有価証券報告書-第26期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)
有報資料
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する以下の考察は、本有価証券報告書に記載されたその他の情報とあわせてお読みください。
本考察にはリスク、不確実性、仮定を伴う将来に関する記述を含んでいます。将来の記述は本有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、実際の結果は、将来に関する記述の内容とは大幅に異なる可能性があります。その主な要因については「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載されていますが、それらに限定されるものではありません。
本考察においては、以下の項目を分析しています。
(1) 営業成績
①市場の動向
②当連結会計年度の業績
③セグメント情報
④営業活動の動向及び翌連結会計年度の見通し
(2) 流動性及び資金の源泉
①資金需要
②資金の源泉
(3) 会計方針に関する事項
①最重要な会計方針及び見積り
②最近公表された会計基準
(1) 営業成績
当社グループは、国内最大の移動通信事業者であり、当連結会計年度末において、国内の携帯電話契約数の46.0%に相当する総計7,488万の契約を有しています。当社グループは主として携帯電話サービス及び携帯電話サービスのための端末機器販売を収益及びキャッシュ・フローの源泉にしています。収益の大部分を占める携帯電話サービスにおいては、音声通話サービス、パケット通信によるデータ通信サービスを提供しています。携帯電話サービス、端末機器の販売に加えて、光ブロードバンドサービス、衛星電話サービス、国際サービスなどの通信事業を行っています。また、スマートライフの実現に向け、動画配信サービス・音楽配信サービス及び電子書籍サービス等のdマーケットを通じたサービス、金融・決済サービス、ショッピングサービス、生活関連サービスなどのスマートライフ事業を行っています。その他、ケータイ補償サービス、システムの開発・販売及び保守受託などの事業を行っています。
①市場の動向
以下では、市場、技術・サービス、規制の観点から情報通信市場の動向を分析します。
市場
社団法人電気通信事業者協会の発表によれば、国内の移動通信市場は引き続き拡大し、当連結会計年度における携帯電話の契約純増数は625万契約となり、当連結会計年度末の総契約数は1億6,273万契約、人口普及率は約128%となりました。人口普及率の高まりと将来の人口の減少傾向に伴い、音声利用を伴う新規契約数の今後の伸びは限定的であると予想されるなか、近年では、タブレット端末やモバイルWi-Fiルーターなどの2台目需要の喚起及び機器組み込み型の通信モジュールなどの新たな市場の開拓や、法人契約の拡大などによる契約者の増加が新規契約数の増加に寄与しており、携帯電話契約数の増加率は、前連結会計年度は2.5%、当連結会計年度は4.0%となりました。
当連結会計年度末において、国内における携帯電話サービスは、当社グループを含むMNOの3グループ及びMNOより通信設備を借り受けているMVNOにより提供されています。これら移動通信事業者は、それぞれの携帯電話サービスを提供するほか、それぞれが提供する携帯電話サービスに対応した携帯電話・通信端末を端末メーカーから購入し、主に販売代理店に販売しています。販売代理店はそれらの端末をお客さまに販売しています。携帯電話サービスにおいては、各MNOグループとも第3世代移動通信システムを発展させた通信規格LTEを導入しており、第3世代からの移行も含めLTEの利用者は急速に拡大しています。当社グループのLTE(Xi)サービス契約数は、当連結会計年度末においては4,454万契約と前連結会計年度末の3,868万契約から大きく増加しました。当社グループでは、LTE(Xi)サービスの契約数の拡大傾向は今後も継続するものと予想しています。
国内移動通信市場では、スマートフォン利用の拡大、お客さまの多様なニーズに対応した様々なパケット料金プランの提供や高速データ通信サービスの普及などを背景としてデータ通信利用が増大しているほか、スマートフォン向けコンテンツ・アプリケーションなど新たな市場が拡大しています。その一方で、総務省の競争促進政策による接続料の低廉化等に伴い、MVNOが躍進していることに加え、他MNOによるサブブランドの展開により競争が激化しています。さらに、スマートフォンやタブレット端末等のオープンプラットフォーム端末の普及拡大に伴い、OTT事業者等による競争力のあるサービスなども提供されるなど、今後も厳しい競争環境は継続していくと想定しています。
国内固定通信市場では、2015年2月より東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社が提供する光アクセスのサービス卸を開始したことから、通信事業者のみならず、多様なプレーヤーによる光ファイバーを活用したサービスの提供が可能になり、これまでの固定通信市場の枠を超えた更なる競争の激化が進みました。当社グループにおいては、2015年3月より光ブロードバンドサービス「ドコモ光」及び「ドコモ光パック」を提供開始し、移動通信と固定通信とを組み合わせた新たな付加価値を提供しており、「ドコモ光」の契約数は当連結会計年度末には340万契約となりました。
また、AI、IoT及びドローン等の技術の発展や、共通ポイントサービス等による各社のお客さま接点の拡大に伴い、異業種からの新たなプレーヤーとの競争・協業等が活発化し、従来の通信市場の枠を超えた新たな市場での競争が加速するものと予想しています。
こうした市場環境の変化の中、当社グループは当連結会計年度を利益回復から「さらにその先へ向かう躍動の年」と位置付け、事業運営にあたっては、お客さまへの更なる価値提供に向け、世の中の様々なパートナーの皆さまとのコラボレーションを進化させて新たな付加価値を協創する「+d」を軸に、「通信事業の強化」「スマートライフ領域の発展」を両輪とした取組みを進めてきました。
技術・サービス
スマートフォンやタブレット端末、PC向けデータ端末の普及拡大やコンテンツのリッチ化に伴い、移動通信ネットワークのトラフィックは、年々増加しています。当社グループは、ネットワーク基盤の強化に取り組んでおり、通信設備の増強を図るとともに、より周波数利用効率のよいLTE-Advanced※1を中心としたネットワーク容量の拡大等の対策を講じることで、安定した通信品質を提供しています。当社グループは、LTE-Advancedを用いたサービス「PREMIUM 4G」のエリアを当連結会計年度末で全国1,421都市に拡大するとともに、2017年3月には2つの新技術「256QAM※2」と「4×4MIMO※3」により受信時最大682Mbpsの国内最速の通信サービスを国内一部エリアで開始しました。今後も、MIMOの高度化等により快適な通信サービスの提供に取り組んでいきます。また、2020年を目標とする第5世代移動通信方式(5G)のサービス提供に向けて、5Gの特長である高速・大容量通信や低遅延、超多数の端末接続を活用した新たなサービス・コンテンツを鉄道業界、自動車業界、放送業界等におけるパートナーの皆さまと幅広く連携して開発していきます。さらに、お客さまに体験いただける環境「5Gトライアルサイト」を2017年5月より提供開始しました。
国内移動通信市場における料金競争が激化する中、当社グループは、高度で多様なサービスの提供及び当社グループの契約者の利便性向上を目的として、2014年6月より国内音声通話定額サービス、パケット(データ)通信量を家族で分けあえるサービス、ご利用年毎に応じた割引サービス、25歳以下のお客さまを応援する割引サービスの4つを柱とした料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」の提供を開始しました。2016年6月より、長くご利用のお客さまがよりおトクになるよう、2年定期契約満了後の解約金のあり・なしをお客さまにお選びいただける2つのコース「フリーコース」と「ずっとドコモ割コース」の新設、「ずっとドコモ割」の更なる拡充、「更新ありがとうポイント」の提供を開始しました。2016年9月より、データ通信のご利用が多いお客さま向けに、「ウルトラパック」の提供を開始しました。2016年10月より、LTE対応のドコモ ケータイをご利用のお客さま向けに、5分以内の国内音声通話であれば定額でご利用いただける「カケホーダイライトプラン(ケータイ)」及び2段階パケット定額プラン「ケータイパック」の提供を開始しました。また、2016年11月より、キッズケータイをご利用のお客さま向けに「キッズケータイプラス」の提供を開始しました。さらに、2017年1月より、データ通信のご利用が少ないお客さま向けに、「カケホーダイライトプラン(スマホ/タブ)」に「データSパック」の適用を開始し、2017年5月より、家族通話を中心にご利用のお客さま向けの基本プランとして「シンプルプラン」及び新たなシェアパックとして「ウルトラシェアパック30」を追加しました。1つの端末を長くお使いになるお客さま向けの料金プランとして、2017年6月より、対象端末をご購入いただくことで毎月1,500円を月々のご利用料金から割り引く「docomo with」の提供を開始しました。
「ドコモ光」の更なる普及拡大のため、2016年4月には固定電話サービスである「ドコモ光電話」とテレビ視聴サービスである「ドコモ光テレビオプション」、2016年12月には提携するケーブルテレビ事業者の卸FTTHサービス※4とインターネット接続サービスをセットでご利用いただける「ドコモ光 タイプC」の提供を開始しました。また、2017年2月にはインターネット接続設定やWi-Fi設定などの遠隔サポートが受けられる機能を搭載したWi-Fiホームルーター「ドコモ光ルーター 01」を発売しました。同時にインターネットの様々な脅威から守るセキュリティサービス「光ルーターセキュリティ」の提供も開始しました。これにより、お客さまが「ドコモ光」を簡単、便利に安心してご利用いただけるようサービスを拡充しました。
当社グループは、上記の通信事業の競争力強化に留まらず、スマートライフ領域の成長に向けた取組みを加速しています。具体的にはdマーケットにおけるサービスの拡充及びサービスのコンテンツ充実等に取り組みました。2016年4月には健康に関するサービスを提供する「dヘルスケアパック」、2016年7月には暮らしに役立つメニューを提供する「dリビング」を開始しました。その結果、dマーケット契約数は、当連結会計年度末において1,608万契約となりました。さらに、2017年夏にはレジャー、スポーツ、グルメ等の5万件以上あるサービスの優待が受けられる「dエンジョイパス」、2017年秋には「求人情報」やスマートフォン等を利用して短時間でできる「スマホワーク」の仕事情報を提供する「dジョブ」を開始いたします。「dジョブ」は、アルバイト、派遣社員、正社員の「求人情報」からクラウドソーシング及びWEBアンケート等の「スマホワーク」まで、幅広い仕事情報をスマートフォン、タブレット及びPCから検索、応募できる仕事探しの新たなプラットフォームです。「dカード」普及に向けた取組みとして、2016年10月よりクレジットカードサービス「dカード」及び非接触決済サービス「iD」において、Apple Inc.が提供するApple Payへの対応を開始しました。スマートライフ実現に向けた新たな取組みとして、2017年2月よりPerform Groupと協力して、国内外の人気スポーツがライブやオンデマンドで見放題となるサービス「DAZN(ダ・ゾーン) for docomo」の提供を開始しました。「+d」の取組みとして、2017年3月より日本マクドナルド株式会社が展開するマクドナルド全店舗で「dポイント」をご利用可能とする等、「dポイント」の利便性向上を目的とした取扱い店舗の拡大に努めました。その結果、「+d」の提携パートナー数は、前連結会計年度末の106社から当連結会計年度末の236社まで拡大しました。
※1 3GPPで標準化が進められている、LTEと技術的な互換性を保ちつつさらに高度化した移動通信方式。
※2 Quadrature amplitude modulationの略。無線塔で用いられるデジタル変調方式の一つ。変換された後の波の振幅と位相の両方を使って情報を表現するため、限られた帯域幅で効率よくデータを転送することが可能。
※3 Multiple Input Multiple Outputの略。データの送信側(基地局)と受信側(端末)でそれぞれ4本のアンテナを搭載し、複数のデータを同時に送受信することでスループット値の向上を図る技術。
※4 Fiber To The Homeの略。東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社、ケーブルテレビ事業者等の光回線を卸サービスとして提供を受け、自社サービスと光回線等を組み合わせてサービスを提供するモデル。
規制
当社グループを含む国内のMNOは、無線周波数を政府機関より割り当てられており、電気通信事業法や電波法等による規制を受けていますが、近年、国内の移動通信業界は、多くの分野で規制改革が進んでおり、2016年5月より改正電気通信事業法が施行されました。本改正法においては、移動通信事業者のうち、当社のみ課せられていた禁止行為規制が大幅に緩和され、当社は他移動通信事業者同様、様々なパートナーとの自由な協業が認められることとなりました。他方、本改正法においては、消費者保護を目的とした各種ルールが改正・新規導入されることとなりました。消費者保護政策は当社のみならず電気通信事業者全体に対する規定であり、各社とも本規定に基づく消費者対応が求められることとなります。今後、規制環境の変化がさらに進んだ場合、当社グループを含む移動通信業界の収益構造やビジネスモデルが大きく変化する可能性があります。
以上のように、市場環境、規制、ビジネスモデルの変化の点などから、当社を取り巻く環境は厳しい状況ではありますが、引き続き競争力強化及び利益拡大に向けて取り組んでいます。
②当連結会計年度の業績
以下では、当連結会計年度の業績についての分析をしています。次の表は、当連結会計年度と前連結会計年度の連結損益計算書から抽出したデータ及びその内訳を表しています。
(単位:百万円)
(1) 回線交換によるデータ通信を含んでいます。
(2) 営業権及び非償却対象の無形固定資産に係る減損損失は、従来、連結損益計算書において「販売費及び一般管理費」に含めていましたが、当連結会計年度より「減損損失」に計上しています。これに伴い、上記表中においても、前連結会計年度の「減損損失」を当連結会計年度の表示方法に合わせる組替を行っています。
当連結会計年度における業績の分析と前連結会計年度との比較
当連結会計年度の営業収益は、前連結会計年度の4兆5,271億円から575億円(1.3%)増加して4兆5,846億円になりました。通信サービス収入は、2兆9,851億円と前連結会計年度の2兆8,155億円に比べて1,696億円(6.0%)増加しました。通信サービス収入のうち、モバイル通信サービス収入は、2兆8,440億円と前連結会計年度の2兆7,676億円に比べて764億円(2.8%)増加しました。モバイル通信サービス収入のうち音声収入は、前連結会計年度の8,494億円から8,752億円へと258億円(3.0%)増加しました。これは、料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」への移行拡大に伴う国内音声通話定額サービスへの加入増による増収影響が「月々サポート」による割引の拡大に伴う減収影響を上回ったことによるものです。なお、「月々サポート」とは一定の契約条件を満たしたスマートフォンやタブレット端末等をご利用のお客さまを対象にご購入の機種に応じた一定額を毎月のご利用料金から、最大24ヶ月割り引くサービスです。パケット通信収入は、前連結会計年度の1兆9,182億円から1兆9,688億円へと506億円(2.6%)増加しました。この増加は、スマートフォン利用の増加に加え、タブレット端末の販売促進による2台目需要の増加及び「カケホーダイ&パケあえる」の上位プランへの移行が進んだことに伴う増収影響によるものです。当連結会計年度のLTE(Xi)サービス契約数は4,454万契約となり、スマートフォン及びタブレットの販売数は1,503万台となりました。光通信サービス及びその他の通信サービス収入は1,411億円と、前連結会計年度の479億円に比べて932億円(194.5%)増加しました。この増加は、2015年3月に提供を開始した「ドコモ光」において、当連結会計年度に契約数が大幅に増加したことによるものです。上記により、当連結会計年度の音声ARPUは、前連結会計年度の1,210円から40円(3.3%)増加し1,250円となりました。また、当連結会計年度のパケットARPUは、前連結会計年度の2,910円から80円(2.7%)増加し2,990円となりました。当連結会計年度のドコモ光ARPUは、「ドコモ光」の契約数の大幅な増加に伴う光通信サービス及びその他の通信サービス収入の増加により、前連結会計年度の50円から140円(280.0%)増加し190円となりました。
端末機器販売収入は、前連結会計年度の8,605億円から1,413億円(16.4%)減少して7,192億円になりました。これは、販売単価の低いスマートフォン及びタブレット端末の割合が増加したことに加え、販売代理店への卸売販売数が減少したことによるものです。
その他の営業収入は、前連結会計年度の8,511億円から8,803億円へと292億円(3.4%)増加しました。その他の営業収入には、主に、ショッピングサービスによる収入、生活関連サービスによる収入、ケータイ補償サービス等による収入、dマーケットから得られる収入、クレジットサービス収入などが含まれています。主な増加要因は、ケータイ補償サービスの契約数の増加により収入が増加したことに加え、「dカード」等のクレジットサービスの取扱高が拡大したこと及びdマーケットの月額課金ユーザの契約数増加によりdマーケットを通じて得られる関連収入が増加したことなどによるものです。
営業費用は、前連結会計年度の3兆7,441億円から3兆6,398億円へと1,042億円(2.8%)減少しました。
お客さまに通信サービスや子会社におけるサービスを提供するために直接的に発生する費用であるサービス原価は、「ドコモ光」、dマーケット及びケータイ補償サービス等の新たな成長分野での収益増加に連動したサービス原価の増加により、前連結会計年度の1兆2,486億円から1兆3,355億円へと869億円(7.0%)増加しました。
新規のお客さま及び既存のお客さまへの販売を目的として、当社グループが販売代理店等に卸売するために仕入れた端末機器の購入原価である端末機器原価は、仕入単価の低いスマートフォン及びタブレット端末の割合が増加したことに加え、販売代理店への卸売販売数が減少した影響により、前連結会計年度の8,815億円から7,921億円へ893億円(10.1%)減少しました。
減価償却費は、前連結会計年度の6,259億円から1,736億円(27.7%)減少して4,523億円になりました。これは、有形固定資産の減価償却方法として、従来、建物は定額法を、それ以外の資産は定率法を採用していましたが、2016年4月1日より全て定額法に変更したことによるものです。
減損損失は、前連結会計年度の177億円から122億円と55億円(31.0%)減少しました。前連結会計年度においては、主に前連結会計年度に取得した携帯端末向けマルチメディア放送に係る事業資産の減損であり、当連結会計年度における減損損失は、主に子会社に係る報告単位の営業権の減損です。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度の9,704億円から1兆477億円と772億円(8.0%)増加しました。販売費及び一般管理費は、販売代理店へ支払う手数料や「dポイント」関連費用等の新規契約の獲得及び既存契約の維持に関する費用が主な構成要素です。「dポイント」に関する費用の増加及び「ドコモ光」の新規契約獲得増加に伴う販売代理店に支払う手数料の増加などにより、販売費及び一般管理費は増加しました。
上記のとおり、サービス原価ならびに販売費及び一般管理費が増加したものの、端末機器原価、減価償却費及び減損損失が減少したことにより、営業費用は前連結会計年度と比べ減少しました。
この結果、当連結会計年度の営業利益は9,447億円となり前連結会計年度の7,830億円から1,617億円(20.7%)増加しました。営業利益率は、前連結会計年度の17.3%から20.6%に上昇しました。
営業外損益には支払利息、受取利息、受取配当金、為替差損益、市場性のある有価証券及びその他の投資の評価損ならびに実現損益などが含まれています。当連結会計年度の営業外損益は48億円となり、前連結会計年度の50億円の損失から利益に転じました。主な要因は、前連結会計年度において連結子会社売却損が131億円発生したものの、当連結会計年度においては発生しなかったことによるものです。
以上の結果、法人税等及び持分法による投資損益前利益は9,496億円となり、前連結会計年度の7,780億円から1,715億円(22.0%)増加しました。
法人税等は、前連結会計年度の2,117億円から760億円(35.9%)増加して2,877億円となりました。これは、主に法人税等及び持分法による投資損益前利益の増加によるものです。当連結会計年度及び前連結会計年度の税負担率はそれぞれ30.3%、27.2%でした。
持分法による投資損益は、前連結会計年度の51億円の損失から62億円(122.8%)損失が拡大し、113億円の損失となりました。当連結会計年度において持分法による投資損失が拡大した主な要因は、香港のHutchison Telephone Company Limitedを減損したことによるものです。
以上の結果、当連結会計年度の当社に帰属する当期純利益は6,525億円となり、前連結会計年度の5,484億円から1,042億円(19.0%)増加しました。
主要な事業データ
上述の当連結会計年度及び前連結会計年度の業績に関連する事業データについては、以下をご参照ください。
(1) 他社契約数については、社団法人電気通信事業者協会が発表した数値を基に算出しています。
