有価証券報告書-第26期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/29 16:00
【資料】
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【項目】
91項目

対処すべき課題

わが国の経済動向については、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期し、経済活動が正常化に向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち直していくことが期待される一方、ウクライナ情勢等による不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、供給面での制約等による下振れリスクに加え、感染症拡大による影響についても引き続き注視する必要があります。
このような中で国内航空業界は、まん延防止等重点措置の解除以降、旅客需要は徐々に回復の兆しを見せてはいるものの、感染力の強い新たな変異株の発現と流行の可能性に鑑みると、未だ感染症再拡大が強く懸念される局面が続いております。これに加えて、原油価格の高騰や日米の金利差拡大を背景とした急激な円安の進行など、航空業界を取り巻く環境は依然として先行きの不透明な厳しい状況が続いております。
当社においても、感染症拡大による航空需要の減少が事業・経営基盤に与える影響は今もって甚大であり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
このような状況において当社は、需要に応じた減便・運航機材の小型化による直接運航経費の抑制、営業関連費用や設備投資の見直し等、コスト削減に努めております。また、2022年10月に設立予定である株式会社ソラシドエア(以下、ソラシドエア)との共同持株会社を通じ、新たな価値を共創することによる収益拡大と、可能な限りの業務共通化や知見共有等によるコスト構造改革及び生産性の向上を図ってまいります。加えて、関係先金融機関との連携を強化し機動的な運転資金の確保等、事業継続へ向けた各種施策を滞りなく実行してまいります。
以上の対応策により、継続企業の前提に関する重要な不確実性はないと認識しております。全社一丸となって事業の早期回復を図り、公共交通機関としての役割を果たしてまいります。
当社は、このような厳しい環境に適切に対応すべく、経営基盤の更なる強化に向けて、5ヵ年(2022年度~2026年度)の「中期経営計画」を策定しました。本計画では「財務基盤の強化と成長軌道への回帰」を基本方針とした上で、将来の成長戦略を支える基盤形成と成長を確かなものにする施策を講じることで、再び成長できる体制を早期に構築する内容となっており、本年度より各施策の取り組みを開始しております。また、2022年5月30日にソラシドエアと「共同持株会社設立に係る契約書」を締結し、株式移転計画を作成しており、2022年10月の設立に向けて鋭意準備を進めております。
現下の新型コロナウイルス感染症の影響をはじめとした国内外の情勢は日々刻々と変化しており、今後の見通しも予断を許しませんが、当社は、如何なる状況下においても安全運航の確保を最優先としたうえで、中期経営計画の着実な遂行を通じて、持続的な成長と企業価値の更なる向上を目指してまいります。
<2022年度経営方針>・増収施策やコスト構造の変革など全社的な取り組みで黒字化を成し遂げる。
・株式会社ソラシドエアとの共同持株会社設立、並びに協業による最大効果の創出に向けた更なる検証と協業施策の確実な実行により、財務基盤の回復を図る。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。