半期報告書-第24期(2024/01/01-2024/12/31)

【提出】
2024/08/14 16:26
【資料】
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【項目】
37項目
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当中間連結会計期間における世界経済は、ウクライナや中東における地政学的リスクの長期化や、世界的な物価上昇等を背景に、世界経済は依然として先行き不透明な状況が続いております。我が国においては、円安による外国人観光客の増加もあり、景気は緩やかな回復傾向がみられました。一方で、日本でも輸入品の価格上昇に伴い、ライフラインや生活必需品などの価格が上昇し、民間部門の生活が苦しくなるなど影響が出ており、将来的な懸念がくすぶっております。当社が属するバイオテクノロジーセクターにつきましては、米国金利の上昇が一服したことから買い戻しを含め、一部資金が戻ってきておりますが、日本国内における金利上昇は続いており、楽観視できない状況が続いております。
このような状況下におきまして、株式会社ジーエヌアイグループ(以下「当社」)及びその関係会社(以下合わせて「当社グループ」)は、主力製品の販売が堅調に推移し、前期に獲得した契約一時金を除く中間連結会計期間の売上収益ベースで過去最高を記録しております。
製薬及び創薬事業におきまして、まず、当社グループの主要子会社である北京コンチネント薬業有限公司(以下「北京コンチネント」)のアイスーリュイの販売が引き続き堅調に推移し、売上収益及び利益に貢献しました。同社は次期製品の有力な候補であるB型肝炎起因の肝線維症を適応としたF351の第3相臨床試験を中国にて実施しており、2024年末までに、臨床試験のトップラインデータの公表ができるよう鋭意進めております。また、2025年にはNASH(非アルコール性脂肪肝炎)起因の肝線維症適応に向け、第3相臨床試験を中国で開始、また米国ナスダック市場に上場する当社子会社のGyre Therapeutics,Inc.(以下「GYRE」)が、第2a相臨床試験を米国で開始する予定です。
また、肺線維症分野における強固な地位を獲得するため、アイスーリュイの競合薬であり、IPF以外の肺線維症を適応症に持つニンテダニブの製造販売に関する権利を取得いたしました。
さらに希少疾患のジェネリックで、中国にて開発を進めていた慢性肝疾患による血小板減少症の治療薬であるアバトロンボパグマレイン酸塩錠の販売承認を受けたため、今後の売上収益増大が期待されています。今後も、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)を中心とした販売ラインナップの拡充に努めてまいります。
米国及び中国を中心に革新的な新薬の研究開発を行っている米国子会社Cullgen Inc.(以下「Cullgen」)は、独自の標的タンパク質分解誘導技術プラットフォームuSMITE™(ubiquitin-mediated, small molecule induced target elimination)を活用した創薬に引き続き邁進しております。Cullgenはアステラス製薬株式会社(以下「アステラス製薬」)と革新的なタンパク質分解誘導剤創出に向けた共同研究及びオプション契約を締結しており、本戦略的提携におけるアステラス製薬との共同研究は、順調に進展しております。
また、Cullgenは、同社初のTRK分解剤の抗がん剤候補としての臨床試験を中国にて進め、第1/2相臨床試験を開始しております。同時に2024年7月18日に開示しましたとおり、中国及び米国で開発を進めている悪性血液腫瘍(白血病)治療薬である CG009301(開発番号)のIND(新薬臨床試験開始申請)を提出いたしました。他の複数のプログラムについても、臨床試験開始を目指して研究開発を進めております。
また、2024年7月22日に開示しましたとおり、Cullgenはオーストラリアに子会社を設立し、急性痛を適応症としたTRK分解剤の臨床試験を開始すべく、準備を進めております。
医療機器事業に関しまして、米国でメドテック(生体材料)事業に携わるBerkeley Advanced Biomaterials LLC(以下「BAB」)にBerkeley Biologics LLC を加え、売上収益及び利益は好調に推移しております。

