有価証券報告書-第68期(平成25年7月1日-平成26年6月30日)

【提出】
2014/09/26 13:20
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【項目】
128項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループの財政状態及び経営成績の分析を以下のとおり記載しております。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成26年9月26日)現在において当社が判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としています。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理
的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。
a.貸倒引当金
当社グループは債権等の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。将来、顧客の財務状況が悪化し、支払能力が低下した場合、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。
b.固定資産の減損
当社グループが有する固定資産のうち「固定資産の減損に係る会計基準」において対象とされるものについては、損益報告や経営計画などの企業内部の情報、経営環境や資産の市場価格などの企業外部の要因に関する情報に基づき、資産又は資産グループ別に減損の兆候の有無を確認し、兆候があるものについてはその帳簿価額の回収が懸念されているかなど、減損損失の認識の判定を行っています。
この判定により減損損失を認識すべきと判断した場合には、その帳簿価額を回収可能価額まで減損処理を行っています。事業計画や経営・市場環境の変化により、割引前将来キャッシュ・フローの金額あるいは、回収可能価額に変動があった場合には、減損損失の金額の増加または新たな減損損失の認識の可能性があります。
c.有価証券の減損
当社グループは、市場価格等のある有価証券については、期末日における時価が取得価額に比べ50%以上下落した場合には全て減損処理を行い、30~50%程度下落した場合、金額の重要性、時価の回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行うこととしております。また、市場価格等のない有価証券については、期末日における実質価額が取得価額に比べ50%以上下落した場合に、原則として減損処理を行い、下落率が50%未満の場合、著しく下落したときには該当しないものとし、減損処理は行わないこととしております。将来、株式市況の悪化、または投資先の業績不振等により評価損の金額の増加または新たな評価損の認識が必要になる可能性があります。
d.退職給付に係る負債
当社グループの従業員の退職給付債務及び退職給付費用は、主として連結会計年度末における退職給付債務および年金資産の見込みに基づいて、退職給付に係る負債を計上しております。これらの前提条件には、退職給付債務については、割引率、将来の給与水準、退職率、死亡率などの見積りが含まれ、また、年金資産については、過去の実績等を基礎として見積った長期期待運用収益率等が含まれております。これらの計算の基礎と実績値が異なる場合、または計算の基礎が変更された場合には、将来の退職給付費用及び退職給付債務等が変動する可能性があります。なお、「退職給付に関する会計基準」(企業会計基準第26号 平成24年5月17日。以下、「退職給付会計基準」という。)及び「退職給付に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第25号 平成24年5月17日。以下、「退職給付適用指針」という。)を当連結会計年度末より適用し(ただし、退職給付会計基準第35項本文及び退職給付適用指針第67項本文に掲げられた定めを除く。)、退職給付債務から年金資産の額を控除した額を退職給付に係る負債として計上する方法に変更し、未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用を退職給付に係る負債に計上しております。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府による規制・制度改革などの成長戦略、日銀による量的・質的金融緩和政策を背景に企業収益・雇用情勢に改善が見られたほか、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要が経済全体を押し上げ、その反動はあるものの回復基調で推移いたしました。
自動車業界においては、特に消費税率引き上げ前の駆け込み需要により、国内メーカーの国内新車販売台数は5,669,674台(前年同期比110.4%)(日本自動車工業会統計データ)と好転し、リーマンショック以前の水準まで回復いたしました。
中古車販売市場は、国内では低価格帯選好の動きから乗用車については前年比97.8%とやや低調であったもの、軽自動車については前年同期比で107.5%(全国軽自動車協会連合会統計より算出)と伸長し、海外への輸出についても前年同期比で120.4%(日本自動車販売協会連合会統計)と増加し、好調な結果となりました。
このような環境下、当社グループにおける自動車関連事業においては、市場の変化に対応した営業政策・活動の結果、既存顧客メーカーの新車・輸入車輸送台数、および中古車輸送台数も合わせて増加し、前年同期比で売上が増加いたしました。
また、収益向上活動として、中継輸送回数の削減による輸送品質の向上、納期の短縮、輸送コストの削減などの改善を継続実施すると共に、配車支援システムの全国展開などに取り組みました。
以上の結果、当期における当社グループの業績は、売上高676億30百万円(前年同期比112.6%)、営業利益28億53百万円(前年同期比178.3%)の増収増益の結果となりました。また、経常利益は29億37百万円(前年同期比176.9%)、当期純利益は15億10百万円(前年同期比210.8%)となりました。
(3)当連結会計年度末の財政状況の分析
