有価証券報告書-第15期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/07/02 15:31
【資料】
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【項目】
134項目

事業等のリスク

以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、本項における将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 事業環境に関する事項
① リーガル事業(eディスカバリ)の市場環境について
当社グループが提供するeディスカバリに関連するサービスの中で、主要なサービスであるディスカバリ(証拠開示)支援サービスにかかる市場は、平成18年12月米国連邦民事訴訟規則(FRCP)の改定以降、電子データの開示に関して明文化され、その電子データ処理とその訴訟対応関連市場規模は年平均9.5%で増加し、平成35年以降では19 billion USDに達すると予想されています(Mordor Intelligence『Global Electronic Discovery Market』)。当社グループは、米国、日本、韓国、台湾のアジア企業を軸にサービスを提供しており、これらの国の経済及び法制度が大きく変化した場合、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 法的規制について
当社グループはeディスカバリに関連する事業を行っておりますが、現在のところ、当社グループが事業を展開するにあたり、法的な規制は受けておりません。しかしながら、当社グループは米国における訴訟制度に基づくディスカバリ(証拠開示)支援サービスを行っており、今後、米国における訴訟関係の法律、法令が変更された場合、当社グループの事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、日本国内において新たな規制法規が制定された場合に、当社グループの事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。
③ 競合について
当社グループは日本におけるeディスカバリ専業企業の草分けとして、ノウハウや実績において他社に先行しており、技術力の高さ、情報の提供分野、独自のコンテンツによる競合他社と差別化がなされております。eディスカバリ事業を行っている企業は、現在、日本国内においては多くありませんが、今後はeディスカバリ事業が認知され、業界の市場規模が拡大することにより日本国内企業の新規参入の可能性があります。
④ 技術革新について
当社グループは、常にeディスカバリの先進国である米国での技術及び米国市場の動向を注視しております。しかしながら、コンピュータの関連技術を取巻く環境は、技術革新の速度と頻度が高まって変化が著しく、またそれに基づく商品や新しいサービスも次々と提供されて、変化の激しいものになっております。このような状況において、当社グループが扱うeディスカバリ事業及び当社グループの技術ノウハウが適用できない場合、サービスの提供に影響を及ぼす可能性があり、当社グループの事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑤ 企業買収等、事業再編に係るリスク
当社グループは成長戦略の一環としてM&A等により企業買収等を実施することがありますが、予想範囲を超える事業環境の変化の影響によって、経営及び財務状況の悪化が生じた場合は、当社グループの事業に影響を受けるほか、のれんの減損や事業再編等に伴う費用の発生等により、業績・財政状態に影響を受ける可能性があります。
(2) 事業特性に関する事項
① 情報の管理について
当社グループの事業では、eディスカバリ事業の特性上、コンピュータの調査の際に顧客企業の重要な情報を保有することとなるため、高度な情報の管理が求められております。そのため、データ処理センターを設置し、静脈認証や入退室申請書による入退室管理の徹底、耐火金庫による調査データの保管、外部と隔絶されたネットワークの構築等により安全な作業環境を確保しております。また、そのサービス運用において、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際標準規格である「ISO27001」(ISO/IEC27001:20013)、並びに国内規格である「JIS Q 27001」(JIS Q 27001:2014)の認証を取得し、更新審査に合格しております。
また当社グループの全従業員との間において個人情報を含む機密情報に係る契約を締結しており、退職後も個別に同契約を締結して、個人情報を含む機密情報の漏えいの未然防止に努めております。さらに、当社グループは個人情報をも含めた重要な業務管理情報について生体認証、ID及びパスワードによって管理すると共にインターネットを通じた外部からのアクセスによる情報流出の防止策を採用しております。
しかしながら、なんらかの事情により今後、情報の流出による問題が発生した場合、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下等により、当社グループの事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。
② 事業の拡大に伴う経営管理体制の確立について
当社グループは、平成30年3月31日現在、取締役5名、監査役3名、連結ベースでの従業員362名で構成され、内部管理体制も現状に応じたものになっております。引き続き従業員の育成及び事業拡大に合わせた採用活動による人員増強などの施策を講じると共に管理業務の効率化及び組織の生産性の維持・向上に努める予定です。
