有価証券報告書-第18期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/03/29 16:13
【資料】
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【項目】
56項目
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当社は日本に本社を置き、主に中国及び米国の子会社において医薬品事業と医療機器事業を行うグローバル製薬企業です。
当連結会計年度において、当社グループは、世界有数のバイオ製薬企業を目指し、収益性、着実な臨床開発及び革新的な創薬研究に基づいた戦略を実行し、その結果、これらの戦略において多数の重要な成果が実現されました。まず、特発性肺線維症(IPF)患者様全体数の内、アイスーリュイを実際に使用される患者様層の深化及び拡大に成功したことで、中国市場におけるアイスーリュイが大幅な成長を続け、過去最高の売上を達成することができました。また、当社グループが開発している次世代の抗線維症薬候補品F351については、中国における第2相臨床試験及び米国における第1相臨床試験において、治験上の重要な進展を得ることができました。さらに、将来への投資の為に、当社グループは、創薬技術の変革をもたらす可能性のある創薬ベンチャーであるCullgen Inc. (Cullgen)を設立し、わずか10カ月足らずの間に有望な新規化合物を見い出すことに成功しています。
当連結会計年度の経営成績は以下のとおりです。
連結経営成績概要
(単位:千円)
前連結会計年度当連結会計年度差額
売上収益2,648,4515,018,9442,370,493
売上総利益2,153,4634,170,6702,017,207
営業利益154,212568,600414,387
当期利益28,205192,173163,968

売上収益及び売上総利益
当連結会計年度において、売上収益は前年同期比約89.5%増加の5,018,944千円となりました。利益率も堅調に推移し、当連結会計年度の売上総利益は、前年同期比約93.7%増加の4,170,670千円となりました。前年同期に比べたこの増加は、北京コンチネント薬業有限公司(北京コンチネント)におけるアイスーリュイの売上の大幅な増加傾向が維持されたことと、当連結会計年度においてBerkeley Advanced Biomaterials LLC(BAB)の業績を通期で取り込んだことによるものです。
営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度の154,212千円の利益と比べ、414,387千円増加し、568,600千円の利益となりました。当社グループは、当連結会計年度において過去最高の営業利益を達成しましたが、これは、グループの核となる事業分野の売上収益の増加と利益率向上の両立を目指した戦略的目標が反映されたものです。
当期利益
当連結会計年度の当期利益は、当第4四半期連結会計期間において、金融費用でご報告しております円高による深刻な為替差損が発生したにもかかわらず、前連結会計年度と比べ163,968千円増加し、過去最高の192,173千円の利益となりました。
販売費及び一般管理費の明細、研究開発費
(単位:千円)
前連結会計年度当連結会計年度差額
販売費及び一般管理費△1,740,122△2,998,963△1,258,840
人件費△792,354△1,355,786△563,432
研究開発費△268,569△530,246△261,677

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ1,258,840千円増加し、2,998,963千円となりました。これは、主に、アイスーリュイの販売関連費用に加え、BABの費用を通期で取り込んだことと、Cullgenの費用が追加されたことによるものです。研究開発費が前年同期に比べ増加したのは、主として、中国及び米国における臨床試験が進展したことと、新しく設立された当社子会社であるCullgenにおける創薬研究活動の拡大によるものです。
金融収益、金融費用及び持分法による投資利益(損失)
(単位:千円)
前連結会計年度当連結会計年度差額
金融収益51,12121,978△29,142
金融費用△34,299△225,882△191,583
持分法による投資利益(△損失)△33,90533,905

金融収益
当連結会計年度の金融収益は、前連結会計年度の51,121千円と比べて、29,142千円減少し、21,978千円となりました。
金融費用
当連結会計年度の金融費用は、前連結会計年度の34,299千円と比べて、191,583千円増加し、225,882千円となりました。この増加は、主として、現金支出を伴わない為替差損によるもので、外貨建ての資産及び負債の評価替えにより生じた正味の為替差損は、当連結会計年度において186,761千円となりました。
持分法による投資利益(損失)
当連結会計年度の持分法による投資損益の該当はありません。前連結会計年度には33,905千円の損失を計上しましたが、これは、IriSys, LLCへの投資からの損失が発生したためです。
② セグメント情報
医薬品事業
当連結会計年度の医薬品事業における売上収益は、前連結会計年度と比べて1,308,847千円増加し、3,214,310千円となりました。セグメント利益は、前連結会計年度の19,343千円の損失から34,093千円改善し、14,750千円の利益となりました。
医療機器事業
当連結会計年度の医療機器事業における売上収益は1,843,933千円となり、セグメント利益は542,328千円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
生産実績
当社グループの業務は業務の性質上、生産として把握することが困難である為、記載を省略しております。
受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注状況の記載はしておりません。
販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
医薬品事業3,214,31068.7
医療機器事業1,804,633142.9
合計5,018,94489.5