①セグメント別の経営成績
医薬品事業
北京コンチネントの主力製品であるアイスーリュイの中国市場での売上収益は堅調に推移しました。また、Cullgenにおいて、アステラス製薬との標的タンパク質分解誘導剤の共同開発収益754,349千円を計上し、医薬品事業セグメント全体としては順調に収益の拡大を達成いたしました。その結果、当中間連結会計期間の医薬品事業セグメントの売上収益とセグメント利益は、それぞれ9,145,014千円(前年同期比28.4%減)、1,086,200千円(前年同期比78.1%減)となりました。しかし、前中間連結会計期間においては、アステラス製薬との戦略的提携に伴う契約一時金による売上収益4,725,000千円があったため、当該一時金を除いたベースでは、前年同期比は売上収益13.7%増、セグメント利益353.7%増となりました。
医療機器事業
医療機器事業セグメントの売上収益とセグメント利益は、BABの主力製品である骨移植関連製品の売上収益が引き続き好調に推移したことにより、それぞれ2,588,807千円(前年同期比94.9%増)、675,942千円(前年同期比32.0%増)となりました。
②販売費及び一般管理費並びに研究開発費
(単位:千円)
前中間連結会計期間当中間連結会計期間差額
販売費及び一般管理費△6,179,184△7,117,436△938,251
人件費△1,964,780△2,717,379△752,598
研究開発費△1,253,059△1,419,327△166,268

当中間連結会計期間の販売費及び一般管理費は、7,117,436千円(前年同期比15.2%増)となりました。この販売費及び一般管理費の増加は、主に前年度期末において取得した子会社を、連結範囲に含めたことによるものです。
当中間連結会計期間の研究開発費は、1,419,327千円(前年同期比13.3%増)となりました。この研究開発費の増加は、主にCullgenにおける臨床試験前と臨床試験の進展によるものです。
③金融収益及び金融費用
(単位:千円)
前中間連結会計期間当中間連結会計期間差額
金融収益306,524371,87965,355
金融費用△539,038△1,343,366△804,328

金融収益
当中間連結会計期間の金融収益は、371,879千円(前年同期比21.3%増)となりました。この金融収益の増加は、主に北京コンチネントの長期性預金及びCullgenの普通預金等の受取利息の増加によるものです。
金融費用
当中間連結会計期間の金融費用は、1,343,366千円(前年同期比149.2%増)となりました。この金融費用の増加は、主に為替差損の増加及びCullgenの資金調達に関する現金支出を伴わない利息費用の増加によるものです。
(2)財政状態に関する分析
連結財政状態
(単位:千円)
前連結会計年度当中間連結会計期間差額
資産合計62,394,37068,993,5636,599,193
負債合計26,341,59229,429,2653,087,673
資本合計36,052,77839,564,2973,511,519

資産合計
当中間連結会計期間末における資産合計は、68,993,563千円(前連結会計年度末比10.6%増)となりました。この資産の増加は、主にその他の金融資産(流動)3,362,637千円の増加及び円安に伴う外貨建てのれん評価額の増加2,477,513千円等によるものです。
負債合計
当中間連結会計期間末における負債合計は、29,429,265千円(前連結会計年度末比11.7%増)となりました。この負債の増加は、主に短期借入金2,368,000千円の増加等によるものです。
資本合計
当中間連結会計期間末における資本合計は、39,564,297千円(前連結会計年度末比9.7%増)となりました。この資本の増加は、主にその他の資本の構成要素の増加によるものです。
連結キャッシュ・フロー
(単位:千円)
前中間連結会計期間当中間連結会計期間差額
営業活動によるキャッシュ・フロー872,378△1,467,673△2,340,052
投資活動によるキャッシュ・フロー△2,585,288△5,522,132△2,936,843
財務活動によるキャッシュ・フロー3,942,881△185,598△4,128,479

