有価証券報告書-第63期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)
有報資料
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成27年6月26日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積もり
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の将来の見積もりについては、リスクや不確実性があることから、実際の結果はこれらの見積もりと異なる場合があります。
当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積もりに影響を及ぼすと考えております。
①建設中利子
当社は電気事業会計規則に基づいて、電気事業固定資産の建設のために充当した資金の利子で当該資産の使用開始前に属するものを、当該資産の建設価額に算入しています。算入される金額すなわち建設中利子額は、対象建設費の月積数に対象資金平均月利率を乗じて算出しています。対象資金は、当年度を含む過去3ヶ年に調達された自己資金及び借入資金としています。3ヶ年としているのは、電気事業固定資産の主要な工事が行われる期間という事実認識に基づいています。
②退職給付
従業員に係る退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。前提条件には、割引率、将来の退職金ポイント累計、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率などが含まれます。実際の算出結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響額は、数理計算上の差異として規則的に償却されます。
③有価証券の減損
当社が保有する有価証券は、「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号(平成11年1月22日(企業会計審議会) 平成20年3月10日改正))に定めるその他有価証券としての株式が主なものです。市場価格のない株式の実質価額(※)が、帳簿価額に比べて50%以上下落した場合には、実質価額まで帳簿価額を減損処理することとしています。また、市場価格等の時価のある株式について期末時価が帳簿価額に比べて50%以上下落した場合、又は50%未満30%以上の下落が2事業年度以上継続した場合は、期末時価まで帳簿価額を減損処理することとしています。
※ 実質価額とは、各決算期までに入手可能な直近の財務諸表を使用し、資産等の時価評価基準に基づく評価差額等を加味して算定することを原則として、1株当たりの純資産額に所有株式数を乗じたものをいいます。
ただし、この減損処理の条件に該当する場合においても、以下の事項に該当する場合は減損処理を実施しないことができることとしています。
・ 市場価格のない株式の場合は、実質価額が帳簿価額にほぼ近い水準にまで回復する見込みがあると合理的な根拠をもって証明できるもの
・ 時価のある株式については、期末日後1年以内に期末時価が帳簿価額にほぼ近い水準まで回復する見込みがあると合理的な根拠をもって証明できるもの
④ヘッジ会計
当社は、デリバティブ取引に関する社内規程に基づき、為替変動リスク、金利変動リスク及び商品価格変動リスクを回避することを目的として取引を実施しており、投機的な取引は行わない方針です。社債、借入金、外貨建債権債務の一部及び商品価格の変動により影響を受ける取引の一部をヘッジ対象とし、外貨建債権債務に振当てたデリバティブ取引、金利スワップの特例処理の対象となる取引及び商品価格に関するスワップをヘッジ手段とする取引を行っています。上記ヘッジ対象については原則としてヘッジを行う方針ですが、一部取引についてはリスクの度合い等を勘案して個別に判断した結果、ヘッジを行わないことがあります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
①営業収益
営業収益は、前連結会計年度に対し6.2%(437億円)増加の7,506億円となりました。
このうち電気事業営業収益は、前連結会計年度に対し3.4%(208億円)減少の5,881億円となりました。卸電気事業は、火力発電所利用率が前連結会計年度を下回ったことや、燃料価格の低下及び松浦火力発電所2号機低圧タービンロータ落下事故の影響等により減収となりました。その他の電気事業は、美浜シーサイドパワー㈱が期間を通して連結対象となったこと等により増収となりました。
海外事業営業収益は、ノンセンガス火力発電所の営業運転開始及び7SPP(Small Power Producers)※が期間を通して稼働したことにより、前連結会計年度に対し154.3%(660億円)増加の1,089億円となりました。
また、その他事業営業収益は、連結子会社の石炭販売収入の減少等により、前連結会計年度に対し2.5%(13億円)減少の535億円となりました。
②営業費用及び営業利益
営業費用は、前連結会計年度に対し4.6%(301億円)増加の6,777億円となりました。