(2) 通信モジュールサービス契約数を含めて算出しています。
(3) 通信モジュールサービス、「電話番号保管」、「メールアドレス保管」、「ドコモビジネストランシーバー」ならびにMVNOへ提供する卸電気通信役務及び事業者間接続関連収入及び契約数を含めずに算出しています。
(4) 回線交換によるデータ通信を含んでいます。
(5) MOU(Minutes of Use): 1利用者当たり月間平均通話時間
ARPUの定義
総合ARPU:音声ARPU+パケットARPU+ドコモ光ARPU
音声ARPU:音声ARPU関連収入(基本使用料、通話料)÷稼動利用者数
データARPU:パケットARPU+ドコモ光ARPU
パケットARPU:パケットARPU関連収入(月額定額料、通信料)÷稼動利用者数
ドコモ光ARPU:ドコモ光ARPU関連収入8基本使用料、通話料)÷稼動利用者数
稼動利用者数:当該年度(4月から翌年3月)の「各月稼動利用者数」※の合計
※「各月稼動利用者数」:(前月末利用者数 + 当月末利用者数)÷2
(注)利用者数は、以下のとおり、契約数を基本としつつ、一定の契約数を除外して算定しています。
利用者数=契約数-通信モジュールサービス、「電話番号保管」、「メールアドレス保管」、「ドコモ
ビジネストランシーバー」ならびにMVNOへ提供する卸電気通信役務及び事業者間接続に係る
契約数-Xi契約及びFOMA契約と同一名義のデータプラン契約数
③セグメント情報
概要
当社グループは、事業セグメントの区分を通信事業、スマートライフ事業、その他の事業の3つに分類しています。通信事業には、携帯電話サービス(LTE(Xi)サービス、FOMAサービス)、光ブロードバンドサービス、衛星電話サービス、国際サービス及び各サービスの端末機器販売などが含まれます。スマートライフ事業には、動画配信サービス、音楽配信サービス及び電子書籍サービス等のdマーケットを通じたサービスならびに、金融・決済サービス、ショッピングサービス及び生活関連サービスなどが含まれます。その他の事業には、ケータイ補償サービスならびに、システムの開発、販売及び保守受託などが含まれます。
通信事業
(単位:百万円)
通信事業セグメントにおける営業収益は、主に通信サービスの提供及び端末機器の販売によるものです。当連結会計年度における通信事業セグメントの営業収益は、前連結会計年度の3兆6,898億円から214億円(0.6%)増加して3兆7,112億円となりました。通信サービス収入は、2兆9,425億円と前連結会計年度の2兆7,775億円に比べて1,651億円(5.9%)増加しました。通信サービス収入のうち、当連結会計年度における音声通信及びパケット通信による収益であるモバイル通信サービス収入は、2兆8,025億円となり前連結会計年度の2兆7,298億円から727億円(2.7%)増加しました。主な増加要因は、お客さま還元を目的とした「ウルトラパック」の追加及び「カケホーダイライトプラン」の適用が可能なパケットパック対象範囲の拡大によりおトクとなるお客さまの増加による減収影響はあったものの、スマートフォン利用の増加に加え、タブレット端末の販売促進により2台目以降の端末を購入したお客さまによるデータ(パケット)利用の増加及び料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」において月額料金の高い上位プランへのお客さまの移行が進んだことに伴う増収影響が上回ったことによるものです。また、当連結会計年度における光ブロードバンドサービス、衛星電話サービス、海外ケーブルテレビサービス等の収益である光通信サービス及びその他の通信サービス収入は、1,400億円となり、前連結会計年度の476億円から924億円(194.0%)増加しました。主な増加要因は、「ドコモ光」の契約数が大幅に増加したことによるものであり、前連結会計年度末の157万契約から184万契約(117.2%)増加し340万契約となりました。一方、端末機器販売に係る収入については、販売単価の低いスマートフォン及びタブレット端末の割合が増加したことに加え、販売代理店への卸売販売数の減少したことにより、前連結会計年度の8,566億円から1,398億円(16.3%)減少し7,168億円となりました。通信事業セグメントの営業収益がセグメント営業収益合計に占める割合は、当連結会計年度が80.4%、前連結会計年度が81.0%でした。通信事業セグメントの営業費用は、「ドコモ光」の収益増加に連動する他社の通信設備使用料の増加に加え、お客さま還元を目的とした「更新ありがとうポイント」や「ドコモ 子育て応援プログラム」といった「dポイント」に関する費用の増加などがあったものの、有形固定資産の減価償却方法として、従来、建物は定額法を、それ以外の資産は定率法を採用していましたが、2016年4月1日より全て定額法に変更したことによる減価償却費の減少や端末機器原価の減少、継続的なコスト効率化の取組み等により、前連結会計年度の2兆9,809億円から2兆8,784億円と1,026億円(3.4%)減少しました。この結果、当連結会計年度の通信事業セグメントの営業利益は、モバイル通信サービス収入の増加、「ドコモ光」の契約数の増加ならびに減価償却費の減少を含めたネットワーク関連費用の減少により、前連結会計年度の7,089億円から1,239億円(17.5%)増加し、8,328億円となりました。
通信事業における収益及び費用の増減の分析については、前述の「②当連結会計年度の業績」、後述の「④営業活動の動向及び翌連結会計年度の見通し」をあわせてご参照下さい。
スマートライフ事業
(単位:百万円)
当連結会計年度におけるスマートライフ事業セグメントの営業収益は、前連結会計年度の5,041億円から22億円(0.4%)減少して5,019億円となりました。主な減少要因は、dマーケットの月額課金ユーザの契約数増加によりdマーケットを通じて得られる関連収入が増加したことに加え、「dカード」等のクレジットサービスの収入が増加したものの、グループ会社における収益が減少したことによるものです。スマートライフ事業セグメントの営業収益がセグメント営業収益合計に占める割合は、当連結会計年度が10.9%、前連結会計年度が11.1%でした。スマートライフ事業の営業費用は、dマーケットの収益に連動した関連費用が増加したものの、グループ会社の収益に連動した関連費用の減少により、前連結会計年度の4,577億円から4,440億円と137億円(3.0%)減少しました。この結果、当連結会計年度のスマートライフ事業セグメントの営業損益は、前連結会計年度の465億円の営業利益から115億円(24.7%)増加し、579億円の営業利益となりました。
その他の事業
(単位:百万円)
その他の事業の当連結会計年度の営業収益は、前連結会計年度の3,593億円から411億円(11.4%)増加し4,004億円になりました。主な増加要因は、ケータイ補償サービスの契約数が増加したことによる収益の増加に加え、IoTビジネスに関連するサービス収益の拡大等によるものです。その他の事業セグメントの営業収益がセグメント営業収益合計に占める割合は、当連結会計年度が8.7%、前連結会計年度が7.9%でした。営業費用は、前連結会計年度の3,316億円から148億円(4.5%)増加し3,464億円となりました。主な増加要因は、ケータイ補償サービス等の収益に連動した関連費用の増加によるものです。この結果、その他の事業セグメントにおける当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度の277億円から263億円(94.9%)増加して540億円となりました。
④営業活動の動向及び翌連結会計年度の見通し
以下では、当社グループの営業活動について、収益と費用の面からその動向の分析及び、翌連結会計年度の見通しを記載しています。
(a)営業収益:
通信サービス
通信サービス収入は、モバイル通信サービス収入ならびに光通信サービス及びその他の通信サービス収入から構成されます。モバイル通信サービス収入は、携帯電話サービスから得られる収入であり、音声収入とパケット通信収入から構成されます。音声収入は、月額基本使用料及び接続時間に応じて課金される通話料から得られ、パケット通信収入は、月額定額料及びデータ量に応じて課金される通信料から得られます。これらは契約数の動向、お客さまのサービスの利用動向、お客さまに提供する料金割引等の施策などによって影響を受けます。
契約数の増加に向けては、新規契約の獲得と既存契約数の維持が必要となりますが、人口普及率の高まりにより新規契約数の大幅な伸びが望めない一方で、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末及びWi-Fiルーターなど多様な通信端末・サービスのニーズへの対応が求められています。また、スマートフォンの普及によるデータ通信利用の拡大に伴い、通信の高速化も求められており、当社グループはこうした新たな市場ニーズを捉え、LTE(Xi)サービスの利用者拡大に向けたスマートフォンの販売やLTEネットワークの拡充等に積極的に取り組んだ結果、当連結会計年度末のLTE(Xi)サービスの契約数は、前連結会計年度末に比べ15.2%増加し、4,454万契約となりました。
一方、既存契約の他社への流出を抑制し、これを維持することは当社グループにとって重要な事業課題であり、課題達成を図る指標として解約率を重視しています。解約は契約数に影響を与える要因の一つであり、特に契約純増数を大きく左右します。料金値下げやその他のお客さま誘引施策等による解約率低下に向けた取組みは、純増数の増加により収益の増加につながる可能性がある反面、契約当たりの平均収入の減少や費用の増加により、利益に対してマイナスの影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、競争力の強化に向けて2014年6月より料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」の提供を開始するとともに、2015年3月より光ブロードバンドサービス「ドコモ光」及び「ドコモ光パック」の提供を開始しました。また、LTEサービスによるネットワークの進化、高機能で魅力的なデバイス(端末)の提供などを進めてきた結果、当社グループにおける解約率は、前連結会計年度は0.62%、当連結会計年度は0.59%と低い水準を維持しています。今後も他社への流出抑止に向け、料金プランの充実や「ドコモ光」とのセット販売によるお客さまの囲い込み、ネットワークやサービスの拡充による他社との差異化などの、解約率低減に向けた取組みを行います。
これらの取組みの結果、当連結会計年度における契約数は5.5%増加しました。翌連結会計年度における契約数についても、新たな市場ニーズの開拓に努め、LTE(Xi)サービス利用者拡大に向けてスマートフォンの販売やLTE/LTE-Advancedネットワークの拡充等を積極的に取り組むことにより、引き続き増加するものと予想しています。
モバイル通信サービス収入については、お客さま還元を目的とした「ウルトラパック」の追加及び「カケホーダイライトプラン」の適用が可能なパケットパック対象範囲の拡大による減収影響はあったものの、スマートフォン利用の増加に加え、タブレット端末の販売促進による2台目需要の増加及び「カケホーダイ&パケあえる」の上位プランへの移行が進んだことに伴う増収影響が上回ったことにより、当連結会計年度は前連結会計年度に比べ増加しました。
料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」は、国内音声通話定額サービス、パケット(データ)通信量を家族で分けあえるサービス、ご利用年毎に応じた割引サービス、25歳以下のお客さまを応援する割引サービスの4つを柱とした料金プランであり、2014年6月より提供開始しました。「カケホーダイ&パケあえる」は提供開始から好評いただいており、当連結会計年度末は3,707万契約となりました。サービス開始当初は、「カケホーダイ&パケあえる」への移行によっておトクになるお客さまが想定を大きく上回るスピードで移行したことにより、減収影響が発生しました。前連結会計年度においては、「カケホーダイ&パケあえる」への移行によりおトクになるお客さまの移行が鈍化したことによる音声収入の下げ止まりや、月額料金の高い上位プランへの移行の取組みによるパケット通信収入の増収影響により、「カケホーダイ&パケあえる」による減収影響は縮小しました。当連結会計年度においては、月額料金の高い上位プランへの移行に向け引き続き積極的に取り組むことによる増収影響は拡大した一方、お客さま還元の強化による減収影響が発生しました。翌連結会計年度においては、お客さま還元の強化を目的とした取組みによる減収影響が、月額料金の高い上位プランへの移行による増収影響を上回ると考えています。
モバイル通信サービス収入のうち、音声収入はお客さまの「カケホーダイ&パケあえる」への移行が進んだことによる増収影響により、前連結会計年度と比較して3.0%増加しています。翌連結会計年度においては、お客さま還元の強化による減収影響が拡大するものの、「月々サポート」による割引影響が縮小することにより、音声収入は増加するものと見込んでいます。
パケット通信収入は、タブレット端末の販売促進による2台目需要の増加及び「カケホーダイ&パケあえる」の上位プランへの移行が進んだことに伴う増収影響により、前連結会計年度と比較して2.6%増加しています。当社は、スマートフォン利用の増加に加え、タブレット端末の販売促進による2台目需要の増加及び月額料金の高い上位プランへの移行に向け引き続き取り組むことにより増収を見込んでいるものの、お客さま還元の強化による減収影響の拡大により、翌連結会計年度におけるパケット通信収入は横ばいになると予想しています。パケット通信収入のモバイル通信サービス収入に占める割合は高い水準で推移し、前連結会計年度は69.3%、当連結会計年度は69.2%を占めています。
2016年4月に施行され、2017年2月に改定された総務省による「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」により、市場における競争軸は端末価格ではなく、通信・サービスが中心となってくると想定しています。また、当社グループは、お客さまの多様なニーズに応えるため、2016年6月に長期契約者向けの割引を拡充し、2016年9月に新たな大容量パケットパックを追加するなど「カケホーダイ&パケあえる」の更なる充実を図ってきました。翌連結会計年度においては、これらの対応により、減収影響が発生すると見込んでいますが、リテンション強化による回線解約の減少が見込まれることやコスト効率化等により減収影響は吸収可能であると考えています。
光通信サービス及びその他の通信サービス収入は、光ブロードバンドサービス、衛星電話サービス、海外ケーブルテレビサービス及びその他の通信サービスから得られる収入です。2015年3月より、最大1Gbpsの高速通信をご利用いただける光ブロードバンドサービス「ドコモ光」と、スマートフォン・ドコモ ケータイと「ドコモ光」をまとめておトクな料金でご利用いただける「ドコモ光パック」の提供を開始しました。移動通信と固定通信を組み合わせた新たな付加価値を提供することにより、光ブロードバンドサービスの月額料金から得られる収入のみならず、携帯電話サービス契約の新規獲得及び解約抑止効果があるものと考えています。「ドコモ光」の更なる普及拡大のため、2016年4月には固定電話サービスである「ドコモ光電話」とテレビ視聴サービスである「ドコモ光テレビオプション」、2016年12月には提携するケーブルテレビ事業のサービスとインターネット接続サービスをセットでご利用いただける「ドコモ光 タイプC」の提供を開始しました。また、2017年2月にはインターネット接続設定やWi-Fi設定等の遠隔サポートが受けられる機能を搭載したWi-Fiホームルーター「ドコモ光ルーター 01」を発売し、同時にインターネットの様々な脅威から守るセキュリティサービス「光ルーターセキュリティ」の提供も開始しました。光通信サービス及びその他の通信サービス収入は、「ドコモ光」の契約数の増加により、前連結会計年度と比較し194.5%増加しています。翌連結会計年度の光通信サービス及びその他の通信サービス収入は、「ドコモ光」の契約数の増加傾向が続くことから、増加するものと見込んでいます。
当社グループは、1利用者当たりの各サービスにおける平均的な月間営業収益を計るための指標として、ARPU(Average monthly Revenue Per Unit、1利用者当たり月間平均収入)を用いており、音声ARPU、パケットARPU及びドコモ光ARPUで構成されています。ARPUは利用者の各月の平均的な利用状況、及び当社グループによる料金設定変更の影響を分析する上で一定程度、有用な情報を提供すると考えています。音声ARPUについては、お客さま還元の強化による減収影響が拡大するものの、「月々サポート」による割引影響が縮小することに伴い、翌連結会計年度においては増加するものと見込んでいます。パケットARPUについては、スマートフォン利用の増加に加え、タブレット端末の販売促進による2台目需要の増加及び月額料金の高い上位プランへの移行の取組みにより増加傾向が続いていましたが、お客さま還元の強化による減収影響が拡大することに伴い、翌連結会計年度においては横ばいになると見込んでいます。ドコモ光ARPUについては、「ドコモ光」の契約数の更なる増加により、翌連結会計年度において増加すると見込んでいます。
端末機器販売
当社グループは、提供する携帯電話サービスに対応した通信端末を端末メーカーから購入し、お客さまへの販売を行う販売代理店に対して主に販売しています。
当社グループは、お客さまが販売代理店等から端末機器を購入する際に、端末機器代金の分割払いを選択するオプションを提供しています。お客さまが分割払いを選択した場合、当社グループはお客さま及び販売代理店等と締結した契約に基づき、お客さまに代わって端末機器代金を販売代理店等に支払い、立替えた端末機器代金を分割払いの期間にわたり、毎月の通話料金と合わせて直接お客さまに請求します。なお、この契約は、当社グループとお客さまとの間で締結する携帯電話サービスに関する契約及び販売代理店等とお客さまの間で行われる端末機器売買とは別個の契約です。端末機器販売に係る収益は、端末機器を販売代理店等に引渡した時点で認識され、お客さまからの資金回収は立替代金の回収であるため、端末機器販売収入を含む当社グループの収益に影響を与えません。
当社グループは、米国会計基準に従い、販売代理店に支払う販売手数料及びお客さまに対するインセンティブの一部を端末機器販売収入から減額する会計処理を行っています。端末機器販売収入については、当連結会計年度において、販売単価の低いスマートフォン及びタブレット端末の割合が増加したことに加え、販売代理店への卸売販売数が減少したことから、端末機器販売収入は前連結会計年度に比べ16.4%減少しました。
翌連結会計年度において、政府の競争促進政策及びMVNOをはじめとした格安スマートフォンの台頭等に伴う競争環境の変化により、端末機器販売収入から減額する販売手数料等は減少すると見込んでいます。これにより、端末機器販売収入は増加すると見込んでいます。
端末機器販売の動向が営業利益に与える影響については端末機器原価とも密接に関係しますので、後述の「端末機器原価」をあわせてご参照下さい。
その他の営業収入
その他の営業収入には、主に、ケータイ補償サービス、dマーケット及びクレジットサービス等のスマートライフ領域から得られる収入などが含まれています。当社グループは様々な企業との提携を通じたスマートライフ領域の拡大をめざしており、翌連結会計年度においても、引き続きスマートライフ領域における収益の拡大をめざしていきます。
ケータイ補償サービスは、毎月一定額をお支払い頂くことにより、携帯電話機の水濡れや紛失などのトラブルに対し、お電話いただくだけで同一機種・同一カラーの携帯電話をお届けしたり、修理代金をサポートするサービスで、ご利用するお客さまは増えており、これに伴う収入も増加しています。翌連結会計年度においても、引き続きお客さまの利用拡大をめざしていきます。
また、2010年度に開始した当社グループのコンテンツマーケットであるdマーケットを通じて得られる収入が拡大しています。dマーケットとは、動画や音楽、電子書籍などの豊富なデジタルコンテンツや、食品・日用品などの幅広い商品をクラウド上で提供、販売するマーケットであり、映画やドラマを配信する「dTV」や、アニメを配信する「dアニメストア」、音楽を配信する「dヒッツ」、雑誌を配信する「dマガジン」、料理や食に関する情報を提供する「dグルメ」などのストアから構成されています。当連結会計年度は、2016年4月より健康に関するサービスを提供する「dヘルスケアパック」、2016年7月より暮らしに役立つメニューを提供する「dリビング」を開始するなど、dマーケットのサービスの拡充を行いました。また、dマーケットの各ストアにおいても、より魅力的なコンテンツの提供に取り組みました。この結果、月額契約でコンテンツを提供する「dTV」「dアニメストア」「dヒッツ」「dキッズ」「dマガジン」「dグルメ」「dヘルスケアパック」及び「dリビング」の契約数は、当連結会計年度末において合計で1,608万契約となり、dマーケットの収益も前連結会計年度に比べ増加しました。今後もdマーケットを通じて得られる収入は堅調に推移するものと見込んでいます。
さらに、2016年10月よりクレジットカードサービス「dカード」及び非接触決済サービス「iD」において、Apple Payへの対応を開始しました。「dカード」等のクレジットサービスの取扱高は、年々拡大しており、これに伴いクレジットサービスによる収益も増加しています。この傾向は、翌連結会計年度においても続くと見込んでいます。
当連結会計年度におけるその他の営業収入は、上記の結果、前連結会計年度に比べ3.4%増加しました。翌連結会計年度においては、当連結会計年度から横ばいになると見込んでいます。
以上により、翌連結会計年度の営業収益は増収となる見込みです。
(b)営業費用:
サービス原価
