四半期報告書-第22期第1四半期(令和4年1月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/05/16 16:16
【資料】
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【項目】
37項目
文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
2022年12月期第1四半期連結累計期間は、新型コロナウイルスのパンデミックが世界中の多くの業種に影響を与え、グローバルなサプライチェーンに混乱を来しました。地政学的な緊張と主要経済地域におけるインフレーションの上昇により、経営環境はさらに難しくなっております。中国では2021年は比較的平穏でしたが、昨今は新型コロナウイルスの感染件数が中国の多くの地域で増加しており、病院や、場合によっては都市全体がロックダウンされました。更に、急激な円安も当社グループの営業成績の予見性を非常に複雑なものにしております。
このような困難な環境の下、当社グループは当第1四半期連結累計期間に売上収益3,933,490千円(前年同期比1.6%増)を達成しました。売上収益の前年同期比での増加が小幅なのは、子会社である北京コンチネント薬業有限公司(以下BCという。)が前年度初めに行ったマーケティングキャンペーンのため同期間の売上収益が高かったことによります。営業利益は478,926千円となり、前年同期比で38.1%の減少となりました。これは主に、BCとCullgen Inc.(以下Cullgenという。)の研究開発費の増加と、BCの上場申請に係る販売費及び一般管理費の増加によります。四半期利益は72,289千円となり、前年同期比83.4%減となりました。この減少は、Cullgenが2020年に行った資金調達に係る金融費用などの増加によります。
BCの当四半期における業績は堅調でした。売上収益は前年同期比で減少したものの、BC単体での営業利益、税引前利益および四半期利益は前年同期に比べ増加しております。BCは上場審査中のため、これ以上の詳細の財務情報の公表は控えさせていただきます。
米国のBerkeley Advanced Biomaterials LLC (以下、BABという。)は、新型コロナウイルスの影響から力強く回復し、売上収益や全ての利益項目において前年同期比で増加しております。
Cullgenは、米国および中国にて研究開発に邁進しており、最初のがん向け薬品のIND(新薬品の治験)申請に向け着実に前進しております。
①医薬品事業
主力製品であるアイスーリュイの中国市場での売上収益は引き続き堅調でした。医薬品事業セグメントの売上収益は3,401,937千円で前年同期と同水準になりました。セグメント利益は223,638千円(前年同期比62.8%減)となりました。この減少は、主にBCにおける営業マーケティングや研究開発体制の拡充および一過性の上場申請に係る費用によるものであります。
②医療機器事業
米国における医療機器事業セグメントは業績が堅調に回復し、売上収益531,552千円(前年同期比14.8%増)、セグメント利益255,288千円(前年同期比47.4%増)となりました。これらの増収増益は、米国市場が新型コロナウイルス警戒態勢から通常へ回帰したことによって、手術やその他生体材料を使った処置の件数が回復したことによります。
販売費及び一般管理費並びに研究開発費
(単位:千円)
前第1四半期連結累計期間当第1四半期連結累計期間差額
販売費及び一般管理費△2,194,415△2,458,324△263,908
人件費△784,160△964,787△180,627
研究開発費△403,692△468,870△65,177

当第1四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費は2,458,324千円(前年同期比12.0%増)となりました。この販売費及び一般管理費の増加は、医薬品事業セグメントの人件費(役員報酬を除く)およびマーケティング費用の増加によるものであります。
当第1四半期連結累計期間の研究開発費は468,870千円(前年同期比16.2%増)となりました。研究開発費の増加は、当社グループの主要子会社であるBCとCullgenにおける研究開発活動の強化を反映しております。
金融収益及び金融費用
(単位:千円)
前第1四半期連結累計期間当第1四半期連結累計期間差額
金融収益28,22454,67226,447
