有価証券報告書-第81期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/28 13:56
【資料】
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【項目】
150項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)当社の経営に対する考え方
当社グループは、放送の公共的使命と社会的責任を常に認識し、メディア・コンテンツおよび都市開発・観光を中心に幅広い事業活動を通じて、国民の皆様の豊かな生活に貢献することを経営の基本方針としております。コンテンツの制作やエンタテインメントの提供者として、信頼される報道機関として、また都市開発・観光の担い手として、将来にわたり社会から求められる企業グループであるために、環境の変化に的確に対応し永続的な事業運営に努めてまいります。
(2)経営環境に対する認識
当社グループを取り巻く経営環境は、技術の進歩や生活様式の変化と共に大きく変動しておりますが、当社グループでは、変化に柔軟に対応しながら常に事業内容を見直し、グループ各社で構造的な改革を進めて、企業活動の永続と安定した成長を目指してまいります。
メディアへの接触のあり方は生活様式の変化とともに変わりつつあり、広告主によるマーケティングや広告の手法も広がりを見せています。今後は動画配信の拡大やインターネット広告の伸長が放送メディアに影響を及ぼすことが予想されますが、こうしたメディア環境の変化はコンテンツの表現方法や伝達手段の多様化につながり、当社グループの強みを生かした成長の機会にもなると捉えています。
一方、都市開発・観光事業においては、大型台風や集中豪雨等の自然災害、あるいは新型コロナウイルスなど感染症による個人や企業の活動の制限が、今後も業績に大きく影響する事態が想定されます。当社としては、財務の健全性を確保しながら、新たな生活様式における企業活動や生活者の動向を踏まえた開発投資を進めてまいります。また観光事業は新型コロナの影響により営業損失を計上していますが、長期的な視点でコロナ収束後の成長に向けて投資を継続していく方針です。
(3)当社の課題および各事業における取り組み
当社グループは、メディア・コンテンツ事業と都市開発・観光事業の2つのセグメントを柱に、新たな事業分野を開発・育成しながら、バランスのとれた事業ポートフォリオのもとで持続的な成長を目指します。
①メディア・コンテンツ事業
従来の主力事業の市場環境が変容していく中で当該事業での競争力を高めるとともに、配信・デジタルを中心とする成長領域を拡大して事業構造を変革し、将来に向けて収益力を高めていくことを目指しています。
例えば、㈱ポニーキャニオンでは、音楽や映像作品のパッケージ販売に代わり、配信や配分収入あるいはライブエンタテインメント関連などノンパッケージによる売上比率が全体の6割を超えるなど収益構造の改革が進んでいます。㈱フジテレビジョンでは、番組コンテンツの制作に経営資源を集中的・効果的に投入することで商品としての価値を高め、地上波テレビ広告市場におけるシェアを高めることを目指します。同時に、拡大が見込まれる映像配信市場において、当期に大きな増収を実現した配信広告収入の一層の成長を図ります。さらに、自社のIP(知的財産権)を核として番組・コンテンツから多様な収益を獲得していくことによって、事業環境の変化に対応しながら収益構造を変革し、売上規模の拡大を図ることで持続的な成長を目指してまいります。本年4月には、プライムタイムの番組を中心にTVerによるリアルタイム配信を開始しました。様々な方法で番組コンテンツに触れていただく機会を増やしていくことにより、自社メディアおよび番組・コンテンツの価値をさらに高めていきたいと考えております。
②都市開発・観光事業
一定の財務規律を維持しながら将来の収益拡大を目指した投資を継続してまいります。都市開発分野は、オフィス需要や住宅市場の動向等を注視しながら、中長期的な予想をもとに保有資産のポートフォリオをコントロールしてまいります。観光分野は、コロナ禍の影響を受け当期も営業損失を計上しましたが、我が国の豊かな観光資源への潜在的なインバウンド需要は大きく、中長期的に高い成長を期待できる分野と考えております。2024年の開業を目指す須磨海浜水族園の再整備事業などエンタテインメントの魅力を高める取り組みも継続して進めてまいります。将来の成長に向け、引き続きリスクをコントロールしながら開発投資を検討してまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社ではグループ全体の利益水準の中長期的な向上を目指しており、当連結会計年度の連結営業利益は増益となる33,338百万円となりました。さらにグループの収益構造の見直しを進めるとともに、成長分野の拡大を促していくことにより、2023年3月期の連結営業利益は35,000百万円(うちメディア・コンテンツ事業24,500百万円、都市開発・観光事業11,600百万円)と増益を目指す計画としております。
また、事業の効率性を示す売上高営業利益率を意識するとともに、企業価値の継続的な向上を図る観点から、株主資本の効率の向上にも努めてまいります。
(5)サステナビリティへの取り組み
当社グループは、公共性の高いメディアグループとして、サステナビリティへの取り組みを積極的に進めております。本年6月にはグループ横断の「サステナビリティ委員会」を設置するとともに、持続可能な社会の実現に向けた取り組みをグループ全体で推進していく上での指針となる「サステナビリティ宣言」を策定しました。視聴者の皆様やお客様、取引先、そして株主の皆様などすべてのステークホルダーとの信頼関係を堅持し、従業員が安心して活躍できる環境を整えるとともに、メディアグループとして積極的な情報発信を継続してまいります。