サービス原価とは、お客さまに通信サービスや子会社におけるサービスを提供するために直接的に発生する費用であり、通信設備使用料、施設保全費、通信網保全・運営に関わる人件費、ケータイ補償サービス等の提供に伴う保険費用等が含まれています。当連結会計年度においては、営業費用の36.7%を占めています。サービス原価のうち、大きな割合を占めるものは通信設備の保守費用等である施設保全費及び他社の通信網利用や相互接続の際に支払う通信設備使用料であり、当連結会計年度ではそれぞれサービス原価総額の24.0%及び24.7%を占めています。通信設備使用料は、他事業者の料金設定によって変動します。当連結会計年度のサービス原価は、前連結会計年度から7.0%増加しました。これは、「ドコモ光」、dマーケット及びケータイ補償サービス等の新たな成長分野での収益増加に連動したサービス原価の増加によるものです。翌連結会計年度においてもこの傾向は継続することから、サービス原価は増加傾向が継続すると予想しています。
端末機器原価
端末機器原価は、新規のお客さま及び既存のお客さまへの販売を目的として、当社グループが販売代理店等に卸売りするために仕入れた端末機器の購入原価であり、基本的に販売代理店等への端末機器販売数と仕入単価に影響されます。当連結会計年度においては、営業費用の21.8%を占めています。当連結会計年度の端末機器原価は、前連結会計年度から10.1%減少しました。これは、仕入単価の低いスマートフォン及びタブレット端末の割合が増加したことに加え、販売代理店への卸売販売数が減少した影響によるものです。翌連結会計年度においては、当連結会計年度から横ばいになると見込んでいます。
減価償却費
当連結会計年度において、減価償却費は営業費用の12.4%を占めています。有形固定資産の減価償却方法として、従来、建物は定額法を、それ以外の資産は定率法を採用していましたが、2016年4月1日より全て定額法に変更したことから、当連結会計年度における減価償却費は27.7%減少しました。翌連結会計年度においては、トラフィック増加への対応及びLTE-Advancedのエリア拡大等のための投資を進めたこと等により、減価償却費は増加すると見込んでいます。設備投資の詳細については、後述の「設備投資」の項をあわせてご参照下さい。
販売費及び一般管理費
当連結会計年度において、販売費及び一般管理費は営業費用の28.8%を占めています。販売費及び一般管理費の主なものは、新規契約者獲得と既存契約者の維持に関する費用であり、その中でも大きいものは販売代理店に対する手数料です。当社が販売代理店に支払う手数料には、新規契約や端末の買い増しなど販売に連動する手数料と、料金プラン変更の受付や故障受付など販売に連動しない手数料があります。当社グループは、米国会計基準を適用しており、販売に連動する手数料の一部を端末機器販売収入から控除し、それ以外の手数料については販売費及び一般管理費に含めています。また、販売費及び一般管理費には、「dポイント」に関する経費や端末故障修理などお客さまへのアフターサービスに関連する費用が含まれています。当連結会計年度は、「dポイント」に関する経費の増加及び「ドコモ光」の新規契約獲得増加に伴う販売代理店に支払う手数料の増加により、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ8.0%増加しています。翌連結会計年度においても、「dポイント」に関する経費などの増加傾向は継続することから、販売費及び一般管理費は増加するものと見込んでいます。
以上により、翌連結会計年度の営業費用は、サービス原価、減価償却費ならびに販売費及び一般管理費の増加影響により当連結会計年度から増加すると予想しています。
これらの結果、翌連結会計年度の営業利益は、営業費用の増加が見込まれるものの、営業収益の増加が上回り、当連結会計年度から増益となる見込みです。なお、インドのTata Teleservices Limited株式の引渡し及びインドのTata Sons Limitedからの送金が実現した場合、利益を認識する場合があります。詳細は、連結財務諸表注記6をご参照ください。
市場動向に関する上記以外の情報は、本項目「第2 事業の状況 7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の他の箇所にも含まれています。
(2)流動性及び資金の源泉
①資金需要
翌連結会計年度の資金需要として、端末機器販売に係わる販売代理店への立替払い、ネットワークの拡充資金及びその他新たな設備への投資資金、有利子負債及びその他の契約債務に対する支払のための資金、新規事業や企業買収、合弁事業などの事業機会に必要な資金が挙げられます。当社グループは、現時点で見込んでいる設備投資や債務返済負担などの必要額を営業活動によるキャッシュ・フロー、銀行等金融機関からの借入、債券や株式の発行による資本市場からの資金調達により確保できると考えています。当社グループは、安定的な業績と強固な財務体質により高い信用力を維持し、十分な調達能力を確保しているものと考えています。また、当社グループは、現在の資金需要に対して十分な運転資金を保有していると考えています。当社グループは、資金調達の要否について資金需要の金額と支払のタイミング、保有する現金及び現金同等物、運用資金ならびに営業活動によるキャッシュ・フロー等を総合的に検討して決定します。保有する現金及び現金同等物、運用資金ならびに営業活動によるキャッシュ・フローによる対応が困難な場合は、借入や債券・株式の発行による資金調達を検討します。設備投資などの必要額が見込みを上回った場合や将来のキャッシュ・フローが見込みを下回った場合には、債券や株式の発行等による追加的な資金調達が必要になる可能性があります。こうした資金調達については事業上受け入れ可能な条件で、あるいは適切なタイミングで、実行できるという保証はありません。
(a)設備投資
通信業界は、一般に設備投資の極めて大きい業界であり、通信ネットワークの構築には多額の設備投資が必要です。当社グループにおけるネットワーク構築のための設備投資額は、導入する設備の種類と導入の時期、ネットワーク・カバレッジの特性とカバーする地域、ある地域内の契約数及び予想トラフィックにより決まります。さらに、サービス地域内の基地局の数や、基地局における無線チャネルの数、必要な交換設備の規模によっても影響されます。また、設備投資は、情報技術やインターネット関連事業用サーバーに関しても必要となります。近年では、コンテンツのリッチ化や新サービスの提供等によりスマートフォンユーザのトラフィックが増大する傾向にあります。それに伴い、通信の高速化及びトラフィックの需要増加への対応が必要となっています。
当連結会計年度は、「更なる快適さ」を追求した強力なネットワークの構築を進めており、高品質な通信環境を提供してきました。お客さまにより快適にご利用いただけるネットワークの実現に向け、LTE-Advancedの都市部への重点展開を行い、LTE-Advancedに対応した基地局数を22,800局から69,700局に拡大しました。また、2017年3月より受信時最大682Mbpsの国内最速の通信サービス提供を国内の一部エリアにて開始しました。更なるエリア充実を図るため、全国のLTEサービス基地局数を138,100局から161,900局にまで増設しました。
当連結会計年度の設備投資額は5,971億円、前連結会計年度は5,952億円でした。当連結会計年度の設備投資額は、前連結会計年度と比較して19億円(0.3%)増加しましたが、これは、経営基盤の更なる強化に向け、引き続き通信ネットワークに係る設備投資の効率化に取り組みつつ、後年のネットワークに係る運用費用の効率化を目的として、高性能装置の導入による設備の集約化・大容量化を積極的に実施したことによるものです。当連結会計年度において、設備投資の96.5%が通信事業に、2.4%がスマートライフ事業に、1.1%がその他の事業に使用されています。これに対し、前連結会計年度においては、設備投資の96.4%が通信事業に、2.3%がスマートライフ事業に、1.3%がその他の事業に使用されています。
翌連結会計年度の設備投資額は、トラフィック増加への対応及びLTE-Advancedのエリア拡大などのネットワーク品質における競争上の優位性確保、ならびに先進的技術導入などの競争力獲得のための投資を進める一方、設備投資額削減に向けて引き続き投資の効率化を行うことにより、5,700億円に減少する見込みです。そのうち約95.1%を通信事業に、約3.7%をスマートライフ事業に、約1.2%をその他の事業に使用すると見込んでいます。
当社グループの設備投資の実際の水準は、様々な要因により予想とは大幅に異なる場合があります。既存の携帯電話ネットワーク拡充のための設備投資は、確実な予測が困難な契約数及びトラフィックの増加、事業上適切な条件で適切な位置に基地局を定め配置する能力、特定の地域における競争環境ならびにその他の要因に影響を受けます。特にネットワーク拡充に必要な設備投資の内容、規模及び時期は、サービスへの需要の変動や、ネットワーク構築やサービス開始の遅れ、ネットワーク関連機材のコストの変動などにより、現在の計画とは大きく異なることがあり得ます。これらの設備投資は、データ通信に対する市場の需要動向及びこうした需要に対応するため継続的に行っている既存ネットワーク拡充の状況により影響を受けていくと考えています。
(b)長期債務及びその他の契約債務
当連結会計年度末において、1年以内返済予定分を含む長期の有利子負債は2,203億円で、主に社債と金融機関からの借入金です。前連結会計年度末においては2,204億円でした。当連結会計年度に2億円、前連結会計年度に2億円の長期の有利子負債を償還しました。当連結会計年度末において、長期の有利子負債のうち、3億円(1年以内返済予定分を含む)は金融機関からの借入金です。借入金利の加重平均が年率0.9%の主に固定金利による借入であり、返済期限は翌連結会計年度から2022年3月期です。また2,200億円は社債であり、表面利率の加重平均は1.2%、満期は翌連結会計年度から2024年3月期となります。当連結会計年度末において、当社及び当社の債務は、格付会社により以下の表のとおり格付けされています。これらの格付は、当社が依頼して取得したものです。格付は、格付会社による当社の債務返済能力に関する意見の表明であり、格付会社は独自の判断で格付をいつでも引き上げ、引き下げ、保留し、または取り下げることができます。また、格付は当社の株式や債務について、取得、保有または売却することを推奨するものではありません。
なお、当社の長期有利子負債の契約には、格付の変更によって償還期日が早まる等の契約条件が変更される条項を含むものはありません。
当社グループの長期有利子負債、長期有利子負債に係る支払利息、リース債務及びその他の契約債務(1年以内償還または返済予定分を含む)の今後数年間の返済金額は次のとおりです。
(単位:百万円)
(1) 重要性がないまたは支払時期が不確実である契約債務については、上記表の「その他の契約債務」に含めていません。なお、当社グループの年金制度に対して、翌連結会計年度においてエヌ・ティ・ティ企業年金基金に対して2,404百万円の拠出を見込んでいます。詳細については、連結財務諸表注記17をご参照ください。
「その他の契約債務」は、主として携帯電話ネットワーク向け有形固定資産の取得に関する契約債務や棚卸資産(主に端末機器)の取得、サービスの購入に係る契約債務などから構成されています。当連結会計年度末の有形固定資産の取得に関する契約債務は266億円、棚卸資産の取得に関する契約債務は308億円、その他の購入契約債務は413億円でした。これらの契約債務の金額は、一定の仮定に基づき算定された見積金額であり、また、将来に予測されるすべての購入契約の内容を反映したものではありません。当社グループはこれらとは別に商品やサービスを必要な都度購入しています。当社グループは、LTEのネットワーク拡充やスマートフォン販売の拡大などのために今後も多額の設備投資や棚卸資産の取得を継続していく方針です。また、当社グループでは随時、通信事業を中心に新規事業分野への参入や企業買収、合弁事業、出資などを行う可能性についても検討しています。なお、現在当社グループの財政状態に重要な影響を与えるような、訴訟及び保証等に関する偶発債務はありません。
②資金の源泉
次の表は当社グループの当連結会計年度及び前連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概要をまとめたものです。
(単位:百万円)
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析と前連結会計年度との比較
当連結会計年度における「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、1兆3,124億円の収入となりました。前連結会計年度と比べ1,033億円(8.5%)キャッシュ・フローが増加していますが、これは、携帯端末代金の分割購入に伴う立替金が減少したことにより売却目的債権が減少したことなどによるものです。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、9,431億円の支出となりました。前連結会計年度と比べ5,678億円(151.3%)支出が増加していますが、これは、関連当事者への短期預け金預入れによる支出が増加したことに加え、関連当事者への長期預け金償還による収入が減少したことなどによるものです。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、4,331億円の支出となりました。前連結会計年度と比べ1,505億円(25.8%)支出が減少していますが、これは、自己株式の取得による支出が減少したことなどによるものです。
これらの結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,896億円となり、前連結会計年度末と比べ648億円(18.3%)減少しました。また、資金の一部を効率的に運用するために実施した期間3ヵ月超の資金運用残高は当連結会計年度末で3,011億円であり、前連結会計年度末においては59億円でした。
翌連結会計年度の見通し
翌連結会計年度の資金の源泉については、携帯端末代金の分割払い対象の販売数が減少傾向であることに伴い、当社グループが立替えた、お客さまの携帯端末代金の回収の減少が見込まれることなどから、営業活動によるキャッシュ・フローは減少する見通しです。投資活動によるキャッシュ・フローについては、設備投資等により5,700億円と予想しています。設備投資及び合理的に見積もることができるもの以外の投資活動によるキャッシュ・フローについては、現時点では予想が困難であることから、投資活動によるキャッシュ・フローの予想には含めていません。
(3)会計方針に関する事項
①最重要な会計方針及び見積り
連結財務諸表の作成には、予想される将来のキャッシュ・フローや、経営者の定めた会計方針に従って財務諸表に報告される数値に影響を与える項目について、経営者が見積りを行うことが要求されます。連結財務諸表の注記3には、当社グループの連結財務諸表の作成に用いられる主要な会計方針が記載されています。いくつかの会計方針については、特に慎重さが求められています。なぜなら、それらの会計方針は、財務諸表に与える影響が大きく、また経営者が財務諸表を作成する際に用いた見積り及び判断の根拠となっている条件や仮定から、実際の結果が大きく異なる可能性があるためです。当社の経営者は会計上の見積りの選定及びその動向ならびに最重要の会計方針に関する以下の開示について、独立会計監査人及び当社の監査役と協議を行いました。当社の監査役は、取締役会及びいくつかの重要な会議に出席して意見を述べるほか、取締役による当社の職務執行を監査し、計算書類等を監査する法的義務を負っています。最重要な会計方針は、以下のとおりです。
(a)有形固定資産、自社利用のソフトウェア及びその他の無形固定資産の減価償却
当社グループの通信事業で利用されている基地局、アンテナ、交換局、伝送路等の有形固定資産、自社利用のソフトウェア及びその他の無形固定資産は、財務諸表上に取得価額または開発コストで計上され、見積耐用年数及び選択した減価償却方法に基づき、減価償却が行われています。当社グループは、各年度に計上すべき減価償却費を決定するために、有形固定資産、自社利用のソフトウェア及びその他の無形固定資産の見積耐用年数及び減価償却方法を決定しています。当連結会計年度及び前連結会計年度に計上された減価償却費の合計は、それぞれ4,523億円、6,259億円でした。耐用年数は、資産が取得された時点で決定され、また、その決定は、予想される使用期間、類似資産における経験、定められた法律や規則に基づくほか、予想される技術上及びその他の変化を考慮に入れています。無線通信設備の見積耐用年数は概ね9年から16年となっています。自社利用のソフトウェアの見積耐用年数は最長7年としています。技術上及びその他の変化が当初の予想より急速に、あるいは当初の予想とは異なった様相で発生したり、新たな法律や規制が制定されたり、予定された用途が変更された場合には、当該資産に設定された耐用年数を短縮する必要があるかもしれません。また、減価償却方法は、新しい技術革新等の外部環境や内部環境の影響といった様々な要因による変化を考慮し、資産から生み出される将来の便益を費消するパターンをより適切に反映したものを採用しています。資産から生み出される将来の便益を費消するパターンが、当初の採用したものと異なった場合は、採用された減価償却方法を変更する必要があるかもしれません。結果として、将来において減価償却費の増加や損失を認識する可能性があります。
当連結会計年度において、当社グループは、有形固定資産の減価償却方法について、従来、建物は定額法を、それ以外の資産は定率法を採用していたものを、資産から生み出される将来の便益を費消するパターンを適切に反映させるため、2016年4月1日より全て定額法へ変更しています。この変更により、当連結会計年度の減価償却費は1,541億円減少しています。前連結会計年度においては、有形固定資産、自社利用のソフトウェア及びその他の無形固定資産の減価償却に係る見直しによる影響は軽微でした。
(b)長期性資産の減損
当社グループは、有形固定資産ならびに電気通信設備に関わるソフトウェア、自社利用のソフトウェア及び有線電気通信事業者の電気通信施設利用権といった識別可能な無形固定資産からなる供用中の長期性資産(営業権及び耐用年数が確定できない無形固定資産(非償却対象の無形固定資産)を除く)について、その帳簿価額が回復不能であることを示唆する事象や環境の変化がある場合は、随時、減損認識の要否に関する検討を行っています。減損のための分析は、耐用年数の分析とは別途に行われますが、それらはいくつかの類似の要因によって影響を受けます。減損の検討の契機となる事項のうち、当社グループが重要であると考えるものには、その資産を利用する事業に関係する以下の傾向または条件が含まれています(ただし、これらの事項に限定されるものではありません)。
・資産の市場価値が著しく下落していること
・当期の営業キャッシュ・フローが赤字となっていること
・競合技術や競合サービスが出現していること
・キャッシュ・フローの実績、または見通しが著しく下方乖離していること
・契約数が著しく、あるいは継続的に減少していること
・資産の使用方法が変更されていること
・その他のネガティブな業界動向あるいは経済動向
上記またはその他の事項が1つ以上存在し、または発生していることにより、特定の資産の帳簿価額が回復可能ではないおそれがあると判断した場合、当社グループは、予想される耐用年数にわたってその資産が生み出す将来のキャッシュ・インフローとアウトフローを見積もっています。当社グループの予想される割引前将来純キャッシュ・フロー合計額の見積りは、過去からの状況に将来の市場状況や営業状況に関する最善の見積りを加えて行っています。予想される割引前将来純キャッシュ・フローの合計額が資産の帳簿価額を下回る場合には、資産の公正価値に基づき減損処理を行っています。こうした公正価値は、取引市場が確立している場合の市場価格、第三者による鑑定や評価、あるいは割引キャッシュ・フローに基づいています。実際の市場の状況や当該資産が供用されている事業の状況が経営者の予測より悪い、もしくは契約数が経営者の計画を下回っているなどの理由によりキャッシュ・フローの減少を招くような場合には、従来減損を認識していなかった資産についても減損の認識が必要となる可能性があります。当連結会計年度においては、長期性資産の減損による影響は軽微でした。前連結会計年度においては、主に携帯端末向けマルチメディア放送事業に係る長期性資産の減損損失として91億円を計上しました。
(c)営業権及び非償却対象の無形固定資産の減損
当社グループの営業権は、主として2002年11月に実施した株式交換により地域ドコモ8社の非支配持分を取得し、完全子会社化したことにより認識されたものです。また、スマートライフ領域への展開を目的としたマジョリティ出資を実施したことによっても認識されています。当連結会計年度末の営業権の残高は2,310億円となっています。また、非償却対象の無形固定資産の当連結会計年度末の残高は295億円となっています。
当社グループは、企業結合により認識した営業権及び非償却対象の無形固定資産については、年1回主に3月31日時点で、また、減損の可能性を示す事象または状況が生じた場合にはその時点で、減損テストを実施しています。営業権の減損テストは、事業セグメントまたはそれより一段低いレベルの報告単位毎に、二段階の手続きによって実施しています。減損テストの第一段階では、報告単位の公正価値と営業権を含む簿価とを比較しています。報告単位の公正価値は、主に割引キャッシュ・フロー法を用いて算定しています。報告単位の簿価が公正価値を上回る場合には、減損額を測定するため、第二段階の手続きを行っています。第二段階では、その報告単位の営業権の簿価と営業権の公正価値を比較し、簿価が公正価値を上回っている金額を減損として認識します。また、非償却対象の無形固定資産の減損テストに関しては、非償却対象の無形固定資産の公正価値と簿価を比較し、簿価が公正価値を上回る場合には減損損失が計上されます。公正価値の算定において、営業権及び非償却対象の無形固定資産について対象となる報告単位の事業計画などに基づき、当該報告単位の生み出す将来キャッシュ・フローを見積っています。将来キャッシュ・フローの割引現在価値を算定する際に、異なる見積りや前提条件が用いられた場合、営業権の評価も異なったものとなる可能性があり、それにより将来追加的な減損処理が必要となる可能性があります。
