四半期報告書-第36期第3四半期(平成29年10月1日-平成29年12月31日)

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2018/02/06 9:15
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間(平成29年4月1日から平成29年12月31日まで。以下、「当第3四半期」という。)におけるわが国経済は、企業収益の拡大や雇用・所得環境の改善が続く中で、堅調な海外経済と相まって、緩やかな回復基調で推移しました。
このような状況のもと、当社グループは、平成31年3月期を最終年度とする中期4ヵ年計画(売上高560億円、営業利益55億円)の達成に向けて、成長分野への集中投資、営業強化、自社商材・サービスの拡充および既存事業のスクラップアンドビルドを推進しております。
ソリューションデザイン事業においては、引き続き大きな成長が見込まれる、車載、社会インフラおよびロボット/AIの分野へ経営資源をシフトしながら、主力である通信キャリアをはじめとしたネットビジネスの顧客のIoT(*1)関連システムの構築・検証業務に注力しております。
また、ソリューション営業部門は、各本部と連携を強化し、営業商材のサービスメニューの拡充を行った結果、メーカー商材を用いた自社ソリューションのカスタマイズおよび保守運用トレーニングを含めたワンストップサービスを提供するシステムインテグレーターへと進化しております。
さらに、ストック型ビジネスの推進を担う新企隊本部は、自社商材・サービス(『Cloudstep』、『WebShelter』および新商材『Canbus.\キャンバスドット』)の拡充・積極展開と共に、IoT、セキュリティ、LoRa(*2)をキーワードとした国内外の子会社やベンチャー企業との連携・協業により、IoTソリューション関連商材のグローバルでの販売に向けた取り組みを加速させております。
なお、株式会社キャリアリンケージは、有料職業紹介事業の収益化に取り組んでまいりましたが、黒字化および事業継続は困難と判断し、平成29年12月31日をもって解散しました。
以上の結果、当第3四半期の連結業績は、売上高38,906百万円(前年同期比16.8%増)、営業利益3,715百万円(同41.0%増)、経常利益3,706百万円(同47.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益2,585百万円(同60.8%増)となりました。
(*1)「IoT(Internet of Things)」とは、モノがインターネットとつながることで、これまでになかった新しいデータや価値が生み出され、それによってこれまでになかったビジネスなどが生まれる社会的な変化のこと。
(*2)LoRaとは、IoTの目的である様々なデータの「収集」、「管理」、「最適化」を実現するために必要なネットワーク技術LPWA(Low Power Wide Area)のひとつです。LPWAはIoTの課題となる、省電力で広域をカバーする安価なネットワーク構築を実現するための技術の総称です。LoRaは数あるLPWAの中でも、他の規格に比べて「少ない送信電力でも通信距離が長い(10km程度)」、「通信チップの値段が安い」、「オープンな環境が整備されており世界的に実証実験が進んでいる」ことが優位性と言われています。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。なお、各セグメントの売上高にはセグメント間の内部売上高または振替高を含めております。
①ソリューションデザイン事業
ソリューションデザイン事業は、「車載」、「社会インフラ」、「ネットビジネス」、「スマートデバイス/ロボット/AI」および「業務システム」の5つのカテゴリーに区分しており、当事業の売上高は13,632百万円(前年同期比10.2%増)、営業利益は1,784百万円(同30.8%増)となりました。
これら5つのカテゴリーでは、それぞれがIoTに関する取り組みを行っており、急速に普及するIoT関連の開発引合いが非常に旺盛な状況であります。
(車載)
自動運転、車載インフォテインメント、テレマティクス(*3)およびECU(電子制御ユニット)の開発といった車載分野では、端境期にあった車載インフォテインメント関連でEV車向けの大型の案件受注が確定し、今後盛り上がっていく見込みです。
また、当期から取り組んでいる自動運転案件の拡大とコネクテッドカー関連の受注に成功し、事業領域を拡大しております。
(*3)テレマティクス(Telematics)とは、テレコミュニケーション(Telecommunication)とインフォマティクス(Informatics)から作られた造語で、自動車などの移動体に携帯電話などの移動体通信システムを利用してサービスを提供することの総称。
(社会インフラ)
電力、交通、航空、宇宙、防衛など社会インフラ分野は、航空システム関連の開発業務が一段落する中、安定して推移する電力、公共関連案件に加え、防衛関連の受注が大幅に拡大しております。