電気事業営業費用は、卸電気事業の燃料費が燃料価格及び火力発電所利用率の低下に伴い減少したこと等により、前連結会計年度に対し4.4%(240億円)減少の5,213億円となりました。
海外事業営業費用は、ノンセンガス火力発電所の営業運転開始及び7SPPが期間を通して稼働したことに伴う燃料費の増加等により、前連結会計年度に対し125.5%(550億円)増加の989億円となりました。
また、その他事業営業費用は、売上原価の減少等により、前連結会計年度に対し1.5%(8億円)減少の574億円となりました。
この結果、営業利益は前連結会計年度に対し23.1%(136億円)増加の728億円となりました。
③営業外収益と費用及び当期経常利益
営業外収益は、持分法投資利益の減少はあったものの、受取配当金の増加等により、前連結会計年度に対し1.6%(3億円)増加の227億円となりました。
営業外費用は、為替差損の減少等により、前連結会計年度に対し12.6%(52億円)減少の362億円となりました。
この結果、当期経常利益は前連結会計年度に対し48.1%(192億円)増加の593億円となりました。
④税金等調整前当期純利益
税金等調整前当期純利益は、当期経常利益の増加等により、前連結会計年度に対し44.0%(188億円)増加の615億円となりました。
⑤当期純利益
法人税率引き下げに関連する法律の公布に伴う繰延税金資産の取崩し等により、法人税等合計は前連結会計年度に対し16.3%(24億円)増加の173億円となり、当期純利益は前連結会計年度に対し50.6%(145億円)増加の432億円となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
①営業収益
○電気事業営業収益
当社の電気事業営業収益の大半は原価主義(「(3)経営成績に重要な影響を与える要因について ①営業収益 (ハ) 卸電気料金」の項参照)に基づく一般電気事業者からの販売電力料収入と託送料収入です。販売電力料収入には固定料金である基本料金と販売電力量に応じた電力量料金があります。当社の販売電力量は、販売先である一般電気事業者の電力需給動向により影響を受けるため、当社の電力量料金に係わる収入は間接的に小売電力需要の影響を受けます。
(イ) 発電設備容量
当社は、発電施設建設にあたり、受電予定会社の全量受電を前提として開発規模、運転開始予定時期、予定工事費等につき受電予定会社と合意し、運転開始に先立ち原価主義に基づく電力受給契約を結ぶため、料金引下げ等の例外要因を除き、基本的には発電設備容量の増加が販売電力量及び販売電力料の増加に結びつきます。
(ロ) 電力需要
日本の最終電力需要の見通しによっては、長期的に当社が建設・運転可能な発電所数が左右されることになり、間接的に当社収益に影響します。短期的には当社火力発電所の発電量の多寡を通じ、営業収益に影響します。また、電力需要は冷夏・暖冬等の天候によっても影響を受けます。
(ハ) 卸電気料金
当社は、一般電気事業者への電力供給、電力託送における料金の算定については、電力供給、電力託送を行う上で必要と想定される適正な原価に事業報酬を加えて算定する原価主義を採用し、事業運営に必要な収入の確保と投下資本の回収を行っております。
個別の料金については、設備(発電所、送・変電設備)種別毎に、地点別又は水系別に上記原価主義により算定した原価(個別原価主義料金)を基に販売先電力会社との間で契約を締結しております。
水力、送・変電設備の料金については、原価に占める減価償却費や事業報酬等の資本費の比重が高いことから、長期安定化の観点より定期的な更改は行わず、金利・物価等経済環境等を踏まえ契約当事者間で協議の上、改定を行っています。
料金の構成としては、揚水を除く水力発電設備については、料金の8割程度を基本料金とし、残りの2割程度を販売電力量に応じた従量料金としています。2割分は出水率の変動により増減しますが影響は大きくありません。一方、揚水発電設備、送・変電設備については、全額を基本料金としております。
火力設備の料金については、原価に占める燃料費等変動費の比重が高く、修繕費など維持運転費についても年度毎の原価変動が大きいことから、2年毎(石炭価格部分については価格の変動が著しい場合は、1年毎)に料金の見直しを行っています。料金の構成としては、燃料費等の変動費については販売電力量に応じた従量料金としており、販売電力量に応じてこの部分の収益は増減しますが、燃料使用量もこれに合わせ増減します。燃料の調達に係る為替レート及び重軽油価格変動に伴う燃料費変動については、四半期毎に調整する料金の仕組みになっています。変動費以外の固定費部分については基本料金としております。基本料金は減価償却費、事業報酬等の資本費の他、修繕費等の維持運転費等からなり、維持運転費の増加や大規模な設備投資がない限り、設備の減価償却の進行及び近年の金利等経費低下を反映して減少する傾向にあります。
(ニ) その他の電気事業
当社グループの電気事業には、IPP(独立系発電事業者)による一般電気事業者向け電力卸供給事業、新電力等向け電力卸供給事業及び風力発電事業を含みます。これらの事業は当社の子会社が行っており、事業が拡大し、電気事業収益が増加する可能性があります。
○海外事業営業収益
