこれまでに21編成実施し、2021年度も引き続き実施していきます。このほか、車内案内表示器や開業後に増備した車両の運転保安装置等の車両機器の更新を進めていきます。
さらに、開業当初に導入した車両は、間もなく20年を迎えますが、今後もさらに長期にわたり安全性や安定性を維持して使用できるように、床・座席・ガラス等の内装設備の取り替え、主電動機をはじめとした大型機器の更新、配線・配管の交換等、車両全体を更新する大規模更新を実施していくこととしており、2021年度はこれらの大規模更新の詳細設計に着手します。
② 電力管理システムの更新
列車の運行や駅の照明等に欠かせない電力を安定的に供給するため、変電所や配電所を集中監視・制御している電力管理システムを更新します。2021年度は、設計、製作、設置等を行います。
③ 通信設備の更新
列車無線、通信ケーブル等の情報伝達に係る通信基盤設備、ホーム・コンコースなど駅構内の安全確保に不可欠なカメラ、モニターといった各種通信設備の修繕・更新を継続して行います。
④ 保守用車両進入路の新設・活用
当社線は、秋葉原駅からつくば駅間の全線において踏切が一つもなく、ほとんどの区間が高架及びトンネル構造であるため、安全面では非常に優れています。一方、保守作業や事故・災害発生時の復旧作業の際には、軌道内への進入箇所が限定され、作業に大きな制約を受ける状況にあります。そこで、安全面を確保しつつ、こうした課題への対応を図るため、八潮駅付近にのみ設置されていた保守用車両(軌陸車)の進入路を、2020 年度に南千住駅付近に増設しました。2021年度は、万博記念公園駅付近にも設置する工事を進めていきます。
また、増設進入路を有効に活用するために軌陸車を新たに配備し、効率的な鉄道施設の保守点検や事故・トラブル時の迅速な対応に努めていきます。
(2) 防災対策の強化
近年、豪雨、猛暑・低温、大型台風の頻発等の異常気象に伴う自然災害が多発しています。当社においても、2020年度には落雷に伴う架線・信号設備が被害を受け運行障害が発生しました。また、首都直下地震等の発生の切迫性も高まってきています。こうした状況を踏まえ、2021年度は、以下のように防災対策の維持・強化に努めていきます。
① 防災設備の更新
駅における火災等の早期発見と的確な初動活動に大変重要な機能を果たす、駅防災設備、駅放送設備の更新を順次進めており、2021年度も継続して行っていきます。なお、駅防災設備の更新では、警報音を聞きとりにくいお客様にも光の点滅で火災の発生を知らせることができる光警報装置の導入も進めていきます。
② 水害対策の検討
近年は想定をはるかに超える大雨の発生頻度が高まっており、想定外の事象がいつでも起こり得ると言っても過言ではありません。このため、2019年度に設置した「水害対策プロジェクトチーム」を中心に、TX全線にわたる施設・設備に対して、水害危険性の総点検を実施し、2020年度に当社線の水害リスク評価を行いました。この評価結果を踏まえ、ゲリラ豪雨等による内水氾濫発生時の対策として、リスクの高い駅に浸水防止器具を配備しました。2021年度は、さらに具体的な水害対策の検討を進めていきます。
従来から取り組んでいる荒川、綾瀬川、江戸川等の氾濫を想定したタイムライン(防災行動計画)について、関係機関との連携・情報共有を継続するとともに、TX版タイムラインの整備を進めていきます。また、河川ごとの浸水が想定される自治体等で構成する「大規模氾濫減災協議会」には、2020年度から鉄道事業者として参画していますが、引き続き、水害リスクライン等の情報共有を図るなど、自治体等と連携して対応していきます。
③ 落雷被害対策の実施
列車運行に重要な機器等を落雷から守るため、駅や変電所といった重要な施設付近には、既に防雷システムを設置し運行障害の発生を防いできました。しかし、防雷システム未設置の駅間への落雷により、電子機器や架線・信号設備が被害を受け、運行障害が発生しました。
被害を受けた区間への今後の落雷を防ぐため、2020年度に柏たなか駅~守谷駅間、2021年度は南流山駅~柏たなか駅間に防雷システムを設置し、落雷被害による運行障害の発生の低減を図っていきます。
④ 帰宅困難者対策
東日本大震災の対応を教訓とした帰宅困難者対策として、広域避難場所、トイレ等の帰宅に必要な情報を掲載したウォーキングマップを各駅で配布しています。今後も、関係自治体や他の鉄道会社との連携も図りながら、災害に備えていきます。
(3) 安全管理体制の継続的改善