当連結会計年度末及び前連結会計年度末において報告単位である国内通信事業は、1,273億円の金額的に最も重要な営業権を有しており、通信事業セグメントに含まれています。当該報告単位の公正価値は、減損テストの第一段階の手続において、十分に簿価を超過していると判定されています。また、当連結会計年度末及び前連結会計年度末において、その他の報告単位が有する残りの営業権の公正価値も、簿価を十分に超過しているか、または重要性がないと考えています。報告単位の公正価値は、主に将来の事業計画に基づいた割引キャッシュ・フロー法により見積もられ、その計画は過去実績や最新の中長期的な見通しを基に作成されていますが、現時点で予期しない事象により将来の営業利益が著しく減少した場合、当該報告単位の予測公正価値に不利な影響を及ぼすことがあります。
当連結会計年度及び前連結会計年度においては、子会社に係る報告単位の営業権の減損損失としてそれぞれ100億円、85億円を計上しました。報告単位の公正価値は、割引キャッシュ・フロー法とマーケット・アプローチを併用しながら測定しています。
(d)投資の減損
当社グループは、国内外の他企業に対して投資を行っています。それらの投資は、出資比率、投資先への影響力及び上場の有無等により持分法、原価法または公正価値に基づいて会計処理を実施しています。過去において、当社グループはいくつかの「関連会社投資」について多額の減損処理を実施し、その減損額をそれぞれの会計期間における「持分法による投資損益(△損失)」に計上しました。今後においても「関連会社投資」及び「市場性のある有価証券及びその他の投資」について同様の減損が発生する可能性があります。また、今後、投資持分の売却に際して多額の売却損益を計上する可能性もあります。当連結会計年度末において、「関連会社投資」の簿価は3,738億円、「市場性のある有価証券及びその他の投資」の簿価は1,987億円でした。当社グループの主要な投資先は、三井住友カード株式会社及びフィリピンのPLDT Inc.であり、当連結会計年度末において、いずれも「関連会社投資」に区分されています。
持分法投資及び原価法投資において、価値の下落またはその起因となる事象が生じたかどうか、また、生じた場合は価値の下落が一時的かどうかの判定を行う必要があります。当社グループは、投資の簿価が回復できない可能性を示唆する事象や環境の変化が発生した場合は、常に減損の要否について検討を行っています。減損の検討の契機となる事項のうち、当社グループが重要であると考えるものは、以下のとおりです(ただし、これらの事項に限定されるものではありません)。
・投資先企業株式の市場価格が、著しくあるいは継続的に下落していること
・投資先の当期の営業キャッシュ・フローが赤字となっていること
・投資先の過去のキャッシュ・フローの実績が計画に比べ著しく低水準なこと
・投資先によって重要な減損または評価損が計上されたこと
・公開されている投資先関連会社株式の市場価格に著しい変化が見られること
・投資先関連会社の競合相手が損失を出していること
・その他のネガティブな業界動向あるいは経済動向
当社グループは、投資の価値評価に際し、割引キャッシュ・フローによる評価、外部の第三者による評価、及び入手可能である場合は市場の時価情報を含む、様々な情報を活用しています。回収可能価値の算定には、投資先企業の事業業績、財務情報、技術革新、設備投資、市場の成長及びシェア、割引率及びターミナル・バリューなどの推定値が必要になる場合があります。投資の価値評価を実施した結果、一時的ではない、投資簿価を下回る価値の下落が認められた場合は、減損損失を計上しています。当該減損処理時の公正価値は、投資の新たな簿価となっています。「関連会社投資」の評価損は、連結損益計算書の「持分法による投資損益(△損失)」に、「市場性のある有価証券及びその他の投資」の評価損は、「営業外損益(△費用)」にそれぞれ含まれています。当連結会計年度及び前連結会計年度に実施した関連会社投資の価値評価において、一時的ではない価値の下落に伴う減損処理を実施しています。
当連結会計年度において、香港のHutchison Telephone Company Limitedを含む関連会社投資の減損額は239億円でした。これらの投資先の価値を見積もるにあたり、重要な観察不可能なインプット値として加重平均資本コストを使用しており、当連結会計年度の主要な値は7.9%でした。
前連結会計年度の関連会社投資の減損による影響は軽微でした。
「市場性のある有価証券及びその他の投資」については、当連結会計年度及び前連結会計年度において数社への投資に対して一時的ではない価値の下落に伴う減損処理を実施しており、減損による影響は軽微でした。
当社グループは、投資の減損実施後の簿価については公正価値に近似していると考えていますが、投資価値が投資簿価を下回っている期間や、予測される回収可能価値等の条件次第では、将来追加的な減損処理が必要となる可能性があります。
(e)ポイントプログラム引当金
当社グループは、携帯電話の利用等に応じてポイントを付与する「ドコモポイントサービス」を提供しています。付与されたポイントは、当社グループ商品の購入時の支払いへの充当等が可能です。2015年12月1日より、個人のお客さまに対し、携帯電話及びクレジットサービス(dカード、DCMX)の利用ならびに加盟店での支払い等に応じてポイントを付与する「dポイントサービス」の提供を開始しました。「dポイントサービス」においては、当社グループ商品の購入時の支払及び通信料金への充当ならびに加盟店での支払いへの充当等が可能です。なお、個人のお客さまは、モバイル通信サービス契約の解約後も「dポイント」を利用することが可能です。2015年4月1日から11月30日にかけて個人のお客さまに対して付与された「ドコモポイント」は、自動的に「dポイント」へ移行されており、当社グループは、2015年12月1日以降、個人のお客さまに対して「ドコモポイント」を付与していません。なお、2015年3月31日までに付与された個人のお客さまに対する「ドコモポイント」は、2017年5月10日に「dポイント」へ移行され、2018年5月31日まで利用することが可能となりました。当社グループは、お客さまが獲得したポイントについて「ポイントプログラム引当金」を計上していますが、「ドコモポイント」及び「dポイント」に係る引当金について、それぞれ個別に見積りを行っています。当連結会計年度末及び前連結会計年度末におけるポイントプログラム引当金は、短期、長期合わせてそれぞれ1,054億円及び795億円でした。また、当連結会計年度及び前連結会計年度において計上されたポイントプログラム経費は、それぞれ943億円及び578億円でした。
ポイントの当初の有効期限が4年の「dポイント」及び2017年5月10日に「dポイント」へ移行した個人のお客さまに対する「ドコモポイント」に係る引当金は、将来のポイント利用率を見込むのに十分な過去実績がないため、ポイント利用率の見積りを行っていません。十分な過去実績を基に将来のポイント利用率を見積もった際には、費用の戻入や引当金の取崩しが生じる可能性があります。
上記以外の「dポイント」及び法人のお客さまに対する「ドコモポイント」に係る引当金は、過去実績に基づき将来のポイント利用率等の見積りを行っています。実際のポイント利用率が当初見積りよりも多い場合などにおいて、将来において追加的な費用の計上や引当金の計上を実施する必要が生じる可能性があります。当連結会計年度末におけるポイントプログラム引当金の算定において、その他全ての仮定を一定としたままで、ポイント利用率が1%上昇したことによる引当金の影響は軽微です。
(f)年金債務
当社グループは、従業員非拠出型年金制度を設けており、ほぼ全従業員を加入対象としています。当社グループは、従来、従業員非拠出型年金制度として確定給付年金制度を採用していましたが、2014年4月1日以降の積立分について確定拠出年金制度を導入しました。なお、2014年3月31日以前の積立分は、引き続き確定給付年金制度として維持します。
また、従業員拠出型確定給付年金制度であるNTTグループの企業年金基金制度にも加入しています。
年金費用及び年金債務の数理計算にあたっては、割引率、年金資産の長期期待収益率、長期昇給率、平均残存勤務年数等の様々な判断及び見積りに基づく仮定が必要となります。その中でも割引率及び年金資産の長期期待収益率を数理計算上の重要な仮定であると考えています。割引率については、償還期間が年金給付の見積り期間と同じ期間に利用可能な格付けの高い固定利付債券の市場利子率に基づいて適正な率を採用しています。また、年金資産の長期期待収益率については、現在及び将来の年金資産のポートフォリオや、各種長期投資の過去の実績利回りの分析を基にした期待収益とリスクを考慮して決定しています。これらの仮定について、当社グループは毎年検討を行っているほか、重要な影響を及ぼすことが想定される事象または投資環境の変化が発生した場合にも見直しの検討を行っています。
当連結会計年度末及び前連結会計年度末における予測給付債務を決める際に用いられた割引率、ならびに当連結会計年度及び前連結会計年度における年金資産の長期期待収益率は、次のとおりです。
当社グループの従業員非拠出型確定給付年金制度の予測給付債務は、当連結会計年度末で2,206億円、前連結会計年度末で2,269億円でした。当社グループの従業員に係る数理計算を基礎として算出されたNTT企業年金基金制度の予測給付債務は、当連結会計年度末で1,506億円、前連結会計年度末で1,536億円でした。予測給付債務は、その実績との差異及び仮定の変更により大きく変動する可能性があります。仮定と実績との差異に関しては、米国会計基準に基づき、その他の包括利益累積額として認識された年金数理上の差異のうち、予測給付債務または年金資産の公正価値のいずれか大きい方の10%を超える額が、従業員の予測平均残存勤務期間にわたって償却されます。
当社グループの従業員非拠出型確定給付年金制度及びNTT企業年金基金制度において、その他全ての仮定を一定としたままで、当連結会計年度末の割引率及び年金資産の長期期待収益率を変更した場合の状況を示すと次のとおりです。
(単位:億円)
年金債務算定上の仮定及び確定拠出年金制度等の導入については、連結財務諸表注記17をあわせてご参照下さい。
(g)収益の認識
当社グループは、契約事務手数料収入等を繰り延べ、契約者の見積平均契約期間にわたって収益を認識する方針を採用しています。関連する直接費用も、契約事務手数料収入等の額を上限として、同期間にわたって繰延償却しています。収益及びサービス原価の計上額は、契約事務手数料等及び関連する直接費用、ならびに計上額算定の分母となる契約者との予想契約期間によって影響を受けます。収益及び費用の繰延を行うための契約者の予想契約期間の見積りに影響を与える要因としては、解約率、新たに導入されたまたは将来導入が予想され得る競合商品、サービス、技術等が挙げられます。現在の償却期間は、過去のトレンドの分析と当社グループの経験に基づき算定されています。当連結会計年度及び前連結会計年度において、それぞれ342億円、328億円の契約事務手数料収入等及び関連する直接費用を計上しました。当連結会計年度末及び前連結会計年度末の繰延契約事務手数料収入等は、1,265億円及び1,099億円となっています。
②最近公表された会計基準
顧客との契約から生じる収益
2014年5月28日、米国財務会計基準審議会(Financial Accounting Standards Board、以下「FASB」)は、会計基準アップデート(Accounting Standards Update、以下「ASU」)2014-09「顧客との契約から生じる収益」を公表しました。当該基準は、企業が、約束した財又はサービスの顧客への移転の対価として権利を得ると見込んでいる金額を認識することを要求しています。当該基準が適用になると、現在の米国会計基準の収益認識に係るガイダンスのほとんどが当該基準の内容に置き換わります。また、2016年3月にASU2016-08「本人か代理人かの検討(収益の総額表示か純額表示)」、2016年4月にASU2016-10「履行義務の識別及びライセンス付与」、2016年5月にASU2016-12「限定的な改善及び実務上の処理」、2016年12月にASU2016-20「顧客との契約から生じる収益-技術的な修正及び改善」、2017年2月にASU2017-05「資産の認識中止ガイダンスの範囲及び非金融資産の部分的な売却の会計処理の明確化」が公表となり、当該基準の一部が修正されています。
2015年8月12日、FASBはASU2015-14「顧客との契約から生じる収益-適用日の延期」を公表し、当該基準の適用を1年延期しました。このため、当該基準は、当社グループにおいて2018年4月1日に開始する連結会計年度から適用されます。なお、2017年4月1日に開始する連結会計年度からの早期適用も認められています。また、当該基準には完全遡及アプローチと修正遡及アプローチの2つの移行方法が認められています。完全遡及アプローチは、表示する過去の各報告期間に遡及適用する方法であり、累積的影響は最も古い報告期間の利益剰余金の期首残高の修正として認識されます。修正遡及アプローチは、適用開始日の属する事業年度以降に適用する方法であり、累積的影響は適用開始日の属する事業年度の利益剰余金の期首残高の修正として認識されますが、当該基準の適用に伴う影響額の開示が必要となります。当社グループは、当該基準適用時の移行方法の選択はまだ実施していません。当社グループの連結財務諸表及び関連する注記に与える影響について、現在検討しています。当該基準適用による収益に対する影響は、契約の条件、割引を含む取引価格、財又はサービスの組合せなどを含みますがこれらに限られない、様々な変動的な要素によって影響を受けます。現在、全ての潜在的な影響について引き続き評価を行っていますが、主に以下の項目に重要な影響が及ぶと考えています。
・ 当該基準では、契約獲得の増分コスト及び契約履行コストを資産計上することを要請しています。これにより、従来、費用計上していた一部の代理店手数料等を追加的に資産計上し、サービス毎に契約者の見積平均契約期間にわたって償却することになります。当連結会計年度において、現行の会計基準に基づき計上された代理店手数料は3,208億円であり、主に連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」に計上されています。
・ 当該基準では、企業が顧客との契約の一部として、企業から追加的な財またはサービスを割引価格で購入できるオプションを顧客に付与した場合は、オプションを付与した時点では別個の履行義務として識別し、取引対価の一部を契約負債として認識し、将来の財またはサービスが顧客に移転した時点、または行使期限が終了した時点で収益を認識することが要請されています。これにより、従来、連結会計年度末において引当金を計上していた「ドコモポイント」及び「dポイント」について、ポイントを付与した時点で、モバイル通信サービス等の取引対価の一部を契約負債として計上し、ポイントが行使され、追加的な財またはサービスが顧客に移転した時点、またはその行使期限が終了した時点で収益が認識されることになります。当連結会計年度において、現行の会計基準に基づき計上されたポイントプログラムに係る費用は943億円であり、連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」に計上しています。
当社グループは、新基準の導入に向け、プロジェクトチームを立ち上げています。当社グループは、新しい収益認識に係る基準の適用に向けて、システムの変更ならびに財務報告プロセス及び関連する内部統制の構築を進めています。
金融資産及び金融負債の認識ならびに測定
2016年1月5日、FASBはASU2016-01「金融資産及び金融負債の認識ならびに測定」を公表しました。当該基準は、金融商品の会計処理及び表示や開示を改善するものであり、持分投資のほとんどを公正価値で測定し、その変動を純損益に認識することを要求しています。当該基準は連結子会社への投資または持分法を適用する投資の会計処理に影響を与えるものではありませんが、公正価値オプションを選択した金融負債の公正価値の変動の認識ならびに金融商品の表示及び開示を大幅に変更するものです。当該基準は、当社グループにおいて2018年4月1日に開始する連結会計年度から適用されます。当社グループは、当該基準の適用による影響について、現在検討しています。
リース
2016年2月25日、FASBはASU2016-02「リース」を公表しました。当該基準は原則として、すべてのリースの借手に対し、使用権資産とリース負債の計上を要求しています。当該基準は、当社グループにおいて2019年4月1日に開始する連結会計年度から適用されます。当社グループは、当該基準の適用による影響について、現在検討しています。
営業権の減損テストの簡略化
2017年1月26日、FASBはASU2017-04「営業権の減損テストの簡略化」を公表しました。当該基準は、営業権の減損テストの第二段階の手続きを削除し、報告単位の公正価値と営業権を含む帳簿価額を比較し、報告単位の帳簿価額が公正価値を上回っている金額を減損損失として計上することを要求しています。当該基準は、当社グループにおいて2020年4月1日に開始する連結会計年度から適用されます。なお、2017年1月2日以降を基準日とする減損テストからの早期適用も認められています。当社グループは、当該基準の適用による影響について、現在検討しています。
本考察にはリスク、不確実性、仮定を伴う将来に関する記述を含んでいます。将来の記述は本有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、実際の結果は、将来に関する記述の内容とは大幅に異なる可能性があります。その主な要因については「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載されていますが、それらに限定されるものではありません。
本考察においては、以下の項目を分析しています。
(1) 営業成績
①市場の動向
②当連結会計年度の業績
③セグメント情報
④営業活動の動向及び翌連結会計年度の見通し
(2) 流動性及び資金の源泉
①資金需要
②資金の源泉
(3) 会計方針に関する事項
①最重要な会計方針及び見積り
②最近公表された会計基準
(1) 営業成績
当社グループは、国内最大の移動通信事業者であり、当連結会計年度末において、国内の携帯電話契約数の46.0%に相当する総計7,488万の契約を有しています。当社グループは主として携帯電話サービス及び携帯電話サービスのための端末機器販売を収益及びキャッシュ・フローの源泉にしています。収益の大部分を占める携帯電話サービスにおいては、音声通話サービス、パケット通信によるデータ通信サービスを提供しています。携帯電話サービス、端末機器の販売に加えて、光ブロードバンドサービス、衛星電話サービス、国際サービスなどの通信事業を行っています。また、スマートライフの実現に向け、動画配信サービス・音楽配信サービス及び電子書籍サービス等のdマーケットを通じたサービス、金融・決済サービス、ショッピングサービス、生活関連サービスなどのスマートライフ事業を行っています。その他、ケータイ補償サービス、システムの開発・販売及び保守受託などの事業を行っています。
①市場の動向
以下では、市場、技術・サービス、規制の観点から情報通信市場の動向を分析します。
市場
社団法人電気通信事業者協会の発表によれば、国内の移動通信市場は引き続き拡大し、当連結会計年度における携帯電話の契約純増数は625万契約となり、当連結会計年度末の総契約数は1億6,273万契約、人口普及率は約128%となりました。人口普及率の高まりと将来の人口の減少傾向に伴い、音声利用を伴う新規契約数の今後の伸びは限定的であると予想されるなか、近年では、タブレット端末やモバイルWi-Fiルーターなどの2台目需要の喚起及び機器組み込み型の通信モジュールなどの新たな市場の開拓や、法人契約の拡大などによる契約者の増加が新規契約数の増加に寄与しており、携帯電話契約数の増加率は、前連結会計年度は2.5%、当連結会計年度は4.0%となりました。
当連結会計年度末において、国内における携帯電話サービスは、当社グループを含むMNOの3グループ及びMNOより通信設備を借り受けているMVNOにより提供されています。これら移動通信事業者は、それぞれの携帯電話サービスを提供するほか、それぞれが提供する携帯電話サービスに対応した携帯電話・通信端末を端末メーカーから購入し、主に販売代理店に販売しています。販売代理店はそれらの端末をお客さまに販売しています。携帯電話サービスにおいては、各MNOグループとも第3世代移動通信システムを発展させた通信規格LTEを導入しており、第3世代からの移行も含めLTEの利用者は急速に拡大しています。当社グループのLTE(Xi)サービス契約数は、当連結会計年度末においては4,454万契約と前連結会計年度末の3,868万契約から大きく増加しました。当社グループでは、LTE(Xi)サービスの契約数の拡大傾向は今後も継続するものと予想しています。
国内移動通信市場では、スマートフォン利用の拡大、お客さまの多様なニーズに対応した様々なパケット料金プランの提供や高速データ通信サービスの普及などを背景としてデータ通信利用が増大しているほか、スマートフォン向けコンテンツ・アプリケーションなど新たな市場が拡大しています。その一方で、総務省の競争促進政策による接続料の低廉化等に伴い、MVNOが躍進していることに加え、他MNOによるサブブランドの展開により競争が激化しています。さらに、スマートフォンやタブレット端末等のオープンプラットフォーム端末の普及拡大に伴い、OTT事業者等による競争力のあるサービスなども提供されるなど、今後も厳しい競争環境は継続していくと想定しています。
国内固定通信市場では、2015年2月より東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社が提供する光アクセスのサービス卸を開始したことから、通信事業者のみならず、多様なプレーヤーによる光ファイバーを活用したサービスの提供が可能になり、これまでの固定通信市場の枠を超えた更なる競争の激化が進みました。当社グループにおいては、2015年3月より光ブロードバンドサービス「ドコモ光」及び「ドコモ光パック」を提供開始し、移動通信と固定通信とを組み合わせた新たな付加価値を提供しており、「ドコモ光」の契約数は当連結会計年度末には340万契約となりました。
