四半期報告書-第19期第2四半期(平成31年4月1日-令和1年6月30日)

【提出】
2019/08/14 15:06
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【項目】
13項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
会社概要
当社は日本に本社を置き、中国及び米国の子会社を通じて医薬品事業と医療機器事業を行うグローバル製薬企業です。
当第2四半期連結累計期間において、当社グループは対前年同期比で増収、増益を達成、また、医薬品の開発においても顕著な進捗が見られました。Continental Pharmaceutical Inc.(北京コンチネント薬業有限公司を子会社とするケイマン諸島の当社子会社、以下CPI)は、Etuary®(アイスーリュイ)の四半期最高売上を前四半期に続き更新しました。また、米国子会社であるBerkeley Advanced Biomaterials LLC(以下、BAB)における医療機器事業は、対前年同期比で、収益性の向上を達成しました。さらに、創薬事業を手掛けるCullgen Inc.(以下、Cullgen)においては、世界的ベンチャーキャピタル企業2社による1,600万米ドルの投資を受け、当社グループにとって重要な創薬活動を加速しています。
当第2四半期中のその他の重要な出来事としては、4月にCPIは香港証券取引所への上場申請を提出しました。また5月には、北京コンチネント薬業有限公司は国家薬品監督管理局(NMPA)(旧CFDA)からEtuary®(アイスーリュイ)がじん肺症治療のための治験許可(IND)の承認を取得したことが挙げられます。
当第2四半期連結累計期間の当社グループの業績概要は以下のとおりです。
(1)経営成績に関する分析
当第2四半期連結累計期間の経営成績
連結経営成績概要
(単位:千円)
前第2四半期連結累計期間当第2四半期連結累計期間差額
売上収益2,158,7833,419,4401,260,656
売上総利益1,845,1733,025,1501,179,976
営業利益239,566681,451441,884
四半期利益(△損失)△6,203501,145507,349

売上収益及び売上総利益
当第2四半期連結累計期間において、売上収益は前年同期比約58.4%増加の3,419,440千円となりました。利益率は改善し、当第2四半期連結累計期間の売上総利益は、前年同期比約63.9%増加の3,025,150千円となりました。前年同期に比べたこの増加は、主に北京コンチネントにおけるアイスーリュイの堅調な売上によるものです。
営業利益
当第2四半期連結累計期間の営業利益は、前年同期比約184.5%増加の681,451千円となりました。当社グループの主要事業の収益性向上により、営業利益は引き続き増加しております。
四半期利益(損失)
当第2四半期連結累計期間の四半期利益は、前第2四半期連結累計期間の6,203千円の損失と比べ、507,349千円改善し、501,145千円の利益となりました。
販売費及び一般管理費並びに研究開発費
(単位:千円)
前第2四半期連結累計期間当第2四半期連結累計期間差額
販売費及び一般管理費△1,337,278△2,045,143△707,864
人件費△648,937△756,007△107,070
研究開発費△249,362△304,360△54,997

当第2四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費は、前第2四半期連結累計期間に比べ707,864千円増加し、2,045,143千円となりました。これは一つには、北京コンチネントの上場準備に関連する一時費用が計上されたことによるものです。研究開発費が前年同期に比べ増加したのは、中国におけるアイスーリュイの追加適応症及びF351に関する臨床試験、並びにCullgenにおいて継続中の創薬研究活動によるものです。
金融収益及び金融費用
(単位:千円)
前第2四半期連結累計期間当第2四半期連結累計期間差額
金融収益13,42431,19017,766
金融費用△188,586△108,65779,928

金融収益
当第2四半期連結累計期間の金融収益は、前第2四半期連結累計期間の13,424千円と比べて、17,766千円増加し、31,190千円となりました。
金融費用
当第2四半期連結累計期間の金融費用は、前第2四半期連結累計期間の188,586千円と比べて、79,928千円減少し、108,657千円となりました。この金融費用は、主として、支払利息並びに現金支出を伴わない外貨建ての資産及び負債の評価替えによる為替差損によるものです。
(2)財政状態に関する分析
連結財政状態
(単位:千円)
前連結会計年度当第2四半期連結会計期間差額
資産合計17,100,80619,063,4971,962,691
負債合計7,092,8697,079,745△13,123
資本合計10,007,93611,983,7511,975,815

資産合計
当第2四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,962,691千円増加し、19,063,497千円となりました。
負債合計
当第2四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて13,123千円減少し、7,079,745千円となりました。
資本合計
当第2四半期連結会計期間末における資本合計は、前連結会計年度末に比べて1,975,815千円増加し、11,983,751千円となりました。
連結キャッシュ・フロー
(単位:千円)
前第2四半期連結累計期間当第2四半期連結累計期間差額
営業活動によるキャッシュ・フロー139,275307,609168,333
投資活動によるキャッシュ・フロー△356,198△322,02134,177
財務活動によるキャッシュ・フロー△73,4321,477,1631,550,595

