有価証券報告書-第56期(平成29年7月1日-平成30年6月30日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益の拡大や雇用・所得環境の改善が続く中、景気は緩やかな回復基調で推移しているものの、原油価格の上昇や米国の貿易摩擦懸念など、景気の先行きは依然不透明な状況が続いております。
当社グループが属する建設コンサルタント業界では、巨大地震や自然災害に対する防災・減災対策、インフラの老朽化対策、国土の強靭化による安全・安心の確保などに加え、既存ストックの有効活用や持続可能な地域社会の形成など、社会資本整備に対するニーズが多様化し、建設コンサルタントの果たすべき役割も変化しております。
このような状況の下で、当社グループは、第11次中期経営計画(平成28年7月から平成31年6月まで)において重点課題として設定した「競争力の強化」「収益性の向上」「社会ニーズへの対応」に対する諸施策の取り組みを継続して実施してまいりました。特に、九州北部豪雨や台風21号などで被災した地域の復旧・復興に向けた業務支援、ドローンの活用やAI技術などの技術開発、環境・エネルギー分野の事業開拓など積極的に努めてまいりました。また、社会的な要請である長時間労働の是正やワーク・ライフ・バランスの実現に向けた「働き方改革」の一環として、生産性の向上を図る取り組みを進めてまいりました。
これらの結果、当連結会計年度における当社グループ全体の業績は、受注高が164億4千5百万円(前連結会計年度比111.8%)となり創業以来の最高額となりました。また、受注残高についても112億1千5百万円(同124.7%)と高水準となりました。売上高については、期初から受注が堅調に推移したものの、複数年契約業務の増加や「橋、高架の道路等の技術基準」(道路橋示方書)の大幅な改定による契約工期の変更に伴い、売上予定業務が翌期以降にずれ込むこととなった結果、142億2千3百万円(同96.8%)に留まりました。利益面におきましては、働き方改革による仕事の効率化や外注費の削減などにより原価率が3.1ポイント改善した結果、営業利益は8億7千万円(同128.1%)、経常利益は8億8千1百万円(同122.7%)、最終の親会社株主に帰属する当期純利益は5億5千6百万円(同114.0%)となり、前連結会計年度に比べ減収増益となりました。
部門別の状況を示すと次のとおりであります。なお、当社グループは単一の報告セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
[構造保全部門]
当部門の受注高は92億2千7百万円(前連結会計年度比125.8%)、受注残高は54億4百万円(同175.0%)、売上高は69億1千1百万円(同95.3%)となりました。主な受注業務として、国土交通省近畿地方整備局奈良国道事務所管内における大和北道路郡山下ツ道南他橋梁詳細設計業務、東日本高速道路(NEXCO東日本)管内における関越自動車道鶴ヶ島地区橋梁拡幅設計検討業務があげられます。
[社会創造部門]
当部門の受注高は35億9千万円(前連結会計年度比90.8%)、受注残高は21億3千9百万円(同93.4%)、売上高は37億4千1百万円(同93.7%)となりました。主な受注業務として、佐賀県佐賀市の佐賀駅周辺整備基本計画策定業務、富山県のとやま水素エネルギービジョン策定があげられます。
[防災部門]
当部門の受注高は20億6千万円(前連結会計年度比97.6%)、受注残高は12億5千2百万円(同98.7%)、売上高は20億7千6百万円(同113.7%)となりました。主な受注業務として、高知県の江ノ口川排水機場長寿命化計画策定業務、茨城県常陸太田市真弓町のトンネルにおける空中電磁探査業務があげられます。
[海外・施工管理部門]
当部門の受注高は15億6千7百万円(前連結会計年度比119.1%)、受注残高は24億1千7百万円(同103.1%)、売上高は14億9千4百万円(同92.3%)となりました。主な受注業務として、福島県の復興祈念公園事業CM(コンストラクション・マネジメント)業務、ミャンマー国における東西経済回廊整備事業 詳細設計調査があげられます。
なお、当社グループは継続的に企業価値の向上を図るため、株主資本利益率(ROE)10.0%以上を安定的に達成できることを目標に掲げております。当連結会計年度におきましては、利益率の改善により増益となった結果、株主資本利益率(ROE)10.6%で目標達成することができました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べて12億6千1百万円増加(前連結会計年度は6億1千1百万円増加)し、114億6千4百万円(前連結会計年度は102億2百万円)となりました。主な変動は、現金及び預金の増加10億8千万円、受取手形及び完成業務未収入金の減少1億8千1百万円、たな卸資産の増加3億6千9百万円、ソフトウエアの増加4千8百万円であります。
負債合計は、前連結会計年度末と比べて8億6千2百万円増加(前連結会計年度は9千3百万円減少)し、60億2千8百万円(前連結会計年度は51億6千5百万円)となりました。主な変動は、未払法人税等の増加1億6千5百万円、未成業務受入金の増加4億8千4百万円であります。
純資産合計は、前連結会計年度末と比べて3億9千8百万円増加(前連結会計年度は7億5百万円増加)し、54億3千6百万円(前連結会計年度は50億3千7百万円)となりました。主な変動は、剰余金の配当8千万円、当期純利益5億5千6百万円、自己株式の増加9千9百万円によるものであります。