また、AI、IoT及びドローン等の技術の発展や、共通ポイントサービス等による各社のお客さま接点の拡大に伴い、異業種からの新たなプレーヤーとの競争・協業等が活発化し、従来の通信市場の枠を超えた新たな市場での競争が加速するものと予想しています。
こうした市場環境の変化の中、当社グループは当連結会計年度を利益回復から「さらにその先へ向かう躍動の年」と位置付け、事業運営にあたっては、お客さまへの更なる価値提供に向け、世の中の様々なパートナーの皆さまとのコラボレーションを進化させて新たな付加価値を協創する「+d」を軸に、「通信事業の強化」「スマートライフ領域の発展」を両輪とした取組みを進めてきました。
技術・サービス
スマートフォンやタブレット端末、PC向けデータ端末の普及拡大やコンテンツのリッチ化に伴い、移動通信ネットワークのトラフィックは、年々増加しています。当社グループは、ネットワーク基盤の強化に取り組んでおり、通信設備の増強を図るとともに、より周波数利用効率のよいLTE-Advanced※1を中心としたネットワーク容量の拡大等の対策を講じることで、安定した通信品質を提供しています。当社グループは、LTE-Advancedを用いたサービス「PREMIUM 4G」のエリアを当連結会計年度末で全国1,421都市に拡大するとともに、2017年3月には2つの新技術「256QAM※2」と「4×4MIMO※3」により受信時最大682Mbpsの国内最速の通信サービスを国内一部エリアで開始しました。今後も、MIMOの高度化等により快適な通信サービスの提供に取り組んでいきます。また、2020年を目標とする第5世代移動通信方式(5G)のサービス提供に向けて、5Gの特長である高速・大容量通信や低遅延、超多数の端末接続を活用した新たなサービス・コンテンツを鉄道業界、自動車業界、放送業界等におけるパートナーの皆さまと幅広く連携して開発していきます。さらに、お客さまに体験いただける環境「5Gトライアルサイト」を2017年5月より提供開始しました。
国内移動通信市場における料金競争が激化する中、当社グループは、高度で多様なサービスの提供及び当社グループの契約者の利便性向上を目的として、2014年6月より国内音声通話定額サービス、パケット(データ)通信量を家族で分けあえるサービス、ご利用年毎に応じた割引サービス、25歳以下のお客さまを応援する割引サービスの4つを柱とした料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」の提供を開始しました。2016年6月より、長くご利用のお客さまがよりおトクになるよう、2年定期契約満了後の解約金のあり・なしをお客さまにお選びいただける2つのコース「フリーコース」と「ずっとドコモ割コース」の新設、「ずっとドコモ割」の更なる拡充、「更新ありがとうポイント」の提供を開始しました。2016年9月より、データ通信のご利用が多いお客さま向けに、「ウルトラパック」の提供を開始しました。2016年10月より、LTE対応のドコモ ケータイをご利用のお客さま向けに、5分以内の国内音声通話であれば定額でご利用いただける「カケホーダイライトプラン(ケータイ)」及び2段階パケット定額プラン「ケータイパック」の提供を開始しました。また、2016年11月より、キッズケータイをご利用のお客さま向けに「キッズケータイプラス」の提供を開始しました。さらに、2017年1月より、データ通信のご利用が少ないお客さま向けに、「カケホーダイライトプラン(スマホ/タブ)」に「データSパック」の適用を開始し、2017年5月より、家族通話を中心にご利用のお客さま向けの基本プランとして「シンプルプラン」及び新たなシェアパックとして「ウルトラシェアパック30」を追加しました。1つの端末を長くお使いになるお客さま向けの料金プランとして、2017年6月より、対象端末をご購入いただくことで毎月1,500円を月々のご利用料金から割り引く「docomo with」の提供を開始しました。
「ドコモ光」の更なる普及拡大のため、2016年4月には固定電話サービスである「ドコモ光電話」とテレビ視聴サービスである「ドコモ光テレビオプション」、2016年12月には提携するケーブルテレビ事業者の卸FTTHサービス※4とインターネット接続サービスをセットでご利用いただける「ドコモ光 タイプC」の提供を開始しました。また、2017年2月にはインターネット接続設定やWi-Fi設定などの遠隔サポートが受けられる機能を搭載したWi-Fiホームルーター「ドコモ光ルーター 01」を発売しました。同時にインターネットの様々な脅威から守るセキュリティサービス「光ルーターセキュリティ」の提供も開始しました。これにより、お客さまが「ドコモ光」を簡単、便利に安心してご利用いただけるようサービスを拡充しました。
当社グループは、上記の通信事業の競争力強化に留まらず、スマートライフ領域の成長に向けた取組みを加速しています。具体的にはdマーケットにおけるサービスの拡充及びサービスのコンテンツ充実等に取り組みました。2016年4月には健康に関するサービスを提供する「dヘルスケアパック」、2016年7月には暮らしに役立つメニューを提供する「dリビング」を開始しました。その結果、dマーケット契約数は、当連結会計年度末において1,608万契約となりました。さらに、2017年夏にはレジャー、スポーツ、グルメ等の5万件以上あるサービスの優待が受けられる「dエンジョイパス」、2017年秋には「求人情報」やスマートフォン等を利用して短時間でできる「スマホワーク」の仕事情報を提供する「dジョブ」を開始いたします。「dジョブ」は、アルバイト、派遣社員、正社員の「求人情報」からクラウドソーシング及びWEBアンケート等の「スマホワーク」まで、幅広い仕事情報をスマートフォン、タブレット及びPCから検索、応募できる仕事探しの新たなプラットフォームです。「dカード」普及に向けた取組みとして、2016年10月よりクレジットカードサービス「dカード」及び非接触決済サービス「iD」において、Apple Inc.が提供するApple Payへの対応を開始しました。スマートライフ実現に向けた新たな取組みとして、2017年2月よりPerform Groupと協力して、国内外の人気スポーツがライブやオンデマンドで見放題となるサービス「DAZN(ダ・ゾーン) for docomo」の提供を開始しました。「+d」の取組みとして、2017年3月より日本マクドナルド株式会社が展開するマクドナルド全店舗で「dポイント」をご利用可能とする等、「dポイント」の利便性向上を目的とした取扱い店舗の拡大に努めました。その結果、「+d」の提携パートナー数は、前連結会計年度末の106社から当連結会計年度末の236社まで拡大しました。
※1 3GPPで標準化が進められている、LTEと技術的な互換性を保ちつつさらに高度化した移動通信方式。
※2 Quadrature amplitude modulationの略。無線塔で用いられるデジタル変調方式の一つ。変換された後の波の振幅と位相の両方を使って情報を表現するため、限られた帯域幅で効率よくデータを転送することが可能。
※3 Multiple Input Multiple Outputの略。データの送信側(基地局)と受信側(端末)でそれぞれ4本のアンテナを搭載し、複数のデータを同時に送受信することでスループット値の向上を図る技術。
※4 Fiber To The Homeの略。東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社、ケーブルテレビ事業者等の光回線を卸サービスとして提供を受け、自社サービスと光回線等を組み合わせてサービスを提供するモデル。
規制
当社グループを含む国内のMNOは、無線周波数を政府機関より割り当てられており、電気通信事業法や電波法等による規制を受けていますが、近年、国内の移動通信業界は、多くの分野で規制改革が進んでおり、2016年5月より改正電気通信事業法が施行されました。本改正法においては、移動通信事業者のうち、当社のみ課せられていた禁止行為規制が大幅に緩和され、当社は他移動通信事業者同様、様々なパートナーとの自由な協業が認められることとなりました。他方、本改正法においては、消費者保護を目的とした各種ルールが改正・新規導入されることとなりました。消費者保護政策は当社のみならず電気通信事業者全体に対する規定であり、各社とも本規定に基づく消費者対応が求められることとなります。今後、規制環境の変化がさらに進んだ場合、当社グループを含む移動通信業界の収益構造やビジネスモデルが大きく変化する可能性があります。
以上のように、市場環境、規制、ビジネスモデルの変化の点などから、当社を取り巻く環境は厳しい状況ではありますが、引き続き競争力強化及び利益拡大に向けて取り組んでいます。
②当連結会計年度の業績
以下では、当連結会計年度の業績についての分析をしています。次の表は、当連結会計年度と前連結会計年度の連結損益計算書から抽出したデータ及びその内訳を表しています。
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 2015年4月1日から 2016年3月31日まで | 当連結会計年度 2016年4月1日から 2017年3月31日まで | 増減 | 増減率(%) | |
| 営業収益: | ||||
| 通信サービス | 2,815,507 | 2,985,094 | 169,587 | 6.0 |
| モバイル通信サービス収入 | 2,767,591 | 2,843,962 | 76,371 | 2.8 |
| 音声収入(1) | 849,440 | 875,203 | 25,763 | 3.0 |
| パケット通信収入 | 1,918,151 | 1,968,759 | 50,608 | 2.6 |
| 光通信サービス及びその他の 通信サービス収入 | 47,916 | 141,132 | 93,216 | 194.5 |
| 端末機器販売 | 860,486 | 719,161 | △141,325 | △16.4 |
| その他の営業収入 | 851,091 | 880,297 | 29,206 | 3.4 |
| 営業収益合計 | 4,527,084 | 4,584,552 | 57,468 | 1.3 |
| 営業費用: | ||||
| サービス原価 | 1,248,553 | 1,335,457 | 86,904 | 7.0 |
| 端末機器原価 | 881,471 | 792,145 | △89,326 | △10.1 |
| 減価償却費 | 625,934 | 452,341 | △173,593 | △27.7 |
| 減損損失(2) | 17,683 | 12,205 | △5,478 | △31.0 |
| 販売費及び一般管理費(2) | 970,419 | 1,047,666 | 77,247 | 8.0 |
| 営業費用合計 | 3,744,060 | 3,639,814 | △104,246 | △2.8 |
| 営業利益 | 783,024 | 944,738 | 161,714 | 20.7 |
| 営業外損益(△費用) | △5,003 | 4,825 | 9,828 | - |
| 法人税等及び持分法による投資損益 (△損失)前利益 | 778,021 | 949,563 | 171,542 | 22.0 |
| 法人税等 | 211,719 | 287,679 | 75,960 | 35.9 |
| 持分法による投資損益(△損失)前利益 | 566,302 | 661,884 | 95,582 | 16.9 |
| 持分法による投資損益(△損失) | △5,060 | △11,273 | △6,213 | △122.8 |
| 当期純利益 | 561,242 | 650,611 | 89,369 | 15.9 |
| 控除:非支配持分に帰属する当期純損益 (△利益) | △12,864 | 1,927 | 14,791 | - |
| 当社に帰属する当期純利益 | 548,378 | 652,538 | 104,160 | 19.0 |
(1) 回線交換によるデータ通信を含んでいます。
(2) 営業権及び非償却対象の無形固定資産に係る減損損失は、従来、連結損益計算書において「販売費及び一般管理費」に含めていましたが、当連結会計年度より「減損損失」に計上しています。これに伴い、上記表中においても、前連結会計年度の「減損損失」を当連結会計年度の表示方法に合わせる組替を行っています。
当連結会計年度における業績の分析と前連結会計年度との比較
当連結会計年度の営業収益は、前連結会計年度の4兆5,271億円から575億円(1.3%)増加して4兆5,846億円になりました。通信サービス収入は、2兆9,851億円と前連結会計年度の2兆8,155億円に比べて1,696億円(6.0%)増加しました。通信サービス収入のうち、モバイル通信サービス収入は、2兆8,440億円と前連結会計年度の2兆7,676億円に比べて764億円(2.8%)増加しました。モバイル通信サービス収入のうち音声収入は、前連結会計年度の8,494億円から8,752億円へと258億円(3.0%)増加しました。これは、料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」への移行拡大に伴う国内音声通話定額サービスへの加入増による増収影響が「月々サポート」による割引の拡大に伴う減収影響を上回ったことによるものです。なお、「月々サポート」とは一定の契約条件を満たしたスマートフォンやタブレット端末等をご利用のお客さまを対象にご購入の機種に応じた一定額を毎月のご利用料金から、最大24ヶ月割り引くサービスです。パケット通信収入は、前連結会計年度の1兆9,182億円から1兆9,688億円へと506億円(2.6%)増加しました。この増加は、スマートフォン利用の増加に加え、タブレット端末の販売促進による2台目需要の増加及び「カケホーダイ&パケあえる」の上位プランへの移行が進んだことに伴う増収影響によるものです。当連結会計年度のLTE(Xi)サービス契約数は4,454万契約となり、スマートフォン及びタブレットの販売数は1,503万台となりました。光通信サービス及びその他の通信サービス収入は1,411億円と、前連結会計年度の479億円に比べて932億円(194.5%)増加しました。この増加は、2015年3月に提供を開始した「ドコモ光」において、当連結会計年度に契約数が大幅に増加したことによるものです。上記により、当連結会計年度の音声ARPUは、前連結会計年度の1,210円から40円(3.3%)増加し1,250円となりました。また、当連結会計年度のパケットARPUは、前連結会計年度の2,910円から80円(2.7%)増加し2,990円となりました。当連結会計年度のドコモ光ARPUは、「ドコモ光」の契約数の大幅な増加に伴う光通信サービス及びその他の通信サービス収入の増加により、前連結会計年度の50円から140円(280.0%)増加し190円となりました。
端末機器販売収入は、前連結会計年度の8,605億円から1,413億円(16.4%)減少して7,192億円になりました。これは、販売単価の低いスマートフォン及びタブレット端末の割合が増加したことに加え、販売代理店への卸売販売数が減少したことによるものです。
その他の営業収入は、前連結会計年度の8,511億円から8,803億円へと292億円(3.4%)増加しました。その他の営業収入には、主に、ショッピングサービスによる収入、生活関連サービスによる収入、ケータイ補償サービス等による収入、dマーケットから得られる収入、クレジットサービス収入などが含まれています。主な増加要因は、ケータイ補償サービスの契約数の増加により収入が増加したことに加え、「dカード」等のクレジットサービスの取扱高が拡大したこと及びdマーケットの月額課金ユーザの契約数増加によりdマーケットを通じて得られる関連収入が増加したことなどによるものです。
営業費用は、前連結会計年度の3兆7,441億円から3兆6,398億円へと1,042億円(2.8%)減少しました。
お客さまに通信サービスや子会社におけるサービスを提供するために直接的に発生する費用であるサービス原価は、「ドコモ光」、dマーケット及びケータイ補償サービス等の新たな成長分野での収益増加に連動したサービス原価の増加により、前連結会計年度の1兆2,486億円から1兆3,355億円へと869億円(7.0%)増加しました。
新規のお客さま及び既存のお客さまへの販売を目的として、当社グループが販売代理店等に卸売するために仕入れた端末機器の購入原価である端末機器原価は、仕入単価の低いスマートフォン及びタブレット端末の割合が増加したことに加え、販売代理店への卸売販売数が減少した影響により、前連結会計年度の8,815億円から7,921億円へ893億円(10.1%)減少しました。
減価償却費は、前連結会計年度の6,259億円から1,736億円(27.7%)減少して4,523億円になりました。これは、有形固定資産の減価償却方法として、従来、建物は定額法を、それ以外の資産は定率法を採用していましたが、2016年4月1日より全て定額法に変更したことによるものです。
減損損失は、前連結会計年度の177億円から122億円と55億円(31.0%)減少しました。前連結会計年度においては、主に前連結会計年度に取得した携帯端末向けマルチメディア放送に係る事業資産の減損であり、当連結会計年度における減損損失は、主に子会社に係る報告単位の営業権の減損です。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度の9,704億円から1兆477億円と772億円(8.0%)増加しました。販売費及び一般管理費は、販売代理店へ支払う手数料や「dポイント」関連費用等の新規契約の獲得及び既存契約の維持に関する費用が主な構成要素です。「dポイント」に関する費用の増加及び「ドコモ光」の新規契約獲得増加に伴う販売代理店に支払う手数料の増加などにより、販売費及び一般管理費は増加しました。
上記のとおり、サービス原価ならびに販売費及び一般管理費が増加したものの、端末機器原価、減価償却費及び減損損失が減少したことにより、営業費用は前連結会計年度と比べ減少しました。
この結果、当連結会計年度の営業利益は9,447億円となり前連結会計年度の7,830億円から1,617億円(20.7%)増加しました。営業利益率は、前連結会計年度の17.3%から20.6%に上昇しました。
営業外損益には支払利息、受取利息、受取配当金、為替差損益、市場性のある有価証券及びその他の投資の評価損ならびに実現損益などが含まれています。当連結会計年度の営業外損益は48億円となり、前連結会計年度の50億円の損失から利益に転じました。主な要因は、前連結会計年度において連結子会社売却損が131億円発生したものの、当連結会計年度においては発生しなかったことによるものです。
以上の結果、法人税等及び持分法による投資損益前利益は9,496億円となり、前連結会計年度の7,780億円から1,715億円(22.0%)増加しました。
法人税等は、前連結会計年度の2,117億円から760億円(35.9%)増加して2,877億円となりました。これは、主に法人税等及び持分法による投資損益前利益の増加によるものです。当連結会計年度及び前連結会計年度の税負担率はそれぞれ30.3%、27.2%でした。
持分法による投資損益は、前連結会計年度の51億円の損失から62億円(122.8%)損失が拡大し、113億円の損失となりました。当連結会計年度において持分法による投資損失が拡大した主な要因は、香港のHutchison Telephone Company Limitedを減損したことによるものです。
以上の結果、当連結会計年度の当社に帰属する当期純利益は6,525億円となり、前連結会計年度の5,484億円から1,042億円(19.0%)増加しました。
主要な事業データ
上述の当連結会計年度及び前連結会計年度の業績に関連する事業データについては、以下をご参照ください。
| 前連結会計年度 2015年4月1日から 2016年3月31日まで | 当連結会計年度 2016年4月1日から 2017年3月31日まで | 増減 | 増減率 (%) | |
| 携帯電話 | ||||
| 契約数(千契約) | 70,964 | 74,880 | 3,916 | 5.5 |
| LTE(Xi)サービス | 38,679 | 44,544 | 5,865 | 15.2 |
| FOMAサービス | 32,285 | 30,336 | △1,949 | △6.0 |
| (再)カケホーダイ&パケあえる | 29,704 | 37,066 | 7,362 | 24.8 |
| 契約数シェア (%)(1)(2) | 45.3 | 46.0 | 0.7 | - |
| 総合ARPU (円)(3) | 4,170 | 4,430 | 260 | 6.2 |
| 音声ARPU (円)(4) | 1,210 | 1,250 | 40 | 3.3 |
| データARPU (円) | 2,960 | 3,180 | 220 | 7.4 |
| パケットARPU (円) | 2,910 | 2,990 | 80 | 2.7 |
| ドコモ光ARPU(円) | 50 | 190 | 140 | 280.0 |
| MOU(分)(3)(5) | 133 | 137 | 4 | 3.0 |
| 解約率 (%)(2) | 0.62 | 0.59 | △0.03 | - |
(1) 他社契約数については、社団法人電気通信事業者協会が発表した数値を基に算出しています。
(2) 通信モジュールサービス契約数を含めて算出しています。
(3) 通信モジュールサービス、「電話番号保管」、「メールアドレス保管」、「ドコモビジネストランシーバー」ならびにMVNOへ提供する卸電気通信役務及び事業者間接続関連収入及び契約数を含めずに算出しています。
(4) 回線交換によるデータ通信を含んでいます。
(5) MOU(Minutes of Use): 1利用者当たり月間平均通話時間
ARPUの定義
総合ARPU:音声ARPU+パケットARPU+ドコモ光ARPU
音声ARPU:音声ARPU関連収入(基本使用料、通話料)÷稼動利用者数
データARPU:パケットARPU+ドコモ光ARPU