金融費用△125,738△186,173△60,434

金融収益
当第1四半期連結累計期間において、当社グループは54,672千円(前年同期比93.7%増)の金融収益を計上いたしました。
金融費用
当第1四半期連結累計期間において、当社グループは186,173千円(前年同期比48.1%増)の金融費用を計上いたしました。この費用は、主に子会社の財務活動に関する利子費用であります。
(2)財政状態に関する分析
連結財政状態
(単位:千円)
前連結会計年度当第1四半期連結会計期間差額
資産合計30,296,98032,590,1832,293,203
負債合計11,030,73412,116,7991,086,065
資本合計19,266,24620,473,3841,207,137

資産合計
当第1四半期連結会計期間における資産合計は、32,590,183千円(前連結会計年度末比7.6%増)となりました。この増加は、設備の取得、研究開発費用の資産化、投資収益、事業活動の活発化による運転資本の増加によるものであります。
負債合計
当第1四半期連結会計期間における負債合計は、12,116,799千円(前連結会計年度末比9.9%増)となりました。この増加は、主にマーケティング強化による費用増と研究開発費に係るものであります。
資本合計
当第1四半期連結会計期間における資本合計は、20,473,384千円(前連結会計年度末比6.3%増)となりました。主な要因は、在外営業活動体の換算差額と利益剰余金の増加であります。
連結キャッシュ・フロー
(単位:千円)
前第1四半期連結累計期間当第1四半期連結累計期間差額
営業活動によるキャッシュ・フロー1,507,840425,628△1,082,211
投資活動によるキャッシュ・フロー△71,785△298,202△226,416
財務活動によるキャッシュ・フロー1,093,492△331,129△1,424,621

営業活動によるキャッシュ・フロー
当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、425,628千円(前年同期比71.8%減)の収入となりました。主な減少要因は、マーケティング費用および営業債権の増加や税引前四半期利益の減少であります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当第1四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、298,202千円(前年同期比315.4%増)の支出となりました。主な要因は、資産計上研究開発費用の増加であります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当第1四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、331,129千円(前年同期は1,093,492千円の収入)の支出となりました。主な減少理由は、前年同四半期は米国子会社の資金調達に伴う収入があったものの、当四半期には同様の資金調達を行わなかったためであります。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はありません。また新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
[研究活動]
当社グループの創薬活動はCullgenを中心に、新しい創薬基盤技術であるuSMITE™(ユビキチン化を介した標的タンパク質分解誘導技術)を活用した、革新的な新規化学物質(NCE)の開発を目指しています。
Cullgenは、がん、痛み、及び自己免疫疾患の適応症に対する酵素及び非酵素タンパク質の両方を標的とした複数の新規分解剤を含む創薬パイプラインの拡充のための研究開発を進めております。
Cullgenの新しいE3リガンドプログラムの開発は、タンパク質分解誘導の将来を担う技術で、毒性の低減、薬剤耐性の緩和、組織・腫瘍・細胞内コンパートメントの選択性の提供、基質スペクトルの拡大を実現させるNCEの開発の可能性があると考えられております。
なお、Cullgenは、最初のがん候補薬のIND(Investigational New Drug、臨床試験実施のための申請)を中国国家薬品監督管理局(NMPA)に2022年4月末に提出し、NMPAと綿密に議論を重ねております。
[開発活動]
■アイスーリュイ[中国語:艾思瑞®、英語:ETUARY®(一般名:ピルフェニドン)]