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ12億57百万円(9.6%)増加し、143億53百万円となりました。
これは主に、現金及び預金が3億63百万円、受取手形及び売掛金が6億24百万円増加したことによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ2億45百万円(1.4%)減少し、177億54百万円となりました。
これは主に、有形固定資産のリース資産が1億82百万円、投資有価証券が2億25百万円増加したものの、建物及び構築物が2億18百万円、のれんが3億28百万円減少したことによります。
これらの結果総資産は、前連結会計年度末に比べ10億11百万円(3.3%)増加し、321億7百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ3億21百万円(3.3%)増加し、100億67百万円となりました。
これは主に、未払法人税等が2億17百万円、未払消費税等が1億68百万円増加したことによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ9億3百万円(11.3%)減少し、71億13百万円となりました。
これは主に、退職給付に係る負債が前連結会計年度の退職給付引当金に対して8億47百万円減少したことによります。
これらの結果負債は、前連結会計年度末に比べ5億81百万円(3.3%)減少し、171億81百万円となりました。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ15億93百万円(12.0%)増加し、149億26百万円となりました。
これは主に、利益剰余金が当期純利益の計上などにより12億98百万円増加したことによります。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因
当社を含め業界全体に共通する要因としましては、自動車全体の需要が縮小してゆくなか業界内の市場競争が激化に伴い価格競争となっている一方、燃料費高騰などのコストアップ要因を反映させた輸送料金へ改正する動きも出始めております。輸送料金の市場動向は売上高、利益共に影響を与える要因となります。また、原油価格の動向や環境問題を考慮した規制強化が今後どのように進むかにより、業界各社のコストが左右され、結果として利益に影響を与えます。
また、当社の車両輸送事業における主要荷主、特に売上依存度の高い日産自動車の国内販売動向は輸送ボリュームの増減につながり、経営成績に影響を与えます。
(5)経営戦略と今後の方針・見通しについて
当社は2001年、MBOによって日産自動車から独立して以来、社内の制度改革やルールの見直しを行い品質を高めつつ合理化を進め収益基盤を固めると共に事業の拡大を進め、持続的な成長・発展に努めてまいりました。しかしながら国内における自動車需要は縮小傾向にあり、車両輸送事業は中長期的にも厳しい環境にあります。
そこで当社といたしましては、既存ビジネスの拡充と新規事業の開発という2つの戦略を軸に経営を進め中長期的目標であるグループ売上高1,000億円の達成と同時に収益性を確保し営業利益率5%を目指します。
新規事業の開発においては、当社はタンチョンインターナショナルリミテッドと相互に協力しASEAN諸国での事業展開を進めておりますが、その関係をより緊密なものにするために資本業務提携契約を平成26年5月15日に締結しました。また、当社普通株式の公開買付により、平成26年6月19日付けにて、親会社タンチョンインターナショナルリミテッドグループの一角を形成することとなりました。今後、「自動車バリューチェーンの構築」「ヒューマンリソース事業での提携」「トラック架装事業での提携」の3つのプロジェクトをタンチョンインターナショナルリミテッドグループと共に検討を推進し、ASEAN事業を当社の大きな柱に育てるよう取り組みを加速致します。また、企業アライアンスやM&Aを引き続き推進し、物流ネットワークの総合サービスプロバイダーとして確固たる地位を持つ企業を目指します。
一方、既存のコアビジネスである自動車関連事業においては、全国の新車販売会社の地域内輸送及び輸送に付帯する周辺業務を一括して受託すると同時に、中古車輸送では納期の短縮と共に、顧客ニーズに合わせた付帯サービスを分かりやすくパッケージ化し、顧客の積極的な獲得を図ります。
これらの戦略により、リスク対応力の高い強固な収益基盤と安定的な事業拡大を持続できる体制を構築し、物流業界における地位を確立することで企業価値を高めてまいりたいと考えております。
(6)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ3億63百万円増加し、51億48百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、22億84百万円(前連結会計年度比2.1%増)となりました。
収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益29億26百万円、減価償却費7億36百万円、のれん償却額3億29百万円、その他流動負債の増加額2億91百万円であり、支出の主な内訳は、法人税等の支払額9億42百万円、売上債権の増加額5億18百万円、たな卸資産の増加額1億8百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、4億80百万円(前連結会計年度比19.2%減)となりました。
収入の主な内訳は、貸付金の回収による収入1億96百万円、有形固定資産の売却による収入3億10百万円であり、支出の主な内訳は、無形固定資産の取得による支出2億59百万円、有形固定資産の取得による支出2億6百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1億75百万円、貸付けによる支出1億45百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、14億40百万円(前連結会計年度比6.5%減)となりました。
支出の主な内訳は、長期、短期借入金の純増減による支出9億32百万円、リース債務の返済による支出2億95百万円、配当金の支払額2億12百万円であります。