有価証券報告書-第31期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/17 14:01
【資料】
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【項目】
152項目

事業等のリスク

当社グループの事業展開及び経営の継続において、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりです。当社グループは、これらのリスクを認識した上で、回避の可能性のあるものについては発生の回避に努め、また、リスクが現実化した場合には適切な対応に努める方針であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 当社グループの事業の特徴等について
① 取引先企業の需要による業績の季節変動性について
当社グループが提供する各種ソリューション及びサービスは、業務処理やネットワーク等に関するシステムのコンサルティング、設計・構築及び保守・運用などの総合的なサービスの提供であり、主として顧客企業による情報関連投資及び設備投資が対象になります。取引先企業の多くが通期の事業年度を4月から3月までと定めていることから、当社グループの売上高は、第2四半期末(9月)及び期末(3月)にかけて集中する傾向があります。したがって、当社グループの四半期もしくは半期の経営成績は、必ずしも通期の経営成績に連動するものではなく、それらの四半期又は半期の経営成績だけをもって、当社グループの通期の経営成績を予想することは困難となっております。
② 特定の取引先への依存について
当社グループでは、ECサイトのフロントショップでの販売から商品の受発注、物流、販売管理、決済・回収までのバックオフィス業務をトータルで受託するサービスを提供しておりますが、現状では売上高及び営業利益の大きな割合を特定の取引先に依存しております。当社グループは提供するシステムや独自の管理ノウハウ及び契約によって販売提携関係を維持しており、今後も継続する方針でありますが、もし、これらの提携企業がバックオフィス業務を自社内で行うことにしたり、サービス委託先を変更する場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ システム設計・構築事業について
当社グループでは、顧客企業のシステムの設計・構築サービスを提供しており、当サービスにおいては開発作業の前段階において、システムの仕様を顧客との間で決定する必要があります。しかし、実際には開発途中において顧客側の事情等により、当初定めた仕様の変更を余儀なくされる場合があり、そのようなケースでは想定外の開発コストが発生する可能性があります。また、近年の大規模・複雑化したシステムでは、稼働前に十分なテストを行う必要がありますが、顧客から提示された納期が短い場合には、テストが不足していることによって、事前に発見できなかった障害が稼働後に発生し、多大な瑕疵補修コストが発生する可能性があります。当社グループではこのようなリスクに対応するためプロジェクトマネジメント体制を整備し、重要案件については開発作業の進捗状況をモニタリングしておりますが、このような対策にもかかわらず、上記のような問題が生じた場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 他社製品・サービスの利用について
当社グループが提供するサービスはこれまでのシステム設計・構築サービスに加え、顧客へのシステム監視・運用・保守を実施する「サービスのインテグレーション」が増加しております。このようなサービス・インテグレーションにおきましては、例えば決済サービスなど外部から提供される第三者によるITサービスを組み込んで利用する場合がしばしばあります。そこでこのような外部サービスのサービス品質(機能、情報セキュリティ、サービス継続性)が重要になっております。当社グループでは設計段階から事前に十分な機能審査、与信審査、継続性検査、定期現地調査などによりサービスの品質と継続性を管理しておりますが、何らかの理由により外部サービス提供が損なわれた場合、当社グループ提供のサービスの一部が提供不可能となり、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) セキュリティ対策について
① 顧客が保有する情報へのアクセスについて
当社グループが企業に提供する各種ソリューション及びサービスは、当該業務の性格上、当社グループの従業員が顧客企業の保有する情報の検索又は参照などを行うことがあります。当社グループは、それらの情報をデータベースとして直接保有することはありませんが、業務上、これらの情報にアクセス可能な環境下にあります。当社グループでは、データベースへのアクセス可能者を限定登録し、アクセス履歴を記録するセキュリティシステムの導入等により防衛策を講じるとともに、従業員のモラル教育を徹底し、当社グループ従業員による情報漏洩への関与を未然に防ぐ措置を講じております。このような対策にもかかわらず、当社グループが情報漏洩に関与した場合には、損害賠償責任を負う可能性があるほか、現在受託している業務の継続にも支障が生じることなどにより、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 当社グループが保有する個人顧客情報の管理について