放射線性肺炎(RP)
アイスーリュイの2番目の適応症として、RP治療薬の第Ⅲ相臨床試験前パイロット試験を実施しております。これは、多施設でのオープン試験を行うものです。
糖尿病腎症(DKD)
アイスーリュイの3番目の適応症であるDKDは、Ⅰ型糖尿病またはⅡ型糖尿病により引き起こされる慢性腎臓病です。中国では9,240万人が糖尿病に脅かされており、このうち20~30%がⅠ型糖尿病またはⅡ型糖尿病を患い、腎機能障害を引き起こすと言われております。当社グループは、第Ⅰ相臨床試験の臨床データ収集を完了し、NMPAと次のフェーズの臨床試験に関して協議を続けております。
結合組織疾患を伴う間質性肺疾患(CTD-ILD)
2016年9月、CTD-ILDの治療に対するアイスーリュイの4番目の適応症のNMPA承認を受けました。このINDの承認により、全身性硬化症(強皮症、SSc-ILD)と皮膚筋炎(DM-ILD)の2つの適応症について、直接第Ⅲ相臨床試験に移行することが承認されました。
2018年6月には、強皮症(SSc-ILD)及びDM-ILDの治療を対象とした第Ⅲ相臨床試験の各段階において、無作為、二重盲検、プラセボ・コントロール、52週間の試験に第1期被験者を登録しました。強皮症(SSc-ILD)には144名、DM-ILDには152名の被験者が登録される予定であります。
じん肺治療薬(Pneumoconiosis, PD)
2019年5月、当社グループは、アイスーリュイの5番目の適応症として、じん肺治療薬の治験許可(IND)申請に対する承認をNMPAより取得しました。じん肺疾患は、肺に炎症や瘢痕化(線維化)を引き起こす慢性的な肺疾患で、吸い込まれた粉塵や微粒子が、肺の細胞に蓄積することによって引き起こされます。当社グループは、2022年1月にアイスーリュイのじん肺疾患適応のための第Ⅲ相臨床試験の承認を倫理委員会から取得し、2022年中に最初の被験者を登録する計画であります。
■F351(肝線維症等治療薬)
F351(一般名:ヒドロニドン)は、当社グループの医薬品ポートフォリオにおける重要な創薬候補化合物であり、他の世界の主要医薬品市場へ臨床開発活動を拡大する戦略の重要な部分を占めております。
F351は、アイスーリュイの誘導体である新規開発化合物であり、内臓の線維化に重要な役割を果たす肝星細胞の増殖及び、TGF-β伝達経路を阻害します。当社グループは中国、日本、豪州、カナダ、米国及び欧州各国を含む主要な国でのF351の特許権を保有しております。
2020年8月、当社は肝線維症の候補薬であるF351の中国における第Ⅱ相臨床試験の初期段階分析の良好な結果について発表しました。この試験は、中国における慢性ウイルス性B型肝炎患者の肝線維症に対するF351の安全性と有効性を評価する、無作為化、二重盲検、プラセボ・コントロール、多施設、用量逓増試験で、プラセボと比較して52週の治療で肝線維症スコアが統計的に有意に改善するという主要評価項目を満たしました。
なお、中国の医薬品評価センター(CDE)との協議を経て、2021年3月にF351はNMPAより肝線維症の画期的治療薬に指定されました。これにより、F351についてのCDEとの協議が優先的、かつ有利な臨床試験を進めることが可能となっております。その後、2021年7月29日に中国において第Ⅲ相臨床試験許可申請承認がされ、2022年1月17日、当社グループからも開示いたしました通り、第Ⅲ相臨床試験の最初の被験者登録が行われました。
F351のNASH(非アルコール性脂肪肝炎)に対する米国における第Ⅱ相臨床試験については、米国の当局と協議を継続しております。
■F573(急性肝不全・慢性肝不全急性時(ACLF)治療薬)
F573はアイスーリュイ及びF351に次ぐ3番目の創薬候補化合物として、カスパーゼを阻害する可能性を持つ強いジペプチド化合物であり、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、アルコール性肝硬変による重症肝炎に関連して発生するアポトーシスや炎症反応に重要な化合物です。2020年9月に仁安病院より第Ⅰ相臨床試験実施の承認を受け、第Ⅰ相臨床試験において使用する人類遺伝子情報の届け出をHGRA(Human Genetics Resources Administration)に提出、受理され、2022年1月20日、第Ⅰ相臨床試験の最初の被験者への投与が行われました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は、468,870千円となりました。