有価証券報告書-第34期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 9:06
【資料】
PDFをみる
【項目】
133項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは「産業技術翻訳を通して、国内・外資企業の国際活動をサポートし、国際的な経済・文化交流に貢献する企業を目指す」ことを企業理念に掲げ、高い顧客満足度の得られるランゲージサービスを提供することにより、顧客の企業価値・競争力向上に貢献してまいります。また、すべてのステークホルダーの皆様の満足度を高め、透明性の高い経営を推進し、企業価値を向上させてまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループでは、お客様にご満足いただけるサービスの提供及び収益の安定化に向けて、「売上高」「営業利益」「当期純利益」の業績目標と「営業利益率」「自己資本利益率(ROE)」の経営指標を定め、その向上に取り組んでおります。
新型コロナウイルス感染症の影響は、当社グループの事業が幅広い業種・業界を対象としていることから顧客の動向を短期間で見極めることが困難であり、先行きが見通せない状況にあります。感染拡大の収束時期が見えない状況のもと新しい業績目標、経営指標を合理的に設定することが困難であるため、今後も新型コロナウイルスの影響が相当期間残ることを前提に、2021年3月期の通期連結業績予想および新しい経営指標について、現在、再検討を進めております。
(3)経営環境および対処すべき課題
当社グループの事業を取り巻く市場環境は、米中貿易摩擦の長期化や新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴う経済活動の停滞に注視する必要がありますが、中長期的には企業のグローバル展開を背景に需要拡大が期待されます。
当社グループがこれらの変化や需要を的確に捉え、持続的な成長を続けるためには中核事業である翻訳事業を中心に、人材の育成に加えICT(注)を活用したサービスの展開が不可欠だと認識しております。
①翻訳事業の継続的成長
中期経営計画で重点事業と位置付ける翻訳事業を中心に成長戦略を推進します。
各種業界ごとに求められる専門性を確保しながら、翻訳支援ツールや機械翻訳を積極的に活用し、品質の安定と生産効率の向上に取り組みます。また、機械翻訳の普及に伴う市場の変化や顧客の潜在的ニーズを的確に捉えた新しいサービスを開発・提供できる体制づくりを推進し、顧客との長期的、安定的な関係の構築を目指してまいります。
さらに、当社グループ自身が課題解決ビジネスの担い手となって、顧客企業への機械翻訳の導入、継続的なAIの追加学習、翻訳業務フローの再構築といった翻訳業務の効率化の提案を推進します。
②新型コロナウイルス感染症の影響および対応
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、対面での会議・商談の自粛や国際会議(学会・研究会)やセミナー・シンポジウム、各種展示会の開催中止・延期の可能性があり、今後の動向を注視する必要があります。通訳事業においては、非対面で通訳業務が遂行できる電話会議やテレビ会議など、従来の形態にとらわれない通訳サービスを積極的に提案してまいります。
(注)Information and Communication Technologyの略称で、情報処理および情報通信、つまりコンピュータや
ネットワークに関連する諸分野における技術・産業・設備・サービス等の総称を指します。
(4)中長期的な経営戦略
当社は設立以来、専門分野に特化した人手による翻訳サービスで成長してまいりましたが、積み重ねた人手翻訳での知見に機械翻訳や翻訳支援ツールなどの最新テクノロジーを組み合わせ、多様化・高度化する顧客ニーズに対応すべく、課題解決型の高付加価値企業となることを目指しております。第四次中期経営計画(2019年3月~2021年3月期)の重点施策は以下のとおりです。
①ソリューション提案力の強化
企業のグローバル展開が加速する環境において、お客様によりご満足いただけるサービスを提供するため、専門特化サービスの集合体としての強み・価値を訴求しながら、各種ツール・ソフトウェアを活用した翻訳業務の効率化を提案してまいります。
②言語資産の活用
翻訳文の品質安定と生産効率の向上を図るため、翻訳支援ツールや機械翻訳を積極的に活用し、言語資産を効果的に運用する環境を整備してまいります。
③経営基盤の整備
ICTを活用しながら業務プロセスの標準化と自動化を推し進め、引き続き社内業務の効率化に取り組んでまいります。また、ツール・ソフトウェアを効果的に活用するため、人材の育成と組織機構の最適化により、環境の変化に対応してまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により当社グループを取り巻く事業環境は先行きが極めて不透明な状況ではありますが、上記の重点施策は着実に進捗していることから、2021年3月期におきましても取り組みを継続してまいります。