当社グループの海外事業営業収益の大半は、当社の連結子会社とタイ電力公社(EGAT)との長期電力販売契約に基づく販売電力量収入です。販売電力量収入には固定料金である基本料金収入と販売電力量に応じた電力量料金収入があります。当社の連結子会社の販売電力量は、販売先であるタイ電力公社の電力需給動向により影響を受けるため、当社の連結子会社の電力量料金に係わる収入は間接的に電力需要の影響を受けます。
②営業費用
○電気事業営業費用
(イ) 減価償却費
重要な減価償却資産の減価償却の方法は、建物、構築物及び機械装置は定率法、その他は定額法によっています。今後、新たに大規模な設備が資産計上されると減価償却費も増加します。(今後の設備投資については「(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析 ②設備投資」の項参照)
(ロ) 燃料費
火力発電所の燃料に使用する石炭については、主として長期契約若しくは期間1年程度の契約により行っております。また、補完的にスポットでの調達も行っております。長期契約に基づく石炭の購入価格は、通常、1年に1回市場価格を踏まえて調整されます。当社の燃料費は、石炭の価格変動、輸送船舶の需給状況、燃料調達先の設備・操業トラブル等の影響を受けます。
(ハ) 人件費
従業員に係る退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件(割引率、将来の退職金ポイント累計、退職率、死亡率、年金資産の期待運用収益率等)に基づき算出されていますが、実際の算出結果が前提条件と異なる場合、特に株価等市況が大きく変化し年金資産の実運用収益率が影響を受けた場合、数理計算上の差異が大きくなり、その償却により人件費が影響を受けます。
(ニ) 修繕費
設備信頼性を維持するため計画的な補修を実施しておりますが、定期点検の内容、規模等により修繕費は変動します。
○海外事業営業費用
燃料費
タイ国における火力発電に用いる燃料の天然ガスは、タイ国石油公社(PTT)と長期燃料供給契約を締結し購入しております。当社の連結子会社の燃料費は、ガス価格の変動、PTTの設備・操業トラブル等の影響を受けます。
③営業外収益・費用
営業外費用には、支払利息のほか為替差損があり、金利及び為替の変動によって影響を受ける可能性があります。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資金需要
当社の主な資金需要は電気事業、海外事業への設備投資及び長期負債の借換資金です。
②設備投資
当連結会計年度の電気事業に係る設備投資は前連結会計年度より272億円減少の670億円、海外事業に係る設備投資は前連結会計年度より206億円増減少の751億円です。
③有利子負債
国内外への投資資金需要により当連結会計年度末での有利子負債残高は1兆7,236億円となり、前連結会計年度末より736億円増加しました。
(イ) 短期有利子負債
当連結会計年度末の短期有利子負債は、1年以内に返済予定の長期借入金1,085億円、短期借入金300億円及び1年以内に償還予定の社債600億円等です。なお、1年以内に返済予定の長期借入金のうち107億円はノンリコースローン(責任財産限定特約付借入金)です。
(ロ) 長期有利子負債
当連結会計年度末の長期有利子負債は、長期借入金8,578億円、社債6,660億円等です。なお、長期借入金のうち3,262億円はノンリコースローン(責任財産限定特約付借入金)です。
④流動性及び資金の源泉
(イ) 資金調達
当社の資金需要は設備投資と債務の借換に係るものが大半であり、資金調達は長期資金で手当てすることを原則としています。長期資金調達に際しては、低利かつ安定的な資金調達手段として普通社債の発行及び金融機関からの借入を行っており、当連結会計年度末の発行残高及び借入残高は、それぞれ7,260億円、9,663億円となっています。短期資金については、運転資金に加え、調達の即応性を高める観点から機動的なつなぎ資金調達を実施することとしており、これら短期の資金需要を満たすために1,000億円のコマーシャル・ペーパーの発行限度枠を設定しています。
また、当連結会計年度においては、平成27年3月10日を払込期日とする公募による新株式発行(一般募集)および公募による自己株式の処分(一般募集)ならびに平成27年3月24日を払込期日とするオーバーアロットメントによる当社株式の売出しに伴う第三者割当による新株式発行を行い、総額1,193億円の資金調達を行いました。
(ロ) キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の増加等により、前連結会計年度に対し257億円増加の1,478億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、タイ国プロジェクトへの設備投資の減少等により、前年度に対し344億円減少の1,429億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、新株の発行及び自己株式の処分による収入の増加等により、前年度に対し556億円増加の1,439億円の収入となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当年度末残高は、前年度末残高に対し1,512億円増加の2,364億円となりました。