有価証券報告書-第20期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/31 16:52
【資料】
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【項目】
123項目
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当社グループは、日本の東京に本社を置き、中国及び米国の子会社を通じて医薬品事業、生体材料/医療機器事業および創薬事業を中核とするグローバル製薬企業です。
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルスのパンデミックの影響により経済活動が大幅に停滞いたしましたが、当社グループは力強い結果を出すことができました。
当社の連結子会社であるBCは中国国内での株式市場への上場申請の最終準備を進めており、知的財産権の譲受、中国法に従った企業形態の変更等を実施いたしました。当該子会社の中国株式市場への上場は、中国国内の医薬品業界における認知向上に資するとともに、事業投資資金の調達方法が広がり、資本効率を高める重要なステップであると考えております。
また、米国においては、2020年12月28日に開示しております通り、医療機器事業を行うBABの創業者が持つBAB株30%の持分を米国法上のいわゆる逆三角合併によって、当社の株式で買い取り、BABを完全子会社化することといたしました。
完全子会社化後も引き続き、当社の管理体制は維持しつつ、BABの主要製品のグローバルマーケティング活動の強化を、高齢化による整形外科需要の高まりが顕著である中国市場においても実施して参ります。
当連結会計年度の経営成績、財政状態、キャッシュ・フロー及び研究開発活動は以下のとおりです。
連結経営成績概要
(単位:千円)
前連結会計年度当連結会計年度差額
売上収益7,446,0679,773,8622,327,795
売上総利益6,395,1558,227,9181,832,763
営業利益1,302,3551,869,540567,185
当期利益629,9181,365,905735,987

売上収益及び売上総利益
当連結会計年度において、売上収益は前年同期比約31.3%増加の9,773,862千円となりました。売上総利益率も堅調に推移し、当連結会計年度の売上総利益は、前年同期比約28.7%増加の8,227,918千円となりました。前連結会計年度と比べたこれらの増加は、主に中国におけるアイスーリュイの売上が過去最高となったことによるものです。
営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度比43.6%増加の1,869,540千円となりました。当社グループの医薬品事業及び医療機器事業の収益性向上が貢献して、営業利益は引続き増加しております。
当期利益
営業利益が大幅に増加したことにより、当連結会計年度の当期利益は、前連結会計年度と比べ735,987千円増加し、過去最高の1,365,905千円となりました。
販売費及び一般管理費の明細、研究開発費
(単位:千円)
前連結会計年度当連結会計年度差額
販売費及び一般管理費△4,334,435△5,180,715△846,280
人件費△1,691,097△1,893,602△202,505
研究開発費△758,129△1,243,158△485,029

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ846,280千円増加し、5,180,715千円となりました。これは、主に、アイスーリュイの販売関連費用に加え、Cullgenの事業規模拡大による費用の増加によるものです。研究開発費が前年同期に比べ増加したのは、主として、当社グループにおける継続的な研究開発活動への投資によるものです。
金融収益及び金融費用
(単位:千円)
前連結会計年度当連結会計年度差額
金融収益39,23346,0746,841
金融費用△144,097△109,70234,395

金融収益
当連結会計年度の金融収益は、前連結会計年度の39,233千円と比べて、6,841千円増加し、46,074千円となりました。
金融費用
当連結会計年度の金融費用は、前連結会計年度の144,097千円と比べて、34,395千円減少し、109,702千円となりました。この金融費用の減少は、主として、現金支出を伴わない外貨建ての資産及び負債の評価替えにより生じた為替差損の減少によるものです。
② セグメント情報
医薬品事業
当連結会計年度の医薬品事業における売上収益は、前連結会計年度と比べて2,401,117千円増加し、8,045,631千円となりました。セグメント利益は、前連結会計年度の421,530千円から742,699千円増加し、1,164,230千円となりました。
医療機器事業
当連結会計年度の医療機器事業における売上収益は1,728,231千円となり、セグメント利益は705,310千円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
生産実績
当社グループの業務は業務の性質上、生産として把握することが困難である為、記載を省略しております。
受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注状況の記載はしておりません。
販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
医薬品事業8,045,63142.5
医療機器事業1,728,231△4.1
合計9,773,86231.3