これらの結果、当社グループの自己資本比率は47.4%(前連結会計年度は49.4%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べて10億8千万円増加し、40億5千7百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金純額は、13億8千6百万円(前連結会計年度は、獲得した資金7億4千2百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益8億8千1百万円に、減価償却費1億6千3百万円の非資金費用のほか、売上債権の減少額1億8千万円、たな卸資産の増加額3億6千9百万円、未成業務受入金の増加額4億8千4百万円、法人税等の支払額2億2千6百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金純額は、9千6百万円(前連結会計年度は使用した資金1億6千7百万円)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出6千3百万円、無形固定資産の取得による支出1億3百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金純額は、2億1千万円(前連結会計年度は使用した資金1億7千2百万円)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出2千5百万円、自己株式の取得による支出1億3百万円及び配当金の支払額7千9百万円によるものであります。
営業活動の結果獲得したキャッシュ・フローにより、設備投資等の投資活動に使用したキャッシュ・フロー、借入金の返済等の財務活動に使用したキャッシュフローを賄っております。
④ 生産、受注及び販売の状況
当社グループは、単一の報告セグメントであるため、生産、受注及び販売の状況につきましては、事業の部門別に記載しております。
イ. 生産実績
当社グループは、主として官公庁より調査・計画・設計に係る業務を受託して行っており、生産実績を定義することが困難であるため、生産の状況の記載はしておりません。
ロ. 受注状況
当連結会計年度の受注状況を事業の部門別に示すと、次のとおりであります。
| 部門 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
| 構造保全 | 9,227,231 | 125.8 | 5,404,952 | 175.0 |
| 社会創造 | 3,590,641 | 90.8 | 2,139,718 | 93.4 |
| 防災 | 2,060,399 | 97.6 | 1,252,616 | 98.7 |
| 海外・施工管理 | 1,567,018 | 119.1 | 2,417,955 | 103.1 |
| 合計 | 16,445,290 | 111.8 | 11,215,242 | 124.7 |
(注) 1.数量につきましては、業種の特殊性から把握が困難なため記載を省略しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ハ. 販売実績
当連結会計年度の販売実績を事業の部門別に示すと、次のとおりであります。
| 部門 | 売上高(千円) | 前年同期比(%) |
| 構造保全 | 6,911,100 | 95.3 |
| 社会創造 | 3,741,776 | 93.7 |
| 防災 | 2,076,983 | 113.7 |
| 海外・施工管理 | 1,494,048 | 92.3 |
| 合計 | 14,223,908 | 96.8 |
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 平成28年7月1日 至 平成29年6月30日) | 当連結会計年度 (自 平成29年7月1日 至 平成30年6月30日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| 国土交通省 | 5,671,338 | 38.6 | 4,675,161 | 32.9 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における財政状態及び経営成績に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。
② 経営成績等の状況の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」をご参照ください。
③ 財政状態の状況の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照ください。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、成長投資に必要な資金は、事業で生み出す営業キャッシュ・フロー及び手元流動性資金で賄うことを基本とし、それを超える投資規模の場合には、金融市場又は資本市場から調達することも選択肢の一つとし、成長への機会損失とならないよう堅実かつ柔軟な資金調達を行う方針であります。
又、業務の特性上、業務代金の回収時期が3月から5月に集中する傾向があるため、資金需要に応じて運転資金の一部を金融機関からの短期借入金で賄っております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
今後の経営環境は、平成30年度公共事業関係予算も前年度から横ばいとなり、予算の重点分野としては東日本大震災や熊本地震、九州北部豪雨等による「被災地の復旧・復興」、「国民の安全・安心の確保」、「生産性の向上と新需要の創出による成長力の強化」、「豊かで活力のある地域づくり」が挙げられています。また、国土強靭化計画や地方創生、国土交通省が策定した国土形成計画、第4次社会資本整備重点計画などの施策も概ね継続的に執行されると考えられます。このような状況の中、中期経営計画の最終年度である第57期においても企業の持続的な発展に資するため、競争力強化、収益性向上および社会ニーズへの対応に積極的に取り組んでまいります。