(注)1.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先セグメント前連結会計年度
(自 2017年1月1日
至 2017年12月31日)
当連結会計年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
Sinopharm Group Co., Ltd.医薬品事業893,87533.81,372,75727.4
Shang Yao Kang Dele (Shanghai) Pharmaceutical Co.,Ltd.医薬品事業128,2104.8311,6686.2
Beijing Keyuan Xinhai Pharmaceutical Co., Ltd.医薬品事業245,4989.2305,4986.1
K2M, Inc.医療機器事業95,0783.6322,4776.4

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積り及び判断を行っております。また、実際の結果は見積りによる不確実性がある為、これらの見積りと異なる場合があります。当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第一部 企業情報、第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、(1)連結財務諸表、連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。
②経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況、2 事業等のリスク」に記載のとおりとなっております。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
a.当期の財政状態の概況
連結財政状態
(単位:千円)
前連結会計年度当連結会計年度差額
資産合計15,879,33917,331,4731,452,134
負債合計2,397,4743,612,1421,214,667
資本合計13,481,86413,719,331237,467

資産合計
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,452,134千円増加し、17,331,473千円となりました。これは、主として、北京コンチネントの新工場建設による有形固定資産の増加及び株式の発行による現金及び現金同等物の増加によるものです。
負債合計
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて1,214,667千円増加し、3,612,142千円となりました。これは、主として、10億円の無担保ローン借り入れによる借入金の増加によるものです。
資本合計
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べて、237,467千円増加し、13,719,331千円となりました。これは、主として、株式の発行及び当期利益の増加によるものです。
b.当期のキャッシュ・フローの概況
連結キャッシュ・フロー
(単位:千円)
前連結会計年度当連結会計年度差額
営業活動によるキャッシュ・フロー△315,226610,230925,457
投資活動によるキャッシュ・フロー△6,911,176△1,107,5745,803,601
財務活動によるキャッシュ・フロー8,805,2351,219,357△7,585,878

営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローの収入は、前連結会計年度の315,226千円の支出と比べて925,457千円増加し、610,230千円となりました。主な収入は、税引前利益であります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローの支出は、前連結会計年度の6,911,176千円の支出と比べて5,803,601千円減少し、1,107,574千円となりました。主な支出は、有形固定資産の取得による支出であります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローの収入は、前連結会計年度の8,805,235千円の収入と比べて7,585,878千円減少し、1,219,357千円となりました。主な収入は、株式の発行による収入及び長期借入による収入であります。
c.財務政策
当社グループの核となる事業は医薬品開発であります。しかしながら、他の創薬ベンチャー企業とは異なり、当社グループは自社の知的財産権を第三者にライセンス・アウトすることでマイルストーン収益やロイヤルティー収入を得るということはせず、むしろ自社グループ内にて当該医薬品候補化合物の収益化を成功させることに目を向けており、中国市場においてはアイスーリュイにてそれを成し遂げております。これにより、当社グループは、十分なキャッシュ・フローを創出し、利益を得ることと、将来の売上収益獲得のために当社グループの医薬品開発パイプラインに継続的な投資を行うこととの両方を実現させるという経営戦略を遂行できるようになりました。このためには、研究開発費と売上利益とのバランスを慎重に保つという厳しい財務政策が必要とされます。
当社グループは主として、上記戦略遂行によって生み出された内部留保資金を当社グループの事業運営に活用しますが、当社経営陣は、医薬品開発のリスク及び将来の金融市場混乱の可能性を予見できないことを依然として認識しております。従いまして、当社グループの事業継続を確かなものにし、また、新たな事業機会が訪れた際に先手を打てるに十分な資金を保有しておくため、場合によっては外部資金調達に取り組むことがあります。そのような外部資金調達を行う場合においても、当社への出資拡大に伴う希薄化を最小限に抑えると共に、当社グループの成長を支援して頂ける長期安定投資家の探索に努める方針であります。
当連結会計年度において予定している設備投資に係る資金需要の主なものは「第3 設備の状況、3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。
(3)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
前連結会計年度
(自 2017年1月1日
至 2017年12月31日)
当連結会計年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
(のれんの償却停止)
当社グループは、のれん及び負ののれんを一定期間にわたり償却しておりました。IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。
この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が148,456千円減少しております。
(のれんの償却停止)
当社グループは、のれん及び負ののれんを一定期間にわたり償却しておりました。IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。
この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が336,724千円減少しております。