(注)1.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先セグメント前連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
当連結会計年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
Beijing Keyuan Xinhai Pharmaceutical Co., Ltd.医薬品事業340,4924.6--
K2M, Inc.医療機器事業310,7394.2312,3263.2
Sinopharm Holding Henan Co., Ltd医薬品事業654,2488.8907,3009.3
Sinopharm Holding Co., Ltd医薬品事業321,8414.3418,0114.3

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度における経営指標の実績は次の通りです。売上収益については、第2事業の状況 3経営者に
よる財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③生産、受注及び販売の実績に記載しております。
また、研究開発費については、その活動を第2事業の状況 5 研究開発活動 に記載しております。
(単位:千円)
前連結会計年度当連結会計年度
売上収益合計7,446,0679,773,862
研究開発費758,1291,243,158
売上収益対比10.1%12.7%

①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積り及び判断を行っております。また、実際の結果は見積りによる不確実性がある為、これらの見積りと異なる場合があります。当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第一部 企業情報、第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、(1)連結財務諸表、連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」 「4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。
②経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況、2 事業等のリスク」に記載のとおりとなっております。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
a.当期の財政状態の概況
連結財政状態
(単位:千円)
前連結会計年度当連結会計年度差額
資産合計20,607,38923,219,2572,611,868
負債合計7,511,55510,450,1532,938,597
資本合計13,095,83312,769,104△326,728

資産合計
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて2,611,868千円増加し、23,219,257千円となりました。これは、主として、現金及び現金同等物の増加によるものです。
負債合計
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて2,938,597千円増加し、10,450,153千円となりました。これは、主として、その他の金融負債の増加によるものです。
資本合計
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べて、326,728千円減少し、12,769,104千円となりました。これは、主として、資本性金融商品を負債へ再分類したことによるものです。
b.当期のキャッシュ・フローの概況
連結キャッシュ・フロー
(単位:千円)
前連結会計年度当連結会計年度差額
営業活動によるキャッシュ・フロー788,5871,377,519588,932
投資活動によるキャッシュ・フロー△153,122570,205723,327
財務活動によるキャッシュ・フロー2,218,118801,115△1,417,003

営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローの収入は、前連結会計年度の788,587千円と比べて588,932千円増加し、1,377,519千円となりました。主な収入は、税引前利益であります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローの収入は、前連結会計年度の153,122千円の支出と比べて723,327千円増加し、570,205千円となりました。主な収入は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入であります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローの収入は、前連結会計年度の2,218,118千円と比べて1,417,003千円減少し、801,115千円となりました。主な収入は、非支配持分からの払込による収入であります。
c.財務政策
当社グループの核となる事業は医薬品開発であります。しかしながら、他の創薬ベンチャー企業とは異なり、当社グループは自社の知的財産権を第三者にライセンス・アウトすることでマイルストーン収益やロイヤルティー収入を得るということはせず、むしろ自社グループ内にて当該医薬品候補化合物の収益化を成功させることに目を向けており、中国市場においてはアイスーリュイにてそれを成し遂げております。これにより、当社グループは、十分なキャッシュ・フローを創出し、利益を得ることと、将来の売上収益獲得のために当社グループの医薬品開発パイプラインに継続的な投資を行うこととの両方を実現させるという経営戦略を遂行できるようになりました。このためには、研究開発費と売上利益とのバランスを慎重に保つという厳しい財務政策が必要とされます。
当社グループは主として、上記戦略遂行によって生み出された内部留保資金を当社グループの事業運営に活用しますが、当社経営陣は、医薬品開発のリスク及び将来の金融市場混乱の可能性を予見できないことを依然として認識しております。従いまして、当社グループの事業継続を確かなものにし、また、新たな事業機会が訪れた際に先手を打てるに十分な資金を保有しておくため、場合によっては外部資金調達に取り組むことがあります。そのような外部資金調達を行う場合においても、当社への出資拡大に伴う希薄化を最小限に抑えると共に、当社グループの成長を支援して頂ける長期安定投資家の探索に努める方針であります。
当連結会計年度において予定している設備投資に係る資金需要の主なものは「第3 設備の状況、3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。