有価証券報告書-第35期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/29 10:18
【資料】
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【項目】
142項目
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進捗や活動制限の緩和等により、一時持ち直しの動きも見られましたが、新たな変異株による感染再拡大やウクライナ情勢による原油価格の高騰や原材料価格の上昇等、先行き不透明な状況です。また、当社グループを取り巻く事業環境としては、2021年8月に発生した大雨による山陽線や中央線の約3週間に亘る不通を始め、2022年1月以降では北日本地区を中心とした大雪により列車運休が発生するなど自然災害が相次いで発生し、大幅な減収を余儀なくされました。
こうした状況の中、当社グループにおいては「JR貨物グループ長期ビジョン2030」や「JR貨物グループ中期経営計画2023」のもと、鉄道ロジスティクス事業では貨物鉄道事業の役割発揮とさらなる収益性の向上、総合物流企業グループへの進化、不動産事業では利益拡大等の取組みを進めました。
この結果、当連結会計年度の営業収益は前期比0.4%減の1,866億円、営業利益は前期比41.2%減の14億円、経常利益は前期比80.9%減の2億円、親会社株主に帰属する当期純損失は14億円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益0億円)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
a 鉄道ロジスティクス事業
貨物鉄道事業を中心とする当社グループは、「安全は鉄道事業の存立基盤である」との認識のもと、鉄道輸送の商品力強化や信頼性向上に取り組むとともに、収支改善に向けた取組みの継続・強化を実施しております。
しかしながら、2021年12月28日に発生した山陽線瀬野駅~八本松駅間における貨物列車の脱線事故により、同線を運行する列車に運休や大幅な遅延等が発生いたしました。原因は調査中ですが、お客様をはじめ、関係する方々に多大なご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。また、2022年4月28日には国土交通省から保安監査の結果として改善指示を受けております。今回の脱線事故を極めて重大な事故と受け止め、当社の安全の定義である「安全は人命を守ること」が最重要であること、また、鉄道事業者の責務の下に輸送を行っていることを再認識し二度と同種の事故を発生させないための対策を講じ、確実に実施してまいります。
輸送サービスにおいては、2021年3月のダイヤ改正においてブロックトレインを2往復(安治川口駅~盛岡貨物ターミナル駅間、名古屋貨物ターミナル駅~福岡貨物ターミナル駅間)、2021年10月5日からはブロックトレイン1往復(東京貨物ターミナル駅~東福山駅間)を新設しており、さらに2022年3月のダイヤ改正から利用運送事業者向けのブロックトレイン1往復(越谷貨物ターミナル駅~姫路貨物駅間)を新設しました。これにより当社グループが運行しておりますブロックトレインは合計で11往復となりました。今後も環境特性や労働生産性に優れた貨物鉄道輸送により社会問題であるトラックドライバー不足の緩和とCO₂排出量削減によるカーボンニュートラル実現に貢献してまいります。
輸送量は、新型コロナウイルス感染症に伴う需要低迷に加え、2021年8月の大雨による中央線・山陽線の不通、北日本地区で相次いだ雪害の影響を受け、積合せ貨物、紙・パルプ、化学工業品、化学薬品を除く品目で前年を下回りました。品目別では、食料工業品が飲料等を中心に飲食店の営業制限等により減送となったほか、農産品・青果物は北海道地区の干ばつによる作柄不良に伴い、玉葱や馬鈴薯を中心に大幅な減送となり、また自動車部品は半導体不足及び東南アジアでの新型コロナウイルスまん延に伴って部品調達不足が発生したことによりそれぞれ前年度を下回りました。一方、積合せ貨物は、2021年3月及び10月からのブロックトレイン運転開始等により増送したほか、紙・パルプは前年度の大幅な減産の反動等により前年を上回りました。結果コンテナ全体では前年度比98.1%となりました。車扱は、石油はコロナ禍に伴う外出自粛の影響により前年度を若干下回ったものの、炭酸カルシウム等その他の品目で前年を上回り車扱全体では、前年度比100.1%となりました。コンテナ・車扱の合計では前年度比98.7%となりました。
総合物流企業グループへの進化に向けては、マルチテナント型物流施設として2020年2月に竣工した「東京レールゲートWEST」が順調に稼働しており、「東京レールゲートEAST」についても2022年7月竣工に向け工事を進めました。札幌貨物ターミナル駅においても北海道最大の物流施設となる「DPL札幌レールゲート」が、2022年5月に竣工しました。また、総合物流企業グループ実現のため、新たなロジスティクスを企画提案する3PLのコーディネーションを担う「総合物流部」をJR貨物内に設置し、JR貨物グループのアセットを活用した総合物流の提案を開始するなど、総合物流事業を推進する体制を強化しております。
経費面では、安全の確立、安定輸送の確保、輸送品質の維持等の事業継続に必要な経費は着実に執行しつつ、会社の持続的成長に向けて、維持・更新投資に加え、成長・戦略投資も積極的に行いました。同時に輸送量減に伴い、列車運行にかかるオペレーションコストの削減に取り組むなど経費圧縮に努めました。
この結果、当連結会計年度の営業収益は前期比0.6%増の1,680億円、営業損失は92億円(前期は営業損失79億円)となりました。
b 不動産事業
不動産事業では、外部購入による賃貸マンション事業で2021年4月に賃貸開始したフレシア中目黒が順調に稼働しているほか、2022年2月には単身者向けのフレシア経堂を賃貸開始するなど、賃料収入の維持・拡大に取り組みました。また、社宅をリノベーションし、2021年3月に賃貸開始したフレシア駒込についても順調に稼働しております。