鉄道輸送の最大の使命である安全を確保するため、当社ではこれからも会社一丸となって安全管理体制の継続的改善を進めていきます。
① 安全に対する組織的な取組みの推進
鉄道安全委員会や安全統括管理者ヒアリング、安全内部監査等により、定期的な安全管理体制の見直しを 行っていきます。また、運輸安全マネジメント制度の勉強会や安全講話会等を継続し、社員の安全意識の高揚を図っていきます。このほか、潜在リスクの顕在化推進のために「ヒヤリハット情報」を収集・分析し、事故防止対策の検討を行っていきます。
② 教育・訓練の充実
安全で安心な鉄道輸送サービスの継続的な提供には、設備等の充実と併せて、社員の安全意識の高揚や、知識・技能の習得・向上を図ることが重要です。
当社では、ベテラン社員から若手社員への世代交代が進んでいることから、教育・訓練の充実・強化を図り、社員の知識等の向上に努めていきます。階層別研修などの集合教育のほか、OJTを活用した日々の業務知識の習得、技術や技能の伝承と向上を推進します。
また、社員の成長意欲を向上させるため、資格取得支援を継続します。
さらに、通常時の教育訓練と併せて、近年増えている災害や事故、想定外の事象発生時の対応にも万全を期すため、関係機関と連携した「異常時総合訓練」や「水害対策訓練」を継続して実施します。このほか、「代行バス輸送訓練」は、2020年7月の落雷による輸送障害時に発生した新たな課題を踏まえ、駅係員及び本社員を対象として実施し、対応能力の向上を図ります。
また、外部研修では、駅係員を対象に「お客様に寄り添ったサービスの提供」を目的としたサービス向上に係る研修を実施していきます。
乗務員については、長期的に安定して確保・育成していくことが重要です。これまでは他社の養成施設で乗務員養成を行ってきましたが、当社で養成していくために必要な環境整備について検討を進めていきます。
③ 八潮総合事務所の活用
設備や機器の老朽化に伴う保守や更新業務の増加に対応するため、八潮駅近隣の保守施設を集約した八潮総合事務所を2020年度に整備しました。これを総合基地に次ぐ第2の保守拠点として活用していますが、2021年度は保守管理区分などをはじめとする体制の見直しをさらに行い保守業務の効率化を図るとともに、運行障害時等のトラブル対応の迅速化を進めていきます。
④ 鉄道テロ対策
東京2020オリンピック・パラリンピックの開催を控え、駅係員や警備員が巡回・警備し「目に見える警備」を継続するとともに、警察や消防等のテロ対処合同訓練に協力・参加して警備体制の再確認を行っていきます。このほか、警察とのサイバーテロ等の各種会議を活用して連携を強化し、危機管理の徹底を図ります。
(4) バリアフリー対策の推進
開業当初からバリアフリーに配慮した施設整備を行ってきましたが、国土交通省の「鉄道駅におけるプラットホームと車両乗降口の段差・隙間に関する検討会」において新たな指標が整理されるなど、社会環境に変化が生じています。こうした状況を踏まえ、これまで実施してきた対策をさらに強化していきます。
これまでは、乗降口とホームの隙間が135mm未満になるように、くし状の隙間対策ゴムを設置してきました。2021年度からは、さらに進めて車椅子スペースのある乗降口について、隙間が70mm程度となるように、くし状の隙間対策ゴムを設置していきます。
また、ご高齢のお客様やお身体の不自由なお客様に、より一層安心・快適にご利用いただけるよう、「おもてなしの心」を身に付け、「安全な介助技術」を修得したサービス介助士資格を有する駅係員、乗務員の能力を維持・向上し、ソフト面でのバリアフリー対策の推進を図っていきます。
○ 充実したサービスの提供
コロナ禍において、2020年度は、お客様のご利用は大幅な減少となりました。2021年度もお客様のご利用動向は不透明ですが、こうした状況を踏まえた対応や、ポストコロナ社会におけるお客様のご利用形態の変化への対応の検討も進めていきます。また、沿線自治体・まちづくり団体等との連携活動や、地球環境に配慮した活動を進め、「つくばエクスプレス」の魅力を一層高めていきます。
(1) 8両編成化事業の推進
2019年度に実施を決定した8両編成化事業については、2020年度までに、秋葉原駅、新御徒町駅のホーム延伸のための土木・建築・機械・一部電気工事を実施し、引き続き、浅草駅、南千住駅のホーム延伸工事を進めており、2021年度も本工事を進めていきます。
