有価証券報告書-第97期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/30 15:50
【資料】
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【項目】
145項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、「空間に思いを馳せ、人々の笑顔を創造する。」という企業理念のもと、当社グループの持続的かつ安定的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、多角的に事業展開を進め、健全で透明性の高い経営を行いつつ、「安心」かつ「安全」な施設とサービスの提供、また、企業の社会的責任を果たす取り組みを進めていくとともに、これを含むESGを意識した施策を推進し、SDGsの達成に寄与してまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社は、株主の皆様へ安定的な配当を実施するため、原資となる当期純利益額を重要な経営指標として企業価値
の向上に努めております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
①前中期経営計画の振り返り
当社グループは、中長期的な目標や方向性をブラッシュアップし、さらなる企業価値向上に向け、2017年12月期から2021年12月期の5年間で取り組むべき項目を明確にした第2次中期経営計画「Road to『NEXT STAGE』」を推進してきました。
2019年12月期には2年前倒しで売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益の3つの業績目標を達成し、設備投資は5年で300億円の計画に対し、2020年12月期までの4年間で254億円の投資を実施いたしました。
各事業ごとに実施したアクションプランは下記のとおりとなります。
[公営競技事業]
・東京メガイルミネーションのオープン
・インターネット投票システム「SPAT4」における地方競馬全場・全レース発売開始
・SPAT4プレミアムポイントにおける新規会員獲得キャンペーン、会員限定情報コンテンツの提供
・大井競馬場の馬場照明LED化
・伊勢崎オートレース場グリーンスタンド耐震改修工事
[遊園地事業]
・絶景!ナイトプール営業開始
・ロッカー・更衣室等のリニューアル
・新規入園管理システムの導入
[倉庫賃貸事業]
・習志野茜浜倉庫稼働開始
[サービス事業]
・積極的営業戦略による株式会社タックの収益性向上
・ウィラ大井での地域イベント開催
このほか、CSR活動の強化として、CSR報告書の作成・公表や都立特別支援学校等への馬とのふれあいの場を提供するなど各種取り組みを実施いたしました。
また、人材・組織の育成におきましては、中期的な採用方針の策定やグループ共通研修体系の確立などを推進いたしました。
②経営環境
余暇の過ごし方の選択肢増加や各種コンテンツのデジタル化・ネット化により、レジャーに対するニーズの高度化が進むとともに、新型コロナウイルスの影響により、価値観やライフスタイルの変化、オンラインサービス等の拡大、リモートワークの促進、インバウンド需要の減少など社会全体は大きく変化しております。また、近年SDGsやESGに関する国際的な意識も高まっていることから、企業として社会課題への対応が求められております。
このような状況の中、当社グループにおける事業環境においては、競馬のインターネット投票システム「SPAT4」の売得金の増加による収益の伸長がある中、会員数・アクセス数の増加など環境の変化に対応したシステム機能強化の必要性を認識しております。また、大井競馬場内の一部施設並びに東京サマーランド内の施設や遊戯機器の老朽化が課題となっております。
③当社事業に関する新型コロナウイルスの影響と今後について
新型コロナウイルス感染症による当社グループへの影響は、収束時期の見通しが不透明な状況であり、事業によってその影響や程度は異なるものの、会計上の見積りについては翌連結会計年度末にかけて徐々に回復に向かうものと仮定しております。ただし、収束までの期間が長期に及ぶ場合には、公営競技の無観客開催や東京サマーランドの臨時休園など入場者数が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
それを踏まえた各事業の売上高動向予測は下記のとおりとなります。
[公営競技事業]
特に競馬事業におきまして、無観客または入場制限下での開催等の中、引き続きSPAT4における売上高が伸びる余地があるものと考えております。