この結果、当連結会計年度の営業収益は子会社で工事受託収入が減少したこと等により、前期比1.0%減の205億円、営業利益は前年度用地交換に伴って発生した不動産取得税の反動減により、前期比1.8%増の102億円となりました。
c その他
その他では、当連結会計年度から収益認識会計基準を適用したことにより当連結会計年度の営業収益は前期比60.7%減の39億円となりました。営業利益は中古フォークリフト売却収入の増などにより、前期比326.3%増の3億円となりました。
(参考)
当社の貨物鉄道事業の最近の品目別輸送実績は次のとおりであります。
(単位:千トン)
前事業年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当事業年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
対前期比
増減%
輸送量合計26,99026,643△347△1.3
コンテナ輸送量計18,83718,484△353△1.9
農産品・青果物1,6751,523△151△9.1
化学工業品1,5991,612+13+0.8
化学薬品1,2291,272+42+3.5
食料工業品3,0262,905△121△4.0
紙・パルプ2,1062,185+78+3.7
他工業品1,3481,268△80△5.9
積合せ貨物2,8753,052+177+6.2
自動車部品745623△121△16.3
家電・情報機器329313△15△4.8
エコ関連物資623495△127△20.5
その他3,2773,230△47△1.4
車扱輸送量計8,1528,158+5+0.1
石油5,5635,544△19△0.3
セメント・石灰石1,3591,359△0△0.0
車両829808△21△2.5
その他400447+46+11.7

また、最近2連結会計年度における主な顧客先別の売上高及び当該売上高実績の総売上高実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
日本通運株式会社39,65321.237,76320.2

② 資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末の総資産額は、4,325億円となり、前連結会計年度末と比較し、203億円増加しました。これは主に、東京レールゲートEAST建設に伴う固定資産の増加によるものです。
負債総額は、3,323億円となり、前連結会計年度末と比較し、219億円増加しました。これは主に、社債発行等によるものです。
純資産総額は、1,002億円となり、前連結会計年度末と比較し、16億円減少しました。これは主に、利益剰余金の減少によるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益が減少したことや人事制度の変更による退職者の減少などにより、197億円の流入(前期は159億円の流入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、東京レールゲートWEST竣工による支出等が増加したことなどにより、342億円の流出(前期は315億円の流出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、社債の発行による収入などにより、189億円の流入(前期は95億円の流入)となりました。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ44億円増の321億円となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社及び当社の連結子会社の大多数は、受注生産形態を取らない業態であります。長期に亘り収益が認識される契約を有する鉄道ロジスティクス事業については、未履行の履行義務残高を、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記(収益認識関係)」に記載しています。なお、販売の状況については「①財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されており、連結財務諸表の作成に当たっては、連結決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行ったうえで、継続して評価を行っております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表は固定資産の比率が高いことから、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計上の見積りのうち特に影響が大きいものは、固定資産の減損会計であります。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 経営成績
〇 営業収益
当連結会計年度の営業収益は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で売上が減少したことなどにより、前期比0.4%減の1,866億円となりました。
鉄道ロジスティクス事業の外部顧客への売上高は、前期比0.6%増の1,676億円となりました。
これは、当社の鉄道ロジスティクス事業における貨物運輸収入が、新型コロナウイルス感染症や自然災害の影響を受けた一方、東京レールゲートWESTが本格稼働したことによります。
コンテナの輸送量は、災害の影響を大きく受けて、前期比1.9%減の1,848万トンとなりました。車扱の輸送量は、前期比0.1%増の815万トンとなりました。
鉄道ロジスティクス事業以外の事業の外部顧客への売上高については、以下のとおりであります。
