有価証券報告書-第43期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 15:47
【資料】
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【項目】
132項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「次世代へ快適な環境を」を企業理念とし、一般家庭向け環境衛生事業、事業所向け環境衛生事業、産業廃棄物の再資源化を主とする環境資源開発事業、太陽光発電関連事業並びにその他のエネルギー関連事業の各領域において、顧客重視の視点でマーケットを掘り起こしニーズを顕在化させてまいります。「環境とエネルギーのトップ企業へ」を企業ビジョンとし、これらを通して収益性及び資本効率を高め、企業価値の増大に努めてまいります。
(2) 経営戦略等
当社グループは、既存の事業基盤を強化・拡大しながら、エネルギー関連事業等の新たな取組みに挑戦し、持続可能な成長を達成していく中期経営計画(2019年度-2021年度)を公表しました。
太陽光発電事業(SE事業)については、太陽光発電においてFIT制度から「自家消費」を対象とした営業転換を推進しつつ、生産性、効率性を高め、モジュール、パワコン等部材のコストダウンを進めてまいります。一般家庭向け(HS事業)及び事業者向けの環境衛生管理事業(ES事業)については、営業職、顧客管理職、技術職などの人的資源を適時適切に重点配分し、新規顧客の開拓、既存顧客のアフターサービスを強化し、店舗展開を含めた事業規模や収益の拡大を図ってまいります。環境資源開発事業については、産業廃棄物の受入量の増量を図るとともに、プラスチック燃料の品質管理を徹底することで、苫小牧発電所の安定稼動による収益拡大を図ってまいります。エネルギー事業については、電力市場の状況を注視しながら採算性の向上を図るとともに、将来を見据えた事業基盤の強化や他部門との営業面におけるシナジー効果を出せるよう取組んでまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、実現すべく目標とする経営指標は、生産性の状況やコストとのバランスを最も端的に反映する営業利益率であります。目標とする営業利益率は中長期的に10%を目指してまいります。
(4) 経営環境
環境問題、地球温暖化対策について、2015年9月国連サミットにおけるSDGs採択、2015年12月パリ協定の採択など世界規模で対策していく必要性が「世界の共通認識」となってまいりました。日本においても、2018年環境基本計画や循環型社会形成推進計画など『環境とエネルギー』分野の基本計画更新がなされ、「2050年カーボンニュートラルの実現」に向けて取組みが進み始めてまいりました。世の中の価値観は、当社グループがこれまで取組み、提唱してきた事業領域と相重なっており、当社グループの進むべき方向として、以下の三つの「アタリマエの社会」を創造し、地域社会に貢献することで成長してまいります。
一.『快適な住環境を次世代に繋ぐのがアタリマエの社会』
二.『すてないがアタリマエの社会』
三.『環境負荷の低いエネルギーがアタリマエの社会』
(5) 今後の見通し
当社グループは、「中期経営計画(2019年度-2021年度)」のもと、「持続的且つ安定的経営」を維持しつつ、既存の基盤を一層強化、拡大し、新たな取組みを軌道に乗せることで、持続可能な成長を図ってまいりました。
今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症による影響が今後も続くことが想定されるものの、感染予防対策を十分に行ったうえで、住環境領域、資源循環領域、エネルギー領域の各領域において、これまでの事業経験を活かし、新たなイノベーションによって、企業理念である「次世代へ快適な環境を」のもと、持続可能な社会づくりに引き続き取り組んでまいります。
SE事業は、2020年度よりFIT制度が「自家消費」を前提とした設計となったため、商品コンセプト、提案内容を変更し事業活動を移行してまいりました。引き続き法人向けに「自家消費」太陽光発電の新規開拓を進めるとともに、蓄電池をセットした家庭向けシステムの販売も進めてまいります。中長期的には「CO2ゼロエミッション電源」として環境負荷の低減並びに電気代低減を実現できる「自家消費」型の太陽光発電マーケットが拡大し、社会的に浸透していくと想定しております。