[遊園地事業]
2022年から徐々に回復していき、2023年からは新アトラクション導入を含むリニューアルの効果もあり、新型コロナウイルス前の2019年との比較で、5%程度増加すると見込んでおります。
[倉庫賃貸事業]
主に大手物流会社が取引先のため安定的に推移するものと考えております。
[サービス事業]
商業施設・オフィスビルは固定賃料のため安定的に推移するとともに、空調設備事業においても大きな影響はないと見込んでおります。
④第3次中期経営計画の策定・公表
このような状況を踏まえ、2021年度12月期から2025年度12月期までの5年間を計画期間とする第3次中期経営計画「~Galloping into the future~」を策定・公表いたしました。
最終年度となる2025年度12月期の目標を売上高400億円、営業利益150億円、親会社株主に帰属する当期純利益100
億円としております。
また、これらの目標を達成した場合の自己資本利益率(ROE)については10%を見込んでおります。
(4) 会社の対処すべき課題
以上のとおり、当社グループでは、2017年より第2次中期経営計画「Road to『NEXT STAGE』」を発表し、2つの基本方針「既存の枠組みを超えた『新たな取り組み』への着手」「これまでより一歩進んだ『新たな空間』『新たなサービス』の提供」と4つのキーワード「感動」「安心・安全」「貢献」「経営基盤」に沿って取り組みを推進した結果、2019年に業績目標を2年前倒しで達成するなど順調に推移してまいりました。
また、新型コロナウイルス感染防止を徹底したうえで、DX(デジタルトランスフォーメーション)をはじめとする社会変化に適応するとともに、地球環境などの社会的課題解決に向けた取り組みに貢献できる企業こそが成長・価値向上を継続していけるものと考えております。
今回、当社はこの観点に立ち、2021年度からの5年間で取り組むべき施策を明確にした第3次中期経営計画「~Galloping into the future~」を策定いたしました。
この第3次中期経営計画では、これまでと異なる社会情勢の変化の中で、次の基本方針と4つの柱を軸として、常に「今何を考え、何をするべきか」を意識することで、スピード感をもって課題に対応していき、さらなる当社の発展、成長に繋げてまいります。
<基本方針>①企業理念に基づき、全速力で駆け抜ける“Galloping into the future”
②DXをはじめとする社会変化へ的確に対応
③地球環境などの社会的課題の解決に貢献するとともに、自らも成長を持続
<4つの柱>①環境に配慮した魅力ある施設づくり
②住みやすい地域づくりへの貢献
③働きがいと効率的な組織体制の整備
④持続的成長のための基盤強化
各事業における施策は、以下のとおりあります。
[公営競技事業]
大井競馬場及び伊勢崎オートレース場内の一部施設の建替えや利便性向上等を考慮した場内機能の再整備など魅力ある施設づくりを実施するほか、イルミネーションイベントを継続的に行うなど大井競馬場施設の有効活用を推進してまいります。
インターネット投票システム「SPAT4」においては、会員数及びアクセス数の急増を見越したシステム強化やIT環境の変化・ニーズに対応するサービスの拡充、SPAT4プレミアムポイントサービスの充実等を積極的に実施してまいります。
[遊園地事業]
東京サマーランドのリニューアル施策として、施設の耐震工事及び新規アトラクションの導入を進めてまいります。
また、営業形態の見直しによる固定費の削減や入場料の変動価格制を導入することで、混雑緩和・ピーク分散による快適性と利用単価の向上に繋げるなど、収益力の強化に努めてまいります。
[倉庫賃貸事業]
勝島地区においては、現在建替えを進めている倉庫を予定通り稼働させ、安定収益の確保に努めてまいります。
その他の地区においても、顧客のニーズにあった施設の提供を続けていくとともに、新規物件の取得により事業規模の拡大に取り組み、さらなるグループ収益の安定化を目指してまいります。
[サービス事業]
大井競馬場周辺の賑わいを創出するため、稼働率が低下している競馬場の駐車場を有効活用することで地域活性化に繋げてまいります。
空調設備事業においては、業務範囲の拡大や人材の確保・育成に努め、安定的な受注及び利益の確保に取り組んでまいります。
以上の方針に沿って事業を進めるとともに、社会課題への対応としてESGを意識した経営を行い、SDGsの達成に寄与していくことで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。