しかしながら、人材の育成・増強及び管理面の強化が予定どおり進まなかった場合、又は人材が社外に流出した場合には、当社グループの組織的な業務運営に支障が生じ、当社グループの事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。
③ 人工知能技術を活用したAIソリューション事業体制の強化について
当社グループでは、AIソリューション事業3分野(ビジネスインテリジェンス、デジタルコミュニケーション、ヘルスケア)において、人工知能技術を活用した情報解析事業の展開に取り組んでおり、今後の事業展開の柱として成長させるべく、体制構築に力を入れています。これらの事業の与える影響を確実に予測することは困難であり、予期せぬ変化が発生したことにより当初予定していた事業計画を達成できない、あるいは期待どおりの成果を生まず、先行投資に見合うだけの十分な収益を得られない可能性があります。
④ 他社との提携について
当社グループでは、研究、開発、販売等において、共同研究、共同開発、技術導出入、共同販売等さまざまな 形で他社と提携を行っております。何らかの事情により提携関係が変更・解消になった場合、業績に影響を与える可能性があります。
⑤ 人材の確保について
当社グループでは、事業展開においては、専門的な情報技術や業務知識を有する優秀な人材を確保する事が重要です。人材需要が急増するeディスカバリ事業及びAIソリューション事業では、専門性を有する人材は限られております。当社グループでは、各分野の人材の中途採用と新卒者採用を進め、さらに社員教育体制の整備を進め、人材の定着を図るよう努めてまいります。
しかしながら、優秀な人材の確保が予定どおりに進まなかった場合、また既存の主要な人材が社外に流出した場合には、当社グループの経営活動に支障が生じ、当社グループの事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑥ 為替相場の変動について
当社グループは米国法律事務所等への販売及び役務提供に関し、日本円を価格決定のベースとした外貨建(米ドル)にて取引を行っており、本取引は今後とも継続してまいります。一方、ディスカバリの主要マーケットである米国での2社の買収及び事業譲受により、米国での売上高がグループ全体の約6割を占め、為替リスクが高まっております。急激な為替相場の変動は、海外の連結子会社の収益や財務諸表を円貨換算する場合にも影響を与える可能性があります。
(3) その他のリスク
① 財務報告に係る内部統制の不備について
当社は平成28年7月に当社の米国子会社であったEvD, Inc., TechLaw Solutions, Inc. 及びUBIC North America, Inc.の3社を統合し、FRONTEO USA, Inc.(以下、「FUSA」という)及びFRONTEO Government Services, Inc. の2社に統合・再編しております。しかしながら、FUSAにおいて、収益認識に係る内部統制の整備及び運用が不十分であったこと、また、同社における決算・財務報告プロセスにおいて、誤謬を発見するための体制が不十分であったことに起因し、当社は、平成28年3月期及び平成29年3月期に続き、平成30年3月期の内部統制報告書に、開示すべき重要な不備があり、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でない旨の記載を行っております。
3連結会計年度連続の開示すべき重要な不備が継続した背景としては、平成28年3月期における内部統制の不備の主な原因として、監査人からは、契約書の管理不備や、証跡不足、与信管理の不備、確認体制の不備等の指摘を受けておりました。これを受け、前連結会計年度及び当連結会計年度において、FUSAは、新規契約書管理におけるワークフロー整備、証跡保管ルールの整備、請求書確認体制の整備、売掛債権における与信管理の導入を行いました。また営業部門とオペレーション部門との請求書に係る会議の設置等、部門間の連携の強化も行っております。
しかしながら、当連結会計年度において、監査人からは、引き続き買収前から継続されている契約書の整理不足、請求書作成時における誤り等における指摘、加えて、非定型の会計処理における指摘を受けております。当連結会計年度当初、当社はビジネス上の戦略上、新規事業であるAIソリューション事業の立上げを優先した為、本社の主要経営メンバーを新規事業に集中させておりました。それにより、FUSAにおける買収・統合後の内部統制の整備・構築をFUSAの経営陣に委任しておりました。しかし、FUSA経営陣の上場会社としての知識・経験が不十分、又本社からの指導が不足していた為、内部統制不備の改善が遅延していることが判明いたしました。これにより、当連結会計年度、第4四半期から主要経営陣を交代し、改善に取り組んでおりましたが当該事業年度末日時点において、改善中の不備が一部残る結果となっております。
当社は、上記の財務報告に係る内部統制の不備について改善に努めておりますが、内部統制システムの構築当時に想定していなかった事業環境の変化や非定型な取引に対応できず、構築された業務プロセスが十分に機能しない可能性もあります。このような事態が生じた場合には、財務情報を修正する必要が生じ、当社グループの財政状態および業績に悪影響を与える可能性があります。
(4) 重要事象等について
第2「事業の状況」1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(4)に記載されているとおりです。