HS事業は、地域に密着した新規開拓、既存顧客のアフター体制をより一層拡充することで、事業基盤を強化し、その上で採用等による人員増や、店舗出店を行い、新規及び顧客件数の増加を図ってまいります。
ES事業は、管理会社などの提携先開拓、既提携先の密なフォローによる紹介や、不動産オーナーとの商談の機会を増やし、その上で店舗出店を進めながら、主力商品である「防錆機器取付施工(商品名:ドールマンショック)」の販路を拡大してまいります。
環境資源開発事業は、プラスチック燃料の品質向上、工場の効率運営を進めてまいりました。引き続き収益性を重視しつつ受入増量を図ることで業績向上を図ってまいります。また、有機廃液処理においても再生燃料の製造を推進することで、資源循環型事業の社会における役割を認識しつつ成長を目指してまいります。事業環境としては、廃プラスチックの環境汚染問題に対する意識が国際的に高まり、2019年5月に政府より「プラスチック資源循環戦略」が策定されるなど、今後も環境に関する市場は拡大すると見込んでおります。当社グループは、これまで取り組んできた廃プラスチックの適正処理とリサイクル事業は社会的に必要性の高い事業との認識をもって事業運営をしてまいります。
エネルギー事業は、新電力において電力小売契約件数の増加を図るとともに、安定的な電力調達先の確保を進め採算性の安定化を図ってまいります。また他社サービスとの協業によるエネルギー関連事業の開発も推進し、新たなビジネスモデルを構築する足掛かりとしてまいります。
翌連結会計年度(2022年3月期)の連結業績見通しにつきましては、売上高49,730百万円(前期比4.1%増)、営業利益2,396百万円(前期比5.1%増)、経常利益2,166百万円(前期比5.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,540百万円(前期比19.7%減)を予想しております。
なお、2022年3月期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用するため、連結業績予想については当該会計基準等を適用した後の金額となっており、対前期増減率については、2021年3月期に当該会計基準を適用したと仮定して算定した増減率を記載しております。
また、上記の業績予想は本資料の発表日現在において入手可能な情報に基づき作成したものであり、実際の業績は、今後様々な要因によって予想数値と異なる結果となる可能性があります。
(6) 優先的に対処すべき事実上及び財務上の課題
当社グループは、新型コロナウイルスの感染拡大により社会生活に影響が続いている中ではありますが、これまで掲げてきた持続的かつ安定的な経営を更に推し進めてまいります。以下の項目を対処すべき課題として、グループを挙げて取り組んでまいります。
① 5事業からの持続的な収益の実現
環境とエネルギーのトップ企業に向けて、SE事業、HS事業、ES事業、環境資源開発事業及びエネルギー事業からなる安定的な収益基盤の構築を進めるべく、それぞれの営業力を最適化、かつ強化するとともに、徹底したコスト削減の取り組みを継続することで、持続的な収益の拡大を図ってまいります。
② 人材育成の注力と基盤の強化
当社グループは、事業環境の変化に的確に対応することはもとより、次なる成長に向けて基盤をより一層強化していくことが課題であり、人材育成を重視し、お客様に満足いただけるサービスを提供するために、専門家集団となることを目指してまいります。
③ 職場環境の整備
当社グループ従業員が安全安心にかつ十分に能力を発揮できるよう、職場施設面の整備、及び職場の一体感醸成等人間関係構築のための管理職研修を含めて職場環境を整備してまいります。また、情報システムの刷新を進め生産性・効率性を向上させることで、業務負担の軽減を進めるとともに多様な働き方の実現に取り組んでまいります。
④ エネルギー関連事業の取り組み
長年にわたり培った資源循環型発電事業を推進し、太陽光発電を広く普及させエネルギー事業を拡大させていくことが資源循環型社会の実現へ繋がります。当社グループは、住宅向け、事業者向けに広くエネルギー関連事業を積極的に展開するとともに、次なる事業開発、商品開発に注力してまいります。
⑤ 財務基盤の安定化
当社グループは、対処すべき課題における施策を実行し、それぞれの事業で持続的な成長、安定的な収益の拡大を図ることで、キャッシュ・フローの改善を進め、有利子負債の圧縮、財務基盤の安定化に繋げてまいります。