今後は、実績の豊富な電力、航空、防衛、公共分野の受注拡大に加え、自動運転につながる交通分野、よりエンドユーザーに近い川下のサービス関連の受注拡大を狙ってまいります。
(ネットビジネス)
通信キャリア、Eコマース、教育、電子書籍など、ネットビジネスに関わる分野では、通信キャリアの大規模基幹サービス開発、ネットショッピング利用者の増加に比例して市場の拡大を続けるECサイト開発に加え、訪日客増加に伴う決済サービスの開発・評価業務の引き合いが増加しており、順調に受注を拡大しております。
当分野は今後、モノに付加価値をつけたサービスモデルの増加に伴い市場拡大が見込まれるため、引き続き収益の柱として注力してまいります。
(スマートデバイス/ロボット/AI)
スマートフォン、家電、ロボットなど、プロダクト開発に関わる分野では、期初予想通りスマートフォンの開発・検証業務は維持/縮小傾向でしたが、注力するロボットおよび家電開発に加え、人工知能(AI)に関連する開発業務、IoT関連機器の開発業務の引合いは増加しており、スマートフォン開発の減少をカバーしております。
今後、ロボット、AI、IoTをキーワードとした開発需要は、さらなる拡大が見込まれるため、スマートフォン開発技術者のシフトを行いながら、受注を拡大してまいります。
(業務システム)
業務システムの分野は、好景気を背景に業務改善、業務効率化に向けたIT投資が増加傾向にあり、当社への引き合いも非常に旺盛で、今後も好調に推移する見込みであります。
②フレームワークデザイン事業
当事業は、既存顧客の保険システム開発の追加受注に加えて、決済等の新規領域へのシフトも進み、堅調に推移しました。今後、既存顧客の損保システム開発で増員を見込んでおり、技術者のシフトや育成を進めてまいります。また、本部間連携やプロダクトベンダーとの協業においては、業務自動化ツール導入サービスの展示会やセミナー開催での引き合いを取り込み、受注につなげております。
これらの結果、当事業の売上高は3,386百万円(前年同期比8.6%増)、営業利益は472百万円(同9.4%増)となりました。
③ITサービス事業
システムの運用・保守、ヘルプデスク、ユーザーサポートを主な業務とする当事業は、顧客のプロフィット部門に対してITサービス全般の提案を行う中で、「ITサポート」や「インフラ構築」などの高付加価値案件の受注拡大に加え、英語での「グローバルサポート」業務の新規受注が増加しました。
また、働き方改革に対応した「ITトレーニング」をはじめ、情報セキュリティに対するリスクマネジメントとしての「セキュリティ訓練・教育」や「Windows10導入」などが企業ニーズを捉え、新規顧客数の増加につながりました。
さらに、事業拡大に不可欠な人材の拡充に関しても、順調に推移しております。
これらの結果、当事業の売上高は5,181百万円(前年同期比10.7%増)、営業利益は600百万円(同29.8%増)となりました。
④ソリューション営業
IT関連商品の法人向け販売および外資・中堅企業向けを中心としたシステムインテグレーションを主な業務とする当事業は、ITを活用した生産性の向上、また政府主導による「働き方改革」をキーワードにモバイル、セキュリティ、そしてクラウドを中心とした需要を喚起するソリューションの構築、更には部門間連携の強化に取り組みました。
具体的には、クラウド環境への対応強化およびオンプレミスサーバーとクラウドサービスとの連携によるハイブリッド対応の強化に取り組みました。
こうした中、クラウドと絡めたモバイル端末のリプレース案件が増大、またシステム開発部門との連携によりアプリケーション開発を含めたシステム案件を受注することができました。
これらの結果、当事業の売上高は16,037百万円(前年同期比28.8%増)、営業利益は841百万円(同58.1%増)となりました。
⑤クラウド事業
企業等にクラウドソリューションや自社開発商品を提供する当事業は、「G Suite」や「Microsoft Office365」と連携するグループウェア『Cloudstep(*4)』を中心とした戦略を推進しました。特に、『Cloudstep』強化が新規顧客のニーズを的確に捉え、競合他社とのさらなる差別化に成功しました。その結果、旺盛な案件状況となりました。
また、平成29年5月1日から新サービスとしてクラウドデータベース『Canbus.\キャンバスドット(*4)』の提供を開始しました。提供開始から多くの申し込みをいただき、今後の注力商材としてさらなる投資と営業強化を図ってまいります。
一方、金融機関向けスマートフォン不正送金・フィッシング詐欺対策アプリ『Web Shelter(*4)』は、「スマートフォン通帳」や「口座開設」などのサービス強化が奏功し、旺盛な案件状況となりました。
当期は第1四半期に新サービスの提供開始に伴う投資があったことから、当事業の売上高は640百万円(前年同期比16.7%増)、営業利益は81百万円(同8.8%増)となりました。
(*4)『Cloudstep』、『Canbus.\キャンバスドット』、『Web Shelter』は、システナの自社開発商品です。