不動産事業では、新規貸付等により、前期比0.0%増の186億円となりました。
その他の事業では、収益認識会計基準を適用したことなどにより、前期比82.9%減の3億円となりました。
〇 営業費用
営業費用は、前期比0.2%増の1,851億円となりました。営業収益に対する営業費用の比率は、前連結会計年度の98.7%に対して、当連結会計年度は99.2%となりました。
運輸業等営業費及び売上原価は、前期比0.3%減の1,702億円となりました。これは、線路使用料が減少したことなどによるものであります。
販売費及び一般管理費は、前期比5.9%増の149億円となりました。これは、人件費が増加したことなどによるものであります。
〇 営業利益
営業利益は、前期比41.2%減の14億円となりました。営業収益に対する営業利益の比率は、前連結会計年度の1.3%に対し、当連結会計年度は0.8%となりました。
〇 営業外損益
営業外収益は、前期比20.2%減の7億円となりました。これは、匿名組合投資利益が減少したことなどによるものであります。
営業外費用は、前期比2.7%減の19億円となりました。これは、支払利息が減少したことなどによるものであります。
なお、受取利息などの金融収益から、支払利息などの金融費用を差し引いた金融収支は、11億円のマイナスとなり、前連結会計年度から13.1%改善しております。
〇 経常利益
経常利益は、前期比80.9%減の2億円となりました。営業収益に対する経常利益の比率は、前連結会計年度の0.8%に対し、当連結会計年度は0.1%となりました。
〇 特別損益
特別利益は、前期比82.1%増の90億円となりました。これは、補償金受入額が増加したことなどによるものであります。
特別損失は、前期比95.3%増の111億円となりました。これは、補償金支払額が増加したことなどによるものであります。
〇 税金等調整前当期純損失
税金等調整前当期純損失は、17億円となりました。(前年同期は税金等調整前当期純利益7億円)営業収益に対する税金等調整前当期純利益(損失)の比率は、前連結会計年度の0.4%に対し、当連結会計年度は△1.0%となりました。
〇 親会社株主に帰属する当期純損失
親会社株主に帰属する当期純損失は、税金等調整前当期純利益の減少などにより、14億円の損失を計上しました。(前期は親会社株主に帰属する当期純利益0億円)1株当たり当期純損失は、前連結会計年度の183.18円の1株当たり当期純利益に対し、当連結会計年度は△3,760.14円となりました。また、当連結会計年度の営業収益に対する親会社株主に帰属する当期純利益(損失)の比率は、前連結会計年度の0.0%に対し、当連結会計年度は△0.8%となりました。
b 財政状態
当連結会計年度末の資産残高は前連結会計年度に比べ203億円増の4,325億円、負債残高は前連結会計年度に比べ219億円増の3,323億円、純資産額は前連結会計年度に比べ16億円減の1,002億円となりました。
鉄道ロジスティクス事業においては、東京レールゲートEASTの建設ほか、繰延税金資産の増加などにより、当連結会計年度末の資産残高は3,516億円となりました。
不動産事業においては、フレシア経堂等建物取得を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は509億円となりました。
その他の事業においては、大きな投資は行っておらず、当連結会計年度末の資産残高は172億円となりました。
c キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
〇 キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より38億円多い197億円の流入となりました。これは、税金等調整前当期純利益が減少したことや人事制度の変更による退職者の減少によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、前連結会計年度より27億円多い342億円の流出となりました。これは、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものであります。
なお、設備投資については、鉄道ロジスティクス事業に関して、車両の新造、東京レールゲートEASTのほか、トラックドライバー用アプリなどのIT化・DX化推進投資などについて実施しました。
また、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度より11億円少ない、145億円の流出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、前連結会計年度より94億円多い189億円の流入となりました。これは、社債の発行などによるものであります。なお、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末の276億円から44億円増加し、321億円となりました。
〇 財務政策
当社グループは、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、シンジケート・ローンを含む銀行借入ならびに社債等により、既存債務の返済資金や設備投資資金等の必要資金を調達しております。財務政策の方針は、市場動向等を勘案しながら低利かつ中長期的にわたり安定的な資金調達を行うことであります。弁済期限が1年を超える資金を借り入れる際は、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(昭和61年法律第88号)の第五条に基づき、国土交通大臣の認可を得て実行しています。
なお、運転資金の効率的な調達のため、当座貸越枠を設定しているほか、大規模災害発生時の資金面の備えとして、震災・大雨対応型のコミットメントライン契約(契約枠210億円)を締結しております。

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