本事業は抜本的な混雑緩和対策として多額の事業費を投じて実施するものですが、コロナ禍を契機として、テレワークや時差通勤など、働き方や生活スタイルに大きな変化が生じ、今後の鉄道利用のあり方を大きく変えることも予想されます。このため、本事業については、ラッシュ時間帯の混雑やご利用動向の長期的な見通し、社会の変化、経営状況等を見極めながら適切に対応していきます。
(2) お客様のご利用動向に応じた鉄道サービス体系の備検討
夜間に行う保守点検作業および夜間の工事時間の確保を目的として、終電時刻を繰り上げるダイヤ改正を2021 年3月に行いました。今後も働き方や生活スタイル等の変化に伴うお客様のご利用動向の変化に対応するため、列車ダイヤの検討を進めるとともに、運賃体系についても検討していきます。
(3) 交流人口の拡大に向けた取組みの推進
地域に根差した社会インフラ企業として、「つくばエクスプレス」がお客様や沿線地域から愛される鉄道であるため、また、沿線のさらなる発展のため、社会環境の変化に対応しつつ交流人口の拡大に取り組んでいきます。
① 魅力ある乗車券の発売やイベントの実施
これまで、「筑波山きっぷ」、「筑波山あるキップ」、「TX東京メトロパス」など、お客様のご利用目的に応じた企画乗車券を発売してきました。また、自治体、地元観光協会、他の鉄道事業者等と連携して、スタンプラリーの開催、キャンペーン列車の運行等、沿線の魅力発信を目的としたイベントやPR活動等を実施してきました。
2021年度は、TXを利用して筑波山・筑波山麓へ足を運んでいただく取組みを積極的に進めていきます。2018年度から実施している「TX×YAMASTA 筑波山スタンプラリー」を、神奈川県伊勢原市の大山(小田急電鉄(株))とのコラボレーション企画として実施するほか、「つくば道スタンプウォーク」を実施するなど、地元観光協会をはじめとする地元の関係者等と協力・連携した取組みを実施していきます。これらは、お客様の自立参加形式による開催を予定しており、コロナ禍でも安心して参加いただけるように、3密の回避などの感染症対策を徹底して実施していきます。
② 沿線情報の発信の強化
沿線イベントや観光名所等の情報について、2020年度は、TXのWEBサイトに、桜並木やさくら公園等を巡る福岡堰のモデルコース、八潮駅・流山おおたかの森駅・柏の葉キャンパス駅の3駅を最寄りとするおすすめスポットの情報を追加しました。2021年度も、TXのWEBサイトで展開している沿線情報や、TXプラザ秋葉原での動画放映をはじめとする多様な情報発信媒体等も活用して、沿線自治体等と連携し、引き続き沿線の見どころや魅力等の沿線情報の発信力を強化していきます。
(4) 東京2020オリンピック・パラリンピックへの対応
東京2020オリンピック・パラリンピックの開催に合わせて、終電延長運転、駅などにおける案内の充実、警備の強化など、開催の形態に応じた対応をしていきます
(5) 環境対策・省エネルギー化の推進
これまで、車両走行時の「惰行制御※1」や、「回生電力※2」の駅の照明用電力等への活用、余剰電力の電力会社への供給など、環境に配慮した取組みを進めてきたところであり、2021年度も引き続き推進していきます。
※1 下り勾配や直線区間の一部で、電力を消費せずに慣性力で走行すること
※2 列車の走行中にブレーキをかけたときなどに発生する電力
① 環境コミュニケーション活動の推進
沿線地域と連携し、当社の環境に関する取組みなどを知っていただく「学ぼう!TX講座」の開催や、流山おおたかの森駅に設置している「エコPRコーナー」などを通じて、引き続き、環境コミュニケーション活動に取り組んでいきます。また、「守谷野鳥のみち」の自然環境保全活動についても、引き続き、守谷市等への協力を継続していきます。
② 社員への環境教育の導入の実施
新入社員の導入時教育(新人教育)や、全社員に対するeラーニングなどを通じて、グリーン調達の原則等の環境教育を実施し、社員の環境に対する意識の向上を図ります。
③ LED化の推進
車両内やホーム上の照明のLED化に引き続き、駅構内コンコースの照明も順次LED化を進めており、これまで16駅で実施しました。2021年度も引き続き未了の南千住駅、三郷中央駅、柏の葉キャンパス駅、守谷駅のLED化を実施していきます。このほか、総合基地や駅の非常用照明、駅事務室などのLED化も進めていきます。
○ 経営基盤の強化