営業活動によるキャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、前第2四半期連結累計期間の139,275千円の収入と比べて168,333千円増加し、307,609千円の収入となりました。主な収入は、税引前四半期利益であります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、前第2四半期連結累計期間の356,198千円の支出と比べて34,177千円減少し、322,021千円の支出となりました。主な支出は、有形固定資産の取得による支出及び投資有価証券の取得による支出であります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、前第2四半期連結累計期間の73,432千円の支出と比べて1,550,595千円増加し、1,477,163千円の収入となりました。主な収入は、非支配持分からの払込による収入であります。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はありません。また新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
[創薬]
当社グループの創薬活動はCullgenを中心に展開されておりますが、Cullgenは、新しい創薬基盤技術であるuSMITE™(ユビキチン化を介した低分子標的タンパク質分解誘導技術)を活用した、がん、炎症性疾患及び自己免疫疾患の新たな治療における革新的な新規化合物の研究開発を行う目的で設立されました。Cullgenは、従来創薬ターゲットにできなかった酵素やタンパク質の除去を可能とするべく、タンパク質等の活性部位への阻害を越えた医薬品デザインの拡大を目指しています。
2019年4月に、Cullgenは大手グローバルベンチャーキャピタルであるSequoia Capital ChinaとHighlight Capitalから1,600万米ドルのシリーズA投資を受けました。この受領した資金は、将来の治験許可申請を見据えた Cullgen の癌領域及びその他の疾患領域における既存の創薬研究に活用されます。
当第2四半期において、Cullgenの数多くの研究開発活動は、円滑に進みました。Cullgenは、経口バイオアベイラビリティ(※)の高い、数千ものリード化合物の最適化を図りました。この治験許可(IND)申請については、当第4四半期末の見込みです。Cullgenは、既に数件のPCT国際出願を行っています。
(※ 投与された薬物が、どれだけ全身循環血中に到達し作用するかの指標)