パケットARPU:パケットARPU関連収入(月額定額料、通信料)÷稼動利用者数
ドコモ光ARPU:ドコモ光ARPU関連収入8基本使用料、通話料)÷稼動利用者数
稼動利用者数:当該年度(4月から翌年3月)の「各月稼動利用者数」※の合計
※「各月稼動利用者数」:(前月末利用者数 + 当月末利用者数)÷2
(注)利用者数は、以下のとおり、契約数を基本としつつ、一定の契約数を除外して算定しています。
利用者数=契約数-通信モジュールサービス、「電話番号保管」、「メールアドレス保管」、「ドコモ
ビジネストランシーバー」ならびにMVNOへ提供する卸電気通信役務及び事業者間接続に係る
契約数-Xi契約及びFOMA契約と同一名義のデータプラン契約数
③セグメント情報
概要
当社グループは、事業セグメントの区分を通信事業、スマートライフ事業、その他の事業の3つに分類しています。通信事業には、携帯電話サービス(LTE(Xi)サービス、FOMAサービス)、光ブロードバンドサービス、衛星電話サービス、国際サービス及び各サービスの端末機器販売などが含まれます。スマートライフ事業には、動画配信サービス、音楽配信サービス及び電子書籍サービス等のdマーケットを通じたサービスならびに、金融・決済サービス、ショッピングサービス及び生活関連サービスなどが含まれます。その他の事業には、ケータイ補償サービスならびに、システムの開発、販売及び保守受託などが含まれます。
通信事業
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 2015年4月1日から 2016年3月31日まで | 当連結会計年度 2016年4月1日から 2017年3月31日まで | 増減 | |
| セグメント営業収益 | 3,689,779 | 3,711,156 | 21,377 |
| セグメント営業費用 | 2,980,925 | 2,878,358 | △102,567 |
| セグメント営業利益(△損失) | 708,854 | 832,798 | 123,944 |
通信事業セグメントにおける営業収益は、主に通信サービスの提供及び端末機器の販売によるものです。当連結会計年度における通信事業セグメントの営業収益は、前連結会計年度の3兆6,898億円から214億円(0.6%)増加して3兆7,112億円となりました。通信サービス収入は、2兆9,425億円と前連結会計年度の2兆7,775億円に比べて1,651億円(5.9%)増加しました。通信サービス収入のうち、当連結会計年度における音声通信及びパケット通信による収益であるモバイル通信サービス収入は、2兆8,025億円となり前連結会計年度の2兆7,298億円から727億円(2.7%)増加しました。主な増加要因は、お客さま還元を目的とした「ウルトラパック」の追加及び「カケホーダイライトプラン」の適用が可能なパケットパック対象範囲の拡大によりおトクとなるお客さまの増加による減収影響はあったものの、スマートフォン利用の増加に加え、タブレット端末の販売促進により2台目以降の端末を購入したお客さまによるデータ(パケット)利用の増加及び料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」において月額料金の高い上位プランへのお客さまの移行が進んだことに伴う増収影響が上回ったことによるものです。また、当連結会計年度における光ブロードバンドサービス、衛星電話サービス、海外ケーブルテレビサービス等の収益である光通信サービス及びその他の通信サービス収入は、1,400億円となり、前連結会計年度の476億円から924億円(194.0%)増加しました。主な増加要因は、「ドコモ光」の契約数が大幅に増加したことによるものであり、前連結会計年度末の157万契約から184万契約(117.2%)増加し340万契約となりました。一方、端末機器販売に係る収入については、販売単価の低いスマートフォン及びタブレット端末の割合が増加したことに加え、販売代理店への卸売販売数の減少したことにより、前連結会計年度の8,566億円から1,398億円(16.3%)減少し7,168億円となりました。通信事業セグメントの営業収益がセグメント営業収益合計に占める割合は、当連結会計年度が80.4%、前連結会計年度が81.0%でした。通信事業セグメントの営業費用は、「ドコモ光」の収益増加に連動する他社の通信設備使用料の増加に加え、お客さま還元を目的とした「更新ありがとうポイント」や「ドコモ 子育て応援プログラム」といった「dポイント」に関する費用の増加などがあったものの、有形固定資産の減価償却方法として、従来、建物は定額法を、それ以外の資産は定率法を採用していましたが、2016年4月1日より全て定額法に変更したことによる減価償却費の減少や端末機器原価の減少、継続的なコスト効率化の取組み等により、前連結会計年度の2兆9,809億円から2兆8,784億円と1,026億円(3.4%)減少しました。この結果、当連結会計年度の通信事業セグメントの営業利益は、モバイル通信サービス収入の増加、「ドコモ光」の契約数の増加ならびに減価償却費の減少を含めたネットワーク関連費用の減少により、前連結会計年度の7,089億円から1,239億円(17.5%)増加し、8,328億円となりました。
通信事業における収益及び費用の増減の分析については、前述の「②当連結会計年度の業績」、後述の「④営業活動の動向及び翌連結会計年度の見通し」をあわせてご参照下さい。
スマートライフ事業
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 2015年4月1日から 2016年3月31日まで | 当連結会計年度 2016年4月1日から 2017年3月31日まで | 増減 | |
| セグメント営業収益 | 504,129 | 501,918 | △2,211 |
| セグメント営業費用 | 457,679 | 443,999 | △13,680 |
| セグメント営業利益(△損失) | 46,450 | 57,919 | 11,469 |
当連結会計年度におけるスマートライフ事業セグメントの営業収益は、前連結会計年度の5,041億円から22億円(0.4%)減少して5,019億円となりました。主な減少要因は、dマーケットの月額課金ユーザの契約数増加によりdマーケットを通じて得られる関連収入が増加したことに加え、「dカード」等のクレジットサービスの収入が増加したものの、グループ会社における収益が減少したことによるものです。スマートライフ事業セグメントの営業収益がセグメント営業収益合計に占める割合は、当連結会計年度が10.9%、前連結会計年度が11.1%でした。スマートライフ事業の営業費用は、dマーケットの収益に連動した関連費用が増加したものの、グループ会社の収益に連動した関連費用の減少により、前連結会計年度の4,577億円から4,440億円と137億円(3.0%)減少しました。この結果、当連結会計年度のスマートライフ事業セグメントの営業損益は、前連結会計年度の465億円の営業利益から115億円(24.7%)増加し、579億円の営業利益となりました。
その他の事業
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 2015年4月1日から 2016年3月31日まで | 当連結会計年度 2016年4月1日から 2017年3月31日まで | 増減 | |
| セグメント営業収益 | 359,276 | 400,400 | 41,124 |
| セグメント営業費用 | 331,556 | 346,379 | 14,823 |
| セグメント営業利益(△損失) | 27,720 | 54,021 | 26,301 |
その他の事業の当連結会計年度の営業収益は、前連結会計年度の3,593億円から411億円(11.4%)増加し4,004億円になりました。主な増加要因は、ケータイ補償サービスの契約数が増加したことによる収益の増加に加え、IoTビジネスに関連するサービス収益の拡大等によるものです。その他の事業セグメントの営業収益がセグメント営業収益合計に占める割合は、当連結会計年度が8.7%、前連結会計年度が7.9%でした。営業費用は、前連結会計年度の3,316億円から148億円(4.5%)増加し3,464億円となりました。主な増加要因は、ケータイ補償サービス等の収益に連動した関連費用の増加によるものです。この結果、その他の事業セグメントにおける当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度の277億円から263億円(94.9%)増加して540億円となりました。
④営業活動の動向及び翌連結会計年度の見通し
以下では、当社グループの営業活動について、収益と費用の面からその動向の分析及び、翌連結会計年度の見通しを記載しています。
(a)営業収益:
通信サービス
通信サービス収入は、モバイル通信サービス収入ならびに光通信サービス及びその他の通信サービス収入から構成されます。モバイル通信サービス収入は、携帯電話サービスから得られる収入であり、音声収入とパケット通信収入から構成されます。音声収入は、月額基本使用料及び接続時間に応じて課金される通話料から得られ、パケット通信収入は、月額定額料及びデータ量に応じて課金される通信料から得られます。これらは契約数の動向、お客さまのサービスの利用動向、お客さまに提供する料金割引等の施策などによって影響を受けます。
契約数の増加に向けては、新規契約の獲得と既存契約数の維持が必要となりますが、人口普及率の高まりにより新規契約数の大幅な伸びが望めない一方で、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末及びWi-Fiルーターなど多様な通信端末・サービスのニーズへの対応が求められています。また、スマートフォンの普及によるデータ通信利用の拡大に伴い、通信の高速化も求められており、当社グループはこうした新たな市場ニーズを捉え、LTE(Xi)サービスの利用者拡大に向けたスマートフォンの販売やLTEネットワークの拡充等に積極的に取り組んだ結果、当連結会計年度末のLTE(Xi)サービスの契約数は、前連結会計年度末に比べ15.2%増加し、4,454万契約となりました。
一方、既存契約の他社への流出を抑制し、これを維持することは当社グループにとって重要な事業課題であり、課題達成を図る指標として解約率を重視しています。解約は契約数に影響を与える要因の一つであり、特に契約純増数を大きく左右します。料金値下げやその他のお客さま誘引施策等による解約率低下に向けた取組みは、純増数の増加により収益の増加につながる可能性がある反面、契約当たりの平均収入の減少や費用の増加により、利益に対してマイナスの影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、競争力の強化に向けて2014年6月より料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」の提供を開始するとともに、2015年3月より光ブロードバンドサービス「ドコモ光」及び「ドコモ光パック」の提供を開始しました。また、LTEサービスによるネットワークの進化、高機能で魅力的なデバイス(端末)の提供などを進めてきた結果、当社グループにおける解約率は、前連結会計年度は0.62%、当連結会計年度は0.59%と低い水準を維持しています。今後も他社への流出抑止に向け、料金プランの充実や「ドコモ光」とのセット販売によるお客さまの囲い込み、ネットワークやサービスの拡充による他社との差異化などの、解約率低減に向けた取組みを行います。
これらの取組みの結果、当連結会計年度における契約数は5.5%増加しました。翌連結会計年度における契約数についても、新たな市場ニーズの開拓に努め、LTE(Xi)サービス利用者拡大に向けてスマートフォンの販売やLTE/LTE-Advancedネットワークの拡充等を積極的に取り組むことにより、引き続き増加するものと予想しています。
モバイル通信サービス収入については、お客さま還元を目的とした「ウルトラパック」の追加及び「カケホーダイライトプラン」の適用が可能なパケットパック対象範囲の拡大による減収影響はあったものの、スマートフォン利用の増加に加え、タブレット端末の販売促進による2台目需要の増加及び「カケホーダイ&パケあえる」の上位プランへの移行が進んだことに伴う増収影響が上回ったことにより、当連結会計年度は前連結会計年度に比べ増加しました。
料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」は、国内音声通話定額サービス、パケット(データ)通信量を家族で分けあえるサービス、ご利用年毎に応じた割引サービス、25歳以下のお客さまを応援する割引サービスの4つを柱とした料金プランであり、2014年6月より提供開始しました。「カケホーダイ&パケあえる」は提供開始から好評いただいており、当連結会計年度末は3,707万契約となりました。サービス開始当初は、「カケホーダイ&パケあえる」への移行によっておトクになるお客さまが想定を大きく上回るスピードで移行したことにより、減収影響が発生しました。前連結会計年度においては、「カケホーダイ&パケあえる」への移行によりおトクになるお客さまの移行が鈍化したことによる音声収入の下げ止まりや、月額料金の高い上位プランへの移行の取組みによるパケット通信収入の増収影響により、「カケホーダイ&パケあえる」による減収影響は縮小しました。当連結会計年度においては、月額料金の高い上位プランへの移行に向け引き続き積極的に取り組むことによる増収影響は拡大した一方、お客さま還元の強化による減収影響が発生しました。翌連結会計年度においては、お客さま還元の強化を目的とした取組みによる減収影響が、月額料金の高い上位プランへの移行による増収影響を上回ると考えています。
モバイル通信サービス収入のうち、音声収入はお客さまの「カケホーダイ&パケあえる」への移行が進んだことによる増収影響により、前連結会計年度と比較して3.0%増加しています。翌連結会計年度においては、お客さま還元の強化による減収影響が拡大するものの、「月々サポート」による割引影響が縮小することにより、音声収入は増加するものと見込んでいます。
パケット通信収入は、タブレット端末の販売促進による2台目需要の増加及び「カケホーダイ&パケあえる」の上位プランへの移行が進んだことに伴う増収影響により、前連結会計年度と比較して2.6%増加しています。当社は、スマートフォン利用の増加に加え、タブレット端末の販売促進による2台目需要の増加及び月額料金の高い上位プランへの移行に向け引き続き取り組むことにより増収を見込んでいるものの、お客さま還元の強化による減収影響の拡大により、翌連結会計年度におけるパケット通信収入は横ばいになると予想しています。パケット通信収入のモバイル通信サービス収入に占める割合は高い水準で推移し、前連結会計年度は69.3%、当連結会計年度は69.2%を占めています。
2016年4月に施行され、2017年2月に改定された総務省による「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」により、市場における競争軸は端末価格ではなく、通信・サービスが中心となってくると想定しています。また、当社グループは、お客さまの多様なニーズに応えるため、2016年6月に長期契約者向けの割引を拡充し、2016年9月に新たな大容量パケットパックを追加するなど「カケホーダイ&パケあえる」の更なる充実を図ってきました。翌連結会計年度においては、これらの対応により、減収影響が発生すると見込んでいますが、リテンション強化による回線解約の減少が見込まれることやコスト効率化等により減収影響は吸収可能であると考えています。
光通信サービス及びその他の通信サービス収入は、光ブロードバンドサービス、衛星電話サービス、海外ケーブルテレビサービス及びその他の通信サービスから得られる収入です。2015年3月より、最大1Gbpsの高速通信をご利用いただける光ブロードバンドサービス「ドコモ光」と、スマートフォン・ドコモ ケータイと「ドコモ光」をまとめておトクな料金でご利用いただける「ドコモ光パック」の提供を開始しました。移動通信と固定通信を組み合わせた新たな付加価値を提供することにより、光ブロードバンドサービスの月額料金から得られる収入のみならず、携帯電話サービス契約の新規獲得及び解約抑止効果があるものと考えています。「ドコモ光」の更なる普及拡大のため、2016年4月には固定電話サービスである「ドコモ光電話」とテレビ視聴サービスである「ドコモ光テレビオプション」、2016年12月には提携するケーブルテレビ事業のサービスとインターネット接続サービスをセットでご利用いただける「ドコモ光 タイプC」の提供を開始しました。また、2017年2月にはインターネット接続設定やWi-Fi設定等の遠隔サポートが受けられる機能を搭載したWi-Fiホームルーター「ドコモ光ルーター 01」を発売し、同時にインターネットの様々な脅威から守るセキュリティサービス「光ルーターセキュリティ」の提供も開始しました。光通信サービス及びその他の通信サービス収入は、「ドコモ光」の契約数の増加により、前連結会計年度と比較し194.5%増加しています。翌連結会計年度の光通信サービス及びその他の通信サービス収入は、「ドコモ光」の契約数の増加傾向が続くことから、増加するものと見込んでいます。
当社グループは、1利用者当たりの各サービスにおける平均的な月間営業収益を計るための指標として、ARPU(Average monthly Revenue Per Unit、1利用者当たり月間平均収入)を用いており、音声ARPU、パケットARPU及びドコモ光ARPUで構成されています。ARPUは利用者の各月の平均的な利用状況、及び当社グループによる料金設定変更の影響を分析する上で一定程度、有用な情報を提供すると考えています。音声ARPUについては、お客さま還元の強化による減収影響が拡大するものの、「月々サポート」による割引影響が縮小することに伴い、翌連結会計年度においては増加するものと見込んでいます。パケットARPUについては、スマートフォン利用の増加に加え、タブレット端末の販売促進による2台目需要の増加及び月額料金の高い上位プランへの移行の取組みにより増加傾向が続いていましたが、お客さま還元の強化による減収影響が拡大することに伴い、翌連結会計年度においては横ばいになると見込んでいます。ドコモ光ARPUについては、「ドコモ光」の契約数の更なる増加により、翌連結会計年度において増加すると見込んでいます。
端末機器販売
当社グループは、提供する携帯電話サービスに対応した通信端末を端末メーカーから購入し、お客さまへの販売を行う販売代理店に対して主に販売しています。
当社グループは、お客さまが販売代理店等から端末機器を購入する際に、端末機器代金の分割払いを選択するオプションを提供しています。お客さまが分割払いを選択した場合、当社グループはお客さま及び販売代理店等と締結した契約に基づき、お客さまに代わって端末機器代金を販売代理店等に支払い、立替えた端末機器代金を分割払いの期間にわたり、毎月の通話料金と合わせて直接お客さまに請求します。なお、この契約は、当社グループとお客さまとの間で締結する携帯電話サービスに関する契約及び販売代理店等とお客さまの間で行われる端末機器売買とは別個の契約です。端末機器販売に係る収益は、端末機器を販売代理店等に引渡した時点で認識され、お客さまからの資金回収は立替代金の回収であるため、端末機器販売収入を含む当社グループの収益に影響を与えません。
当社グループは、米国会計基準に従い、販売代理店に支払う販売手数料及びお客さまに対するインセンティブの一部を端末機器販売収入から減額する会計処理を行っています。端末機器販売収入については、当連結会計年度において、販売単価の低いスマートフォン及びタブレット端末の割合が増加したことに加え、販売代理店への卸売販売数が減少したことから、端末機器販売収入は前連結会計年度に比べ16.4%減少しました。
翌連結会計年度において、政府の競争促進政策及びMVNOをはじめとした格安スマートフォンの台頭等に伴う競争環境の変化により、端末機器販売収入から減額する販売手数料等は減少すると見込んでいます。これにより、端末機器販売収入は増加すると見込んでいます。
端末機器販売の動向が営業利益に与える影響については端末機器原価とも密接に関係しますので、後述の「端末機器原価」をあわせてご参照下さい。
その他の営業収入
その他の営業収入には、主に、ケータイ補償サービス、dマーケット及びクレジットサービス等のスマートライフ領域から得られる収入などが含まれています。当社グループは様々な企業との提携を通じたスマートライフ領域の拡大をめざしており、翌連結会計年度においても、引き続きスマートライフ領域における収益の拡大をめざしていきます。
ケータイ補償サービスは、毎月一定額をお支払い頂くことにより、携帯電話機の水濡れや紛失などのトラブルに対し、お電話いただくだけで同一機種・同一カラーの携帯電話をお届けしたり、修理代金をサポートするサービスで、ご利用するお客さまは増えており、これに伴う収入も増加しています。翌連結会計年度においても、引き続きお客さまの利用拡大をめざしていきます。
また、2010年度に開始した当社グループのコンテンツマーケットであるdマーケットを通じて得られる収入が拡大しています。dマーケットとは、動画や音楽、電子書籍などの豊富なデジタルコンテンツや、食品・日用品などの幅広い商品をクラウド上で提供、販売するマーケットであり、映画やドラマを配信する「dTV」や、アニメを配信する「dアニメストア」、音楽を配信する「dヒッツ」、雑誌を配信する「dマガジン」、料理や食に関する情報を提供する「dグルメ」などのストアから構成されています。当連結会計年度は、2016年4月より健康に関するサービスを提供する「dヘルスケアパック」、2016年7月より暮らしに役立つメニューを提供する「dリビング」を開始するなど、dマーケットのサービスの拡充を行いました。また、dマーケットの各ストアにおいても、より魅力的なコンテンツの提供に取り組みました。この結果、月額契約でコンテンツを提供する「dTV」「dアニメストア」「dヒッツ」「dキッズ」「dマガジン」「dグルメ」「dヘルスケアパック」及び「dリビング」の契約数は、当連結会計年度末において合計で1,608万契約となり、dマーケットの収益も前連結会計年度に比べ増加しました。今後もdマーケットを通じて得られる収入は堅調に推移するものと見込んでいます。