営業活動によるキャッシュ・フロー
当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、1,467,673千円の支出(前中間連結会計期間は、872,378千円の収入)となりました。これは主に、法人所得税の支払1,655,085千円等によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当中間連結会計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、5,522,132千円の支出(前中間連結会計期間は、2,585,288千円の支出)となりました。これは主に、差入保証金・敷金の増加による支出2,714,945千円及び投資有価証券の取得による支出1,025,672千円等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当中間連結会計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、185,598千円の支出(前中間連結会計期間は、3,942,881千円の収入)となりました。これは主に、短期借入金2,368,000千円の増加、非支配持分からの払込による収入628,389千円と非支配持分からの子会社持分取得による支出3,269,100千円等によるものです。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はありません。また新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
[研究活動]
当社グループの創薬研究では、Cullgenを中心に革新的な新規開発候補化合物(NCE)の開発を目指しております。Cullgenは、がん、疼痛、及び自己免疫疾患に対する酵素及び非酵素タンパク質を標的とした複数の新規化合物を含む創薬パイプラインの拡充のための研究開発を進めております。
2023年6月に、Cullgenはアステラス製薬と、革新的なタンパク質分解誘導剤創出に向けた共同研究及びオプション契約を締結いたしました。本戦略的提携において、両社は新規E3リガンドを活用したCullgen独自の技術プラットフォームuSMITE™とアステラス製薬の創薬及び商業化能力を融合し、複数の標的タンパク質分解誘導剤の創出を目指します。Cullgenとアステラス製薬は臨床開発対象の化合物を見出すための共同研究を行い、アステラス製薬は見出された分解剤の開発及び商業化を担います。乳がんやその他の固形がんを対象として、アステラス製薬が同定したリードプログラムである細胞周期タンパク質に対する分解誘導剤候補化合物も含むアステラス製薬との共同研究は、順調に進展しております。
[開発活動]
■アイスーリュイ[中国語:艾思瑞®、英語:ETUARY®(一般名:ピルフェニドン)]-北京コンチネント
北京コンチネントは、アイスーリュイの適応を以下の疾患に拡大する臨床試験を遂行しておりますが、F351の臨床試験を優先しております。
・糖尿病腎症(DKD):第1相完了、今後の進め方を中国当局と継続協議中
・結合組織疾患(CTD-ILD)を伴う間質性肺疾患(全身性硬化症(強皮症、SSc-ILD)と皮膚筋炎(DM-ILD)):第3相臨床試験継続中
・じん肺治療薬(Pneumoconiosis,PD):第3相臨床試験継続中
■ニンテダニブ[英語:Nintedanib]-北京コンチネント
ニンテダニブはIPF、全身性硬化症関連間質性肺疾患(SSc-ILD)及び進行性線維性間質性肺疾患(PF-ILD)を適応症に持つ治療薬です。2024年5月に、北京コンチネントが製造販売の権利を獲得いたしました。
■F351(一般名:ヒドロニドン)-北京コンチネント及びGYRE
F351は肝線維症向け治療薬候補として、当社グループの医薬品ポートフォリオにおける重要な新薬候補であり、世界の主要医薬品市場への参入に向けた戦略の非常に重要なものとなります。F351は、ブロックバスターと期待さ
れる新薬候補です。
F351は、B型慢性肝炎に起因する肝線維症の第3相臨床試験を順調に進めております。北京コンチネントは2023年
10月、中国におけるB型慢性肝炎に起因する肝線維症患者を対象とした第3相臨床試験の登録を完了し、2024年末までにトップラインデータの公表ができるよう鋭意進めております。
GYREは、2025年にF351を非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に伴う肝線維症の第2a相臨床試験を開始する予定です。
■F573(急性肝不全(ALF)・慢性肝不全の急性増悪(ACLF)治療薬)-北京コンチネント
急性肝不全(ALF)や慢性肝不全の急性増悪(ACLF)の治療薬として、F573の第2相臨床試験を実施しておりま
す。
■F230(肺動脈性肺高血圧症治療薬)-北京コンチネント
F230は、肺動脈性肺高血圧症の治療薬であり、2024年5月28日に、北京コンチネントは中国においてINDの承認を受けました。第1相臨床試験の早期開始に向け、準備を進めております。
■F528(慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬)-北京コンチネント
F528は、複数の炎症性サイトカインを抑制する新規の抗炎症剤であり、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の進行を軽減
する可能性のある新薬候補として研究開発を進めております
■CG001419(TRK分解剤)-Cullgen
CG001419は、業界初の選択的かつ強力な標的タンパク質分解誘導剤を活用した経口剤として開発を進めておりま
す。2023年7月に、同社初となる第1/2相臨床試験を中国にて開始いたしました。
■オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)のジェネリック-北京コンチネント
北京コンチネントは、オーファンドラッグのパイプライン拡充のため、2024年6月に慢性肝疾患による血小板減少症の治療薬であるアバトロンボパグマレイン酸塩錠の販売承認を取得いたしました。また、多発性硬化症の治療薬であるフィンゴリモド塩酸塩錠の販売権取得を目指しております。