有価証券報告書-第105期(平成26年2月1日-平成27年1月31日)

【提出】
2015/04/28 14:56
【資料】
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【項目】
114項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、堅調な企業収益を背景に所得、雇用環境は改善基調で推移しましたが、個人消費については一定の改善はみられるものの、物価の上昇の影響もあり、期待された水準までは持ち直しておりません。このところの円安の進行は、訪日外国人を呼び込む追い風にはなっておりますが、レジャーサービス関連への波及を伴う国内消費の本格的な回復には時間がかかると見込まれます。
このような状況のもと、当社グループは、平成23年2月から平成28年1月までを対象期間とする中期経営計画「起動」に総力を挙げて取り組みました。
当連結会計年度の主な取り組みとしましては、東京ドームシティ(以下、TDC)における開発投資として、平成26年7月に宇宙ミュージアム「TeNQ」をオープンしました。東京大学総合研究博物館との提携により、当社ならではのエンタテインメント性に文化教養要素を付加することで新たな価値を創出しております。
東京ドームでは、より天然芝に近い性能と様々なイベントに適合する耐久性・復元力を併せ持つ最新の人工芝への全面張替えを行うと共に、光ファイバー回線、球場内公衆WiFi設備も導入し、野球だけでなく日本最大規模の多目的施設としても機能の充実を図っております。また、読売巨人軍の創設80周年を迎えるシーズンに合わせ、22ゲート両脇に長嶋・王両氏の大型レリーフを設置したほか、読売巨人軍と連携してドーム内外の装飾や各種ファンサービスを展開いたしました。
アトラクションズ及びミーツポートにおいては、有名アーティストや「妖怪ウォッチ」をはじめ人気のコンテンツとのコラボレーションイベントを行い、TDC全体で、家族連れを中心に好評を博しました。また、ラクーアにおいて、現役陸上選手の協力によるランニングクリニックを開催し、スポーツを本格的に考え、体験出来る機会を提供いたしました。
環境問題への対応としましては、ヒートアイランド対策として、スプラッシュガーデン脇通路に「緑のトンネル」を設置し、お客様に快適な空間を提供すると共に緑化に努めております。自然エネルギーの活用としては、新たに松戸競輪場において、スタンド屋根を利用しての太陽光発電を開始いたしました。
連結業績といたしましては、東京ドームにおいて、「TeNQ」の開業やTDCでの「妖怪ウォッチ」とのコラボレーションイベントの好調などの好材料がありましたが、日本シリーズやワールド・ベースボール・クラシックなどの野球イベントやコンサートイベントの減少の影響を受けました。また、松戸競輪場においては、運営受託に係る収入が減少しております。
以上の結果、売上高は832億1千5百万円(前期比0.4%減)となり、営業利益は112億7千万円(前期比3.9%減)、経常利益は91億3千6百万円(前期比1.9%減)、当期純利益は74億4千1百万円(前期比7.9%減)となりました。
次にセグメント(セグメント間の内部売上高または振替高を含む)の概況をご報告申し上げます。

<東京ドームシティ>
(東京ドーム)
東京ドームは、読売巨人軍の公式戦における1試合当たりの動員数やコンサートイベントにおける1開催当たりの飲食・物販収入は前期を上回ったものの、開催数自体の減少により、減収となりました。
(東京ドームシティ アトラクションズ)
東京ドームシティ アトラクションズは、人気機種の通期営業に加えて、コラボレーションイベントの好調もあり、増収となりました。
(東京ドームホテル)
東京ドームホテルは、円安を背景にインバウンド旅行客の取り込みが好調に推移し、客室稼働率、単価共に増加したものの、レストラン、婚礼部門が苦戦し、減収となりました。
(ラクーア)
ラクーアは、前期に行った温浴施設とテナントのリニューアル効果が持続し、来場者が増加し、増収となりました。
(黄色いビル)
黄色いビルは、「TeNQ」の開業や「スポドリ!」の通期営業が寄与し、増収となりました。
以上の結果、東京ドームシティ事業全体での売上高は628億9千5百万円(前期比0.3%減)、営業利益は143億9千7百万円(前期比1.8%減)となりました。


<流通>
化粧品を中心に各種雑貨を取り扱う「ショップイン」は、消費増税の影響やウィング高輪店が耐震工事に伴い退店したことにより、減収となりました。
以上の結果、売上高は70億9千5百万円(前期比3.0%減)、営業損失は前期比3千9百万円の改善となり、3千6百万円となりました。
<不動産>
当社所有の「相模原ビル」における新規テナントの開業により、増収となりました。
以上の結果、売上高は15億3千8百万円(前期比2.1%増)、営業利益は5億2千4百万円(前期比10.6%増)となりました。
<熱海>
熱海後楽園ホテルは、個人、団体共に宿泊利用が増加し、増収となり、現2館体制では前期に引き続き最高利益を計上しました。なお、併設の遊園地「アピオ」は、施設の老朽化に伴う安全性の確保やレジャー多様化への対応に鑑み、平成27年1月をもって閉園しております。
以上の結果、売上高は45億1千9百万円(前期比1.2%増)、営業利益は3億5千1百万円(前期比4.5%増)となりました。
<札幌>
東京ドームホテル 札幌は、国内外からの来道者が好調に推移し、客室稼働率、単価共に増加したものの、婚礼組数の大幅な減少により、減収となりました。
以上の結果、売上高は27億2百万円(前期比2.8%減)、営業損失は前期比1千8百万円の損失増となり、3千2百万円となりました。
<競輪>
松戸競輪は、開催日数は増加したものの、運営受託に係る収入が減少し、減収となりました。
以上の結果、売上高は22億7千3百万円(前期比6.2%減)、営業利益は1億2千9百万円(前期比60.6%減)となりました。
<その他>
スポーツ施設の運営受託を行う㈱東京ドームスポーツにおいて、指定管理事業を新たに獲得したことにより、増収となりましたが、新規受託に伴う初期費用の負担により、減益となりました。
以上の結果、売上高は31億6千9百万円(前期比6.0%増)、営業利益は1億1千2百万円(前期比1.6%減)となりました。


(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、以下の要因により、前連結会計年度に比べ14億6千5百万円(11.2%)増加し、145億6千1百万円となりました。

項目前連結会計年度当連結会計年度比較増減
(百万円)
自 平成25年2月1日
至 平成26年1月31日
(百万円)
自 平成26年2月1日
至 平成27年1月31日
(百万円)
営業活動によるキャッシュ・フロー17,29617,131△164
投資活動によるキャッシュ・フロー△4,624△6,102△1,478
財務活動によるキャッシュ・フロー△11,428△9,5631,864
現金及び現金同等物の増減額1,2431,465222
現金及び現金同等物の期首残高11,85213,0951,243
現金及び現金同等物の期末残高13,09514,5611,465

営業活動によるキャッシュ・フローは、東京ドームにおけるコンサートインベントが減少しましたが、宇宙ミュージアム「TeNQ」がオープンしたこと等により171億3千1百万円の収入となり、前年同期比で1億6千4百万円の収入減と前年並みを確保しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、宇宙ミュージアム「TeNQ」の資産取得等により61億2百万円の支出となり、前年同期比で14億7千8百万円の支出増となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、95億6千3百万円の支出となり、前年同期比で18億6千4百万円の支出減となりましたが、有利子負債の削減は順調に進んでおります。