さらに、2016年10月よりクレジットカードサービス「dカード」及び非接触決済サービス「iD」において、Apple Payへの対応を開始しました。「dカード」等のクレジットサービスの取扱高は、年々拡大しており、これに伴いクレジットサービスによる収益も増加しています。この傾向は、翌連結会計年度においても続くと見込んでいます。
当連結会計年度におけるその他の営業収入は、上記の結果、前連結会計年度に比べ3.4%増加しました。翌連結会計年度においては、当連結会計年度から横ばいになると見込んでいます。
以上により、翌連結会計年度の営業収益は増収となる見込みです。
(b)営業費用:
サービス原価
サービス原価とは、お客さまに通信サービスや子会社におけるサービスを提供するために直接的に発生する費用であり、通信設備使用料、施設保全費、通信網保全・運営に関わる人件費、ケータイ補償サービス等の提供に伴う保険費用等が含まれています。当連結会計年度においては、営業費用の36.7%を占めています。サービス原価のうち、大きな割合を占めるものは通信設備の保守費用等である施設保全費及び他社の通信網利用や相互接続の際に支払う通信設備使用料であり、当連結会計年度ではそれぞれサービス原価総額の24.0%及び24.7%を占めています。通信設備使用料は、他事業者の料金設定によって変動します。当連結会計年度のサービス原価は、前連結会計年度から7.0%増加しました。これは、「ドコモ光」、dマーケット及びケータイ補償サービス等の新たな成長分野での収益増加に連動したサービス原価の増加によるものです。翌連結会計年度においてもこの傾向は継続することから、サービス原価は増加傾向が継続すると予想しています。
端末機器原価
端末機器原価は、新規のお客さま及び既存のお客さまへの販売を目的として、当社グループが販売代理店等に卸売りするために仕入れた端末機器の購入原価であり、基本的に販売代理店等への端末機器販売数と仕入単価に影響されます。当連結会計年度においては、営業費用の21.8%を占めています。当連結会計年度の端末機器原価は、前連結会計年度から10.1%減少しました。これは、仕入単価の低いスマートフォン及びタブレット端末の割合が増加したことに加え、販売代理店への卸売販売数が減少した影響によるものです。翌連結会計年度においては、当連結会計年度から横ばいになると見込んでいます。
減価償却費
当連結会計年度において、減価償却費は営業費用の12.4%を占めています。有形固定資産の減価償却方法として、従来、建物は定額法を、それ以外の資産は定率法を採用していましたが、2016年4月1日より全て定額法に変更したことから、当連結会計年度における減価償却費は27.7%減少しました。翌連結会計年度においては、トラフィック増加への対応及びLTE-Advancedのエリア拡大等のための投資を進めたこと等により、減価償却費は増加すると見込んでいます。設備投資の詳細については、後述の「設備投資」の項をあわせてご参照下さい。
販売費及び一般管理費
当連結会計年度において、販売費及び一般管理費は営業費用の28.8%を占めています。販売費及び一般管理費の主なものは、新規契約者獲得と既存契約者の維持に関する費用であり、その中でも大きいものは販売代理店に対する手数料です。当社が販売代理店に支払う手数料には、新規契約や端末の買い増しなど販売に連動する手数料と、料金プラン変更の受付や故障受付など販売に連動しない手数料があります。当社グループは、米国会計基準を適用しており、販売に連動する手数料の一部を端末機器販売収入から控除し、それ以外の手数料については販売費及び一般管理費に含めています。また、販売費及び一般管理費には、「dポイント」に関する経費や端末故障修理などお客さまへのアフターサービスに関連する費用が含まれています。当連結会計年度は、「dポイント」に関する経費の増加及び「ドコモ光」の新規契約獲得増加に伴う販売代理店に支払う手数料の増加により、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ8.0%増加しています。翌連結会計年度においても、「dポイント」に関する経費などの増加傾向は継続することから、販売費及び一般管理費は増加するものと見込んでいます。
以上により、翌連結会計年度の営業費用は、サービス原価、減価償却費ならびに販売費及び一般管理費の増加影響により当連結会計年度から増加すると予想しています。
これらの結果、翌連結会計年度の営業利益は、営業費用の増加が見込まれるものの、営業収益の増加が上回り、当連結会計年度から増益となる見込みです。なお、インドのTata Teleservices Limited株式の引渡し及びインドのTata Sons Limitedからの送金が実現した場合、利益を認識する場合があります。詳細は、連結財務諸表注記6をご参照ください。
市場動向に関する上記以外の情報は、本項目「第2 事業の状況 7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の他の箇所にも含まれています。
(2)流動性及び資金の源泉
①資金需要
翌連結会計年度の資金需要として、端末機器販売に係わる販売代理店への立替払い、ネットワークの拡充資金及びその他新たな設備への投資資金、有利子負債及びその他の契約債務に対する支払のための資金、新規事業や企業買収、合弁事業などの事業機会に必要な資金が挙げられます。当社グループは、現時点で見込んでいる設備投資や債務返済負担などの必要額を営業活動によるキャッシュ・フロー、銀行等金融機関からの借入、債券や株式の発行による資本市場からの資金調達により確保できると考えています。当社グループは、安定的な業績と強固な財務体質により高い信用力を維持し、十分な調達能力を確保しているものと考えています。また、当社グループは、現在の資金需要に対して十分な運転資金を保有していると考えています。当社グループは、資金調達の要否について資金需要の金額と支払のタイミング、保有する現金及び現金同等物、運用資金ならびに営業活動によるキャッシュ・フロー等を総合的に検討して決定します。保有する現金及び現金同等物、運用資金ならびに営業活動によるキャッシュ・フローによる対応が困難な場合は、借入や債券・株式の発行による資金調達を検討します。設備投資などの必要額が見込みを上回った場合や将来のキャッシュ・フローが見込みを下回った場合には、債券や株式の発行等による追加的な資金調達が必要になる可能性があります。こうした資金調達については事業上受け入れ可能な条件で、あるいは適切なタイミングで、実行できるという保証はありません。
(a)設備投資
通信業界は、一般に設備投資の極めて大きい業界であり、通信ネットワークの構築には多額の設備投資が必要です。当社グループにおけるネットワーク構築のための設備投資額は、導入する設備の種類と導入の時期、ネットワーク・カバレッジの特性とカバーする地域、ある地域内の契約数及び予想トラフィックにより決まります。さらに、サービス地域内の基地局の数や、基地局における無線チャネルの数、必要な交換設備の規模によっても影響されます。また、設備投資は、情報技術やインターネット関連事業用サーバーに関しても必要となります。近年では、コンテンツのリッチ化や新サービスの提供等によりスマートフォンユーザのトラフィックが増大する傾向にあります。それに伴い、通信の高速化及びトラフィックの需要増加への対応が必要となっています。
当連結会計年度は、「更なる快適さ」を追求した強力なネットワークの構築を進めており、高品質な通信環境を提供してきました。お客さまにより快適にご利用いただけるネットワークの実現に向け、LTE-Advancedの都市部への重点展開を行い、LTE-Advancedに対応した基地局数を22,800局から69,700局に拡大しました。また、2017年3月より受信時最大682Mbpsの国内最速の通信サービス提供を国内の一部エリアにて開始しました。更なるエリア充実を図るため、全国のLTEサービス基地局数を138,100局から161,900局にまで増設しました。
当連結会計年度の設備投資額は5,971億円、前連結会計年度は5,952億円でした。当連結会計年度の設備投資額は、前連結会計年度と比較して19億円(0.3%)増加しましたが、これは、経営基盤の更なる強化に向け、引き続き通信ネットワークに係る設備投資の効率化に取り組みつつ、後年のネットワークに係る運用費用の効率化を目的として、高性能装置の導入による設備の集約化・大容量化を積極的に実施したことによるものです。当連結会計年度において、設備投資の96.5%が通信事業に、2.4%がスマートライフ事業に、1.1%がその他の事業に使用されています。これに対し、前連結会計年度においては、設備投資の96.4%が通信事業に、2.3%がスマートライフ事業に、1.3%がその他の事業に使用されています。
翌連結会計年度の設備投資額は、トラフィック増加への対応及びLTE-Advancedのエリア拡大などのネットワーク品質における競争上の優位性確保、ならびに先進的技術導入などの競争力獲得のための投資を進める一方、設備投資額削減に向けて引き続き投資の効率化を行うことにより、5,700億円に減少する見込みです。そのうち約95.1%を通信事業に、約3.7%をスマートライフ事業に、約1.2%をその他の事業に使用すると見込んでいます。
当社グループの設備投資の実際の水準は、様々な要因により予想とは大幅に異なる場合があります。既存の携帯電話ネットワーク拡充のための設備投資は、確実な予測が困難な契約数及びトラフィックの増加、事業上適切な条件で適切な位置に基地局を定め配置する能力、特定の地域における競争環境ならびにその他の要因に影響を受けます。特にネットワーク拡充に必要な設備投資の内容、規模及び時期は、サービスへの需要の変動や、ネットワーク構築やサービス開始の遅れ、ネットワーク関連機材のコストの変動などにより、現在の計画とは大きく異なることがあり得ます。これらの設備投資は、データ通信に対する市場の需要動向及びこうした需要に対応するため継続的に行っている既存ネットワーク拡充の状況により影響を受けていくと考えています。
(b)長期債務及びその他の契約債務
当連結会計年度末において、1年以内返済予定分を含む長期の有利子負債は2,203億円で、主に社債と金融機関からの借入金です。前連結会計年度末においては2,204億円でした。当連結会計年度に2億円、前連結会計年度に2億円の長期の有利子負債を償還しました。当連結会計年度末において、長期の有利子負債のうち、3億円(1年以内返済予定分を含む)は金融機関からの借入金です。借入金利の加重平均が年率0.9%の主に固定金利による借入であり、返済期限は翌連結会計年度から2022年3月期です。また2,200億円は社債であり、表面利率の加重平均は1.2%、満期は翌連結会計年度から2024年3月期となります。当連結会計年度末において、当社及び当社の債務は、格付会社により以下の表のとおり格付けされています。これらの格付は、当社が依頼して取得したものです。格付は、格付会社による当社の債務返済能力に関する意見の表明であり、格付会社は独自の判断で格付をいつでも引き上げ、引き下げ、保留し、または取り下げることができます。また、格付は当社の株式や債務について、取得、保有または売却することを推奨するものではありません。
| 格付会社 | 格付の種類 | 格付 | アウトルック |
| ムーディーズ | 長期債務格付 | Aa3 | 安定的 |
| スタンダード・アンド・プアーズ | 長期債務格付 | AA- | 安定的 |
| 日本格付研究所 | 長期債務格付 | AAA | ネガティブ |
| 格付投資情報センター | 発行体格付 | AA+ | 安定的 |
なお、当社の長期有利子負債の契約には、格付の変更によって償還期日が早まる等の契約条件が変更される条項を含むものはありません。
当社グループの長期有利子負債、長期有利子負債に係る支払利息、リース債務及びその他の契約債務(1年以内償還または返済予定分を含む)の今後数年間の返済金額は次のとおりです。
(単位:百万円)
| 返済期限毎の支払金額 | |||||
| 負債・債務の内訳 | 合計 | 1年以内 | 1年超-3年以内 | 3年超-5年以内 | 5年超 |
| 長期有利子負債 | |||||
| 社債 | 220,000 | 60,000 | 110,000 | - | 50,000 |
| 借入 | 257 | 217 | 30 | 10 | - |
| 長期有利子負債に係る 支払利息 | 5,649 | 2,591 | 1,780 | 730 | 548 |
| キャピタル・リース | 2,919 | 1,074 | 1,312 | 520 | 13 |
| オペレーティング・リース | 56,144 | 12,126 | 15,663 | 8,844 | 19,511 |
| その他の契約債務(1) | 98,721 | 91,199 | 6,300 | 1,222 | - |
| 合計 | 383,690 | 167,207 | 135,085 | 11,326 | 70,072 |
(1) 重要性がないまたは支払時期が不確実である契約債務については、上記表の「その他の契約債務」に含めていません。なお、当社グループの年金制度に対して、翌連結会計年度においてエヌ・ティ・ティ企業年金基金に対して2,404百万円の拠出を見込んでいます。詳細については、連結財務諸表注記17をご参照ください。
「その他の契約債務」は、主として携帯電話ネットワーク向け有形固定資産の取得に関する契約債務や棚卸資産(主に端末機器)の取得、サービスの購入に係る契約債務などから構成されています。当連結会計年度末の有形固定資産の取得に関する契約債務は266億円、棚卸資産の取得に関する契約債務は308億円、その他の購入契約債務は413億円でした。これらの契約債務の金額は、一定の仮定に基づき算定された見積金額であり、また、将来に予測されるすべての購入契約の内容を反映したものではありません。当社グループはこれらとは別に商品やサービスを必要な都度購入しています。当社グループは、LTEのネットワーク拡充やスマートフォン販売の拡大などのために今後も多額の設備投資や棚卸資産の取得を継続していく方針です。また、当社グループでは随時、通信事業を中心に新規事業分野への参入や企業買収、合弁事業、出資などを行う可能性についても検討しています。なお、現在当社グループの財政状態に重要な影響を与えるような、訴訟及び保証等に関する偶発債務はありません。
②資金の源泉
次の表は当社グループの当連結会計年度及び前連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概要をまとめたものです。
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 2015年4月1日から 2016年3月31日まで | 当連結会計年度 2016年4月1日から 2017年3月31日まで | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,209,131 | 1,312,418 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △375,251 | △943,094 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △583,608 | △433,097 |
| 現金及び現金同等物の増減額 | 248,884 | △64,827 |
| 現金及び現金同等物の期首残高 | 105,553 | 354,437 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 354,437 | 289,610 |
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析と前連結会計年度との比較
当連結会計年度における「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、1兆3,124億円の収入となりました。前連結会計年度と比べ1,033億円(8.5%)キャッシュ・フローが増加していますが、これは、携帯端末代金の分割購入に伴う立替金が減少したことにより売却目的債権が減少したことなどによるものです。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、9,431億円の支出となりました。前連結会計年度と比べ5,678億円(151.3%)支出が増加していますが、これは、関連当事者への短期預け金預入れによる支出が増加したことに加え、関連当事者への長期預け金償還による収入が減少したことなどによるものです。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、4,331億円の支出となりました。前連結会計年度と比べ1,505億円(25.8%)支出が減少していますが、これは、自己株式の取得による支出が減少したことなどによるものです。
これらの結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,896億円となり、前連結会計年度末と比べ648億円(18.3%)減少しました。また、資金の一部を効率的に運用するために実施した期間3ヵ月超の資金運用残高は当連結会計年度末で3,011億円であり、前連結会計年度末においては59億円でした。
翌連結会計年度の見通し
翌連結会計年度の資金の源泉については、携帯端末代金の分割払い対象の販売数が減少傾向であることに伴い、当社グループが立替えた、お客さまの携帯端末代金の回収の減少が見込まれることなどから、営業活動によるキャッシュ・フローは減少する見通しです。投資活動によるキャッシュ・フローについては、設備投資等により5,700億円と予想しています。設備投資及び合理的に見積もることができるもの以外の投資活動によるキャッシュ・フローについては、現時点では予想が困難であることから、投資活動によるキャッシュ・フローの予想には含めていません。
(3)会計方針に関する事項
①最重要な会計方針及び見積り
連結財務諸表の作成には、予想される将来のキャッシュ・フローや、経営者の定めた会計方針に従って財務諸表に報告される数値に影響を与える項目について、経営者が見積りを行うことが要求されます。連結財務諸表の注記3には、当社グループの連結財務諸表の作成に用いられる主要な会計方針が記載されています。いくつかの会計方針については、特に慎重さが求められています。なぜなら、それらの会計方針は、財務諸表に与える影響が大きく、また経営者が財務諸表を作成する際に用いた見積り及び判断の根拠となっている条件や仮定から、実際の結果が大きく異なる可能性があるためです。当社の経営者は会計上の見積りの選定及びその動向ならびに最重要の会計方針に関する以下の開示について、独立会計監査人及び当社の監査役と協議を行いました。当社の監査役は、取締役会及びいくつかの重要な会議に出席して意見を述べるほか、取締役による当社の職務執行を監査し、計算書類等を監査する法的義務を負っています。最重要な会計方針は、以下のとおりです。
(a)有形固定資産、自社利用のソフトウェア及びその他の無形固定資産の減価償却
当社グループの通信事業で利用されている基地局、アンテナ、交換局、伝送路等の有形固定資産、自社利用のソフトウェア及びその他の無形固定資産は、財務諸表上に取得価額または開発コストで計上され、見積耐用年数及び選択した減価償却方法に基づき、減価償却が行われています。当社グループは、各年度に計上すべき減価償却費を決定するために、有形固定資産、自社利用のソフトウェア及びその他の無形固定資産の見積耐用年数及び減価償却方法を決定しています。当連結会計年度及び前連結会計年度に計上された減価償却費の合計は、それぞれ4,523億円、6,259億円でした。耐用年数は、資産が取得された時点で決定され、また、その決定は、予想される使用期間、類似資産における経験、定められた法律や規則に基づくほか、予想される技術上及びその他の変化を考慮に入れています。無線通信設備の見積耐用年数は概ね9年から16年となっています。自社利用のソフトウェアの見積耐用年数は最長7年としています。技術上及びその他の変化が当初の予想より急速に、あるいは当初の予想とは異なった様相で発生したり、新たな法律や規制が制定されたり、予定された用途が変更された場合には、当該資産に設定された耐用年数を短縮する必要があるかもしれません。また、減価償却方法は、新しい技術革新等の外部環境や内部環境の影響といった様々な要因による変化を考慮し、資産から生み出される将来の便益を費消するパターンをより適切に反映したものを採用しています。資産から生み出される将来の便益を費消するパターンが、当初の採用したものと異なった場合は、採用された減価償却方法を変更する必要があるかもしれません。結果として、将来において減価償却費の増加や損失を認識する可能性があります。
当連結会計年度において、当社グループは、有形固定資産の減価償却方法について、従来、建物は定額法を、それ以外の資産は定率法を採用していたものを、資産から生み出される将来の便益を費消するパターンを適切に反映させるため、2016年4月1日より全て定額法へ変更しています。この変更により、当連結会計年度の減価償却費は1,541億円減少しています。前連結会計年度においては、有形固定資産、自社利用のソフトウェア及びその他の無形固定資産の減価償却に係る見直しによる影響は軽微でした。
(b)長期性資産の減損
当社グループは、有形固定資産ならびに電気通信設備に関わるソフトウェア、自社利用のソフトウェア及び有線電気通信事業者の電気通信施設利用権といった識別可能な無形固定資産からなる供用中の長期性資産(営業権及び耐用年数が確定できない無形固定資産(非償却対象の無形固定資産)を除く)について、その帳簿価額が回復不能であることを示唆する事象や環境の変化がある場合は、随時、減損認識の要否に関する検討を行っています。減損のための分析は、耐用年数の分析とは別途に行われますが、それらはいくつかの類似の要因によって影響を受けます。減損の検討の契機となる事項のうち、当社グループが重要であると考えるものには、その資産を利用する事業に関係する以下の傾向または条件が含まれています(ただし、これらの事項に限定されるものではありません)。
・資産の市場価値が著しく下落していること