[臨床試験]
■アイスーリュイ[中国語:艾思瑞®、英語:Etuary®(一般名:ピルフェニドン)]
放射線性肺炎(RP)
当社グループは、アイスーリュイの2番目の適応症として、RP治療薬の第3相臨床試験前パイロット試験を実施しております。これは、反復投与、多施設でのオープン試験を行うもので、2019年3月末現在、10の施設で11人の被験者登録が行われています。当第2四半期に試験の実施要項が修正されたことで、被験者登録も変更され、より多くの病院が含めらました。この変更により、試験は2020年第3四半期末までに終了する見込みです。
糖尿病腎症(DN)
DNは、Ⅰ型糖尿病又はⅡ型糖尿病により引き起こされる慢性腎臓病です。統計によれば、中国では、糖尿病の有病者が9,240万人に達すると報告されており、Ⅰ型又はⅡ型糖尿病患者の20~30%が腎疾患を引き起こすとされています。2016年8月、当社グループは、国家薬品監督管理局(NMPA)(旧 CFDA)より、DN治療薬のIND申請に対する承認を取得し、DNに関し第2相臨床試験を直ちに開始することが認められました。当第2相臨床試験は、治験実施施設の改築完了後、当第2四半期前半に被験者の募集を開始しました。
結合組織疾患を伴う間質性肺疾患(CTD-ILD)
CTD-ILDとは、結合組織疾患(CTD)を持つ患者様の肺に、炎症及び線維症、又はいずれか一方の症状を引き起こす状態のことを指しますが、2016年9月、当社グループは、アイスーリュイの4番目の適応症としてのCTD-ILD治療薬のIND申請に対する承認をNMPAより取得しました。同承認により、当社グループは、CTD-ILDの2つの適応症である全身性強皮症(強皮症)及び皮膚筋炎(DM)に関し、第3相臨床試験を直ちに開始することが認められました。2018年6月、当社グループは、強皮症とDMに関する第3相臨床試験において、最初の患者様が被験者登録されたことを発表いたしました。本試験は無作為、二重盲検、プラセボ・コントロール、52週の試験です。強皮症に関しては144名、DMに関しては152名の被験者が参加する予定で、2019年6月末現在、強皮症に関しては8人、DMに関しては23人の被験者登録が行われています。
じん肺治療薬(Pneumoconiosis Diseas)
2019年5月、当社グループは、アイスーリュイの適応症として、じん肺治療薬としての治験許可(IND)申請に対する承認をNMPAより取得しました。じん肺は、肺に炎症や瘢痕化(線維化)を引き起こす慢性的な肺疾患で、吸い込まれた粉塵や微粒子が、肺の細胞に蓄積することによって引き起こされます。中国には、およそ43万3千人の患者様がおり、更に、きちんとした診断を受けていない患者様が、最大60万人いると推定されています。この疾患による中国の経済損失は年間80億元に及ぶと推定されています。中国及び全世界で、この疾患に対する深刻なアンメット・メディカル・ニーズが存在します。北京コンチネントは、この試験の実施要項を定め、臨床試験を開始するために病院との提携を速やかに進めて参ります。
■F351(肝線維症等治療薬)
F351(一般名:ヒドロニドン)は、当社グループの開発パイプラインの中でも重要な創薬候補化合物で、臨床開発活動を世界の主要医薬品市場で展開する当社戦略に必要不可欠なものです。F351は、アイスーリュイの誘導体である新規開発化合物であり、肝星細胞の増殖及び内臓の線維化に重要な役割を果たすTGF-β伝達経路の両方の阻害剤です。当社グループは中国、日本、豪州、カナダ、米国及び欧州各国を含む主要な国でのF351の特許権を保有しております。
中国 - 当社グループは、中国において、F351の肝線維症治療薬としての第2相臨床試験を行っておりますが、これは、慢性B型肝炎ウイルス感染による肝線維症の治療におけるF351の安全性及び有効性を検証するもので、中国全土の三級甲の13の病院が参加し、最大240人の被験者に対して、無作為、二重盲検、プラセボ・コントロール、反復投与、多施設での試験を行うものです。2018年9月、当社グループは、中国におけるF351の肝線維症を適応症とする第2相臨床試験を審査する独立データモニタリング委員会(IDMC)より、これまでの試験において良好な結果が認められたことから、本試験に対する新規被験者登録を停止すべきとの勧告を受領しました。また、IDMCは、本試験終了前に、まだ52週間の経過観察期間が残っている36名の被験者については試験を継続するよう勧告しております。同委員会の勧告に従い、当社グループは、中国における当第2相臨床試験を2019年8月に終了し、その後、当試験の最終結果は国際学会の場で発表される予定です。当第2四半期に、異なる製剤に対する生物学的同等性試験(biological equivalence study;BE試験)、特別な患者グループに対する薬物動態試験、ならびにNMPAのガイドライン等に沿ったCMC(※)試験を完了しました。 当社グループは、この重要な医薬候補品の承認の基準について、第3相臨床試験の実施方法や早めに承認を得られるかどうかなども含めて、NMPAと連絡を取る予定です。
(※Chemistry,Manufacturing and Controlの各頭文字を取った略語)
米国 - 中国における第2相臨床試験が終了した後、開発活動を実施します。米国と中国で収集されたデータを基に、米国での適応症と用量を決定します。
■タミバロテン(急性前骨髄球性白血病(APL)治療薬)
タミバロテンは、APL治療薬です。APLは、急性骨髄白血病の一種で、前骨髄球が「がん化」する白血病です。共同開発者である東光薬品工業株式会社と当社子会社のGNI Hong Kong Limitedは、2015年10月に、アムノレイク®錠2mg(一般名:タミバロテン)を、輸入薬としてNMPAに登録申請を行いました。総合審査の結果、薬学部分に関する一部追加データの要求があったため、製造者である東光薬品工業はこれらのデータを2020年の第1四半期を目標に提出すべく準備中です。
■F573(急性肝不全・慢性肝不全急性時(ACLF)治療薬)
急性肝不全・ACLF治療薬F573は、アイスーリュイ及びF351に続く3つ目の新規開発化合物で、当社グループは、2011年7月にNMPAにIND申請を提出しました。F573は、ジペプチド化合物で、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、アルコール性肝硬変に起因する重症肝炎と関連した、細胞死や炎症反応をもたらす酵素の一種であるカスパーゼを阻害する可能性を持つものです。2018年4月、当社グループは、NMPAより、F573の急性肝不全・ACLF治療薬としてのIND申請に対する承認を取得しました。本承認は、第1相臨床試験の結果が良好であった場合、第2相臨床試験も行うことができる内容となっております。2019年3月、北京コンチネントの上場に関連する当社グループの組織再編成の一環として、F573に関する権利は、グループ内取引としてGNI Hong Kong LimitedからContinent Pharmaceuticals Inc. (CPI)に譲渡されました。今後、CPIは当社グループと連携して、F573の第1相臨床試験について治験施設の選定を含め準備を進めて参ります。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は、304,360千円となりました。