当社グループは、当社グループ独自のECサイト及び当社グループが運営を代行している契約顧客のECサイトにおいてIT関連商品の販売を行っていることにより、大量の個人情報を蓄積・管理しております。当社グループが管理するECサイトのデータベースは、外部から不正アクセスができないような保護策を講じているほか、個人情報に関するデータベースは、当該サイト内の他のデータベースとは独立させ厳重な管理に努めるとともに、データベースへのアクセス可能者を限定登録し、アクセス履歴を記録するセキュリティシステムを導入しております。これまでのところ外部に情報が漏洩したことはございません。当社グループは、今後とも、個人情報の厳重な管理に努める方針でありますが、もしも当社グループが管理・保有する顧客情報の漏洩が発生した場合には、当社グループの信用低下や損害賠償訴訟の提起などにより当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 親会社との関係について
当社グループはソフトバンクグループ㈱を中心とした企業集団に属しております。同企業集団の中核会社であり国内通信事業を担うソフトバンク㈱は、当社に与える影響が最も大きいと認められる親会社であり、当連結会計年度末現在、当社の議決権の54.1%を直接に保有しております。
当社は、経営の独立性を保ちながら、親会社のグループ経営に参画し、ソフトバンクグループのブランドその他の経営資源を当社グループ内で有効活用しておりますが、親会社の戦略に変更が生じた場合や将来的に親会社グループとの間で何らかの競合関係が生じた場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、親会社は、当社の株主総会の承認を必要とする事項に関し、普通決議事項について決定権及び拒否権を有し、また特別決議事項について拒否権を含む重大な影響力を有しておりますが、同社による議決権行使が、当社の他の株主の利益と必ずしも一致しない可能性があります。
また、当社に対する親会社の議決権比率は将来にわたって一定であるとは限りません。将来において、親会社による当社株式の保有比率に大きな変動があった場合には、当社株式の流動性及び株価形成、並びに当社グループの事業及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 技術革新への対応について
当社グループが属する情報サービス業界は技術革新が激しいことから、当社グループが現在保有する技術・ノウハウ等が陳腐化する可能性があります。当社グループは技術革新のスピードに対処するために、常に新しい技術・ノウハウを組織的に習得し、従業員全体の能力を高め、事業の推進に必要な人材を適切に確保・育成し活用することにより、顧客のニーズに対して的確に対応していく能力を備えること等の方針を採っております。今後、これらの技術革新や顧客ニーズの変化に対し、当社グループが適切かつ迅速に対応できなかった場合には、業務の継続関係や業務委託に関する契約が変更又は解消されること等により、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 人材の育成・確保について
当社グループの事業は人材に大きく依存しており、高い専門性を持った人材を獲得し、維持する必要があります。当社グループでは、多様な人材が活躍できる風土、人事制度、オフィス環境の整備等を通じて優秀な人材の確保に努めるとともに、資格取得支援、研修制度の体系化等、人材の育成に注力しておりますが、人材の確保・育成が想定通りに進まなかった場合や人材が多数流出した場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 事業継続性について
大震災や大停電、交通遮断など社会インフラが損壊するような緊急事態においては、当社グループが顧客に提供しているサービスが一部継続困難になる恐れがあります。
当社グループのサービスは、主に東京地区でITインフラを利用して顧客にサービスを提供しておりますが、ITインフラを支える基盤が停止した場合(例えば、電源停止、データ通信回線途絶、要員確保困難)、サービスの継続が困難となります。当社グループでは事業継続計画を定め、あらかじめ想定された緊急事態に対処できるよう無停電データセンターの確保、通信回線冗長化、在宅勤務可能な機器設備の用意などを進めており、さらにサービスの重要度にもとづく優先順位を設定し、一部サービスを縮退して継続的に提供する契約形態の採用などの施策を用意しております。しかしながらこのような緊急事態が発生した場合、サービス提供の一部縮小は避けがたく、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。