⑥コンシューマサービス事業
当事業は、主に連結子会社の株式会社GaYaが行う事業が該当します。株式会社GaYaは、スマートフォン向けゲームコンテンツを開発し、SNSゲームを展開する大手SNSサイトへ提供すると共に、他社が開発リリースしたゲームの運営も受託しております。
当第3四半期は、平成28年11月にリリースした協業タイトル「アルテイルクロニクル」が堅調に推移し、第2四半期に続いてリリース以降最高の月次売上を達成しました。
これらの結果、当事業の売上高は392百万円(前年同期比79.4%増)、営業利益は91百万円(前年同期は営業損失47百万円)となりました。
⑦海外事業
米国子会社は、システナ本体およびグループ会社の株式会社インターネットオブシングスと連携し、日本での独占販売権を持つ、①米国西海岸の大都市でスマートシティ計画に採用されるなど、多くの採用実績のあるプラズマ社の「IoTプラットフォーム」、②世界各国の中央銀行、大手金融機関、軍事機関など、グローバルで多くの導入実績があるストロングオース社の「暗号化と次世代認証セキュリティ・ソリューション」の販売に向けて、日本語化や日本仕様の追加開発を継続すると共に、両社と共同でビジネスを推進すべく取り組んでおります。特に、ストロングオース社との資本業務提携をテコとして、新たに中東などイスラム圏を除くアジアにおける独占販売および米国での共同ビジネスに弾みをつけてまいります。
また、「LoRaWANを利用したIoTソリューション」は、IoT関連の展示会を通じて米国をはじめ世界各国の企業からスマートパーキング、スマートファクトリー、スマートファーム等の用途で多数の引き合いがありますが、IoT関連受注は今だPoC(Proof of Concept/概念実証)段階であり、早期の受注獲得に向けて注力しております。
なお、タイ子会社は、情報サービス『バングル』の収益化に取り組んでまいりましたが、黒字化および事業継続は困難と判断し、解散し清算中であります。
これらの結果、当事業の売上高は60百万円(前年同期比39.5%減)、営業損失は142百万円(前年同期は営業損失140百万円)となりました。
当事業は未だ投資の段階であり、来年度以降の黒字化を目指しております。
⑧投資育成事業
平成28年4月1日に設立した子会社2社から成る当事業は、費用先行が続いた結果、売上高は5百万円(前年同期比302.3%増)、営業損失は18百万円(前年同期は営業損失65百万円)となりました。
株式会社インターネットオブシングスは、IoTソリューションとセキュリティを中心とした新規事業創出を目的に、国内外のベンチャー企業と連携し、IoTやセキュリティに関するソフトウェア技術の開発を推進しております。当第3四半期は、LoRaWANのネットワークシステムを利用したPoCに向けて、日本・米国の企業へ提案を進めております。
株式会社キャリアリンケージは、有料職業紹介事業の収益化に取り組んでまいりましたが、黒字化および事業継続は困難と判断し、平成29年12月31日をもって解散しました。
(2) 財政状態に関する説明
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における総資産は26,152百万円(前期末は25,207百万円)となり、前期末と比較して945百万円の増加となりました。流動資産は22,994百万円(前期末は22,352百万円)となり、前期末と比較して641百万円の増加となりました。これは主に現金及び預金757百万円の増加によるものであります。固定資産は3,158百万円(前期末は2,854百万円)となり、前期末と比較して304百万円の増加となりました。有形固定資産は536百万円(前期末は595百万円)となり、前期末と比較して58百万円の減少となりました。無形固定資産は74百万円(前期末は30百万円)となり、前期末と比較して44百万円の増加となりました。投資その他の資産は2,547百万円(前期末は2,228百万円)となり、前期末と比較して318百万円の増加となりました。これは主に投資有価証券781百万円の増加、繰延税金資産459百万円の減少によるものであります。
(負債)
負債の合計は9,771百万円(前期末は10,273百万円)となり、前期末と比較して501百万円の減少となりました。これは主に買掛金587百万円の減少によるものであります。
(純資産)
純資産は16,381百万円(前期末は14,934百万円)となり、前期末と比較して1,447百万円の増加となりました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益2,585百万円、剰余金の配当953百万円によるものであります。自己資本比率につきましては、前期末と比較して3.3ポイント上昇し61.5%となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は52百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。