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、これまでに経験したことのないお客様の減少に直面し、大変厳しい経営環境となっています。こうした難局を乗り越え、社会インフラ企業として、地域とともに末永く継続発展していくため、TXのブランド力の向上や事業運営体制の充実など、経営基盤を強化していきます。
(1) TXブランドの向上
開業から15年の歳月の間にお客様や沿線地域の方々と積み重ねたTXやTX沿線のイメージ等のブランド力を礎に、将来に向けて更なるブランド価値向上を図り、沿線地域の発展に貢献していきます。
① TX沿線への定住促進の支援
コロナ禍による家で過ごす時間の増加に伴い、住まいに対する価値観に変化がみられ、都心部近郊の郊外のニーズが高まってきています。TX沿線は、都心までのアクセス、豊かな自然環境、子育てや教育環境等、求められているニーズに非常に適した地域です。このため、沿線自治体等が行う誘致活動に対して、当社の様々なPR 媒体を活用し、沿線地域への定住促進の支援を行っていきます。
② 社有資産の活用
高架下等の当社の社有資産は、駅に近接する場所から駅間など様々なロケーションがありますが、これらは用途により有益に活用できる資産でもあります。これまでも商業施設や子育て支援施設等に活用してきましたが、今後も積極的に活用していきます。
沿線における子育てや教育しやすい環境の創出への協力として、2020年度に八潮駅近傍の高架下に学童保育所、流山おおたかの森駅近傍の高架下に児童センターを整備しました。
2021年度は、流山おおたかの森駅近傍の高架下に学童クラブの整備を進めていきます。
また、流山おおたかの森駅に近接する高架下に、緑をテーマとした店舗併設のスペースを新設し、駅周辺の憩いの場の提供と回遊性向上を図ります。本施設は、当社の環境学習フィールドとして活用することも検討しています。
さらに、駅ナカ・高架下の商業施設については、2020年度に「TXアベニュー守谷」の大規模修繕を実施したところですが、2021年度は「TXグランドアベニューおおたかの森」を、開発が進展した街並みと調和した空間にするため、全面リニューアルに向けた準備を進めていきます。
このほか、開業から15年が経過して沿線の街づくりも進み、当初計画していた商業施設も完成したため、将来に向けた駅ナカ・高架下などの「商業開発マスタープラン」の作成も進めていきます。
(2) 総合基地整備事業の推進
総合基地は、これまで車両増備や車体更新等に対応して、留置線の増設や更新場の整備等を行ってきましたが、今後の車両の運用等に対応するため、総合基地を拡張する「総合基地整備事業」を推進しています。2021年度も用地取得のほか、事業計画の作成と都市計画の変更に係る手続きに向けた準備を引き続き進めていきます。
(3) コストの見直しと財務基盤の充実・強化
コロナ禍における行動変容により、在宅勤務やテレワーク等の働き方の多様化が加速したため、これまでに経験したことのない大変厳しい経営環境になっています。この苦難を乗り越え、将来においても安定した経営を継続していくために、鉄道サービスの根幹である安全確保を前提としたうえで、経費削減や設備投資事業の見直しを行うとともに、財務面においても資金管理や資金調達の充実・強化を図っていきます。
(4) 社員がいきいきと働ける環境づくりの推進
社員の働き方に対する社会環境や意識の変化に柔軟な対応を図り、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる、働きがいのある就労環境づくりをさらに推進していきます。
2021年度は、活力のある職場づくりや風通しの良い職場づくり、社内の知見の共有を図るため、社員と経営幹部が意見交換や交流を行う場である「チームTXミーティング」などを引き続き推進します。また、社長表彰制度をはじめとする各種社内表彰制度を活用し、社員の意識向上を図っていきます。
このほか、社員の福利厚生や資格支援制度のさらなる利用促進を図るとともに、「女性が活躍できる雇用環境の整備等に関する行動計画」に基づき、引き続き女性社員向け諸設備の充実と出産や子育てしやすい環境を整えるほか、ライフステージと働き方に関する研修を通じて、男女を問わず働きやすい職場づくりを推進していきます。また、男性の育児への参画意識が高まっていることから、育児休職(育児休業)制度の活用促進により、社員のワークライフバランスを応援していきます。
注:上記の施策は、新型コロナウイルス感染症の状況により、変更等が生じる可能性があります。