・当期の営業キャッシュ・フローが赤字となっていること
・競合技術や競合サービスが出現していること
・キャッシュ・フローの実績、または見通しが著しく下方乖離していること
・契約数が著しく、あるいは継続的に減少していること
・資産の使用方法が変更されていること
・その他のネガティブな業界動向あるいは経済動向
上記またはその他の事項が1つ以上存在し、または発生していることにより、特定の資産の帳簿価額が回復可能ではないおそれがあると判断した場合、当社グループは、予想される耐用年数にわたってその資産が生み出す将来のキャッシュ・インフローとアウトフローを見積もっています。当社グループの予想される割引前将来純キャッシュ・フロー合計額の見積りは、過去からの状況に将来の市場状況や営業状況に関する最善の見積りを加えて行っています。予想される割引前将来純キャッシュ・フローの合計額が資産の帳簿価額を下回る場合には、資産の公正価値に基づき減損処理を行っています。こうした公正価値は、取引市場が確立している場合の市場価格、第三者による鑑定や評価、あるいは割引キャッシュ・フローに基づいています。実際の市場の状況や当該資産が供用されている事業の状況が経営者の予測より悪い、もしくは契約数が経営者の計画を下回っているなどの理由によりキャッシュ・フローの減少を招くような場合には、従来減損を認識していなかった資産についても減損の認識が必要となる可能性があります。当連結会計年度においては、長期性資産の減損による影響は軽微でした。前連結会計年度においては、主に携帯端末向けマルチメディア放送事業に係る長期性資産の減損損失として91億円を計上しました。
(c)営業権及び非償却対象の無形固定資産の減損
当社グループの営業権は、主として2002年11月に実施した株式交換により地域ドコモ8社の非支配持分を取得し、完全子会社化したことにより認識されたものです。また、スマートライフ領域への展開を目的としたマジョリティ出資を実施したことによっても認識されています。当連結会計年度末の営業権の残高は2,310億円となっています。また、非償却対象の無形固定資産の当連結会計年度末の残高は295億円となっています。
当社グループは、企業結合により認識した営業権及び非償却対象の無形固定資産については、年1回主に3月31日時点で、また、減損の可能性を示す事象または状況が生じた場合にはその時点で、減損テストを実施しています。営業権の減損テストは、事業セグメントまたはそれより一段低いレベルの報告単位毎に、二段階の手続きによって実施しています。減損テストの第一段階では、報告単位の公正価値と営業権を含む簿価とを比較しています。報告単位の公正価値は、主に割引キャッシュ・フロー法を用いて算定しています。報告単位の簿価が公正価値を上回る場合には、減損額を測定するため、第二段階の手続きを行っています。第二段階では、その報告単位の営業権の簿価と営業権の公正価値を比較し、簿価が公正価値を上回っている金額を減損として認識します。また、非償却対象の無形固定資産の減損テストに関しては、非償却対象の無形固定資産の公正価値と簿価を比較し、簿価が公正価値を上回る場合には減損損失が計上されます。公正価値の算定において、営業権及び非償却対象の無形固定資産について対象となる報告単位の事業計画などに基づき、当該報告単位の生み出す将来キャッシュ・フローを見積っています。将来キャッシュ・フローの割引現在価値を算定する際に、異なる見積りや前提条件が用いられた場合、営業権の評価も異なったものとなる可能性があり、それにより将来追加的な減損処理が必要となる可能性があります。
当連結会計年度末及び前連結会計年度末において報告単位である国内通信事業は、1,273億円の金額的に最も重要な営業権を有しており、通信事業セグメントに含まれています。当該報告単位の公正価値は、減損テストの第一段階の手続において、十分に簿価を超過していると判定されています。また、当連結会計年度末及び前連結会計年度末において、その他の報告単位が有する残りの営業権の公正価値も、簿価を十分に超過しているか、または重要性がないと考えています。報告単位の公正価値は、主に将来の事業計画に基づいた割引キャッシュ・フロー法により見積もられ、その計画は過去実績や最新の中長期的な見通しを基に作成されていますが、現時点で予期しない事象により将来の営業利益が著しく減少した場合、当該報告単位の予測公正価値に不利な影響を及ぼすことがあります。
当連結会計年度及び前連結会計年度においては、子会社に係る報告単位の営業権の減損損失としてそれぞれ100億円、85億円を計上しました。報告単位の公正価値は、割引キャッシュ・フロー法とマーケット・アプローチを併用しながら測定しています。
(d)投資の減損
当社グループは、国内外の他企業に対して投資を行っています。それらの投資は、出資比率、投資先への影響力及び上場の有無等により持分法、原価法または公正価値に基づいて会計処理を実施しています。過去において、当社グループはいくつかの「関連会社投資」について多額の減損処理を実施し、その減損額をそれぞれの会計期間における「持分法による投資損益(△損失)」に計上しました。今後においても「関連会社投資」及び「市場性のある有価証券及びその他の投資」について同様の減損が発生する可能性があります。また、今後、投資持分の売却に際して多額の売却損益を計上する可能性もあります。当連結会計年度末において、「関連会社投資」の簿価は3,738億円、「市場性のある有価証券及びその他の投資」の簿価は1,987億円でした。当社グループの主要な投資先は、三井住友カード株式会社及びフィリピンのPLDT Inc.であり、当連結会計年度末において、いずれも「関連会社投資」に区分されています。
持分法投資及び原価法投資において、価値の下落またはその起因となる事象が生じたかどうか、また、生じた場合は価値の下落が一時的かどうかの判定を行う必要があります。当社グループは、投資の簿価が回復できない可能性を示唆する事象や環境の変化が発生した場合は、常に減損の要否について検討を行っています。減損の検討の契機となる事項のうち、当社グループが重要であると考えるものは、以下のとおりです(ただし、これらの事項に限定されるものではありません)。
・投資先企業株式の市場価格が、著しくあるいは継続的に下落していること
・投資先の当期の営業キャッシュ・フローが赤字となっていること
・投資先の過去のキャッシュ・フローの実績が計画に比べ著しく低水準なこと
・投資先によって重要な減損または評価損が計上されたこと
・公開されている投資先関連会社株式の市場価格に著しい変化が見られること
・投資先関連会社の競合相手が損失を出していること
・その他のネガティブな業界動向あるいは経済動向
当社グループは、投資の価値評価に際し、割引キャッシュ・フローによる評価、外部の第三者による評価、及び入手可能である場合は市場の時価情報を含む、様々な情報を活用しています。回収可能価値の算定には、投資先企業の事業業績、財務情報、技術革新、設備投資、市場の成長及びシェア、割引率及びターミナル・バリューなどの推定値が必要になる場合があります。投資の価値評価を実施した結果、一時的ではない、投資簿価を下回る価値の下落が認められた場合は、減損損失を計上しています。当該減損処理時の公正価値は、投資の新たな簿価となっています。「関連会社投資」の評価損は、連結損益計算書の「持分法による投資損益(△損失)」に、「市場性のある有価証券及びその他の投資」の評価損は、「営業外損益(△費用)」にそれぞれ含まれています。当連結会計年度及び前連結会計年度に実施した関連会社投資の価値評価において、一時的ではない価値の下落に伴う減損処理を実施しています。
当連結会計年度において、香港のHutchison Telephone Company Limitedを含む関連会社投資の減損額は239億円でした。これらの投資先の価値を見積もるにあたり、重要な観察不可能なインプット値として加重平均資本コストを使用しており、当連結会計年度の主要な値は7.9%でした。
前連結会計年度の関連会社投資の減損による影響は軽微でした。
「市場性のある有価証券及びその他の投資」については、当連結会計年度及び前連結会計年度において数社への投資に対して一時的ではない価値の下落に伴う減損処理を実施しており、減損による影響は軽微でした。
当社グループは、投資の減損実施後の簿価については公正価値に近似していると考えていますが、投資価値が投資簿価を下回っている期間や、予測される回収可能価値等の条件次第では、将来追加的な減損処理が必要となる可能性があります。
(e)ポイントプログラム引当金
当社グループは、携帯電話の利用等に応じてポイントを付与する「ドコモポイントサービス」を提供しています。付与されたポイントは、当社グループ商品の購入時の支払いへの充当等が可能です。2015年12月1日より、個人のお客さまに対し、携帯電話及びクレジットサービス(dカード、DCMX)の利用ならびに加盟店での支払い等に応じてポイントを付与する「dポイントサービス」の提供を開始しました。「dポイントサービス」においては、当社グループ商品の購入時の支払及び通信料金への充当ならびに加盟店での支払いへの充当等が可能です。なお、個人のお客さまは、モバイル通信サービス契約の解約後も「dポイント」を利用することが可能です。2015年4月1日から11月30日にかけて個人のお客さまに対して付与された「ドコモポイント」は、自動的に「dポイント」へ移行されており、当社グループは、2015年12月1日以降、個人のお客さまに対して「ドコモポイント」を付与していません。なお、2015年3月31日までに付与された個人のお客さまに対する「ドコモポイント」は、2017年5月10日に「dポイント」へ移行され、2018年5月31日まで利用することが可能となりました。当社グループは、お客さまが獲得したポイントについて「ポイントプログラム引当金」を計上していますが、「ドコモポイント」及び「dポイント」に係る引当金について、それぞれ個別に見積りを行っています。当連結会計年度末及び前連結会計年度末におけるポイントプログラム引当金は、短期、長期合わせてそれぞれ1,054億円及び795億円でした。また、当連結会計年度及び前連結会計年度において計上されたポイントプログラム経費は、それぞれ943億円及び578億円でした。
ポイントの当初の有効期限が4年の「dポイント」及び2017年5月10日に「dポイント」へ移行した個人のお客さまに対する「ドコモポイント」に係る引当金は、将来のポイント利用率を見込むのに十分な過去実績がないため、ポイント利用率の見積りを行っていません。十分な過去実績を基に将来のポイント利用率を見積もった際には、費用の戻入や引当金の取崩しが生じる可能性があります。
上記以外の「dポイント」及び法人のお客さまに対する「ドコモポイント」に係る引当金は、過去実績に基づき将来のポイント利用率等の見積りを行っています。実際のポイント利用率が当初見積りよりも多い場合などにおいて、将来において追加的な費用の計上や引当金の計上を実施する必要が生じる可能性があります。当連結会計年度末におけるポイントプログラム引当金の算定において、その他全ての仮定を一定としたままで、ポイント利用率が1%上昇したことによる引当金の影響は軽微です。
(f)年金債務
当社グループは、従業員非拠出型年金制度を設けており、ほぼ全従業員を加入対象としています。当社グループは、従来、従業員非拠出型年金制度として確定給付年金制度を採用していましたが、2014年4月1日以降の積立分について確定拠出年金制度を導入しました。なお、2014年3月31日以前の積立分は、引き続き確定給付年金制度として維持します。
また、従業員拠出型確定給付年金制度であるNTTグループの企業年金基金制度にも加入しています。
年金費用及び年金債務の数理計算にあたっては、割引率、年金資産の長期期待収益率、長期昇給率、平均残存勤務年数等の様々な判断及び見積りに基づく仮定が必要となります。その中でも割引率及び年金資産の長期期待収益率を数理計算上の重要な仮定であると考えています。割引率については、償還期間が年金給付の見積り期間と同じ期間に利用可能な格付けの高い固定利付債券の市場利子率に基づいて適正な率を採用しています。また、年金資産の長期期待収益率については、現在及び将来の年金資産のポートフォリオや、各種長期投資の過去の実績利回りの分析を基にした期待収益とリスクを考慮して決定しています。これらの仮定について、当社グループは毎年検討を行っているほか、重要な影響を及ぼすことが想定される事象または投資環境の変化が発生した場合にも見直しの検討を行っています。
当連結会計年度末及び前連結会計年度末における予測給付債務を決める際に用いられた割引率、ならびに当連結会計年度及び前連結会計年度における年金資産の長期期待収益率は、次のとおりです。
| 前連結会計年度 2015年4月1日から 2016年3月31日まで | 当連結会計年度 2016年4月1日から 2017年3月31日まで | |||
| 従業員非拠出型確定給付年金制度 | ||||
| 割引率 | 0.5 | % | 0.7 | % |
| 年金資産の長期期待収益率 | 2.0 | % | 2.0 | % |
| 実際収益率 | 約2% | 約3% | ||
| NTT企業年金基金制度 | ||||
| 割引率 | 0.5 | % | 0.7 | % |
| 年金資産の長期期待収益率 | 2.5 | % | 2.5 | % |
| 実際収益率 | 約0.4% | 約3% | ||
当社グループの従業員非拠出型確定給付年金制度の予測給付債務は、当連結会計年度末で2,206億円、前連結会計年度末で2,269億円でした。当社グループの従業員に係る数理計算を基礎として算出されたNTT企業年金基金制度の予測給付債務は、当連結会計年度末で1,506億円、前連結会計年度末で1,536億円でした。予測給付債務は、その実績との差異及び仮定の変更により大きく変動する可能性があります。仮定と実績との差異に関しては、米国会計基準に基づき、その他の包括利益累積額として認識された年金数理上の差異のうち、予測給付債務または年金資産の公正価値のいずれか大きい方の10%を超える額が、従業員の予測平均残存勤務期間にわたって償却されます。
当社グループの従業員非拠出型確定給付年金制度及びNTT企業年金基金制度において、その他全ての仮定を一定としたままで、当連結会計年度末の割引率及び年金資産の長期期待収益率を変更した場合の状況を示すと次のとおりです。
(単位:億円)
| 仮定の変更 | 予測給付債務 | 年金費用 (税効果考慮前) | その他の包括利益 (△損失)累積額 (税効果考慮後) |
| 従業員非拠出型確定給付年金制度 | |||
| 割引率が0.5%増加/低下 | △89/93 | 7/△7 | 66/△69 |
| 年金資産の長期期待収益率が0.5%増加/低下 | - | △5/5 | - |
| NTT企業年金基金制度 | |||
| 割引率が0.5%増加/低下 | △162/182 | 1/△0 | 111/△125 |
| 年金資産の長期期待収益率が0.5%増加/低下 | - | △5/4 | - |
年金債務算定上の仮定及び確定拠出年金制度等の導入については、連結財務諸表注記17をあわせてご参照下さい。
(g)収益の認識
当社グループは、契約事務手数料収入等を繰り延べ、契約者の見積平均契約期間にわたって収益を認識する方針を採用しています。関連する直接費用も、契約事務手数料収入等の額を上限として、同期間にわたって繰延償却しています。収益及びサービス原価の計上額は、契約事務手数料等及び関連する直接費用、ならびに計上額算定の分母となる契約者との予想契約期間によって影響を受けます。収益及び費用の繰延を行うための契約者の予想契約期間の見積りに影響を与える要因としては、解約率、新たに導入されたまたは将来導入が予想され得る競合商品、サービス、技術等が挙げられます。現在の償却期間は、過去のトレンドの分析と当社グループの経験に基づき算定されています。当連結会計年度及び前連結会計年度において、それぞれ342億円、328億円の契約事務手数料収入等及び関連する直接費用を計上しました。当連結会計年度末及び前連結会計年度末の繰延契約事務手数料収入等は、1,265億円及び1,099億円となっています。
②最近公表された会計基準
顧客との契約から生じる収益
2014年5月28日、米国財務会計基準審議会(Financial Accounting Standards Board、以下「FASB」)は、会計基準アップデート(Accounting Standards Update、以下「ASU」)2014-09「顧客との契約から生じる収益」を公表しました。当該基準は、企業が、約束した財又はサービスの顧客への移転の対価として権利を得ると見込んでいる金額を認識することを要求しています。当該基準が適用になると、現在の米国会計基準の収益認識に係るガイダンスのほとんどが当該基準の内容に置き換わります。また、2016年3月にASU2016-08「本人か代理人かの検討(収益の総額表示か純額表示)」、2016年4月にASU2016-10「履行義務の識別及びライセンス付与」、2016年5月にASU2016-12「限定的な改善及び実務上の処理」、2016年12月にASU2016-20「顧客との契約から生じる収益-技術的な修正及び改善」、2017年2月にASU2017-05「資産の認識中止ガイダンスの範囲及び非金融資産の部分的な売却の会計処理の明確化」が公表となり、当該基準の一部が修正されています。
2015年8月12日、FASBはASU2015-14「顧客との契約から生じる収益-適用日の延期」を公表し、当該基準の適用を1年延期しました。このため、当該基準は、当社グループにおいて2018年4月1日に開始する連結会計年度から適用されます。なお、2017年4月1日に開始する連結会計年度からの早期適用も認められています。また、当該基準には完全遡及アプローチと修正遡及アプローチの2つの移行方法が認められています。完全遡及アプローチは、表示する過去の各報告期間に遡及適用する方法であり、累積的影響は最も古い報告期間の利益剰余金の期首残高の修正として認識されます。修正遡及アプローチは、適用開始日の属する事業年度以降に適用する方法であり、累積的影響は適用開始日の属する事業年度の利益剰余金の期首残高の修正として認識されますが、当該基準の適用に伴う影響額の開示が必要となります。当社グループは、当該基準適用時の移行方法の選択はまだ実施していません。当社グループの連結財務諸表及び関連する注記に与える影響について、現在検討しています。当該基準適用による収益に対する影響は、契約の条件、割引を含む取引価格、財又はサービスの組合せなどを含みますがこれらに限られない、様々な変動的な要素によって影響を受けます。現在、全ての潜在的な影響について引き続き評価を行っていますが、主に以下の項目に重要な影響が及ぶと考えています。
・ 当該基準では、契約獲得の増分コスト及び契約履行コストを資産計上することを要請しています。これにより、従来、費用計上していた一部の代理店手数料等を追加的に資産計上し、サービス毎に契約者の見積平均契約期間にわたって償却することになります。当連結会計年度において、現行の会計基準に基づき計上された代理店手数料は3,208億円であり、主に連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」に計上されています。
・ 当該基準では、企業が顧客との契約の一部として、企業から追加的な財またはサービスを割引価格で購入できるオプションを顧客に付与した場合は、オプションを付与した時点では別個の履行義務として識別し、取引対価の一部を契約負債として認識し、将来の財またはサービスが顧客に移転した時点、または行使期限が終了した時点で収益を認識することが要請されています。これにより、従来、連結会計年度末において引当金を計上していた「ドコモポイント」及び「dポイント」について、ポイントを付与した時点で、モバイル通信サービス等の取引対価の一部を契約負債として計上し、ポイントが行使され、追加的な財またはサービスが顧客に移転した時点、またはその行使期限が終了した時点で収益が認識されることになります。当連結会計年度において、現行の会計基準に基づき計上されたポイントプログラムに係る費用は943億円であり、連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」に計上しています。
当社グループは、新基準の導入に向け、プロジェクトチームを立ち上げています。当社グループは、新しい収益認識に係る基準の適用に向けて、システムの変更ならびに財務報告プロセス及び関連する内部統制の構築を進めています。
金融資産及び金融負債の認識ならびに測定
2016年1月5日、FASBはASU2016-01「金融資産及び金融負債の認識ならびに測定」を公表しました。当該基準は、金融商品の会計処理及び表示や開示を改善するものであり、持分投資のほとんどを公正価値で測定し、その変動を純損益に認識することを要求しています。当該基準は連結子会社への投資または持分法を適用する投資の会計処理に影響を与えるものではありませんが、公正価値オプションを選択した金融負債の公正価値の変動の認識ならびに金融商品の表示及び開示を大幅に変更するものです。当該基準は、当社グループにおいて2018年4月1日に開始する連結会計年度から適用されます。当社グループは、当該基準の適用による影響について、現在検討しています。
リース
2016年2月25日、FASBはASU2016-02「リース」を公表しました。当該基準は原則として、すべてのリースの借手に対し、使用権資産とリース負債の計上を要求しています。当該基準は、当社グループにおいて2019年4月1日に開始する連結会計年度から適用されます。当社グループは、当該基準の適用による影響について、現在検討しています。
営業権の減損テストの簡略化
2017年1月26日、FASBはASU2017-04「営業権の減損テストの簡略化」を公表しました。当該基準は、営業権の減損テストの第二段階の手続きを削除し、報告単位の公正価値と営業権を含む帳簿価額を比較し、報告単位の帳簿価額が公正価値を上回っている金額を減損損失として計上することを要求しています。当該基準は、当社グループにおいて2020年4月1日に開始する連結会計年度から適用されます。なお、2017年1月2日以降を基準日とする減損テストからの早期適用も認められています。当社グループは、当該基準の適用による影響について、現在検討しています。