有価証券報告書-第50期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/30 14:58
【資料】
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【項目】
148項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1)当社グループの目指すべき姿及び経営の基本的方向性
当社グループは、「総合エネルギー事業をコアとして、ビジネス・生活サポートを通して新しい価値の創造を目指し、地域に生き、共に発展する一体感のある企業グループ」として、持続可能な社会の実現に貢献するため、様々な取り組みを推進している。経営の基本的方向性として、「エネルギーの安定供給に尽くす」「カーボンニュートラルに積極果敢に挑戦する」「お客さまの多様なニーズに対応し、満足度の向上に尽くす」「地域社会の良き企業市民として社会的責任を果たす」「人を育み、人を大切にする」「積極的な事業展開と不断の経営効率化を通じて持続的成長を図る」の6つを位置付けている。
(2)中長期的な経営戦略
沖縄のエネルギー市場の競争環境は確実に進展しており、グループの中心であるエネルギー事業を取り巻く環境が厳しさを増す中、『おきでんグループ中期経営計画2025』を策定し、当社グループが今後も持続的に成長発展していけるよう、様々な経営課題の解決や財務目標の達成に向け、グループ一丸となって果敢に挑戦していく。
地球温暖化対策については、社会的な要請が一層高まっている中、当社グループは長期的な指針となる「沖縄電力ゼロエミッションへの取り組み」に基づき、2050年カーボンニュートラルを目指し、「再エネ主力化」および「火力電源のCO2排出削減」の2つの方向性および「電化促進」に取り組む。
(3)目標とする経営指標
当社グループは、収益性及び資本効率の向上に係る財務目標を、以下のとおり設定している。
2025年度
経常利益120億円以上
ROE[自己資本当期純利益率] ※5%以上
自己資本比率30%台を維持

※ROE = 親会社株主に帰属する当期純利益 ÷ 自己資本[期首・期末平均]
(4)経営環境及び対処すべき課題
電力需要については、電力小売全面自由化による新電力の参入が本土エリアと同様に進み、また、ガス事業における他燃料を扱う事業者やエネルギーサービスプロバイダ(ESP)事業における県外の大手エネルギー事業者等との激しい競合が続くなど、エネルギー市場は激しい競争下にある。
また、県経済は新型コロナウイルス感染症の影響により、引き続き不透明感はあるものの、総合エネルギー事業者として、新型コロナ収束後の中長期的な市場動向を見据えつつ、商業・宿泊施設の建設や大規模都市開発などの新たなエネルギー需要やビジネスチャンスを着実に捉えていかなければならない。
更に、社会全体に大きな影響を及ぼしている燃料価格高騰については、国際情勢の動向等による長期化が、当社の業績にも更に大きな影響を及ぼす可能性があることから、緊急経営対策委員会を設置し、緊急的な収支対策をあらゆる面から検討するとともに、その施策に取り組んでいく。
地球温暖化対策については、社会的な要請が一層高まっている中、当社グループは従来から重要な経営課題と認識し、最も有力な手段である液化天然ガスを燃料とした吉の浦火力発電所の導入をはじめ、石炭火力発電所における木質バイオマスの混焼、再エネ導入などを進めてきた。今後も、長期的な指針となる「沖縄電力ゼロエミッションへの取り組み」に基づき、再エネ主力化や火力発電のCO2排出削減を通し、カーボンニュートラルという長期的かつチャレンジングな目標の達成に向けて、更なる取り組みを推進していく。
収益面については、厳しい競争環境に勝ち抜いていくために、おきでんmore-Eポイントサービスなどのより良いサービスを提供しながらおきでんサポーターを増やしていく。太陽光発電による脱炭素と蓄電池を活用した防災対策を組み合わせた「かりーるーふ」に、オール電化を加え、新たな電化提案を進めていく。また、環境志向の高いお客さまには、「うちな~CO2フリーメニュー」などにより、新しい価値を提供していく。電気とガスの両方を供給できる総合エネルギー事業者として、CO2削減、安定供給、BCP(事業継続計画)強化といった利点を持つエネルギーセンターによる面的供給など、グループの技術を集結したエネルギー供給にも注力していく。さらに、グループ資産の有効活用やヘルスケア事業など、将来に向けた新規投資案件や新規事業の具現化に向け取り組み、「トップラインの拡大」を図っていく。
コスト面については、より付加価値の高い領域にリソースを向ける「攻めの効率化」を積極的に行いながら、Convert(デジタル化)、Optimize(最適化)、Make(価値創造)の「おきでん.COM」の考え方のもと、収益性の向上と新たな価値創造にグループ大で前向きかつ積極的に取り組んでいく。
エネルギーの安定供給については、当社不変の基本的使命であり、総合エネルギー事業者として、これまで築いてきたお客さまからの信頼を今後も維持していくため、設備の予知保全、ヒューマンエラー防止に向けた取り組みを継続する。また、長期に亘る安定供給の確保を行うためにも、持続的に利益確保ができるよう修繕費や減価償却費といった設備関係のトータルコストの低減を検討しながら、効率的な設備形成に取り組んでいく。
台風時における迅速な復旧に向けては、グループ・協力会社を挙げた全社的な復旧体制の充実を図るとともに、自治体等への電力データの提供による防災関係機関との連携やお客さま対応など、災害対策の強化に部門を超えて取り組む。また、高度化するサイバー攻撃等に備え、 サイバーインシデントの未然防止・被害拡大防止に着実に取り組む。
無事故無災害への取り組みについては、「安全」は経営の根幹であり、当社事業に従事する全ての者の安全確保が最優先事項であることを強く認識し、安全文化の浸透、安全管理の徹底にグループ・協力会社一丸となって取り組む。
また、従業員の心身における健康を確保し、仕事と生活の調和を図るため、長時間労働の防止等、適正な労働時間管理を徹底する。そして、従業員とともに健康経営を実践し、健康で活き活きと働くことができる職場環境づくりに努めていく。
電気事業以外の事業については、総合エネルギー事業を中心に建設業・不動産業、IT関連事業など、これまでの事業運営で培ったグループ各社の強みと総合力を発揮して更なる収益拡大に取り組んでいく。